ラブライブ! 若虎と女神たちの物語   作:截流

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どうも、左京大夫です!

今回はことりちゃんの誕生日記念の番外編です!タイトルから察することが出来る方も多いと思いますが今回の主役は幸雄とことりちゃんです!!

余談ですが六文銭を現代のお金に換算するとだいたい600円になるらしいですね。

ことりちゃん、お誕生日おめでとう!!

そして通算UA7000突破しました!ありがとうございます!!



※番外編の時系列は本編の進行状況とは関係ありません。


それではどうぞお楽しみください!


番外編 ことりのおやつは六文銭

夏の残暑が少しずつ鳴りを潜めつつ、夏の終わりから秋の始まりへと移り始めていた東京にある神田明神の階段の下で、武藤幸雄は誰かを待っていた。

 

「そろそろ来る頃かね・・・。」

 

幸雄が腕時計を見ながらそう呟き、腕時計の針が10時を指した瞬間、

 

「幸雄く~ん!」

 

とことりが手を振りながら幸雄のもとに向かって走ってきた。

 

「ごめんね、なかなか服が決まらなくって・・・。待たせちゃったかな?」

 

と少し息を切らしながら申し訳なさそうに言うことりに、

 

「いや、俺もついさっき来たばかりだから気にしてねえよ。別に息を切らすほど急いで来なくてもよかったんじゃねえの?」

 

と幸雄は特に気にする素振りを見せずに言うと、

 

「私が気にするの!」

 

とことりは頬を膨らませた。

 

「はは、そうかい。そいつは悪かったな。ほんじゃ行くとしますか。」

 

「うん!」

 

二人はそう言うと一緒に歩きだしていった。

 

 

 

さて、これを見る限りこれを読んでいる読者の皆様方は「これってどう見てもデートじゃね!?」とか「いつの間に幸雄とことりが付き合い始めたんだ!?」と、驚かれるはず。確かに本編を見る限り、そんなフラグはどこにも建って無いしそもそもこの作品自体始まって以来、まったくと言っていいほど恋愛描写が見受けられないので、そう思われるのも無理がない話である。

 

ではどうしてこんな状況になっているのか。それは音ノ木坂学院の学園祭で起きた、ある騒動がきっかけとなって起きたある事件の後のこと・・・。

 

 

 

 

 

「なるほど、そういう事があったというわけか・・・。」

 

「ああ。嘘偽りのない100%事実の話さ。」

 

幸雄は志郎にその事件での自らがどのように暗躍していたのかを報告していた。

 

「お前がそういうのなら本当なんだろうな。全く、切羽詰まった状況で手段を選んでる暇は無いと言った俺にも責任が無いわけじゃないが、本当に思い切ったことをしてくれたものだな。」

 

「・・・こうでもしないとあいつの真意を引き出せないと思ってやった。今は反省してる。」

 

幸雄は志郎に土下座した。

 

「土下座はせんでもいい。今回はそれでいい方向に動いてくれたからいいものの、下手をすればもっとキツい結末になっていたのかもしれないという事を理解してくれていればそれで十分だ。とにかくよくやってくれた、ありがとう。」

 

そう言われて顔を上げた幸雄の頬は赤く腫れていた。

 

「よし、反省会も終わったことだしことりのとこ行くぞ!実はことりに話があるという事で屋上に呼び出したんだ!」

 

「は?なんで?」

 

志郎の唐突な提案に幸雄は素っ頓狂な声で聞き返した。

 

「男ならば自分のやったことにけじめをつけるのは当たり前のことだろう。お前もけじめをつけに行くんだよ!」

 

志郎はそう言って幸雄の手を引いて歩き始めた。

 

「ちょっと待て志郎!いや勝頼さま!!話聞いてました!?一応謝ったけど顔合わせ辛いんですってば!」

 

幸雄は懸命に抵抗するが、腕力で幸雄に勝る志郎の前ではただただ引きずられていくことしかできなかった。

 

 

 

「というわけでうちの昌幸・・・じゃなくて幸雄がとんでもないことをしてしまって、本当に申し訳ない!!」

 

屋上にやって来たことりに志郎は腰をきっかり90度に曲げているのかと思うほどきっちりとしたお辞儀でことりに謝罪していた。

 

「なんでお前が謝罪してんだよ・・・。」

 

「だったらお前も頭を下げろ幸雄ォ!!」

 

志郎は幸雄の頭を掴んで力ずくで下げさせた。

 

「別に気にしなくてもいいよぉ!幸雄くんもその後謝ってくれたし・・・。」

 

ことりはそう言って志郎たちに頭を上げさせようとした。

 

「いや!そもそも今回の一件はお前たちを上手く支えられなかった俺たちの落ち度でもある!!だから一度こうして謝らなければ気が済まないのだ!それに幸雄もμ'sを再び繋げるためとはいえことりに不快な思いをさせてしまい、それでお前に合わせる顔がないと言っておったのだ!!」

 

「そうなの幸雄くん?」

 

志郎の言葉を聞いたことりは幸雄に本当なのかたずねた。

 

「おい志郎!それ本人の前で言うか普通!?まあ、事実なんだけどよ・・・。」

 

幸雄は志郎に抗議した後、ことりの問いにばつの悪そうな表情で答えた。

 

「と、いうわけで俺と幸雄から謝罪の意を込めてお前にこれを授けようと思う。」

 

そう言って志郎は制服のポケットから一枚の紙を出してことりに渡した。

 

「え~っと、『武藤幸雄一日絶対服従券』・・・?」

 

ことりは紙に書かれていた文字を読んだ。

 

「はあ!?なんだそりゃ!!」

 

「書いてある通りだ。これを使えば一日だけ幸雄を好きにできるのだ。」

 

「ふざけんな!いくら志郎でもそんな横暴・・・うっ!」

 

幸雄はことりから券を取り上げようと、紙を掴んだがそこに書かれてるあるものを見て動きを止めた。

 

「どうしたの幸雄くん?」

 

「志郎め・・・。まさかこんなとこでお前の花押(サイン)を拝むことになろうとはな・・・。」

 

「花押?」

 

「ああ、サインのことだよ。そこに書いてあるのがそうだ。」

 

ことりが志郎に指差された場所を見てみると、確かに志郎が書いたものと思わしき筆ペンの文字があった。

 

「これが志郎くんのサインなの?」

 

「まあ、そんなものだ。かつて俺の家臣だった幸雄ならばその花押が入った書状を無視することは出来まいと思って書いておいたのだ。」

 

「くそっ!こうなりゃ野となれ山となれだ!なんでもことりの言うことを聞いてやろうじゃねえか!!」

 

と幸雄がやけくそ気味に言うと、

 

「う~ん・・・、じゃあ・・・。ことりと一日デートしてくれませんか?」

 

とことりはしばらく唸って考えてから幸雄へのお願いを言った。

 

「おう、その程度ならお安い御用・・・ってはああ!?」

 

幸雄はその言葉に驚愕して、

 

「ははは!それはいいな!!そう言えば今週末は練習が休みだから思う存分満喫してくるといい!」

 

と笑いながら言った。

 

 

 

 

 

(んで結局断ろうとしたらあいつの『お願い攻撃』をもろに喰らって承諾しちまって今に至るんだよなあ。)

 

幸雄はことりと歩きながら事の発端を思い出していた。

 

(しかしこうして改めてじっくり見てみるとなかなかの美人だよなあ・・・。)

 

幸雄は隣で歩いてることりを横目に見ながらそう考えていた。彼は『信玄の両目』と呼ばれ重用されるほど優れた観察眼を持っており、暇さえあれば周りの人を観察してその人物像を分析する癖を持っていた。現代に生まれ変わり、音ノ木坂学院に入ってからはその観察眼のおかげで自分の容姿に自信を持てなかった凛の背中を押したという隠れた功績も残している。

 

「ねえ幸雄くん。」

 

「うお!?な、なんだことり?」

 

幸雄はことりに見ていたのを気づかれたのかと思い、動揺で声を上ずらせながら返事をした。

 

「今日はいっぱい楽しもうね♡」

 

「お、おう・・・。そうだな。」

 

幸雄は見ていたことに対する糾弾じゃなかったことに安心しながら返事をした。

 

「そういえばこれからどこに行くんだ?俺こういうの初めてだし申し訳ない話、何も考えてなかったんだが・・・。」

 

「この近くにショッピングモールがあるでしょ?今日はそこに行くんだ!」

 

「ああ、あそこか・・・。」

 

「だから今日はそこでお買い物とかいろんなことをして楽しもうと思うんだ!」

 

「そうか、そいつは楽しみだな。」

 

そうして幸雄とことりはショッピングモールに向かって歩いていった。

 

 

 

 

 

ショッピングモールに着いた二人が最初に向かったのは洋服屋だったもちろん女性服の店である。

 

「なあ、俺ってここに居てていいんすかね・・・。」

 

女性服の店に入る幸雄は周りを気にしながらことりに言うが、

 

「大丈夫だよ、それに幸雄くんにお洋服の試着とか見て欲しいから!」

 

とことりは洋服を選びながら答えた。

 

(マジかよ・・・。都会人のデートってレベル高えな・・・。)

 

幸雄はことりの言葉に驚きを隠せなかった。

 

「あ、幸雄くん。こっちとこっちの服、どっちがいいかな?」

 

ことりが二つの洋服を幸雄に見せてどっちがいいかを尋ねた。

 

「ん?どっちがいいか、ねえ・・・。」

 

幸雄はことりが持っている服を品定めするように見比べる。

 

「こっちの色の薄いワンピースがいいんでね?なんというか派手な色より薄めの色の方がお前さんには似合ってると思うぜ。」

 

そう言って幸雄はことりが左手に持っていたワンピースを指差した。

 

「じゃあちょっと試着するからついて来て!」

 

「は!?え!?」

 

ことりは幸雄の手を引いて試着室に向かった。

 

 

(しかしとんでもねえことになったもんだなあ。この後ろの試着室のカーテン一枚の先でことりが着替えてると思うと・・・。いかんいかん!煩悩を鎮めろ真田安房守昌幸・・・。カーテンが閉まってるとはいえ後ろを向くんじゃねえぞ・・・!)

 

ことりが着替えてる間、幸雄は煩悩と戦っていた。

 

「幸雄くん、着替え終わったよ~!」

 

「お、おう・・・。」

 

カーテンが開く音がしたと同時にことりの声がしたので幸雄が振り向くと、

 

「ど、どうかな幸雄くん。似合ってる?」

 

淡い緑色のワンピースを着たことりが立っていた。

 

「おお、なかなか似合ってるな!やはり俺の目に狂いは無かったな。」

 

幸雄はうんうんと頷きながらことりと自分の観察眼を褒めた。

 

「本当?じゃあ今日はこの服で過ごそうかなあ・・・♡」

 

ことりはそう言ってその服を着たまま買った。

 

 

 

「幸雄くんは何か欲しいものとかないの?」

 

ことりは歩きながら幸雄に声を掛けた。

 

「俺か?特にねえなあ。俺たちゃお前さんたちとは違ってファッションとかにも疎いしな。」

 

幸雄は自嘲するように言った。

 

「幸雄くんも志郎くんもかっこいいんだからもう少しおしゃれすればいいのに・・・。あ!」

 

と幸雄の言葉を聞いたことりはそう言うと同時にふと立ち止まった。

 

「ん?お、おい!どうしたってんだよ!?」

 

立ち止まったかと思えば急に走り出したことりを志郎は追った。少し走ってたどり着いたのはメンズファッションの店だった。

 

「ここは・・・、男もんの服の店か?」

 

幸雄はことりがそこに入っていった意図が読めず呆然としていたが、

 

「えいっ♪」

 

ということりの声と共に急に視界が暗くなり、

 

「うおわ!?」

 

幸雄は突然の出来事に戸惑った

 

「何しやがる!ってこいつは・・・。」

 

頭に手をやってみると、幸雄の手には黒い中折れ帽があった。

 

「えへへ・・・。前に来た時に幸雄くんに似合うかもって思ってたんだ。本当は誕生日のプレゼントにしようかと思ったんだけど、幸雄くんに服を選んでもらったお礼♪」

 

ことりは舌を出していたずらっぽく微笑みながら言った。

 

「・・・ははっ。こいつはしてやられたな!ほんじゃこいつは、大切にさせてもらうと致しましょうかねえ。」

 

幸雄は照れ隠しをするように帽子を深く被って言った。

 

「おっとすまん。少し催したんでお花摘みに行ってくるわ・・・。」

 

「うん、じゃああそこの椅子に座って待ってるね。」

 

ことりはそう言って幸雄を見送り、幸雄は苦笑いしながらトイレへ走っていった。

 

 

 

 

 

 

そして数分後、

 

(やれやれ、なんでこういう時に限って『大』が開いてねえんだよ・・・。俺としたことがたかだかお花摘み如きで人を、しかも女子を待たせるなんて不覚を取っちまったぜ。)

 

幸雄は心の中で愚痴りながらことりのもとへ走っていた。

 

「わりいわりい!待たせちまっ・・・って、んん!?」

 

ことりを見つけたので声を掛けようとしたが幸雄は急に立ち止まった。

 

 

「ねえねえ。君、μ'sの南ことりちゃんだよね?」

 

「は、はい。そうですけど・・・。」

 

「今一人だよね?よかったら俺と一緒に遊びに行かない?」

 

ことりが少しチャラそうな男にナンパされているのが見えた。

 

(な~んかこういう場面、前にも遭遇したような・・・。まあ、あいつらに比べて見た目はまともそうなのが余計にタチが悪そうだな。さて、どうしたもんかねえ・・・。)

 

幸雄はその様子を見て彼女を助ける策を練っていた。

 

 

「あの、ごめんなさい!私いま、友達を待ってるんです!」

 

ことりは懸命に断ろうとするが、

 

「あ、そうなの?だったら用事が出来たとか言って帰る振りをすればいいじゃない!」

 

男はことりの言葉に聞く耳を持たず、そのまま連れていこうとするが、

 

 

「おお~っとそこの色男の旦那!無理やりナンパってのはいただけませんなあ!」

 

幸雄が仰々しくおどけながら二人の間に入った。

 

「な、なんだよ君は!」

 

男はせっかくのところに水を差されて不快感を露わにするが、

 

「いやいや、俺はただの通りすがりのお調子者さ!ただ目の前で面白そうなことがあるもんで首を突っ込んでみようと思っただけのね!」

 

と幸雄は男の怒りを軽く受け流してみせる。

 

「幸雄くん・・・!」

 

とことりが言おうとするも、

 

「まあ、俺はナンパが悪いことだとは微塵にも思ってないしやりたければ好き勝手にやってろって話なんだが、やるならやるにしても・・・。」

 

幸雄は彼女の言葉を自慢の軽妙な話術で遮った。ことりはそんな幸雄の様子を不思議に思っていたが、足元に転がってきた小さく丸められた紙を拾った。

 

『すまん。ここは他人の振りをしててくれ。』

 

と書かれていた紙を見て幸雄が何を言おうとしているのかを察した。

 

「・・・そんなわけで嫌がる女の子に無理やり迫るのは人として如何なものかって思うし、せっかくの色男(笑)が台無しだと俺は思うわけなんだが、あんたはどう思うね?」

 

幸雄が皮肉気に笑いながら男に言葉を投げかける。

 

「さっきから何なんだよ一体!無関係なら関わってくるなよ!!」

 

男は散々幸雄に煽られた怒りから手を上げるも、幸雄に腕を掴まれた。

 

「ぐっ!離せ・・・!離せよ!!」

 

男は悪あがきで腕を引っ張って拘束から抜けようとしたり、自由な方の腕を振り回して幸雄を振り払おうとするが、志郎に数段劣るとはいえ、元戦国武将として腕力がそれなりにある幸雄はどこ吹く風といった様子だった。

 

だが、頭にかぶっていたことりに選んでもらった帽子がはたき落とされた瞬間、幸雄は掴んでいた男の腕を急に引き寄せ、

 

「失 せ ろ!!」

 

とドスの効いた小声で一喝し、至近距離の真正面から男を睨み付けた。幸雄の垂れ目の三白眼が鷹の目のように鋭い眼光で男の目を射抜く。その歴戦の威圧感を漂わせる眼力は一瞬で人の戦意を完全に削ぎ落すには効果抜群であった。

 

「ちっ・・・!」

 

幸雄の炯眼に恐れをなした男はそそくさと逃げ出した。

 

「幸雄くん、ありがとう・・・ってきゃっ!?幸雄くんどうしたの?」

 

「なあに、今ので少し目立っちまったからこちらもスタコラサッサと退散するのさ!」

 

幸雄はそう言ってことりの手を引いて走り出した。

 

 

 

 

 

 

幸雄とことりがデパートから走り去ってしばらく経ち、二人はとある公園で休憩していた。

 

「はあ、はあ・・・。すまんなことり、いきなり走らせちまって・・・。」

 

「ううん。幸雄くんは私を助けるためにこうしてくれたんでしょ?それなら別に平気だよ。それに・・・。」

 

「それに?」

 

「走ってるときに幸雄くん、私の手を握ってくれてたでしょ?だから本当にデートしてるみたいに思って面白かったよ。」

 

「手?」

 

幸雄はことりの言葉を聞いて自分の手を見た。するとみるみる幸雄の顔が赤くなり、

 

「うおおおおおおお!??夢中になってたとはいえ、女子の手をガッツリ握ってしまったあああああ!!!うおおおおお顔が恥ずかしさで燃えること火の如しいいいい!!!」

 

などと叫びながら悶え始めた。

 

「あはは・・・。幸雄くんってば普段はみんなのことをからかってたりするけど、自分のことになると結構照れ屋さんなんだね。」

 

そんな幸雄の様子を見てことりは笑った。

 

「う、うるせえ!大人をからかうんじゃねえよ!」

 

「幸雄くん中身は大人でも見た目は私たちと同じ高校生でしょ?」

 

「うぐっ!確かにそうだ・・・!」

 

幸雄は苦し紛れの反論をあっさりとことりに論破され、ぐうの音も出せなかった。

 

「全く・・・、お前さんあの日からなんかどんどん強かになってきてねぇか?」

 

「ううん、私は別に特に変わった事なんてないよ?」

 

ことりはキョトンとした表情で首を傾げながら言う。

 

(まったく、このお嬢さんってばいつも俺の予想を斜め上に飛び越えた事をしてくれるねぇ・・・。いや、ことりに限らずμ’sの面々はだいたいみんなそんなもんか・・・。)

 

幸雄は帽子で顔を覆いながら小声で呟いてから、

 

「さあ~て!そんな南ことりさんのためにこの真田安房守昌幸・・・、否!武藤幸雄が隠し芸をおひとつ披露し仕って(そうろう)!!」

 

と言って帽子を天高く掲げた。

 

「この手に持ちたるはことりに選んでもらった小粋な帽子が一つ!もちろん中には種も仕掛けもござらん!あ、もちろん俺の手にも仕掛けは無いぜ?」

 

幸雄はおどけながらことりに帽子の中を見せてから、手や腕にも仕掛けが無いことを示した。

 

「何もないと分かったところで、この帽子から取り出したるはなんでしょうか!?」

 

「鳩さんかうさぎさん?」

 

「いいや。」

 

「花かな?」

 

と幸雄はことりと問答をしながら帽子の中を掻きまわす。

 

「この帽子から取り出すは・・・お嬢さんを飾る綺羅飾りでござ~い!!」

 

と言って幸雄は帽子の中からペンダントを取り出し、ことりの手に優しく手渡した。

 

「うわあぁ~・・・!かわいい~!」

 

ペンダントには花の形をした飾りがついていた。

 

「その花はクレマチス、お前の誕生花で花言葉は美しい心だそうだ。なかなか見つからなくて苦労したんだぜ?」

 

幸雄はいつもの雰囲気に戻って頬を掻きながらそう言った。

 

「え?誕生花って・・・あ!」

 

「お前さん、どうやら忘れてたみたいだな。今日が自分の誕生日だってことを!」

 

「だって~、ここ最近いろいろ大変だったから・・・。」

 

「まあ、無理もない話だわな。」

 

「でもありがとう幸雄くん。このペンダント、大事にするね!」

 

ことりは屈託のない笑顔で幸雄に礼を言う。

 

(素面じゃあ照れくさくて渡せねえからわざわざあんな道化師みたいな演技をして渡したってのに、素面に戻った後にそいつは反則じゃねえか!!)

 

幸雄は片手で赤くなった顔を覆った。

 

 

ヴー!ヴー!

 

 

「あ?なんだこんな時に。」

 

急に幸雄のスマホのバイブが鳴りだしたので取り出してみると、志郎から電話が来ていた。

 

「なんだ志郎?」

 

『よ、幸雄。上手く行ってるか?』

 

「上手く行くも何も色々ありすぎて疲れてるよ俺は。」

 

『そうか、だが疲れてはいられないぞ幸雄!こっちも準備が出来たからな!』

 

「は?準備?なんの?」

 

『それはだな、ゴニョゴニョ・・・。』

 

「はああ!?お前!そんな事一言もってオイ!」

 

志郎からの電話が切れた。

 

「どうしたの幸雄くん?志郎くんからみたいだったけど。」

 

「ハッ!どうやら俺は時間稼ぎの囮だったらしい!」

 

「?」

 

幸雄の言葉の意味が理解できず、ことりは首を傾げた。

 

「その『絶対服従券』には仕掛けがあるんだとよ。ほれ、この表面のところ少しペラってなってるだろ?めくってみな。」

 

「え?こうかな。」

 

ことりは幸雄に促されるままに『武藤幸雄一日絶対服従券』の表面をめくってみると、その下から『南ことり誕生日会招待状』という文字が出てきた。

 

「これって・・・!」

 

「俺も今志郎に種明かしされるまで知らなかったぜ。どうやら俺がお前さんと出かけてる間に志郎が穂乃果たちを招集してパーティーの準備をしていたらしいぜ、お前さんの家でな。」

 

「私の家で!?」

 

「ああ、理事長のお墨付きだそーだ。全く、志郎のくせに俺を(たばか)るとはやってくれたもんだぜ。」

 

「そうだったんだ・・・!」

 

「さ、これ以上はお客たちが待ちくたびれちまうから、早く主役の顔を見せてやろうぜ!」

 

「うん!」

 

そう言って幸雄とことりは走り出した。この時、また二人の手は握られていたのだが、それを志郎や穂乃果たちに指摘されて幸雄の顔が赤備えの鎧のように真っ赤になったというのは別の話である。




いかがでしたでしょうか?

今回のお話はラブライブ!アニメ一期終盤に起きた『あの騒動』の後日談に近い形となりました。筆が遅いくせに先の展開ばかり思いつくこの悪癖を何とかしたい・・・。


今回は今までになかった要素(主にデート)を入れてみましたがどうだったでしょうか?この番外編を書くのにファッションについてとかの知識が薄い作者はグーグル先生とにらめっこしながら執筆してましたw(ことりちゃんの洋服に関してはスクフェスの『初期編』のSRことりちゃんを参考にしました)

あと、幸雄に関しても分かる人は分かると思いますが、某戦国バカゲー最新作に出演した真田昌幸を参考にしました。プレイ動画を粗方見てみるとあの人結構いいキャラしてるからこれは使わざるを得まい!と思いました次第でございます。


ハーメルンにあるラブライブ!の二次小説を読んでると恋愛要素がある小説が大半を占めていますが、改めてそういう描写が出来る方々の実力を思い知らされた感がありますね。この物語に恋愛要素を入れるつもりは今のところはありませんし、それをやるための伏線も全く仕込んでありませんが、読者の皆様からの要望があれば、方針が少しだけ変わるかもしれませんねw


意見や感想があればどしどし書いてくださると嬉しいです!



それでは次回もまたお楽しみください!!
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