ウルトラマンヒーロー   作:ホルンでごぜーます

51 / 64
前回から遅くなり申し訳ありません
どうしてもモチベーションが……
まぁ、使ってる機材やら環境のせいにしておきます

では本編をどうぞ


護のジレンマ1-不思念体ディガルーグ登場-

ディガルーグの火球を直撃し、煙を出しながら高度を落としていくレッドスパロウとオオルリの2機……

このままでは最悪の事態が起きかねない……

最悪の事態……それがもし、篠崎達の負傷だとすれば、

それは篠崎たちが機体から脱出すれば良いだけの話である。

 

しかし、緊急脱出に使用するレバーではなく、必死に操縦管を握る篠崎たちには、

自分たちの身よりも大事なものが、降下する機体のキャノピーから見えている……

そこには、ビルや住宅などの建物が密集していた。

 

そう、ここは市街地であり、人が多く存在する……

この何十年で怪獣が何度も出現していた為、民間人の避難は迅速に進められるようになってはいるが、

逃げ遅れている人が居る可能性が無いわけではなく、

さらに、脱出した後、機体が軌道を変え、避難している大勢の人々向かって落下し始めるかもしれない……

それは最悪の事態としか言いようがない……

そして、そんな最悪な事態を避けるために、篠崎たちは自分たちの身の危険を顧みず、操縦管を握っている

ついに2機が大きくバランスを崩し、地面に向け急速に落下を始めた。

 

 

 

 

 

 

しかし、2機が地面に激突することはなかった……

なぜなら、地面に激突する前に赤いウルトラマンヒーロー……護が2機を両手で受け止めたからである。

「ヒーロー……すまねぇ、助かった」

篠崎がそう言うと、護は2機を建物から離れた場所に2機を下した。

 

2機を下した後、護はディガルーグの方を見ると、あれほどの攻撃を食らいながら、

まるで時間が巻き戻ったかの様に、活発に動くディガルーグが居た。

先ほど篠崎たちが壊した角もいつの間にか元に戻っている。

しかし、護が構えると、ディガルーグはまた消えて行ってしまった。

護は、しばらくあたりを見渡した後、警戒しているからなのか、放心した様子で、

カラータイマーが点滅するまでその場に立ち尽くしていた。

 

 

 

 

 

 

レッドスパロウとオオルリ2機の回収作業が終了し、GUYS基地へと帰還した篠崎たち……

今回は篠崎だけではなく、他の隊員も愚痴を零していた。

特に、今回の作戦で重要な役割を任せられていた垣山は、机に突っ伏している状態だ。

ダークエフェクトそのものを見ることができる坂牧は、橘にディガルーグについて報告をしていた。

「篠崎さん達が最後に攻撃した時、確かにダークエフェクトは霧散し、倒されていました」

「じゃあ、なんで倒した怪獣が攻撃してきたんだよ!!」

そのただ淡々と出された報告に、かつてない程苛立っていた篠崎が大声をあげた

「篠崎っ!!」

橘は、坂牧に八つ当たりをする篠崎に一喝した

篠崎は手で顔を覆った後、坂牧に謝罪した

「……すまねぇ、本当に」

「大丈夫ですよ、気持ちはわかりますから……ただ、頭を少し冷やして来てください。

今私たちは、なぜディガルーグが倒されていなかったか、

これ以上の被害が出る前に解明しなければならないんですから」

GUYSクルーとしてだけではなく、自分よりも年下の坂牧にそう言われ、

篠崎は橘に断りを入れて、指令室を出た。

 

篠崎が指令室を出た時、屋久島が1つ疑問覚えた。

「そう言えば、あの2人は?」

あの2人とは、護とヒロのことであり、回収作業が終わり、基地に帰還しだい、

セリザワに連れられどこかに行っていた。

 

 

 

 

 

 

セリザワに連れられ人通りもなく、監視用のカメラもない通路に連れてきた護たち……

セリザワは護に向き合うと、詰め寄った

「なぜもっと早く変身しなかった?」

護は詰め寄られたからか、セリザワから視線を外し、ヒロの方を見る

しかし、ヒロも護に理由を聞いた

「僕も気になってたんです……

僕も変身できない状況だったとはいえ、護さんに任せていたのも悪いですが……

どうしてあの時に変身しなかったんですか?

助かったからよかったですけど、もし……」

助からなかったら、そう言う前に護が拳を強く握りしめ、悔しげに言った

「ごめん、これは俺のせいだ」

そう言う護にセリザワは、さらに問いかける

「護、今の君が、彼らを助ける瞬間を誤るとは考えられない……何があった?」

護は俯き、言った

「あの時、俺には聞こえたんだ……助けを呼ぶ声が……」

 

 

 

 

 

 

ディガルーグの角にスペシウム弾頭弾が命中した時、護はもしものことを考え、

いつでも変身できるようにフュージョミッションを手に持って、様子を伺っていた。

そんな時、護の元に声が響いた

『誰か……助け……』

護は直感的に振り返り、遠くの建物を見つめた

前に城南(じょうなん)光(ひかる)を助けた時と似ている感覚を感じた護は、

助けを求める声の元へ駆けだそうとする

しかし、護のメモリーディスプレイから坂牧の声が聞こえる

『ディガルーグはまだ消えてません!!』

その声で足を止め、ディガルーグの方へと振り返る

そこには今にもレッドスパロウとオオルリに攻撃をしようとしているディガルーグの姿があった

護はすぐにウルトラマンヒーローになろうとするが、再び助けを呼ぶ声が聞こえ、変身に躊躇してしまう。

 

そして、その一瞬の躊躇により、レッドスパロウとオオルリはディガルーグの攻撃を受けてしまった

護はコントロールを失った2機を見て、ようやく変身した

 

 

 

 

 

 

セリザワは護の言った事最後まで聞き終え、護にそうかと一言だけ言った

「そうかって……」

「護、君はウルトラマン、ウルトラ族がどう言う存在だと考えている……?

元々君はウルトラ族ではなく、人間だ……

そんな君が、ウルトラマンがまるで神のように思えてしまうかもしれないが、

ウルトラマンは決して神ではない、救えなかった命だってあった。

私たちは決してすべての命は救えない、1つでも多くの命を救うためにこの力を使うことしかできない」

護はセリザワの言葉を聞いて、表情を曇らせる

「でも……俺は、守りたいです……1人でも多くじゃなくて……

1人も残さず、守りたいんです!!」

セリザワはそれを聞き……

「護、君には仲間とパートナーが居る、そのことは覚えておけ」

と、一言だけ言い残し、その場を立ち去った

護はウルトラ族になったばかりで、やはりおこがましいことかと考えた

 

しかし、そばにいるヒロ……そして立ち去ったセリザワの顔は喜びだった

 

 

 

 

 

 

クルー全員は指令室に召集との通信が掛り、全員が指令室に揃った

日野護、朝日ヒロ、篠崎力、垣山真司、三原愛、屋久島樹里、橘薫、セリザワ カズヤ、

そしてイカルガ ジョージの9人である

「皆を呼んだのは他でもない、ディガルーグが倒されてなかった理由が分かった」

クルー達が驚くのを橘は時間が惜しいため、置いておき映像を大型ディスプレイに映し出す

「原理は話すと長くなる、掻い摘んで説明を……三原」

「GIG.」

映像を出している三原は出されている映像の説明をする

「今映像にあるのは過去に使用されたメテオール……マグネリウム・メディカライザーです。

このメテオールはかつてウルトラ警備隊がウルトラセブンに使用したエネルギー光線を元に制作され、

レジストコード、グローザムに行動不能にされたウルトラマンメビウスを活動可能状態にしました。」

三原は映像を切り替え、今度はディガルーグを倒した時の映像を映し出した

「そして、ディガルーグを倒した時の映像です」

クルー達は映像を目を皿にして見るが、何も変わった点は見つからない

倒したはずのディガルーグが倒されていなかったというのを除けばの話だが……

しかし、イカルガは映像の異変に気付いた

「何かが一瞬落ちてきているな」

その言葉に三原は思わず口を両手で押さえ、言った

「イカルガさんすごい……!!

そうです、この煙から現れる前の映像を止めるとわかります」

映像を巻き戻し、異変のあるシーンで停止をかけると、

そこには空から黒い線状の光線が降ってきているのがわかる

 

「これを精密スキャンしたところ、

機械で解析できるほどに濃縮されたダークエフェクト……だと推測されました。

そして、その用途は性質はマグネリウム・メディカライザーと同じ、

発信源は宇宙からでその距離は計測不能……つまり」

「つまりは倒される前に再生させたんだ……超空洞人ヴォイド人がね」

三原が結論を言う前に橘が結論を言ってしまい、三原は頬を膨らます

 

「じゃあどうすればディガルーグは倒せるんだ?再生させられちゃどうしようもないだろ?」

頭がなぜか水で濡れている篠崎は文字通り頭が冷えたのか、そう質問すると、

三原がディスプレイの映像を変え、解説をする

「はい、対怪獣対策班が考えた作戦で、ディガルーグに対する唯一の作戦です。

簡単に言うと、倒す直前にメテオール、

キャプチャーキューブでディガルーグをエネルギー光線から防ぎ、

キャプチャーキューブの内面反射の性質を使い、攻撃……倒すという作戦です」

「なるほど、復活光線を防いで、防いでる間に倒せば……」

「しかし、問題が1つ……

オオルリ、レッドスパロウが緊急修理中で搭乗負荷、使えるのはNブースターのみ……

不思念体の怪獣はどこに出現するか判断できないので予め火器を設置することもできません。

Nブースターだけでは火力はぎりぎり……そう判断されました。

この問題をどうにかしないと、ディガルーグは倒せません……ただ、逆にいえば……」

「火力さえ補えればディガルーグは倒せるということだ」

またしても橘は三原の言おうとした結論を先に言ってしまう

三原は流石怒ったのか、橘に言った

「隊長……?そこまでおひとりで言いたいなら解決策を言ってください」

「え?」

その提案はその場にいるクルー全員が大きく頷いた。

 

 

 

 

 

 

結局その日は丸一日火力不足を補うための作戦会議を行った。

 

 

 

 

 

 

旧、GUYS Japan基地……

そこには右肩に穴の開いた作業着を着た男が1人、目の前にある何かを見ていた。

その男の胸元には末川と縫われていた。

「さて、帰る前にもう一仕事しておこう、日野護……」

男は何かに向けて歩いていく、その男の影は人ではなく、大きなハサミの様な腕をしていた。

『フォ、フォ、フォ、フォ、フォ……』

誰もいない空間に笑い声のような音がただただ響いた。

 





ご質問、ご感想、ご意見などお待ちしております

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。