では、どうぞ
停止した時の空間の中、消えかけている護を、ウルトラの母はどうしたものか、考えていた
護にかけた停止光線の効果が無くなるのも、そう長くはないのだ
再び護の時間が動き始めた時、護が消滅することもウルトラの母は理解していた
ウルトラの母は、最後には自分が護の運命を背負おうと決めた
その時、光の粒子がウルトラの母の横を通り過ぎた
光の粒子は護の体に吸い込まれていき、護の体は光に包まれた
ウルトラの母が何事かと思い、様子を診ていると……光が収まり、そこには赤い体のウルトラマンヒーローが居た
赤い体のヒーローはウルトラの母に頭を下げ、どこかへ飛んで行った
「誰があの子を……」
ウルトラの母がつぶやいた言葉に答えるものが居た
「彼がウルトラ族になったのは彼自身の意志だ」
光の粒子が声と共に再び現れた、光が集まるとその正体が露わになった
「ウルトラマンキング……!!」
光の国に住むどのウルトラ族とも似つかず、威厳な風格を持つ、ウルトラマンキングだった
「彼は人間として、ウルトラマンとなることを選んだのだ」
ウルトラマンキングはヒーローの飛んで行った方を見つめていた
ウルトラタワーを見下ろすヒロとウルトラの父
「ウルトラベルを鳴らせ……って、ウルトラタワーに入れってことですか!?」
ヒロの言葉に対し、ウルトラの父はそうだとだけ言葉を返した
ウルトラタワー……かつてウルトラ6兄弟が地球包んだ闇を振り払うため鳴らしたウルトラベルがある場所……
光の国の大切なウルトラベルを守るため、
ウルトラ6兄弟が揃わなければ入れない、神秘の炎がウルトラベルを守っているのだ
命の炎、正義の炎……そして平和の炎だ
ウルトラベルを鳴らすにはその炎を潜り抜けなければならないのだ
「これはヒーロー、君の心の強さ、優しさ……そして平和を愛する心を持っているかを試す試練なのだ」
「でも……」
「……この試練は、あのウルトラマンキングが、お前を信じて与えたものだ
私も疑ったが……恐らく、ウルトラマンキングは……お前になら、超えられると信じているのだろう」
「僕が……炎を超えられるってことですか……?」
「でなければ、私やウルトラ兄弟もお前にこんな試練を受けさせはしない
……信じて待っているぞ、光の国にウルトラベルの鐘の音が響くことを……」
そう言うと、ウルトラの父はマントを翻し、飛び去った
ヒロはウルトラタワーから燃え上がる炎を見つめていた
まるで入るものを試すかのようだ、炎もヒロを見つめているようにヒロは感じていた
「僕に、あの炎を超えるだけの力があるとするなら……!!」
ヒロがウルトラタワーの炎に飛び込もうとしたとき、ヒロを呼ぶ声が聞こえた
「ヒロ!!待ってくれ!!」
そこには青いヒーローとは真逆の赤いヒーローが……ウルトラマンとなった日野護がいた
「護さん!!どうして……いや、どうしてウルトラマンになってるんですか!?」
「……俺がウルトラマンになるって決めたから……かな?」
ヒロはうつむき、手を強く握り、頭を下げた
「ごめんなさい!!僕のせいで護さんは人間でなくさせてしまって!!」
「いや、違うよ……俺は望んで人間じゃなくてウルトラマンになったんだ」
護はヒロに何があったのかを話し始めた
護は暗い波が溢れている空間で何も出来ずに浮かんでいた
護は何もすることができず、ただ目の前の光景を眺めていた
子供の頃や、ヒロに出会ったこと、GUYSに入った時のこと……
今までの記憶が一枚の紙に描かれ、走馬灯のように回転しては変わっていった
「そうか……俺はもう……」
護が目を閉じようとしたとき、護の前に大きな光が現れた
光は収まっていき、そこには護と同じ大きさになったウルトラマンキングが現れた
「君を消えさせはしない」
ウルトラマンキングは両手を輝かすと、暗い波の空間は明るい金の波の空間に変わった
護は今まで動かなかった手を見て驚いた
「残念だが、まだ君は生き返ってはいない。
君には聞かなければならない事がある」
「聞かなければ……ならないこと?」
ウルトラマンキングは護の胸に手を触れると、護の胸から赤く光輝く光球が現れ、
ウルトラマンキングの掌の上に浮かんでいた
「君のこれからの話だ……君の体は人間ではなく、ウルトラマンの体へと変わるかもしれない。
しかし、君を人間に戻すことは出来ないわけではない……
ただ、君のこれからの人生は君自身が決めることだ、君は、人間として生きていきたいか?
それともウルトラマンとして生きていきたいか?」
ウルトラマンキングは護に選択を迫った
しかしウルトラマンキングは護の出す答えを心を声を聞き、知っていた
ではなぜ、ウルトラマンキングが答えを聞いたのか……
それは、ウルトラマンキングが護の言葉で聞きたかったのだ
人が自らウルトラマンにとなり、人が人を守ると……
「……俺、ウルトラマンになります」
護はしっかりとウルトラマンキングを見つめ、言った
「良いのか?君は素晴らしい人間だ、ウルトラマンにならずとも地球や仲間、人々を守ることができる。
それでもウルトラマンになりたいと、言うのだな?」
護は少しも後悔もせず、もう一度言った
「俺は、子供の頃からヒーローに憧れてました……
確かに何もウルトラマンにならなくてもみんなを守ることはできる。
けど、俺はウルトラマンだから守ることのできる何かがあるとも思います!!
だから人間として……そしてウルトラマンとしてみんなを守りたいんです!!」
その言葉に嘘はなかった、ウルトラマンキングは心からの声であると知り、
護から離れても護の心の声に反応して一際輝き始めたウルトラマンの輝きを護に返した
「ならば行くがよい、その力を自分ができることに使うのだ」
護は赤く輝き……その姿を、ウルトラマンヒーローに変えた
「行け、ヒーローの名を持つウルトラマンよ」
護はその言葉を聞き、力強く飛び立った、今助けたいと思っている者のもとへ
「そんなことが……」
「あぁ、だからウルトラマンになったのはお前のせいじゃない、俺が決めたことなんだ」
護はヒロの左手を両手でつかみ、言った
「だからヒロ、一緒に戦おう!!俺たちはいつも一緒に!!」
「……はい!!」
「ところで、お前こんなところで何をやってんだ?」
「あ、忘れてた!!」
ヒロは今、自分がやらねばならない事を護に伝えた
ウルトラタワーの炎を越え、タワーの中にあるというウルトラベルを鳴らさねばならない事を……
「だから僕はウルトラベルを鳴らしてきます」
「おい、あの炎は簡単には越えられないんだろ?」
「でもこれは僕の試練です、ウルトラマンヒーローが越えなければならないんです」
「そうか……」
「そうです、護さんは待っていてください」
ヒロは一人でウルトラタワーの炎の中へと飛び込んで行った
炎に飛び込むとまるでヒロを試すかのように、炎がヒロを焼き始めた
ヒロは自身の体が焼けていっても構わず炎の奥へと進んでいった
しかし、気合いだけを入れても現状は変わらず、どんどんとヒロの体は炎で焼かれていく
そんな時、不意に炎がヒロの体を焼かず、炎の温かさだけがヒロの体を包み込んだ
ヒロが不思議に思うと、その理由がすぐそこにあった
「大丈夫か?ヒロ」
そこにはさっき見送ってくれたはずの護がいた
「護さん!?どうして……!!」
「お前が言っただろ!!ウルトラマンヒーローが越えなければならないって!!
だから……一緒に越えなきゃなって思ってさ!!」
ヒロは護の言葉に微笑み、覚悟を決めて護とともに炎を進んでいった
ウルトラベルまで後わずか……
しかし、2人を試す炎は簡単に2人を認めることはない
最後の炎、平和の炎が2人を試した
ヒロも護も平和の炎に焼かれ、前に進めない、それどころか今にも体を燃えつくされそうに感じてしまう
ウルトラベルは、もうすぐそこにあるというのに……
平和の炎を前に、護はたまらず体制を崩してしまう
平和の炎はそのまま護を焼きつくそうと、勢いを増した
護は身を固め、炎から身を守ろうとした……
しかし、いつまでたっても平和の炎は護を焼くことは出来なかった
なぜなら……その時、ヒロは護の前に立ち、護を炎から守ったのだから
ヒロの体は平和の炎に焼かれ、消え始めていた
「ヒロ!!」
「……今まで、僕が……戦えたのは……!!戦う、勇気をくれたのは……護さんだから!!
僕は守りたい!!それが僕だから!!」
ヒロの体が青く輝き、護を守った
「ありがとう、ヒロ……だけど俺も……俺にしか出来ない事を!!」
そして、護の体も赤く輝き始めた
「行くぞヒロ!!こんな炎に負けてたまるか!!」
「はい!!」
護は右拳を前に、ヒロを左拳をウルトラベルのほうへ突き出し、2人は同時にウルトラベルへと突っ込んだ
『うおぉおおおおおおおおッ!!』
ウルトラベルと2人の距離は縮まり、赤と青の光が交わった
その時、光の国でとても大きな鐘の音が響いた
次回から新しい章の始まりです!!
これからも読んでいただければ幸いです!!
では、次話でまたお会いしましょう!!
次回、新章……帰ってきた新たなヒーロー!!
お楽しみに!!
ご感想、ご指摘お待ちしております