ウルトラマンヒーロー   作:ホルンでごぜーます

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読者の皆さま、作者のホルンです。
前書きですが、少しだけ長いお話を……。

まずは、前回の話でディガルーグが~の説明部分で、収束と書きましたが、
今回の話を作るにあたって収縮の間違いだと気付きました。
作者の調べ不足でした、大変申し訳ございませんでした。

一応、ウルトラマンヒーロー本編が完結(おそらくは大分先ですが…)しましたら、
全話の総編集をしたリメイク版を投稿しますので、そちらで発覚した矛盾点や違和感がある部分を直させていただきます。
この作品も、読んでいただく為に書かせてもらっているので、
そのような矛盾や違和感の部分が無いようにしていますが、もし大部分の編集が必要な場合、改善はそのリメイク版でさせていただきます。
大変失礼ですが、どうかよろしくお願いします。

では、本編をどうぞ


アメイジングトリプルを撃て3-負思念体ディガルーグ搭乗-

イカルガが橘達とサッカーをした日の夜……

橘達や殆どの作業員が寝静まっている深夜……GUYSクルーの装備を保管している保管庫に人影があった

 

その人影は、明りが落とされ、暗い保管庫を迷いなく装備の前まで来ると、

ゆっくりと……まるで懐かしむようにヘルメットに触れた

しかし、その人影の背後から……まるで鞭のような触腕がその人影の肩に触れようとした

「……驚かしたいなら、もうちょっと静かに動けよ……アミーゴ」

人影……イカルガ ジョージが振り返らずそう言うと触腕は離れ、

明りが点いた……照明のスイッチの傍に立っていたのはグドンのフィギュアを持ったクゼ テッペイであった

「ちぇー……ジョージさんったら僕が驚かそうとしていた事気づいてたのかぁ……」

「遊んでいる場合かよ、頼んでたのはちゃんとできてるのか?」

「勿論ですよ、でも良いんですか?」

「……まぁ、どうにかなるだろ、そうなるように頭を使ったからな。

ケセラセラ(なんとかなる)ってやつだ。

明日も早い……前と同じならディガルーグは明日に現れる……じゃあお休み」

「あ……ジョージさん!!」

クゼに呼び止められ、イカルガは振り返った

「うん?」

「……ケ・ドゥエルマス・ビエン」

お休みなさい……とクゼがイカルガに言うと、イカルガは口元に笑顔を見せた

「それ俺の」

そう言い、イカルガは自室に戻った

 

 

 

 

 

 

その頃、護が病院のベットで目を覚ました

身体を起こし、窓を見ると、そこにはきれいな夜空が見えた

月明かりを頼りに周りを見渡すと、ベットの傍にあるサイドデスクに何かがあるのが見えた

電気スタンドのスイッチを点けるとそこには便箋が置いてあった

便箋を開き、中に入ってあった手紙を読む

『日野護くんへ

この手紙を読める位には元気になって良かった。

君が居る病院は、前に君が居た僕の病院です。

本当は君が倒れていた場所の近くの病院に、君を寝かせていたかったけど、

君にとっては都合が悪いと思って僕の病院に勝手に連れてきました。ごめんなさい。

恐らく、君が倒れた次の日にディガルーグはまた現れます。

その時、君が目を覚ましていたら、戦いに行ってしまうと思います。

その時は部屋の収納に持ち物を仕舞ってあるから、取っていってください。

けど、医者である僕からは、あまり無茶をしないでくれると嬉しいです。

クゼ テッペイより

追伸、窓から出ると警報が鳴るので、ナースステーションで一声かけて出入り口から出て下さい。』

護は手紙の内容で少し笑うと、乾いた喉を潤しに自販機へと向かった

 

 

 

 

 

 

翌日の朝……GUYS基地に警報が鳴った

市内に再び、ディガルーグが現れたのである

「よし、作戦は確認する!!Nブースターは垣山を乗せ目標ポイントまで移動!!

レッドスパロウとオオルリは垣山とNブースターを援護しろ!!

ディガルーグを……絶対に逃がすな!!GUYS!!sally go!!」

『GIG!!』

応答の声量から、橘はクルー全員のやる気は十分感じた

「よっしゃぁあああッ!!今度こそ倒してやるぜッ!!」

ただ一人はやる気に充ち溢れすぎだとも感じたが、

橘は篠崎が本当にやる気に満ちている時、それが空回るような人間であることを知っている

橘は腕を軽く振りまわし駆け足で指令室を出ていく篠崎にほほ笑んだ……しかし

「イカルガさん、この作戦……垣山くんはアメイジングトリプルを撃てるようになったんですか?」

そう、ディガルーグを倒すためには3体のディガルーグを同時に攻撃をしなければならない

その為、イカルガは昨日サッカーを終えた後、垣山を連れて射撃場でメテオールショットの練習をしていた

「昨日は申請できるだけのアメイジングトリプルを撃たせたが……一回も決まらなかったな。

一番良くても2つの的に当てた程度で精度も低い」

「じゃあディガルーグはどうするんですか!?」

「大丈夫だ、必ず成功する」

イカルガは橘の顔を見つめそう断言した

イカルガのその自信に満ち溢れた顔に橘は不安を残しながらも、一応信じてみることにした

「じゃ、アスタ・プロント(またな)」

そう言い、イカルガは指令室から出て行こうとした

「どこ行くんです?」

「ちょっとな……すぐ戻るぜ」

そう言い、イカルガはどこかへ向かった

 

 

 

 

 

 

ディガルーグのいる市街地に到着した篠崎達……

Nブースターの後部座席に乗ってる垣山は手のひらに人の字を書いて呑み込んでいた

助手席に座っている坂牧は、その緊張している心を見たのか、垣山に話しかけた

「緊張してますか?」

「ん?……ははっ、そりゃね……みんなにはまだ言ってないけどね、

昨日の練習でアメイジングトリプルを成功させてないんだよね……」

その告白でNブースターを操縦しているヒロが身体が浮くほどに吃驚した

「アメイジングトリプル撃てないんですかッ!?」

「ははは……頼りないお父さんでごめん……」

ヒロは一瞬だけ考え、目的地……3体のディノゾールの中心地点に着陸し、

垣山法を振り返り、言った

「……えっと、今はGUYSとして怪獣から人々を守らなきゃいけません。

垣山さん、一発勝負で成功させてください……成功するって信じてます」

「……がんばります」

ドアを開け、Nブースターから降車した

 

垣山は外していたGUYSメットを装着した

そしてメテオールショットにメモリーディスプレイを差し込み、ロックを解除した

垣山は昨日、イカルガに言われていた事を思い出していた

『いいか真司、ディガルーグを一体にするにはただ同時に攻撃するだけじゃ無理だ。

やつら三体の光る角に同時に弾を命中させるんだ。

大丈夫だ、”お前ならアメイジングトリプルは撃てる”』

垣山は周りを見渡した……Nブースターが着陸し、注目を集めたため、3体のディガルーグが垣山の方を向いていた

メテオールショットを上空へ向けて構え、目を閉じる

待機しているクルー全員が、垣山がトリガーを引くのを待ち、緊張の瞬間だ

『今ッ!!』

心の中で呟き、目を見開いて指に力を込めた

「アメイジングトリプルッ!!」

メテオールショットの3つの銃口から光弾が発射され、その弾は……

 

 

 

 

 

 

--見事三体の角に命中した……--

 

 

 

 

 

 

離れた場所からディガルーグを観察していた三原が橘へ状況を報告した

「ディガルーグ!!1体に収縮していきます!!」

宇宙量子怪獣ディガルーグは、3体の光る角を正確に同時に攻撃をすることにより、

波動関数の収縮が起き、その数を1体にすることができるのだ

3体のディガルーグの内、2体がまるで粒子のように分解され、残った1体に集まって行く

『垣山の撤退完了次第、1体になったディガルーグを集中攻撃!!攻撃開始と同時にメテオールを解禁する!!』

『GIG!!』

『こちら朝日、レッドスパロウの着陸可能なポイントがディガルーグの攻撃で使用不可です』

『了解した、垣山はそのままNブースターに搭乗、ディガルーグと距離を取った後、マケット怪獣を使用準備、

坂牧は作戦通りに離れた位置からのポイント指定!!』

『GIG!!』

ヒロ、坂牧、垣山が橘から言われた作戦を了承し、

篠崎と三原がメテオールのロック解除カバーを開け、待機した

「ねぇ、力、1人でマニューバモードでの操縦なんてできるの?」

『何言ってんだ、出来るに決まってんだろ?俺はGUYSの中で一番操縦が上手な男だぜ?』

「はいはい、自信たっぷりなのは良いけど、護みたいに落っこちないでよね」

『おい!!落ちるってなんだ落ちるって!!』

『ディガルーグ!!波動係数収縮が終了します!!』

『お父さんは!!』

篠崎がNブースターの方を見ると、ヒロ達はすでに垣山を乗せ、飛び立っていた

 

その時、ディガルーグが完全に1体になり、垣山の乗っているNブースター目掛け、火球を放ち始めた

「くそっ……!!ヒロ達を狙ってやがる!!隊長!!ちょっと早めにメテオール……行くぜ!!」

『よし、メテオール解禁!!』

『GIG!!』

レッドスパロウ、オオルリ、Nブースターが瞬間的にマニューバモードへ移行し、

その機体から金色の粒子があふれ出る

「スパイラルウォールッ!!」

Nブースターを狙った火球が装甲に当たる直前、Nブースターはバリアを張ると同時に高速回転し、

火球を上空高くへとはじき返した

 

しかし、それでもNブースターを執拗に狙い、

火球を放とうとするディガルーグの視線をレッドスパロウとオオルリが遮った

ディガルーグは2機をまとめて片付けようと火球を放った

放たれた火球は2機を纏めて塵1つ残さず消してしまった

ディガルーグは逃げてしまったNブースターを探すために周りを見渡した

前方にはなにもいないようで、後方を見ると

 

 

 

 

 

 

「当たりだぜ」

そこには既にディガルーグ目掛け、スペシウム弾頭を発射したレッドスパロウとオオルリが居た

ディガルーグは驚く暇も与えられず、スペシウム弾頭の爆発に呑まれた

「虚像を使うやつが、虚像に騙される……滑稽だぜ。

一応警戒しとけ、イカルガさんたち先輩らもスペシウム弾頭撃って倒せなかったらしい」

『GIG』

篠崎が各隊員に注意を促し、ヒロ達はこの隙に、離れた場所に移動した

爆風が晴れると、そこにはダメージを負ったようには見えないディガルーグの姿があった

 

 

 

 

 

 

その頃、護はダークエフェクトの気配を感じ取り、病院を出て現場に着いていた

たった今、ディガルーグがレッドスパロウとオオルリのファントムアビエイション……

つまりはただの残像に騙され、スペシウム弾頭を喰らったところだ

「何かあるまで、待機か……」

護はすぐには作戦に参加せず、少し離れたところから様子を見ていた

「ん……?」

すると、護から少し離れた場所をバイクが走り去って行った

「あれは……」

護が考えていると、ディガルーグの方で何か動き起きたらしく、周りが騒がしくなった

 

ヒロはディガルーグから離れた場所に着陸し、坂牧と垣山を下ろした

坂牧はポインタスコープを操作し、負思念体の弱点であるダークエフェクトの固まっている場所を指定した

指定された場所はたった1か所、ディガルーグの1番目立つ、光る角である

垣山は専用ホルダーからゼットンのマケットを取りだすと、メモリーディスプレイに装着し、構えた

「こちら垣山!!準備完了!!」

『まだゼットン出さないでよね……ッ!!今混戦になったら角に狙いが付け辛くなる!!』

『朱里!!早くしないと制限時間が!!』

 

屋久島が機体のモニターを見ると、

そこにはさっき使用したばかりだと思っていたマニューバモードの残り時間が、あと30秒も無いと伝えていた

メテオールが切れるその前に倒さなければならない……

そう思った時、篠崎から通信が入った

『オオルリ!!聞こえるか!!』

「なによ力!!」

『残りのスペシウム弾頭弾…1、2の3で奴の角に打ち込むぞ!!』

「正気ッ!?」

『いいからタイミング合わせろ!!どうせこのままじゃ時間切れだ!!いくぞ!!』

レッドスパロウとオオルリはマニューバモードによる変則軌道でディガルーグの攻撃をよけ続ける

「行くぞ!!1……2の……!!」

『3!!』

3の声と同時に2機はディガルーグの角の高さと水平にミサイル発射口を合わせ静止し、

残ったスペシウム弾頭弾計4発が放たれ、途中でミサイル同士がぶつかる事無くディガルーグの角に命中し、

ディガルーグの角は根元から割れ、ディガルーグは倒れた

 

『3……2……1……0』

ディガルーグが倒れると同時に、3機のメテオール使用制限、1分30秒が経った

 

ディガルーグが倒れた事、そして機械だよりだとは言え、

難易度の高い1つの目標に複数のミサイルを同時に当てると言う、難しさで言うならば、

アメイジングトリプルにも劣らない行為をやってのけたのだ

 

 

 

 

 

 

それが、一瞬の隙を篠崎達に作ってしまった

 

 

 

 

 

 

『ディガルーグはまだ消えてません!!』

目の見えない坂牧がいち早く気付き、慌てて通信をするが、伝えるには遅く、

ディガルーグは倒れたまま口から火球を吐き出していた

垣山は大声を出した坂牧の方に一瞬気を取られ、ハッと振り向きなおし、遅れて叫んだ

「みんなッ!!」

火球は回避行動を取った2機の片翼を損傷させ、機体のコントロールの取れなくなった

橘は状況がかなり不味いと判断し、撤退を命じた

『両機とも早く撤退するんだ!!』

撤退を命令する橘だったが、通信で両機から制御が出来ないと答えが返ってくる

けたたましく警報が鳴り響く中、篠崎と三原達は必死に機体を制御していた

「このままじゃ……!!墜落する!?」

警報の響くコクピットの中で、叫び声が響いた




--どうしてあの時に変身しなかったんですか--

--ごめん、これは俺のせいだ--

--どうしてまたディガルーグがG-9エリアに!?--

--そう言えばウルトラマンも死んだことがあるって話……--

--俺は昔、スタンドプレーしか出来なかった--

--けど俺はウルトラマンがずっとスタンドプレーヤーだと思ったことはないな--

--あの時、俺には聞こえたんだ……助けを呼ぶ声が……--



----次回、護のジレンマ----


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