ラブライブ! 若虎と女神たちの物語   作:截流

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どうも、截流です!

前話との間隔が少しずつ縮んできたぞ・・・!この調子で頑張らねば・・・!



それではどうぞお楽しみください!!


58話 救われた者の想い

志郎が穂乃果の家に向かって歩みを進めている頃・・・。

 

「おお~!雪穂、これってシュークリーム?」

 

「違うよ、あんこ。豆を煮たものだよ。」

 

「ハラショー。」

 

 穂乃果の家である『穂むら』の前で雪穂にもらった饅頭を不思議そうに見つめてる亜里沙に、雪穂があんこについて教えていた。そしてそのやり取りを、微笑ましそうに絵里が見守っていた。

 

「わざわざ送っていただいてありがとうございます。よかったら上がっていってください!お姉ちゃんも喜びます。」

 

「ありがとう、お言葉に甘えさせてもらうわ。」

 

 絵里は雪穂の厚意に応え、穂乃果の家に上がっていった。

 

 

 

「ごめんね。」

 

「いえいえ、お気になさらず。今お茶を―――」

 

「違うの。」

 

 絵里が穂乃果の部屋に入った後に穂乃果が絵里にお茶を淹れようとした時、絵里は彼女の言葉を遮った。

 

「え?」

 

「μ'sを活動休止にしようなんて言った事よ。」

 

 絵里は腰を下ろしながら話の本題を切り出す。

 

「本当は私にそんな事言う資格なんて無いのに、つい・・・。ごめんなさい。」

 

「ううん、そんな事ないよ。ていうか、私が辞めるって言ったから・・・。」

 

 絵里が頭を下げると穂乃果は絵里を宥めつつ、自分に非があった事を絵里に伝えた。

 

「・・・私ね、凄くしっかりしてて冷静に見えるだなんて言われるけど、本当は全然そんな事ないの。」

 

「絵里ちゃん・・・。」

 

「いつも迷って、困って、泣き出しそうで・・・。実際、希に恥ずかしいところを見られたこともあるのよ。でも隠してる・・・、自分の弱いところを。」

 

 絵里はかつてμ'sに入る前に、自分のやるべき事と自分のやりたい事の板挟みになってどうすればいいのか分からず、希の前で涙した時の事を思い出しながら自分の本当の姿を穂乃果に語った。

 

「私は穂乃果が羨ましい、素直に自分が思ってる気持ちをそのまま行動に起こせる姿が凄いなって。」

 

「そんなこと・・・。」

 

「・・・おいしい。」

 

 絵里は自分が穂乃果に対して抱いてる羨望を穂乃果に語った後、穂乃果に淹れてもらったお茶を飲んで一息ついた。

 

「ねぇ穂乃果、私には穂乃果に何を言ってあげたらいいか正直分からない。私たちでさえことりがいなくなってしまうことがショックなんだから、海未や穂乃果の気持ちを考えると辛くなる・・・。」

 

 実際の所、ことりの留学に関して絵里にできる事は何もなかった。この一連での全てを志郎と幸雄に委ねているという所もあるが、同じグループの仲間である以前に1人の人間として、穂乃果たちに比べて遥かにことりとの付き合いが短い彼女には言葉通り何も言う言葉が見つからなかったのだ。

 

「でもね、私は志郎と穂乃果に一番大切な物を教えてもらったの。」

 

「志郎くんから?」

 

 穂乃果が首を傾げてそうたずねると、絵里はゆっくり頷いた。

 

「ええ。志郎からは私は独りじゃないって言う事、そして穂乃果からは変わる事を恐れずに突き進む勇気をね。」

 

 絵里は志郎と穂乃果から教わった大切な事を語ると、湯呑みを置き、穂乃果の前に自分の右手を差し出した。

 

「私はあの時、志郎の言葉とあなたが差し伸べてくれた手に心を救われたのよ。」

 

「私の手が、絵里ちゃんを・・・。」

 

 穂乃果は自分の手を見て絵里の言葉を反芻するように呟いた。

 

「お姉ちゃ~ん。」

 

 するとそこに雪穂が部屋の扉をノックしてきた。

 

「どうしたの雪穂?」

 

「志郎さんが来たよ。今玄関で待ってるんだけど上がってもらっていいよね?」

 

 穂乃果が扉を開けると雪穂は志郎がやって来ていることを穂乃果に伝えた。

 

「志郎くんが?」

 

「うん、なんかお姉ちゃんに話したい事があるんだって。」

 

「なんだろう・・・?」

 

 雪穂の言葉を聞くと穂乃果は思案を巡らせ始めた。10日ほど前に喧嘩別れしてから志郎とは一度も言葉を交わしていない穂乃果には、志郎がどんな用件でわざわざ家に来たのかまったく見当が付かなかった。

 

「わかった、上がってもらって。」

 

 穂乃果が雪穂にそう言うと、

 

「じゃあ、私はそろそろお暇させてもらおうかしら。」

 

 と、絵里が腰を上げた。

 

「え?もうちょっとゆっくりしてっていいのに。」

 

「ええ、でも私が穂乃果に話したい事は十分に話したわ。それより、志郎とは2人っきりで話すべきだと思うの。」

 

 絵里は穂乃果の引き留めをやんわりと断りつつ、志郎の話が穂乃果にとって大切な事であると暗に仄めかした。

 

「2人っきりで・・・。」

 

「気まずいと思うけど、しっかりお互いの本音を話してちょうだいね。それと、お茶美味しかったわ。」

 

 絵里はそう言うと部屋から出て行った。

 

 

 

「・・・。」

 

 一方で志郎は穂乃果から許可を得た雪穂に家にあげてもらい、彼女に案内されて2階に続く階段を上っていた。その表情は緊張を帯び、険しかった。

 

「あれ、絵里さんもう帰るんですか?」

 

「ええ、穂乃果とは十分に話ができたから。」

 

 階段から降りてくる絵里と雪穂がそう言葉を交わした後、

 

(頑張ってね、志郎。)

 

 志郎とのすれ違いざまに絵里は彼の耳元で雪穂には聞こえないほどの小さな声でそう耳打ちし、そのまま歩き去って行った。

 

「ああ、行ってくる。」

 

 志郎は去って行く絵里を見送りながらそう呟くと、覚悟を決めて穂乃果の部屋へと足を進めた。

 

 

 

 

 

 

「はぁ・・・。」

 

 穂乃果の家を出た後、絵里はため息をつきながら歩いていた。

 

「どうしたのお姉ちゃん?」

 

 そんな彼女の様子を不思議に思った亜里沙がどうしたのかたずねた。

 

「ううん、何でもないわ。」

 

 絵里は慌てて笑顔を作りながら亜里沙に返事をした。

 

 

―――分かってんだろ?お前さんの恋は報われない可能性の方が大きいって事くらい。

 

 

 

(ええ、分かっているわ。自分の思いが報われないかもしれないって事くらい。幸雄ならきっと、穂乃果に励ましの言葉を送ったところとか、志郎が穂乃果と仲直りできるように私が応援しているのを見たらきっと『本当にそれでいいのか?』って聞いて来ると思う。でも、私は志郎には笑顔でいて欲しいの。それがたとえ、穂乃果に向けられるものだとしても・・・。)

 

 

 亜里沙の言葉に応えた瞬間、脳裏を走った幸雄の言葉を振り払うかのように絵里は自分の意思を固めるように心の中で呟いた。

 

「・・・それに、勝負するならやっぱりフェアじゃないとね。」

 

 絵里は沈みゆく夕陽を見上げながらひとりごちると、そのまま亜里沙とゆっくり家に向かって歩いて行った。




いかがでしたでしょうか?


今回は展開の都合上かなり短くなりました!ほとんどアニメのまんまだけど何とか少しオリジナル要素を詰める事ができました!

次回はいよいよしばらくぶりの志郎と穂乃果の対面と対話、果たして二人は仲直りできるのか!?次回をお楽しみに!!感想待ってます!!



それでは次回もまたお楽しみください!!
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