ウルトラマンヒーロー   作:ホルンでごぜーます

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今回の話はシリアス多めで一部の方に不快な気持をさせるかもしれません、
苦手だったりする方は無理してよむことはありません

では本編をどうぞ


少年はウルトラマン1-負思念体ニセウルトラマンヒーロー登場-

至って普通の家庭の小学生の男の子が、自分の部屋で、まるでウルトラマンヒーローのように、

レッドパワー・シュートの構えを取ったり、何かから身を守るように、目の前に見えない何かを張る

「やー!!やー!!」

それは子供では至って普通の遊びだった、好きなヒーローものの番組のまねごとというのは、

少年だけでなく、大人も、夢を見られるものだ

少年の部屋が突然開けられ、少年の母親が扉から顔を出し、少年を叱った

「光(ひかる)!!もう遅いから寝なさいって言ったじゃない!!」

時計は少年の部屋でも確認することができる、間違いがなければ、現在の時刻はもうすぐで22時になるところだ

「ごめんなさい……」

「全く……これで朝はちゃんと起きるんだから……」

母親は困った顔をしながら扉を閉める前にもう一度寝ることを言い、自分の寝室へ戻った

 

少年は部屋の電気を消し、

自分のベットの枕側の物置に置いてある紙粘土製の人形を手に取り、ベットに寝転んだ

「お休み、ウルトラマン」

その人形はヒーローに似ていた

 

 

 

 

 

 

朝、6時30分……一般的に早起きとされる子供の中では早すぎはしないが早い時間である

自分の親より早く起きていた少年、光はコップに牛乳を注ぎ、テレビのニュースを見ていた

平日のこの時間であれば、ニュースではなく、

子供用の番組も数多く放送されているが、光が見るのは決まってニュースだ

もちろん、光がいつもこうであったわけではない

光はウルトラマンヒーローが現れてからのウルトラマンが好きな少年だ

だからこそ、ウルトラマンが出現した場合、情報の早い朝のニュースを見るため早起きをし始めた

わざわざヒーローが出るニュースを録画し、何回も見直すほどだ

 

テレビでは丁度、ヒーローのことについてニュースが取り上げられていた

『昨日の正午に現れた怪獣、ディノゾールが同じく現れたウルトラマンとGUYSの活躍により、

撃退されたニュースの続報です。

入ってきた情報によりますと、確認されている被害は建物が数棟以外に軽傷者16名、

重傷者3名、行方不明者0人という……いやぁ、これはどう思いますか怪獣研究家の近藤さん』

『いやぁ、私もここまで被害が小さいのはもう奇跡というしかないね。

前にディノゾールが地球に来た時は被害はもっと大きかったからね、

ディノゾールを誘導したGUYSも被害が出ないように戦ったウルトラマンもそうだけど、

なにより避難を素早く行えた人たちの努力もこの数字に表れていると思うよ』

『私もそう思います、その映像が届いているようです……こちらです……映ってますか?』

テレビには映像に対する注意文がテロップで出され、避難する人々が映されていた

 

しかし、光は画面の大部分を占める、逃げる人々ではなく、小さく写っているヒーローを見つめていた

人々を守るため、劣勢な状況でも戦うヒーローが光の好きなヒーローだ

その後、光の父親、母親がリビングへ入り、母親は朝食を、父親はいつもの言葉を口にした

「光は本当にニュース……違うな、ウルトラマンが好きだな。

アニメとかは見ないのか?ほら……最近流行ってる……」

「ウルトラマンはかっこいいよ?手から光線出るし!!」

「あぁ、うん、好きならいいんだ」

父親はまた長くなる話だと察し、話を切った

丁度、朝食を乗せたプレートを持った母親がテーブルに着いた頃だ

 

「いただきます」

『いただきます』

父親のいただきますに合わせ、光と母親もいただきますを言った

「ひとつ、はらぺこのまま学校にいかないこと!!」

光は加えて、そう言い、トーストを食べ始めた

両親はそれに対して苦笑い浮かべたが、自分たちの息子がすくすくと育っているならと、

何も心配せず食事を始めた

 

 

 

 

 

 

少年が隠し続けている感情に気付かず

 

 

 

 

 

 

少年は昼休み、クラスのいじめっ子らに殴られていた

彼らの口ぐちからは、ウルトラマンパンチやウルトラマンキックと適当に名前を付けた暴力が光を襲う

いつからこうなったのか、それは光にもわからない

いつの間にか自分がウルトラマンが好きだとクラス中に知れ渡っており、それが原因か、

ウルトラマンが好きなんだろ?とリーダー格の少年が始めたことだ

光は教室でウルトラマンの話題を出したことはない

どちらかといえば他の子達の方が話していた

それなのに、自分だけがいじめの対象に選ばれていた

 

先生にも相談し、相談室にも相談に行き、結局は親に連絡はされず、生徒間の謝罪だけで終わっている

それも3日もすればまたいじめが始まる

ただ、少年は家族には言わなかった、余計な迷惑をかけると思い、いじめられて泣いていても、

家に帰るまでには涙を止めた

家は光の唯一の安心できる場所だった

誰にもいじめられない、ウルトラマンが観れる、ただそれだけだが、光の心にはそれだけでも充分だった

 

 

 

 

 

 

今日もいじめられて帰ってきた光

その体にはクラスで育てている畑の土が所々ついていて払い切れていなかった

光の頭の中は、畑へ蹴りいれられた様子を遠くから見ていた生徒たちの悲しそうな困った顔でいっぱいだった

なんで助けてくれないんだろう……そう思った

鍵を開け、家に入る

「ただいまー!!」

光は笑顔で家に帰った、さっそくテレビをつけ、録画したニュースを見ようとするが

「お帰り……光!!テレビ見る前にお風呂入ってきなさい!!」

「ええー、観た後はいるよ」

「床が汚れてるでしょ!!入ってきなさい」

「はーい」

光の表情は笑顔だった

 

 

 

 

 

 

夜、光はベッドに寝転がり、考えていた

なんでウルトラマンは僕を助けてくれないんだろう、と

 

 

 

 

 

 

 

時間は少し戻り、朝のGUYS基地では、橘が護にあることを言った

「護、お前は1週間の謹慎だ」

「……え?」

「聞こえなかったか?謹慎だ」

「いえ、聞こえてます……えっと1週間ですか?」

「少ないと思うか?」

「正直、もっと重くなると思ってました」

「あぁ、私もそう思っていたよ……!!」

そういう橘の手にはくしゃくしゃになったシリアルの袋が握られていた

橘は笑顔のままいった

「今回の行動が偶然とはいえ、被害を最小に抑え、人々から評価されている、ので!!

その行動をGUYSが評価しないわけにもいかない……

しかし!!命令違反の行為であることを考え、日野護を一週間の謹慎処分にする……ということだ

護君……君はどう思うかね」

「えっと……ラッキー?」

「君は私の処分を聞いてもそう言えるのかね?」

橘は自分の机に置いてある紙飛行機を護の頭に投げた

護はそれを広げると、一気に顔色を悪くさせた

『橘薫 給料を今後3分の1に減給』

その一文だけが書かれた紙だった

「今後だよ今後……!!これからどうやってシリアル食べればいいのかなぁ?」

橘は笑顔のまま涙を流していた

それを遠巻きに見ていた他のクルーたちが話していた

「生活じゃなくてシリアルの方を心配するんだ……」

「生活は大丈夫でしょ、ここに住んでるんだから」

「でもシリアルってそんなにおいしいんですか?」

「いや、そんなにおいしくはねぇよ」

「子供でも食べやすいし、朝は手軽だよ」

 

「本当に申し訳ありませんでした……」

護は橘に頭を下げてそう言うが、橘はまるで滝のような量の涙を流し始めた

「本当にそう思うか……?」

涙は床に溜まり始め、どんどん床が涙で浸食されていった

「ちょ、多いおおいおおい!!」

「おおいと驚きを掛けてる?」

「男子共!!ふざけてる場合じゃないって!!」

「うわ!!靴下にしみ込んできた」

「あんなに涙を出せるんだ……」

 

「ごめんなさい!!何でもしますから泣きやんでください!!あったかッ!!」

護は必死に謝るが、橘の涙はより一層流れる量を増やし始めた

「なんでもする……?」

 

「ちょっと……!!これまずいんじゃないの!?愛!!扉開けて!!」

「ちょーっと、遅かったかな……」

愛が自動ドアのパネルを操作してるが、すでに扉はただの鉄壁になってしまったようだ

涙はすでに膝までその水位を上げてきていた

「あ、これもう駄目だね」

「お父さん、俺、涙が原因で朝刊に載るってなんかかっこいい気がしてきた」

「何バカなこと言ってんの」

「あ、そういえば坂牧さんがいません」

ヒロはメモリーディスプレイで坂牧を呼び出した

「坂牧さん、指令室の扉が開かなくなっちゃったんですけど、そっちからなんとかできますか?

……え?迷子?迷子ってなんですか?」

 

もはや指令室はいろんなことで混乱していた

 

「焼肉……」

橘は唾液ではなく、口から涙を流しながら、なぜかはっきり聞こえる声でそういった

「え?」

「高級焼肉奢ってくれたら許さないでもない」

「すみません、ちょっと焼肉は……」

「…………」

橘の顔がまるで真実の口のような顔に変わり、その口から勢いよく飛び出した水は護の顔に直撃した

 

 

 

 

 

 

「指令室はこっち?」

白状で床を確かめながら歩く坂牧、心は見えても、無機物だらけの基地内を歩くのは不得意な彼女だ

しばらく歩くとクルーの心が見えた、しかし、少しだけ様子がおかしいと坂牧は感じた

「?……なんでみなさん浮いてるんでしょう?」

坂牧が扉の前に立っても扉が開かないことに少し違和感を覚え、外側からパネルをタッチすると、扉が開いた

 

 

 

 

 

 

大量の涙と一緒に

 

 

 

 

 

涙の波は廊下を伝い、水位を下げていった

しかし、いまだに涙を流し続けている橘に、護は息切れ混じりに言った

「焼きに……!!焼肉なら行きますから!!もう勘弁……!!」

橘は真実の口の顔をしながら、無機質な動きで、パネルをタッチしたまま固まっている坂牧の手を見た

「坂牧君……!!その手に持っているものは……!!」

「えっと……一応、隊長のですけど……」

橘の顔は今度はお天道さまのようになり、あたりの涙が消えていく

「あっつい!!なんかすっごく暑いッ!!」

頭を下げ続けている護は何が起きているかはわからなかった

橘はスキップしながら坂牧に近づき、坂牧からシリアルの袋を貰うと

「じゃあ!!焼肉の件!!覚えといてね!!」

そのままスキップで廊下を去って行った

「なんなんですか……いったい……」

だれもシリアルを好む橘の存在が理解できずにいた




真実の口
ローマにある石の彫刻、人の顔をしていて、
口に手を入れると噛まれる(手が抜けなくなる)
本物ではないが、真実の口は日本の各地にあったりなかったり
ちなみに作者は昔テーマーパークの真実の口に手を入れ噛まれたことがある記憶がある

城南光(じょうなんひかる)12歳 男性
ウルトラマンヒーロー(ヒロ)が地球に来たときからのファンのようなもの
今まで見ていたアニメやゲームの時間が全部ウルトラマンにすり替わった男の子
いろんなメディアでウルトラマンのことを調べた結果、
そこらの大人より、ウルトラマンに詳しい
ウルトラ5つの誓いを知っていて、朝食は必ず食べるようになった


こんな感じですかね?
今やばいと感じていることはこれ2話構成で終わんないなぁって……
ではまた次回

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