最近忙しくて更新が滞っていましたが、何とか更新しました!
それではどうぞお楽しみください!!
朝練が始まる前の屋上にて・・・。
「それで、理事長は何か言ってた?」
「別に禁止にしたつもりは無いって。続けていいそうよ。」
絵里が活動を続けてもいいという理事長の言葉を穂乃果に伝えると、
「ほんと!?」
「じゃあライブも!?」
「ええ。」
「よかったぁ!いつにしよういつにしよう!?」
と、穂乃果は海未と互いの手をとって喜んだ。
「そうね、入学願書の受付までに何度かやりたいけどあまり連続でやってもね・・・。」
「あ、みんなの体調とか疲れすぎちゃうのもよくないもんね。」
「穂乃果!?」
「やっぱり気にしてるのね・・・。」
「え?あ、まあ・・・。」
「なんかちょっと穂乃果らしくありませんね。」
「こりゃ何か天変地異が起きるかもしれねえな。」
「いくらなんでもひどいよ幸雄くん!私だってちゃんと考えるんだから!」
幸雄の皮肉交じりの軽口に、穂乃果は頬を膨らませて抗議した。
「でも、少しは周りが見えるようになったって事かしら。」
「そうだな、それだけでも十分な成長だといえるな。」
志郎は絵里の言葉に頷きながら言った。
「周りが・・・。あれ?ことりちゃんは?」
絵里が言った『周り』という言葉でことりがいないことを思い出した穂乃果は周りを見回す。
「ちょっと電話をしてくるって、下に行きましたよ。」
「ふーん。」
ことりがどこに行ったのかを教えた海未の表情は浮かないものであった。彼女はことりから直に留学することを打ち明けられていただけに、ことりがその件で席を外しているという事が分かっていた。そしてそれを穂乃果に言い出せない事に、海未もまた罪悪感を覚えていた。
「・・・。」
幸雄がそんな海未の表情を見て考えを巡らせていると、
『うわああああ!!』
と、いきなり真姫と凛と花陽の3人が屋上の扉を思い切り開けて飛び込んできて、
「どわあああ!?」
さらにドアのすぐ前に立っていた幸雄は彼女たちが思い切りドアを開けたと同時に開いたドアにふっ飛ばされ、思いっきりすっ転んだ。
「ど、どうしたの!?」
「そんなに慌てて何があった!?」
1年生たちの尋常じゃない様子に穂乃果と志郎は驚いた様子で彼女たちに何があったのかをたずねた。
「た・・・。」
「た・・・。」
「助けて・・・。」
息も絶え絶えな様子の凛と真姫に代わって花陽がそう言った。
「はぁ?」
花陽が言った言葉ににこは首を傾げた。
「花陽、また『助けて』になってるぞ。『大変』じゃないのか?」
「はっ!そうなんです!!大変です!!みんなちょっと来てください!!」
志郎が助け舟を出すと、花陽は我に返ったようにそう言ってみんなに着いて来るように言った。
花陽たちに導かれてやってきたのはお知らせなどが貼り出されている掲示板だった。
「来年度入学者受付のお知らせ・・・。」
穂乃果が声に出して貼り出されたプリントを読むと、
『なに!?』
『これって!?』
志郎、幸雄、穂乃果、海未、絵里、希、にこの7人は驚きの声を上げた。
「中学生の希望校アンケートの結果が出たんだけど・・・!」
「去年より志願する人たちがずっと多いらしくて!!」
花陽と真姫が志郎たちに状況を説明するが、真姫は興奮しているのか若干声が上ずっていた。
「・・・ってことは!」
「学校は・・・!」
「存続するって事やん!!」
『マジか!!』
希たちの出した結論に志郎と幸雄はさらに驚いた。
「さ、再来年は分かんないけどね!」
それに対して真姫はいつも通りの皮肉を言うが、その表情と声のトーンで嬉しそうな様子は隠せてないことがわかる。
「後輩が出来るの!?」
「うん!!」
「やったぁー!!」
「よかったなぁお前ら!誰にも見送られない卒業式なんて無かったんだ!!」
後輩が出来ることに花陽と凛は喜び、幸雄も2人と一緒に喜んでいた。
「すごい・・・!こんなことが本当に、一生徒たちの手によって学校が救われるなんて事が本当に起きるとは・・・!」
「ああ、夢みたいだけど夢じゃないんだぜ!?俺たち・・・いや、穂乃果たちはこんな夢みたいな事を本当にやってのけたんだ!!」
「そうか・・・、そうか・・・!」
志郎は今この場で起きた出来事を夢のように感じていたが、幸雄の言葉で本当に実現したことを確信し目に涙を浮かべながらそれに対する喜びを噛みしめた。
そして、皆が喜びに沸いているところにことりが歩いて来た。
「こっとりちゃ~~ん!!」
「わっ!え?え!?」
穂乃果はことりの姿を見るなり彼女に駆け寄って抱き着き、ことりはいきなり穂乃果に抱き着かれたことに戸惑っていた。
「ことり、これ!」
海未は戸惑っていることりに入学希望者の受付を知らせる紙を見せた。
「えっ、えっ!?」
「やった・・・。やったよ!学校続くんだって!私たち、やったんだよ!!」
あまりにも突然な出来事に立て続けに見舞われて戸惑いが収まらないことりに、穂乃果は自分たちのおかげで学校が救われたことを教えた。
「嘘・・・、じゃないんだ!」
「うん!!」
ことりの言葉に穂乃果は今にも涙が零れ出しそうで、それでいて晴れやかな笑顔で頷く。
「・・・ハラショー。」
その様子を見た絵里は感動したのか涙ぐんでいた。
(これが・・・、これが物事を成し遂げる喜びというものか・・・。ここまでの道のりは決して平坦なものではなく、数多の壁や試練が立ち塞がってきたが、それでも彼女たちは乗り越えてみせた・・・!諦めと絶望を踏破して、仲間と共に艱難辛苦を乗り越えた者たちにのみ与えられる、大名の子という彼女たちより恵まれた地位に、後世に名を残すほどの武勇を持って生を享けた俺でさえも手に入れられなかった、奇跡という名の至福が・・・!今間違いなく、穂乃果たちの手の中に確実に存在し、眩しく輝いている・・・!)
手を取り、体を抱き寄せ合って喜びを分かち合う穂乃果たちμ'sの姿を後ろから眺めていた志郎は眩しそうに目を細めて微笑んでいた。
「珍しいな志郎。いつもはお堅い表情をしているお前さんがそんなニヤニヤしてるなんてよ。」
それを見た幸雄は茶化すように志郎に声を掛ける。
「うるさい、俺だって笑うことくらいするさ。ただ、あいつらの喜ぶ姿があまりにも眩しくってな・・・。」
「眩しい・・・か。」
志郎が口にした単語を噛みしめるように呟いた幸雄はもう一度穂乃果たちの方を見た。
「ああ、そうだな。ほんとに眩しいや。」
そして『眩しい』という言葉の意味を察した幸雄はそう言って頷いた。
(今ここに『音ノ木坂学院の存続』という1つの目的は達成された。これから穂乃果たちが如何なる道を歩むのかは俺にはまだ分からないが、もう一度この輝きを見れるように彼女たちを守り、支え、盛り立てて行かねばな。)
志郎は心の中で新たな決意を刻み、
(確かに俺たちは目標の1つを完遂した。だがそれで今この時、水面下に潜んでいる問題が解決したわけじゃあない・・・。本当ならば俺たちは今予断を許されない立場に立ってるんだが、まあ
幸雄は表に出ることなく燻っている問題を憂いつつも、場の雰囲気を壊さずに穂乃果たちや志郎と共に喜びに身を委ねたのだった・・・。
「本当に!?」
「ええ!」
「嬉しい!やったやったぁ!!」
放課後、校門で絵里を待っていた妹の亜里沙に廃校が阻止されたことを絵里が亜里沙に伝えると、彼女は姉と同じ学校に通えることを無邪気に喜んだ。
「よかったね!」
「うん!来年からよろしくお願いします!!」
絵里と一緒にいた穂乃果に声を掛けられた亜里沙はそう言ってペコリとお辞儀をした。
「それには、まず入試で合格しないとダメね。」
絵里は亜里沙の頭に優しく手を置きながら亜里沙を優しくたしなめる。
「うん!政康さんも勉強教えてくれてるし頑張る!!」
「ん?政康!?まさかそいつ、北村政康って名前じゃないだろうな!?」
亜里沙の口から出てきた『政康』という名前に志郎は驚いて亜里沙にたずねた。
「うん、そうだよ?」
「あら、志郎の知り合い?」
亜里沙はきょとんとした様子で答え、絵里は志郎に知り合いなのかとたずねた。
「ああ。いやまあ、前の学校の知り合いさ。宿敵というか、盟友というか・・・、腐れ縁みたいなやつさ!まさかあいつが家庭教師の真似事とはな・・・。」
志郎はバツが悪そうに顔を引きつらせながらそう言った。
「政康さんは近くの図書館で週に一度勉強を教えてくれてるの!」
「それにしても志郎ってここに来る前はどこに通ってたのかしら?」
絵里が今まで抱いていた疑問を口にすると、
「え~っと確か・・・。」
「神峰橋高校だよ、穂乃果ちゃん。」
穂乃果とことりが答えた。
「ハラショー・・・!確か神峰橋ってここら辺じゃ結構頭のいい進学校よね?」
絵里は驚いた様子で志郎にそう言うも、
「いや、俺はその中でも中間層をフラフラしてたに過ぎない凡人だ。成績上位をキープしている政康の足元にも及ばんさ。」
と志郎は苦笑いした。
「あ~あ!うちの雪穂も受験するって言わないかなぁ~。」
絵里と亜里沙の様子を見た穂乃果はため息をついた。
「あ、この前話したらちょっと迷ってました。」
「ほんと!?」
亜里沙の言葉に穂乃果が目を輝かせた。
「話に水を差すようで悪いが次のライブはどうするんだ?」
「そうね、大急ぎでやる必要は無くなってしまったわね・・・。」
「そうだね・・・。」
志郎が持ち出した次のライブの予定について、絵里と穂乃果はそう答えた。
(ひょっとして、廃校が取りやめになったことで躍起になって生徒を集める必要が無くなったことで少し活力が抜けたか・・・?)
志郎は2人の様子を見て少しばかり違和感を感じた。
「あの・・・、私ちょっと買い物があるからここで・・・。」
そんな中ことりがそう言いだした。
「え?何買いに行くの?」
「ちょっと・・・。」
「付き合おうか?」
穂乃果は自分も付き添うかことりにたずねるが、
「ううん、大丈夫!・・・じゃあ!」
ことりはそんな穂乃果の事を半ば振り切る形でそのまま走り去っていった。
「なんか元気ないね、ことりちゃん。」
「希も気にしていたわ。学園祭の前だったかしら、何か悩んでるんじゃないかって・・・。」
ことりの様子が気になる絵里と穂乃果が彼女の様子がしばらく前からおかしかったことを話していた。
「そんなに前から・・・。志郎くんは何か知らない?」
「な、お、俺か!?俺は・・・。」
穂乃果にことりについてたずねられた志郎はここで話すべきか否か、少し葛藤していたが、
「すまん、俺も何を悩んでいるかまでは知らんのだ・・・。」
そう言ってしまった。
「そっか。」
そう言って穂乃果たちは歩き出した。
(果たしてこれでよかったのだろうか・・・。)
志郎は自分の採った選択が正しかったかどうかしばらく考え込んでいたが、彼がのちにこの自分が採った選択を悔いることになる事をこの時の志郎はまだ知る由もなかった。
そして、それからしばらく経った夕方。ことりは沈み切った表情で並木道を歩いていると、目の前に海未と幸雄が立っていた。
「で、結局どうするんだね?」
「遅らせれば遅らせるだけ、辛くなるだけですよ・・・。」
公園のベンチに海未とことりが座り、幸雄はその後ろに背を向けて寄りかかっている状態で海未と幸雄はことりにどうするかをたずねる。
「うん・・・。」
「もう決めたのでしょう?」
力なく返事をすることりに海未はそう言うが、
「うん、でも決める前に穂乃果ちゃんに相談できてたらなんて言ってくれたのかなって・・・。それを思うと上手く言えなくって・・・。」
と、穂乃果に言い出せなかったことに対する後悔とこれから伝えなくてはいけないことに対する罪悪感を口にした。
「なるほどな。海未の言う事は正論だし、ことりの言い分にも一理ある。だがなことりよぉ、過ぎたことのタラレバを口にしてももう時間は戻らねえんだ。辛いかもしれねえが覚悟を決めるんだな。」
幸雄は海未とことりの言葉に理解を示しつつも、ことりに冷たく決断を促す。
「でも・・・。」
「気が引けるのは俺だって痛いくらい分かるさ。だがな、そうも言ってられねえ事態に状況が傾きつつあるんだ。」
「それはどういう事なんですか?幸雄。」
「さっき志郎からメールで連絡が来たんだが、どうやら穂乃果も今さらながらことりが思い悩んでることにようやく気付き始めてるみたいだ。」
「穂乃果ちゃんが・・・。」
ことりはそれを聞いて表情をさらに曇らせる。
「いいか、言葉ってのはただでさえ重みがあるもんだ。しかもその重みは黙ってれば黙っていた分だけ重みを増す上に少しづつ真実が漏れ出す・・・。もしお前さんが更にあいつに打ち明けるのを遅れちまえば、穂乃果は予想もしない所からお前の話を聞きつけ大きなショックを受けることになる。だが、ここから早いうちにあいつに打ち明けちまえば多少の混乱は起きるだろうがショックは大きくなりすぎずに済むんだぜ・・・?どっちがいいかは馬鹿じゃねえお前さんなら分かるだろ?」
幸雄は予測し得る結果を例に出してことりに決断を促すも、
「うん・・・。」
それでもことりは煮え切らない様子であった。
「まあ、それを決めるのはお前さんだ。今日中に考えとくんだな。」
「うん、ごめんね・・・。」
幸雄はそう言って公園から出て行き、ことりは申し訳なさそうにそう言って彼を見送った。
(ちっ・・・。ことりの奴め、他人の事には人一倍敏感なくせに自分の事となると一気に鈍重になる。行動原理を全部全部『人のため』にしたがりやがる、俺が一番嫌いなタイプだ。自分の事を決められない奴が人様の事を想うなんざ50年早いっつうの。)
幸雄は夕陽に照らされた帰り道を歩きながら、なかなか煮え切らないことりに対する嫌悪感を心の中で吐き出した。
「それにしても、これが一気に爆発しなきゃいいんだがねえ・・・。」
誰に言い聞かせるわけでも無くそう呟いた幸雄は、茜色に染まる空にため息を吐いた。
―――9人の女神たちと2人の若き虎は、一つに団結して様々な試練を乗り越え、音ノ木坂学院の廃校を阻止するという偉業を成し遂げた。
―――しかし、その奇跡の影には学園祭前より不穏な火種が燻っていた。そしてその火種は幸雄の懸念通りに思わぬ形で、一気に燃えだすことになる。
いかがでしたでしょうか?
今回は音ノ木坂学院の廃校の阻止に成功したという事で、穂乃果たちは原作と変わらず、そして志郎にも盛大に喜んでもらいました。
そしてやたら不穏な最後の文からラブライブ!を知る読者様方はお分かりいただけると思いますが、次回は遂にあの事件が発生します。この物語の山場の1つなのでかなり気合入れて書きますので、是非ともお楽しみください・・・!
それでは次回もまたお楽しみください!!