ジー・エンド起動まで約3分。
未だにジー・エンドはバリアーを張り続け、微動だにしない。
垣山はクラウンへロンFというバイクに乗り、所定の位置についていた。
クラウンへロンFは以前イカルガ ジョージが使っていたGUYSの特殊バイクである。
メテオールを搭載はしていないが、最高速度600キロの速度で走ることもでき、
スプリングなどに特殊加工がされており、30メートル程の跳躍も可能になっている。
跳躍する際の姿を見た開発者がまるでカグーのようだと発言したため、
クラウンへロンという名前がつけられた。
「橘隊長、こちら垣山、ポイントに到着しました。
作業員も作業が終了、セーフティエリアに避難完了です」
垣山がメモリーディスプレイで橘に連絡を取ると、垣山がいるポイントから少し離れた上空に、
レッドスパロウ、オオルリ、Nブースターが静止した。
『よし、作戦開始まで待機』
「GIG!!」
ジー・エンド起動まで2分。
ジー・エンドが見える場所まで、護も来ていた。
先頭に巻き込まれないように、すでに町中から人はいなかった。
「ヒロ、そろそろだぞ」
右手にはフュージョミッションβを握りしめている。
護の問いかけに答えるようにフュージョミッションは青く一瞬輝いた。
『はい、ジー・エンドを倒して子供たちを……!!』
「そうだな、子供たちを助けないとな……」
護はまだ遠くにいるジー・エンドを見つめると、再び駈け出した。
その数10メートル後ろから、一人の男性が護の後を着けていた。
「全く、最初から目星つけててもあの足の速さじゃ無意味じゃねぇか」
男の手には望遠レンズを取り付けたカメラが握られていた。
人間離れた速さで走る護を必死に追いかける。
そしてその時は訪れた……。
------ジー・エンド起動------
ジー・エンドは起動すると同時にシールドを解除し、
顔のレンズ体から光弾、腕の砲塔から火球をセーフティエリアに建てられたGUYSの拠点へ放ち始めた。
「作戦開始ッ!!」
『GIG!!』
『防御シャッター起動します!!』
ジー・エンドの放った攻撃が拠点のテントに当たる瞬間、テントを包むように青いフィールドが現れ、
ジー・エンドの攻撃を完璧に遮断した。
『シンクロンTeV起動!!』
ジー・エンドを囲むように設置された無数の回転式砲塔が起動し、攻撃を開始した。
過去に使われたシンクロン砲の改良型である
ジー・エンドは両腕を構え、再びシールドを展開することで砲撃を防いでいる。
「全機、発進!!」
ジー・エンドがシールドを展開すると同時にケツァールバーンティング、
そして垣山の乗ったクラウンへロンFがジー・エンドへ接近する。
GUYSマシンが接近すると、ジー・エンドは一瞬だけシールドを解くと、
合体している背部の羽を切り離し、ケツァールバーンティングの迎撃へと向かわせた。
羽は二枚貝のような形に変形、そして砲塔からレーザーを発射した。
「よっしゃッ!!行くぜ、ケツァールバーンティング……セパレート!!」
篠崎が分離用レバーを操作し、ケツァールバーンティングは3機に分離した。
3機それぞれが高度な空中戦闘軌道を取り、バラバラに散る。
当然、レーザーはかわされ、空を切っていった
ジー・エンドが何かを察したのか、シールドを解き、
周りの砲台を腰部を回転させながら放つ光弾で一掃し円盤の援護へ向かう。
「そうはさせない……橘隊長!!」
『よし、メテオール解禁!!』
「GIG!!頼むぞゼットン!!」
垣山はメモリーディスプレイにマケット怪獣ゼットンのマケットカプセルを装着。
メモリーディスプレイのトリガーを引いた。
『Realize≪リアライズ≫』
その音声と同時にジー・エンドの目の前にマケット怪獣ゼットンが召喚された。
「頼むぞ、ゼットン!!攻撃だ!!」
ゼットンは特徴的な鳴き声を上げると、すさまじい速度でジー・エンドへ向かう。
ゼットンに応戦するジー・エンドだったが、攻撃の速度でゼットンが勝っており、
防戦を強いられていた。
「今です、みんな!!」
「フォーメーション・ヤマトだ!!」
篠崎がそういうと、円盤から回避機動を取っていた3機のGUYSマシンが、上下に編隊を組んだ。
「3・2・1……全機メテオール解禁!!」
『マニューバモード、オン!!』
金色の粒子を纏い、マニューバモードに変形した3機、
編隊の上であるレッドスパロウと下のNブースターが加速、中段にいるオオルリも円盤めがけ加速した。
「うおぉおおおおお!!スペシウム弾頭弾、ファイアーッ!!」
3機からスペシウム弾頭弾が放たれ、
円盤はバリアーをレッドスパロウとNブースターのいる上部と下部へ張った。
2機のスペシウム弾頭弾は防がれる……しかし、オオルリの放ったスペシウム弾頭弾は直撃。
すさまじい爆音と共に、円盤はその場で爆発する。
「セリザワさん!!」
「篠崎!!」
そして、円盤へ向かって多方向から加速している3機はそれぞれの機体に衝突しないよう、
機体を限界まで反らす。
円盤が爆発した爆風の中から、3機がほぼぎりぎりを掠めて飛び出した。
「よし、やった!!あとはジー・エンドだけだ!!」
『お父さん!!準備してくれ!!スペシウム光線を撃つ!!』
「GIG!!」
垣山はメテオールショットをゼットンと交戦しているジー・エンドへと向けた。
「ドッキングするぞ!!」
3機のGUYSマシンはマニューバモードのままドッキングし、再びケツァールバーンティングとなった。
「ゼットン、横に避けろ!!」
垣山の指示を聞き、ゼットンは横へ転がり、ケツァールバーンティングの射線を開けた。
『バニッシュ』
丁度、ゼットンを召喚してから1分が経過したため、ゼットンは霧散した。
ジー・エンドの前方には、
すでにスペシウム光線の発射準備が完了しているケツァールバーンティングがいた。
『スペシウム光線!!』
ケツァールバーンティングの上部に設置されたβリダブライザーからスペシウム光線が発射される。
そして、作戦通りにジー・エンドがシールドを展開させた。
「イリュージョン・コンダクター!!」
垣山はシールドへ目掛け、対ジー・エンド専用メテオール、イリュージョン・コンダクターを放った。
三つの金色の光線がシールドに当たると、その部分から大きな穴がシールドに空いた。
そして、篠崎たちの作戦通りスペシウム光線がジー・エンドを直撃……。
するはずだった……。
ジー・エンドはすぐさまシールドを解除すると両腕を分離、その強固な両腕を重ね、盾にしたのだ。
両腕が壊される一瞬の隙に、その場から移動しスペシウム光線を回避してしまったのだ。
「避けられた……!?」
そして肘の部分からゼットンの腕と形状のよく似た腕を形成した。
スペシウム光線を使ってしまったため、
ケツァールバーンティングは強制的にマニューバモードが解除されてしまった。
「くそっ!!最後の最後で!!」
「みんな諦めるな!!最後まで戦うぞ!!」
全武装をオープンし、ジー・エンドへ攻撃するが、両腕に防がれ、大したダメージを負わせられない。
顔のレンズ体から再び光弾が放たれ、回避行動をとっているケツァールバーンティングが被弾する。
「このままじゃ……!!」
そんな危機的状況で、坂牧は言った。
「来ました……ヒーローが!!」
篠崎たちが辺りを見渡すと、そこには赤いウルトラマンヒーロー……日野 護が立っていた。
『ハァ……!!サーーーッ!!』
護はジー・エンドへ構えると、駆け出した。
ジー・エンドが再び光弾を護へ放つが、護は光弾を右手を前に突き出し防ぎ、
青い左手を右手とスラッシュさせ、
レッドパワー・スラッシュを逆にジー・エンドの顔のレンズ体に当てた。
そして、ジー・エンドに肉薄すると両拳を握り、右腕を腰に、左腕を左に伸ばし青い粒子に包まれた。
『ティアッ!!』
そして青い粒子の中から青いウルトラマンヒーロー、朝日 ヒロが現れた。
ヒロはモードチェンジした粒子を集め、左手にエフェクト・スラッガーを作るとそのままの勢いで、
ジー・エンドを切った。
しかし、ジー・エンドはやはり固く、傷はついたが大きなダメージはない。
ヒロはエフェクト・スラッガーを粒子に戻し、そのままエフェクト・スラッシュとして傷へ撃ち出した。
流石に傷が付いている部分への攻撃にジー・エンドは怯む。
ヒロはジー・エンドがひるんだ隙に両拳作り、左腕を腰に、右腕を左に伸ばし、
赤い粒子を右隣りに出した。
そこには護が現れる。
二人のウルトラマンはそれぞれ右拳、左拳を合わせた。
『ヒーローーーーッ!!!』
赤と青の粒子が合わさり、ウルトラマンヒーロー・ライトニングヒーローが現れた。
『ティ……サーーーッ!!』
ヒーローは粒子を溜めると、そのまま光線を放つ。
『ライトニング・ロード!!』
シールドで防ごうとするジー・エンドだったが、
光線はシールドを貫通し、ジー・エンドを空中で拘束した。
そのままヒーローはライトニングロードの光線を引っ張り……。
『ライトニング・フィニッシューーー!!!』
光となり、ジー・エンドを貫通した。
『ゼ……トン……』
最後にジー・エンドは断末魔を上げ、爆散した。
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