ウルトラマンⅩ外伝 エクシード・レッドファイト!!   作:剣音レツ

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 お待たせしました!

 外伝二部作の前編です。

 今回は赤いアイツとXが出会い、三人のウルトラ戦士、更にはエックスお馴染みのゲストキャラクターも出てきます!

 ウルトラファンの方、レッドマンファンの方、そしてそうでない方も楽しんで読んでくれたら幸いです。


STAGEⅠ『赤いアイツ来襲』

 ………フフフフフフ………どうやら奴は地球に向かい始めたみたいだな。

 

 順調だ………順調に進んでいる。

 

 今はまだ一時的な凶暴化を繰り返すに過ぎないが………

 

 ………あと少し、あと少しでアイツを完全に我が物にできる!

 

 そしてその時こそ、地球も我が物になるのだ!

 

 ハハハハハ…ハーッハハハハハー!!

 

 

 

 果たしてこの不気味に笑う者は一体何者で、何を企んでいるのであろうか………?

 

 

 (OP:ウルトラマンⅩ 一番)

 

 

 場所は変わって赤い巨人が戦っていたのとは別宇宙の地球にて。この世界には地球を守る防衛軍が存在していた。

 

 ジュネーブに本部を置く地球防衛組織『UNBER(アンバー)』。それは未だ地球各地で不安定な状態で眠るスパークドールズの回収、保管、研究を任務とする地球防衛組織である。

 

 因みにスパークドールズとは、この世界では地球各地で眠っていた怪獣や宇宙人の姿をしたオーパーツであるが、別宇宙では本物のウルトラマンや怪獣たちが人形に変えられたと言う事になっている。

 

 UNBERによって結成された防衛部隊『Xio(ジオ)』は、15年前に発生した太陽フレア『ウルトラ・フレア』によってスパークドールズから目覚めた怪獣たちに対抗するために結成された組織であり、X字型の基地『オペレーションベースX』を拠点としている。

 

 Xioが、この地球に訪れたウルトラマンと共に、ウルトラ・フレアの元凶でもある強敵『虚空怪獣グリーザ』と激闘を繰り広げて約3か月が過ぎようとしていた。

 

 Xio日本支部のオペレーションベースXのラボにて、ラボチームの他に特捜班も兼任する青年・大空大地、そして彼と同じラボチームのメンバーである三日月マモル、高田ルイの三人は、データやサイバーカードの整理をしつつ、自分たちの戦いを振り返っていた。

 

 マモル「それにしても、あの時は本当に大変だったッスね。」

 

 ルイ「うんうん。大君もてっきり死んじゃったかと思ってヒヤヒヤしちゃったよ~」

 

 大地「そうだな。俺やエックスの運命、それからXioの存続を懸けた戦いだったからね。俺もあの時はどうなるかと思ったよ。」

 

 大地たちはグリーザとの戦いを振り返り、改めて自分たちの勝利が信じられない感覚にいた。

 

 大地「勝つことが出来たのはエックスの力だけではない。Xioのみんな、それから…怪獣たちのおかげだ。」

 

 大地はあの時の戦いで力を貸してくれた怪獣たちのサイバーカードを見つめながら感謝の言葉を呟く。

 

 グルマン「それに、私の研究の結晶でもあるしな。ははははっ。」

 

 そう言いながら大きな器のラーメンを食べているのは『ファントン星人グルマン』博士だ。

 

 彼はXioのラボで大地たちと共に研究・開発に努める宇宙人であり、あらゆる兵器等の研究にも携わっている。

 

 このように彼は天才なのだが、『健啖宇宙人ファントン星人』特有の食欲旺盛かつ悪食で、食べるとすぐに寝てしまうのがたまに傷でもある。

 

 エックス「凄まじい激戦だったが、私もグリーザを倒すことができて良かったと思っている。これも大地やみんなのお陰だ。改めて礼を言う。」

 

 大地「俺も、エックスと共に戦うことを通して怪獣との共存をより強く望めるようになった。ありがとう。」

 

 大地は自身の持つ金を基調としたマルチデバイス『エクスデバイザー』に宿るウルトラマンと話をしている。デバイザーのディスプレイにはそのウルトラマンの線画が映っている。

 

 彼こそ、この世界で活躍したウルトラマン『ウルトラマンエックス』である。

 

 エックスは15年前、グリーザを太陽に突き落とした際に起こったウルトラ・フレアから身を挺して地球を守った際に肉体を失いデータ生命体化していたが、大地の持つ固有の周波数に引き寄せられる形で彼と出会い、その後大地やXioの仲間たちと共に、ウルトラ・フレアによって目覚めた怪獣たちと戦い、遂には彼らとの協力で宿敵でもあるグリーザを倒すことに成功している。

 

 普段はこのように大地のデバイザーにデータとして宿っており、大地が彼のスパークドールズをリードして一体化『ユナイト』することで本来の姿で戦うことが出来るのだ。

 

 マモル「グリーザを倒したことでダークサンダーエナジーも降らなくなったし、今後はより怪獣との共存の道探しに専念できるっスね。」

 

 大地「ああ。……絶対見つけ出してやるからな、ゴモラ。」

 

 大地はウルトラ・フレアにより行方不明となった父の形見でもある『古代怪獣ゴモラ』のスパークドールズを見つめながら新たに決意を固める。

 

 グルマン「ハハハ、その意気だよ大地。」

 

 グルマンは大地の肩を軽く二回叩く。

 

 マモル「それにしても、大地がエックスだと知った時は驚いたッス。」

 

 ルイ「そうだね~、大君、いつもいないなと思ってたけど、最前線で戦ってくれてたなんて。それなのに私、あの時…」

 

 〈回想〉

 

 ルイ「あ、エックス~、ちょっとフレームから外れててもらえる?」

 

 エックス「何だよ!?私も結構頑張っただろ!」

 

 〈回想終了〉

 

 ルイ「あの時はホントにごめんね。」

 

 ルイは、かつて『惑星ギレルモ』での戦いにて、『ウルトラマンゼロ』に惚れ込み、一緒に写真を撮る際にエックスを邪魔者扱いしたことを詫びる。

 

 エックス「ははは、いいんだいいんだ。もう気にしてないって。」

 

 大地「無理もないよ。ゼロは格好良くて強いんだから。………にしても、ゼロも今頃どこで何してるんだろうな。」

 

 グルマン「きっと、今も宇宙の平和のために頑張ってるに違いない。」

 

 ルイ「はあ~またゼロ様に会いたいな~。それに…」

 

 ルイは自信のディスプレイに、かつて遭遇したことがある『友好珍獣ピグモン』の写真を映し出す。

 

 ルイ「ピグちゃんも!いや~んいつ見ても可愛い~♡お手々がチョコチョコっとしてて、お目々がクリクリってしててぇ♪」

 

 マモル「それ、いつも言ってるっスね。」

 

 ルイは再びピグモンにメロメロになり、マモルは少し呆れ気味に反応する。

 

 ゼロと言いピグモンと言い、ルイは格好良いものと可愛いものには目が無いのだ。

 

 大地「ピグモンも、今頃サクラちゃんと楽しく遊んでるだろうね。」

 

 この世界のピグモンは、多々良町近くに住む少女サクラと友達になり、ダークサンダーエナジーによって凶暴化して暴れた『海獣キングゲスラ』の騒動に巻き込まれた際に人間を庇って重傷を負った事がある。

 

 だがその後、Xioの治療により一命を取り留め、再びサクラの前に元気な姿を見せている。

 

 大地は、ピグモンは今では怪我も完全に治り、再びサクラと楽しく遊ぶ日々を過ごしていることを想像している。

 

 ルイ「今度は私も一緒に遊びたいな~。ピグちゃんなら遊園地のマスコットにしてもいい程なのに…」

 

 ルイは相当ピグモンが可愛いみたいだ。

 

 なんでもルイは最近ピグモンに夢中で、「エレキング(彼女が大好きな宇宙怪獣)の次に可愛い」んだとか(笑)

 

 大地「はは(ちょっと苦笑い)、確かに。そしたらサクラちゃんも喜びそうだね。」

 

 ルイ「でしょでしょ~!」

 

 大地はいきなり接近してくるルイに少し驚く。

 

 ルイ「ねえ、大君はエレちゃんとピグちゃん、どっちが可愛いと思う~?」

 

 大地「え?…それは…その………」

 

 大地はいきなりルイが振って来た質問に困惑し始める。

 

 それもそのはず、見た目的にはマスコット怪獣でもあるピグモンの方が可愛い。恐らく多くの人がそう思うであろう。

 

 しかし、「ピグモンの方が可愛い」と言ってしまうとエレキング好きであるルイに申し訳ないのではないのかとも思っており、だからと言って嘘をつくわけにもいかない等と考えているのだ。

 

 大地はなかなか答えることが出来ず完全に困り果て始めた。

 

 

 と、その時、突如ラボ内の警報音が鳴りだした!少し驚く一同。

 

 エックス「!大地。」

 

 グルマン「早く指令室へ。」

 

 大地「ああ。ごめんルイルイ、その質問はまた後で。」

 

 ルイ「え?ち、ちょっと大君~!」

 

 エックスとグルマン博士に促され、大地は指令室へと急いだ。

 

 

 

 指令室にたどり着いた大地。そこには隊長と副隊長、そして三人の隊員が既に集まっていた。

 

 正太郎「みんな集まったな。」

 

 「怪獣を倒すのではなく理解する」という信念を持つXio日本支部の隊長『神木正太郎』は隊員が全員集まった事を確認する。

 

 ここで隊員たちを紹介をしよう。

 

 一人は格闘術と地上戦に長け、護衛役として大地とバディを組む少女『山瀬アスナ』、一人は射撃の名手で正義感溢れる青年『風間ワタル』、そしてもう一人はワタルとは同期かつライバル関係であり、主に空中戦を担当する青年『貴島ハヤト』だ。

 

 さゆり「タケル、映像を。」

 

 情報分析・作戦立案を担当する、Xioの母親的存在でもある副隊長『橘さゆり』は、Xio特捜班のオペレーターである『山岸タケル』に指示を出す。

 

 タケル「今、映像を出します。」

 

 タケルはモニターに映像を出す。そこには二体の怪獣が街を破壊している映像が映っていた。

 

 チアキ「怪獣は現在梅沢市を進撃中。」

 

 タケルと同じくオペレーターである『松戸チアキ』は状況を離す。

 

 グリーザが滅んだ後も、スパークドールズから目覚めた怪獣の残党がまだ残っていたのだ。

 

 因みに『梅沢市』とはかつて『熔鉄怪獣デマーガ』が出現して暴れ、エックスが初めて戦った街でもある。

 

 現在暴れている怪獣。一体は多数の角が放射状に拡がる頭部、互角形の鱗で覆われた体に熊手のような尾が特徴の怪獣『再生怪獣サラマンドラ』。

 

 そしてもう一体は………見た瞬間ほとんどの人が驚く。

 

 アスナ「あれは…ピグモン?」

 

 ワタル「何故あんなに大きく…ダークサンダーか!?」

 

 ハヤト「だがグリーザは滅んだはずだ。」

 

 隊員たちが困惑する中、大地はデバイザーの機能『ガオディクション』での解析を終える。

 

 大地「いいえ、あれは『隕石怪獣ガラモン』。ピグモンに似てますが違う怪獣です。」

 

 もう一匹の怪獣はガラモンだった。奴は外見がピグモンにそっくりのロボット怪獣である。

 

 ピグモンとの違いを見分けるポイントは鳴き声の違いと、ロボット怪獣故の、歩く際に常に発している機械的な音である。

 

 ワタル「なんだ、他人の空似かよ。」

 

 アスナ「怪獣にも似てる個体がいるものね。」

 

 ハヤト「とにかく、早いとこ倒さないとな。」

 

 さゆり「ワタルとハヤトはスカイマスケッティで上空から、大地とアスナは地上から攻撃。大地はもう一体の怪獣についても調べて。」

 

 さゆり副隊長から作戦の指示を受けて大地たちは頷く。

 

 正太郎「Xio、出動!」

 

 大地・アスナ・ワタル・ハヤト「了解!」

 

 隊員たちは足早に出動して行った。

 

 

 

 梅沢市を蹂躙する二体の怪獣。

 

 ガラモンは怪力を活かした体当たり、サラマンドラは口からの火炎やロケット弾、巨大な尻尾でビルを次々に破壊しながら、逃げ惑う人々を嘲笑うかのように進撃する。

 

 そしてサラマンドラは、多くの人々が取り残されたビルに火炎を放とうとしたその時、

 

 “ズガガガッ”

 

 背後からの攻撃を喰らい振り向く。

 

 そこにはXioの特装車両『ジオアトス』と航空機型の無人戦闘ユニット『ジオマスケッティ』が合体した戦闘機『スカイマスケッティ』が飛んで来ていた。

 

 ワタル「ファントン光子砲、発射!」

 

 ワタルの叫びと共にマスケッティは両翼から光弾を放つ。光弾はサラマンドラに直撃するが大したダメージを受けた様子はない。

 

 サラマンドラは反撃で火炎を放ち、ハヤトは優れた操縦テクニックによりアクロバティックに回避しつつ更に光弾で攻撃する。

 

 一方、大地とアスナは地上からガラモンと交戦する。

 

 大地「俺は怪獣について調べるから、アスナは攻撃を。」

 

 アスナ「分かった。」

 

 アスナは赤と銀を基調とした携帯光線銃『ジオブラスター』で地上からガラモンに攻撃を始める。

 

 《ガオディクションを起動します。サラマンドラ、解析中》

 

 大地はデバイザーで怪獣の解析を始める。と、その時、

 

 大地「ん?」

 

 大地は何かに気付く。そこにはいつの間にかマモルとルイも来ていた。

 

 ルイ「ピグちゃんが大きくなってる~!大っきくても可愛い~!」

 

 マモル「ピグモンには、あんな大きい個体もいるんスか?」

 

 二人はどうやらガラモンを大きくなったピグモンだと思って来たみたいだ。

 

 大地「い、いや、あれはピグモンに似てるだけで、ガラモンと言う別の怪獣なんだ。」

 

 大地は苦笑しながらも二人に話す。

 

 ルイ「え~そうなんだ、がっくし………でも可愛いからいっかー。」

 

 “ガクリッ”

 

 ルイはどうやら、可愛いものなら何でも気に入るみたいだ。大地とマモルは思わず肩を落とす。

 

 その間に、サラマンドラの解析が完了した。大地は即座に仲間に知らせる。

 

 大地「サラマンドラは再生する怪獣ですが、喉が唯一の弱点です。そこを狙ってください。」

 

 ハヤト「サンキュー大地。じゃ、そこを狙いますか!」

 

 了解したハヤトは引き続きサラマンドラに攻撃を続ける。

 

 大地「ガラモンは電子頭脳がある。頭を狙って。」

 

 アスナ「分かったわ大地。」

 

 アスナはジオブラスターに、エックスの力を解析して作り出されたウルトラマンの顔と両腕を模したカスタムパーツ『ウルトラブースター』を装着する。

 

 《ウルトライザーモード、起動します》

 

ウルトラブースターを装着したことで、ジオブースターは『ウルトライザー』へと変形した。

 

アスナは引き金を引くと、ウルトラマンの両腕を模したパーツがL字に組まれる。

 

《ウルトラマンの力を、チャージします》

 

音声ナビと共にエネルギーがチャージされ、やがて『スペシウム光線』にも似た破壊力の高い必殺光線が発射される!

 

強い反動と共に発射された光線はガラモンの頭部近くに命中し爆発する。

 

効果はあったようでガラモンは少し怯むが、直ぐさま体勢を立て直しアスナたちに迫る。

 

アスナ「なかなかしぶといわね…。」

 

アスナは怯まずウルトライザーを発射し続ける。

 

一方のスカイマスケッティは、サラマンドラの周りを旋回しつつファントン光子砲で攻撃しながら、弱点の喉を狙おうと正面に回り込むが、そこは完全な危険区域。サラマンドラが火炎やロケット弾を撃って来るため思わず横に回避してしまう。

 

サラマンドラの弱点をピンポイントで狙うのは至難の業なのだ。

 

ハヤト「くそっ、なかなか狙えねえ!」

 

さゆり「ハヤトはワタルを地上に降ろして。ワタルは地上から怪獣の弱点を狙って。」

 

ハヤト「了解!」

 

さゆり副隊長からの指示を受けたハヤトは一旦スカイマスケッティを着陸させ、ワタルを降ろし再び飛び立つ。

 

地上に降りたワタルは直ぐさまジオブラスターにウルトラブースターをセットする。

 

《ウルトライザーモード、起動します ウルトラマンの力を、チャージします》

 

ワタル「行っけえぇー‼︎」

 

ウルトラブースターを構えたワタルは気合いの叫びと共にサラマンドラ目掛けて必殺光線を放つ!

 

ワタルの射撃の腕により、光線はサラマンドラの喉付近に直撃する!

 

弱点に直接当たらなかったとはいえ、弱点近くを撃たれたサラマンドラはたじろぐ。

 

ワタル「っしゃあ!止めだ!もういっちょ……」

 

女性「きゃあーっ!」

 

ワタルが再び光線を撃とうとした時、突然女性の悲鳴が聞こえて振り向く。

 

そこには、逃げる際に足がすくんで倒れてしまった一人の若い女性がいた。

 

ワタル「大丈夫ですか⁉︎」

 

ワタルは直ぐさま駆けつけて自分の肩を貸して女性を起き上がらせるが、その隙にサラマンドラの回復を許してしまう。サラマンドラは二人目掛けて火炎を噴射しようとする。

 

ハヤト「はっ、危ないっ!」

 

二人のの危機を感じたハヤトは横からサラマンドラに光弾を撃ち込む。

 

更に怒ったサラマンドラは一回転して尻尾攻撃を繰り出す!

 

ハヤトは回避が間に合わず、尻尾攻撃をスカイマスケッティの右翼に受けてしまう。

 

ハヤト「うおあーっ‼︎」

 

攻撃を受けバランスを崩したスカイマスケッティは地面目掛けて落下し始める。そしてサラマンドラは再びワタルと女性に襲い掛かろうとする。

 

 ワタル「このやろー!」

 

 ワタルは再びウルトライザーから光線を放って迎え撃つが、350度数と非常に固い表皮を持つサラマンドラは破壊光線も物ともせず接近し続ける。

 

 大地「っ、ハヤトさん!ワタルさん!」

 

 大地も二人の危機に気付く。ガラモンもウルトライザーの攻撃に耐えつつ徐々に接近して来る。

 

 Xioはもはや絶体絶命の状況に陥っていた。

 

 

 大地「………アスナ、俺、行って来る。」

 

 アスナ「…ええ。気を付けてね。」

 

 遂に決心した大地はアスナに告げると、腰に下げていたエクスデバイザーを取り出し数メートル前へ進む。

 

 大地「エックス、ユナイトだ!」

 

 エックス「よし、行くぞ!」

 

 大地はデバイザーの上部ボタンを押して側面のパーツをX字に展開して『Xモード』に変形させる。そして出現したエックスのスパークドールズを手に取ってリードする。

 

 《ウルトラマンエックスと、ユナイトします》

 

 大地「エックスー!」

 

 大地はエクスデバイザーを高く揚げて叫び、X字の光に包まれる。

 

 「イーッサアアアッ!」

 

 《エックス、ユナイテッド》

 

 ナビ音声と共に、大地とのユナイトを完了したウルトラマンエックスが光の中から右拳を突き出して飛び出す。

 

 

 

 あわや墜落しそうなスカイマスケッティ。だが間一髪、そこに眩い光に包まれた巨人が飛んで来てキャッチする。

 

 巨人は着地した後、機体を地に下ろして立ち上がる。そして、巨人を包んでいた光が徐々に消えていき、光の巨人・ウルトラマンエックスが姿を現した!

 

 ハヤト「エックス………大地…。」

 

 ハヤトは安心の顔でマスケッティからエックスを見上げる。アスナやマモル・ルイ、そして基地内の隊長と副隊長も安心の表情を見せる。

 

 エックスはサラマンドラ目掛けて跳び立つ。

 

 大地・エックス「Xクロスキック!」

 

 エックスはサラマンドラに跳びかかりながら、両腕・両足を開いたX字の姿勢で右足にエネルギーを溜めて飛び蹴り『Xクロスキック』を放つ!

 

 蹴りを横から喰らったサラマンドラはその場で吹っ飛び倒れる。

 

 ワタルは近くにいた警備員に女性を任せ、エックスの戦いを見守り始める。

 

 エックスは構えを取った後サラマンドラに駆け寄る。

 

 立ち上がったサラマンドラは一回転しての尻尾攻撃で迎え撃つがエックスはそれを跳躍してかわす。

 

 その後サラマンドラは右腕を振るって攻撃するが、エックスはそれを左腕で防ぎ、腹部に右・左とパンチを打ち込み、更に右横蹴りを腹部に叩き込む。

 

 更にエックスはサラマンドラに組み付く。そのまま振り回されそうになるが半部回されかけたところで踏み止まり、逆に流れる様に横に投げつけて叩きつける。

 

 今度はガラモンが突進してくるが、エックスはその勢いを利用してガラモンを台に頭部に手をついて一回転する様にかわす。

 

 勢い余ったガラモンはサラマンドラに激突してしまった。

 

 エックスはすぐさま二体に駆け寄り、ガラモンに右横蹴り、サラマンドラに右エルボーを決めた後、跳躍して両脚を広げて二体同時に蹴りを打ち込んで吹っ飛ばす。

 

その後エックスはサラマンドラにヘッドロックをかける。そしてそのまま向かって来たガラモンを跳躍して右足蹴りで吹っ飛ばした後、落下スピードを利用してサラマンドラを地面に叩きつけた。

 

 エックスと怪獣たちの戦いは激しいものであり、周囲で爆発する地面や、それにより巻き上がる土砂や土煙がそれを物語っている。

 

 サラマンドラは反撃としてエックス目掛けて火炎を放射するが、エックスはそれを横に跳んで避け、それと同時に右手を突き出して矢尻型の光弾『Xスラッシュ』を放つ。

 

 光弾が頭部に命中したサラマンドラは少し怯む。

 

 エックスは受け身を取って立ち上がるが、その直後にいつの間にか回り込んでいたガラモンの体当たりを背後から喰らってしまう。

 

 吹っ飛んだ来たエックスにサラマンドラはカウンターの横振りの頭突きを打ち込み、エックスが怯んだ隙に羽交い締めにする。

 

 その隙に動けないエックスにガラモンが体当たりを打ち込み、よろけたところでサラマンドラはエックスを前方に突き飛ばした後、一回転しての尻尾攻撃で吹っ飛ばした。

 

吹っ飛ばされたエックスは地面に激突し土砂を巻き上げる。

 

 エックス「流石に二対一はこちらがやや不利か…?」

 

 大地「いや、俺達はこれまでの戦いで強くなった。だから負けない。」

 

 エックス「大地、君は本当に強くなったな。よし、行くぞ!」

 

 大地「おう!」

 

 エックスは再び気合を入れ立ち上がる。その表れとしてX字のカラータイマーが輝きを放つ。

 

 エックスは地面に拳を打つと、再び二体に駆け寄る。

 

 ガラモンの突進を跳躍して避けるとともにガラモンを踏み台にして更に高く跳び、落下スピードを生かしてサラマンドラにエネルギーを集めた手刀を振り下ろす!

 

 大地・エックス「Xクロスチョップ!」

 

 エックスは右手でX字を描くようにサラマンドラの体にチョップをし、更にそこを両手で殴って爆発させる!サラマンドラは怯んで数歩後退する。

 

その後エックスは背後から突っ込んで来るガラモンを振り向きざまの右回し蹴りで吹っ飛ばした。

 

 エックス「一気に決めるぞ!」

 

 エックスは二体を前に背筋を伸ばし、必殺技の体勢に入ろうとする………

 

 

 と、その時!

 

 

 “ズオオオオン”

 

 大地「っ!何だあれは⁉︎」

 

 突如、数百メートル先の上空に大きな時空の穴・ワームホールが開く!

 

 大地とエックスはもちろん、Xioの皆もそれを見て驚愕する。

 

 ワタル「…何なんだよあれ…。」

 

 アスナ「何が起ころうとしてるの……?」

 

 ルイ「もしかして、ダークサンダーエナジー⁉︎」

 

 マモル「そんな⁉︎グリーザはもう滅んだんだからダークサンダーはもう降らないはずっス!」

 

 正太郎「……何だ?あの穴は。」

 

 タケル「あの時空の穴から、新たなタイプAの反応を確認!」

 

 オペレーターのタケルが、ワームホールの出現と共に何かの反応をキャッチした。

 

 エックスやXioの皆が不安そうに見つめる中、その穴から何かが降り出し、地面に落下する。

 

 それを見た一同はさらに驚く!

 

 なんとそれは、見るからに無残に切り刻まれたアボラスとペギラの肢体ではないか!

 

 ルイ「いや~ん気持ち悪いよ~!」

 

 ルイは思わずアスナの後ろに隠れる。するとアスナは何かに気付いたのか、ウルトライザーを構える。

 

 アスナ「気をつけて!何か出てくるわ!」

 

 アスナの言うとおり、ワームホールからは一人の巨人が舞い降りて来て、土砂や土煙を巻き上げながら地面に着地した。

 

 ………手にはなんとアボラスの生首を持って………!

 

 巨人が出てきたと同時にワームホールは閉じるように消滅した。

 

 その巨人は真っ赤なボディに弁髪帽を被ったような頭部、独楽の上にアンテナが立ったような耳と、ウルトラマンとはどこか違う何とも得体の知れない外見をしている。

 

 大地「何だ?あいつは、エックスと同じウルトラマンか?」

 

 エックス「いや、多分違う。それどころか、赤いあいつを見ると何処か妙な胸騒ぎを感じるんだが…。」

 

 グルマン「大地!エックス!そいつはもしかしたら『レッドマン』かもしれぬ!」

 

 エックス「何っ?」

 

 大地「レッドマン……?」

 

 グルマン「うむ、私も伝説として聞いただけで詳しくは知らないが………。」

 

 グルマン博士の助言を聞いた大地は恐る恐る“赤いアイツ”に語りかける。

 

 大地「……君は一体誰なんだ?」

 

 すると赤いアイツは、ゆっくり顔を上げて答える。

 

レッドマン「……俺は平和を愛する戦士……レッドマンだ。」

 

 そう言うとレッドマンは、手に持っていたアボラスの生首をガラモンとサラマンドラ目掛けて投げつける!サラマンドラは直ぐさまそれを火炎で焼き払った。

 

 大地「…レッドマン?」

 

 グルマン博士の考察は正しかった!

 

 彼の名は『レッドマン』。それはレッド星雲のレッド星出身の戦士であり、銀河連邦の一員でもある。

 

 使命は恐らく「怪獣を倒すこと」であろう。ここまではウルトラ戦士と大して変りないのだが……彼に関してはウルトラ戦士とだいぶ違う所がある。

 

 それは、先ほどのアボラスとペギラで分かるように、怪獣の倒し方からにある。

 

 ウルトラ戦士といえば、まずは打撃技で弱らせてから必殺光線で倒すのが本来の怪獣の倒し方であろう。

 

 だがレッドマンに関しては、打撃技で弱らせる所は同じなのだが、その後の止めが槍やナイフで滅多刺し、首チョンパなど、非常に惨たらしいのである!

 

 はて、このような倒し方をするワケとは?怪獣を全て敵と見なしているのか?それとも怪獣に個人的な恨みでもあるのであろうか………?

 

 更に彼は、戦意が無く逃げ回る怪獣を、捕まえるまで執拗に追いかけ回すこともあるのである!

 

 これらの行動から、彼は一部では『赤い通り魔』と恐れられ、悪名高い所もあるのだ。

 

 そんなレッドマンが、エックスの世界に迷い込んで来た!………果たしてそのワケとは、新たな宿命か?それとも倒し足りない事での暇つぶしなのだろうか………?

 

 大地「平和を愛する戦士なら、同じ仲間だよね⁉」

 

 エックス「そうだと良いが、さっきの怪獣の生首は一体………?」

 

 大地はレッドマンに同じ戦士としての期待を抱くが、エックスはレッドマンと共に降って来た怪獣の死体の事もあって少し警戒気味である。

 

 そうしてる隙にも、ガラモンが再びエックスに襲い掛かって来た!

 

 エックスは咄嗟に両手でガラモンの頭部を押さえて突進を食い止める。

 

 エックス「まずはこいつらを止めないとな。」

 

 大地「うん。レッドマン!サラマンドラは任せていい⁉」

 

 レッドマン「分かった………。」

 

 了解したレッドマンは、警戒するサラマンドラの方を振り向き、ゆっくりと構えを取る。

 

 だが、レッドマンはこの行為だけでも妙な殺気を感じるものでどこか不気味である。

 

 

 レッドマン「レッドファイト‼」

 

 

 (BGM:レッドマン)

 

 

 レッドマンは、戦闘開始の合図でもある掛け声を上げると、勢いよくサラマンドラ目掛けて駆け出す!

 

 レッドマン「レッドジャンプ!」

 

 サラマンドラは迎え撃とうとロケット弾を連射するが、レッドマンはそれをレッドジャンプで高く跳躍してそれをかわす。

 

 レッドマン「レッドチョップ!」

 

 そして落下スピードを利用して頭部に右手の手刀『レッドチョップ』を叩き込む。

 

 更に怯んだ隙を逃さず腹部に左右パンチを連打した後、左腕を掴んでそのまま腹部に左横蹴りを二発打ち込み、そのまま掴んだ左腕をひねってスピンさせて地面に叩きつける。

 

 起き上ったサラマンドラは反撃として両腕を振るって殴りかかるが、レッドマンはそれを両腕でことごとく防ぎ、腹部に右拳のストレートを決めた後続けてアウトローな右前蹴りを腹部に打ち込んで後退させる。

 

 レッドマン「レッドアロー!」

 

 レッドマンは何処からともなく取り出した石突が十字型の形をした手槍『レッドアロー』を取り出し構える。

 

 これはレッドマンの主要武器の一つであり、これまで多くの怪獣や宇宙人を串刺しに倒している貫通力抜群の手槍である。

 

 レッドマンは駆け寄り、サラマンドラが振るって来た左腕を槍で弾き返した後、袈裟懸けに切り裂く様に槍の先端を腹部に打ち込み、続けて半回転して背を向けると同時に右横腹に槍を打撃し、その後振り向き様に真上から切り裂く様に振り下ろして胸部を打撃し、怯んだ隙に石突の先端を腹部に突き立てて後退させる。

 

 レッドアローでの攻撃が炸裂する度にその部位に爆発が起こり火花が飛び散る。効果はあるようでサラマンドラに徐々にダメージを与えていく。

 

 グルマン「ウルトライザーも効かなかったサラマンドラにダメージを与えるとは、すごい槍だなあ。」

 

 グルマン博士はレッドマンの攻撃力の高さに驚き関心する。

 

 アスナ「でも………何か不吉な予感が…。」

 

 アスナも、レッドマンがやったであろう先ほどの怪獣たちの死体、そしてレッドマンの荒々しい戦いぶりを見て微かに不快感を感じる。

 

 レッドマンはなおもパンチ、キックなどでサラマンドラを追い詰めて行く。

 

 一方のガラモンと戦っているエックスは、ガラモンの体当たりをかわして腹部に右横蹴りを打ち込み、再び繰り出して来た体当たりをかわして背中に右肩をぶつけて転倒させる。

 

 そしてガラモンが起き上った所に跳躍一回転しての右浴びせ蹴りを叩き込む。

 

 蹴りを喰らったガラモンは数回転しながら吹っ飛んで地面に激突した。

 

 大地「こいつはロボット怪獣だ。これを使おう。」

 

 大地は『サイバーエレキング』のカードを取り出す。カードには『BK-002』の番号が振られており、表面にはサイバーエレキングの姿がプリントされている。

 

 これはスパークドールズを解析してデータ化して生み出された人工怪獣『サイバー怪獣』のデータを収めたカード『サイバーカード』である。

 

 大地はサイバーエレキングのサイバーカードをデバイザーにリードする。

 

 《サイバーエレキング、ロードします》

 

 音声ナビと共にエックスの上半身に黄色い電撃のような光を放ちながらサイバーエレキングのアーマーが装着されていく。

 

 《サイバーエレキングアーマー、アクティブ》

 

 音声ナビと共に、『E』の文字があしらわれたサイバーエレキングの腕を模した右腕の砲身に、サイバーエレキングの頭部を模した左肩のアーマーがトレードマークの『サイバーエレキングアーマー』の装着が完了する。

 

 サイバー怪獣のカードはこのようにユナイト中の大地がロードする事により、『モンスアーマー』としてエックスが装着する事も出来るのである。

 

 ルイ「ほむっ⁉︎……エレちゃんとピグちゃんが並び立ってる……こりゃあたまりませんなぁ♡」

 

 外見がそっくりなだけとは言え、大好きなエレキングとピグモンが並ぶ光景ほど、ルイにとって嬉しい光景は無いであろう(笑)

 

 大地「エレキング電撃波!」

 

 エックス(エレキングアーマー)は右腕の砲身を向け、青・黄・緑の三色の電撃『エレキング電撃波』を放つ!

 

 電撃を受けたガラモンは体内のメカが麻痺して動きが止まってしまった。

 

 エックス「今だ!大地。」

 

 大地「ああ!」

 

 エックスはエレキングアーマーを消滅させ通常の姿に戻る。

 

 そしてカラータイマーを黄色に光らせ、右腕を胸に当て斜め上に挙げて電子回路のような光を走らせた後、両腕を左側へゆっくりと振りかぶり、同時に右足を軸として左足を回す様に踏ん張ってエネルギーを溜める。

 

 大地・エックス「ザナディウム光線‼」

 

 二人の掛け声と共にエックスは両腕を胸の前でX字にクロスさせ必殺光線『ザナディウム光線』を発射する!

 

 これは、大地とエックスのユナイトが最高潮に達した際に初めて使用可能になる光線技であり、怪獣を“倒す”のではなく、爆発させた後にデータ化し、スパークドールズへ収縮させる光線である。

 

 ザナディウム光線を浴びたガラモンはX字の光を浮かべて大爆発した後データ化され、スパークドールズへ収縮された。

 

 ガラモンのスパークドールズが地面に転がる。

 

 ルイ「よいしょっと、ガラちゃんゲット~!やっぱピグちゃんに似て可愛い~。」

 

 ルイはガラモンのスパークドールズを回収し、嬉しそうに抱き寄せる。

 

 大地「やったな、エックス。」

 

 エックス「ああ。ふぃ~、さーて、レッドマンの方は………!?」

 

 エックスはサラマンドラと戦うレッドマンの方を振り向く。

 

 が、その時、エックスは大地と共にふと驚く。

 

 レッドマンの、サラマンドラへの攻撃が非常に荒いのである。

 

 アウトローなパンチ・キック、首絞め、踏みつけ等、余りにも容赦なさすぎるのである。

 

 それらの様子に鬼気迫るものを感じたのだ。

 

 大地「いくらなんでも…ひどすぎないか?」

 

 エックス「て言うか、まさか本当に殺す気じゃ………!?」

 

 レッドマンの様子にXioの皆も不信感を抱き始めていた。

 

 そして、大地とエックスの嫌な予感が正に的中しようとしている。

 

 レッドマン「レッドナイフ!」

 

 レッドマンはサラマンドラにヘッドロックを掛けたままレッドナイフを取り出す。そして左手で強引に上に向かせ、剥き出しになった喉目掛けてレッドナイフを振り下ろす!

 

 “ザシュッ”

 

 “ドパーン”

 

 “グギャァァァァ”

 

 レッドナイフでの斬撃の一撃がサラマンドラの喉に炸裂!斬撃が決まると同時に爆発が起こって血が飛び散り、サラマンドラは悲痛の叫びを上げる。

 

 結果論、サラマンドラの弱点の喉を攻撃で来たわけなのだが…。

 

 エックス「ッ!なんて事を…!」

 

 大地「いくらなんでも酷すぎる!」

 

 大地とエックスはもちろん、Xioの皆も驚愕する。

 

 レッドマンは完全に弱ったサラマンドラを首投げで叩きつけた後、止めを刺そうとゆっくりとレッドナイフを大きく振り上げる。

 

 そして、サラマンドラの喉目掛けて振り下ろし始める!

 

 “ドパーン”

 

 レッドマン「………ッッ!!」

 

 間一髪、エックスはXスラッシュでレッドナイフを打ち落とす。

 

 そして、レッドマンが困惑している隙に再び両腕を左側へ大きく振りかぶりエネルギーを溜める。

 

 大地・エックス「ザナディウム光線‼」

 

 エックスはX字にクロスさせた腕からザナディウム光線を発射する。光線はサラマンドラに命中し、サラマンドラは爆発後データ化し、スパークドールズへ収縮された。

 

 

 ………だが、その様子を見ていたレッドマンは、下ろした拳を振るえるほど握り始める。

 

 それはまるで怒りだけではなく、殺気も感じるようである。

 

 

 エックスは、地面に転がるサラマンドラのスパークドールズをアスナが回収するのを確認する。

 

 そして、エックスとアスナは互いにサムズアップをかわす。

 

 だが、その時!

 

 レッドマン「レッドサンダー!」

 

 大地・エックス「!!」

 

 “ズドーン”

 

 突如、背後からレッドマンが右腕を突き出し破壊光線『レッドサンダー』を撃ってきた!エックスは間一髪、受け身を取ってそれをかわす。

 

 レッドマンを見てみると、何やら睨み付けてるようで、肩が動くほどの荒い呼吸をしている。

 

 エックス「私たちを、攻撃してきたのか?」

 

 大地「………一体どうしちゃったんだ?レッドマンは…。」

 

 エックスはゆっくりと立ち上がり、大地は困惑しながらも恐る恐るレッドマンに語り掛ける。

 

 大地「…なぜ攻撃してきたんだ?」

 

 レッドマン「怪獣なんかの見方をする奴に…答える必要はねえ!」

 

 大地はレッドマンからの思わぬ返事に驚く。

 

 レッドマン「覚悟しやがれ………ドリャー!!!」

 

 レッドマンは狂ったように叫びを上げると、問答無用でエックスに襲い掛かる!

 

 エックスはレッドマンの右フックをしゃがんでかわし、その後左横蹴りを両腕で弾いて防ぐが、その直後に顔面の左側面に右拳を喰らってしまう。

 

 エックス「おいちょっと待てって!」

 

 エックスはレッドマンの右肩に右手を置き語り掛けるが、レッドマンはそれを振り払い右前蹴りを繰り出すがエックスはそれを後ろに回り込むことでそれをかわす。

 

 レッドマンは後ろのエックスに背を向けたまま繰り出した右拳を受け止められるがそのまま右足蹴りを腹部に叩き込んで吹っ飛ばす。

 

 いきなり問答無用に攻めてきたレッドマンに困惑しながらも応戦するエックス。両者の戦いは周囲に土砂や土煙が巻き上がるほどである。

 

 そしてレッドマンと戦っていくうちにある事に気付き始めていた。

 

 エックス「大地、こいつ、さっきとまるで…。」

 

 大地「ああ。まるで戦い方が違う!」

 

 エックス「しかし、なかなかやるやつだ。気を付けろ!」

 

 大地「ああ、分かってる。」

 

 二人はレッドマンの戦い方がさっきよりも荒っぽくなっている事に気付き始めていた。

 

 レッドマンは跳躍し、上から右拳を振り下ろすがエックスはそれを左腕で受け止め、その後繰り出して来た左拳を右腕で受け止めるが、レッドマンは腹部に右横蹴りを打ち込んで引き離した後、跳躍一回転しての右後ろ蹴りを胸部に叩き込んで吹っ飛ばした。

 

 防戦一方のエックスはレッドマンに圧倒される。カラータイマーは赤く点滅を始める。

 

 エックスはモンスアーマーを使い、さらにザナディウム光線を二発も打った事により、エネルギーの消費が激しかったのだ。

 

レッドマンは横たわるエックスを起き上らせると、腹部に右拳を連発する。

 

 エックス「………ッ、いい加減にしろ!」

 

 “バゴンッ”

 

 エックスはレッドマンの右拳を受け止め、顔面にパンチを打ち込んで吹っ飛ばす。だが、エネルギーがもう僅かなのか、エックスはその場に膝を付いてしまう。

 

 エックス「マズい…そろそろユナイトの限界が…。」

 

 二人が途方に暮れる中、レッドマンはレッドアローを手に殺気と共にエックスに歩み寄る。

 

 そして、レッドアローを大きく振り上げる………絶体絶命の危機!

 

 

 と、その時、

 

 

 “ズオオオォォン”

 

 突如、上空に新たな時空の穴が現れたと思うと、その中から一人の鎧を着た光の巨人が現れる。

 

 その巨人は土砂を大きく上げながら着地した後、光と共に“イージス”を消滅させる。

 

 その巨人を見たXioの一同、特にエックスと大地、ルイは色んな意味で驚く。

 

 なぜなら以前見覚えのある姿だからだ。

 

 赤と青で構成されたボディ、トサカのようにブーメランが二本付いた頭、そして鋭い目つき………そう、現れた光の巨人は『ウルトラマンゼロ』なのだ!

 

 彼は他のウルトラ戦士同様、『M78星雲・光の国』出身の若きウルトラ戦士であり、『若き最強戦士』とも言われている。

 

 そしてなによりも、彼は『ウルトラセブン』の実子でもあるのだ。

 

 彼は型にはまった窮屈さを嫌う自由奔放な性格でもあるためか、これまで様々な宇宙を旅して、そこで出会った仲間と共に様々な強敵と戦ってきている。

 

 そして、彼はかつてエックスたちとも戦ったことがあるのである。

 

 

 (BGM:ウルトラマンゼロのテーマ)

 

 

 ゼロ「……よお、こんな所でも殺人か?“赤い通り魔”さんよ。」

 

 ゼロはゆっくりと振り向きながらレッドマンに軽口を叩き、レッドマンはそれに気づく。

 

 大地・エックス「…ゼロ!」

 

 ルイ「キャー!ゼロ様~!」

 

 ゼロ「へへッ、久しぶりだな。エックス、みんな。」

 

 レッドマン「何だ貴様ぁ!まあいい。邪魔するなら貴様からあああ‼︎」

 

 レッドマンはレッドアローを手にゼロに接近し始める。ゼロも左腕の『ウルティメイトブレスレット』から槍状の武器『ウルトラゼロランス』を出現させ構える。

 

 ゼロはレッドマンの振り下ろしたアローをランスで受け止めそのまま押し飛ばす。レッドマンは怯まずアローを振ったり突いたりして攻撃を仕掛けるが、ゼロはまるで動きが読めてるかのようにそれらを難なくかわしたり受け止めたりしていく。

 

 火花が散るほどの激しい槍の打ち合いを展開する両者。しかしゼロの方が戦いを優位に進めていた。

 

 ゼロは背を向けたままレッドマンが真上から振り下ろしたアローを両手持ちのランスで受け止め、右後ろ回し蹴りを腹部に決めて吹っ飛ばす。

 

 レッドマンは地面を転がりながらも、レッドアローをゼロ目掛けて投げつけるが、ゼロはそれを即座にかわすと同時に右手からの『ビームゼロスパイク』で撃ち落とした。

 

 レッドマン「くそっ…くたばりやがれ…!レッドキック‼︎」

 

 立ち上がったレッドマンは、跳躍してエネルギーを込めた『レッドキック』を繰り出す!

 

 ゼロ「二万年早いぜっ!ウルトラゼロキーック‼︎」

 

 “ドガーン”

 

 レッドマン「‼︎ぐはっ‼︎」

 

 ゼロは右足を赤く燃え上がらせて跳躍し、師匠である『ウルトラマンレオ』譲りの蹴り技『ウルトラゼロキック』を繰り出し、蹴りの力で負けたレッドマンは吹っ飛び落下する。

 

 レッドマン「…っ、ヤロー‼︎」

 

 レッドマンが再びゼロに襲い掛かろうとしたその時、

 

 “ビビビッ”

 

 

 

 ……はっ!

 

 俺は一体何を………?

 

 ん?何かいつの間にかウルトラマンが一人増えてるし?しかも何やら俺の方を向いて警戒してるみたいだな………。

 

 まさか、また催眠状態のようになって知らぬ間に奴らを敵に回したってのか?

 

 くそっ!……寄りによって今度はウルトラマンに手を上げちまうとは………!

 

 

 

 突如レッドマンの様子がおかしくなった事にゼロもエックスも気づく。

 

 ゼロ「おいおいどうした?此の期に及んで降参か?」

 

 レッドマン「……一体何の事かな?」

 

 ゼロ「!何っ?」

 

 ゼロはレッドマンの突然の態度の変化に驚く。

 

 レッドマン「とにかく、俺はこうしてる場合じゃねーんだ。一匹でも早く、多くの怪獣どもを倒さねば!」

 

 そう言うとレッドマンは、その場から逃げるように飛び去っていった。

 

 

 

 突如人格が変わったかのような妙な様子を見せて飛び去ったレッドマンに疑惑を深める中、とりあえずXioは戦闘態勢を解き、エックスはゼロの元へ歩み寄る。

 

 エックス「さっきはありがとう。またしても助けられたな。」

 

 ゼロ「ま、良いって事よ!(フィニッシュポーズ)」

 

 大地「しかし、何故レッドマンは突然俺達に襲い掛かって来たんだろう?」

 

 ゼロ「………その事なんだが、何者かが裏で暗躍しているとの情報を受けてな。」

 

 ゼロの言葉にエックスたちは驚く。

 

 エックス「裏で暗躍する者………そいつのせいで、正義の戦士レッドマンは悪に染まろうとしてるという事なのか!?」

 

 ゼロ「詳しい事はジャックとエースが知ってるはずだ。」

 

 大地「ジャックと…エース?」

 

 ゼロ「ああ。彼らも異常な出来事に駆け付けてくれている。そこら探せば彼らと合流できるはずだ。」

 

 大地「(大雑把だなあ…)分かった。彼らもウルトラマンなんだな?とりあえずありがとう。」

 

 ゼロ「おう、頑張れよ!」

 

 ゼロからの情報を得たエックスは、光に包まれて大地とのユナイトを解除する。そして大地はアスナ達と合流する。

 

 ゼロ「さ・て・と、俺はその暗躍ヤローを追っかけてみますか!」

 

 ゼロが飛び立とうとしたその時、

 

 ルイ「いや~ん、ゼロ様やっぱ素敵~!」

 

 ルイの言葉にゼロはその場でずっこけそうになる。

 

 ゼロ「(またこいつか………汗)お、おう、サンキュー!」

 

 ルイ「どこ行くの?私も連れてって~!」

 

 ゼロ「フッ…残念だが、非常に危険なとこなんだ。だから、俺が帰って来るのを待っといてくれ。」

 

 ルイ「え~…。」

 

 ゼロ「ハハッ、すまんな。じゃ、俺は行くぜ。セアッッ!」

 

 ゼロは飛び立ち、空の彼方まで飛んで行きやがて見えなくなった。ルイはそんなゼロを残念そうに見送る。

 

 ルイ「ざーんねん。折角ゼロ様とルイルイでツーショット撮れると思ったのに…。」

 

 大地「そ、それは…戦いの後でもいいんじゃないのかな………?」

 

 大地たちは残念がるルイを困惑しながらも慰める………。

 

 

 

 場所は変わって『多々良町』。ここはかつてピグモンが現れたことで大騒ぎになり、更にはキングゲスラが現れて暴れた事がある町でもある。

 

 この町の上空に、今二人のウルトラマンが到着する。

 

 一人は初代ウルトラマンのボディに赤いラインが加わったような外見が特徴の『ウルトラマンジャック』、もう一人は引き締まったボディに頭部のアイスラッガーのような大きな突起が特徴の『ウルトラマンエース』だ。

 

 二人ともゼロと同じくM78星雲・光の国出身であり、宇宙警備隊のうち、地球防衛に当たったエリートで結成されたチーム『ウルトラ兄弟』の一員でもある。

 

 二人とも別宇宙の地球で活躍し、ジャックは主に地殻変動や異常気象で目覚めた怪獣、エースは地球征服を企てた『異次元人ヤプール』が送り込む超獣と戦ってきた。

 

 二人は多々良町上空で待機する。

 

 ジャック「この辺から異常なエネルギーを感じる。」

 

 エース「何かがいるのは間違いないな。」

 

 二人もゼロと同じくレッドマンの異変やその裏の何者かの暗躍のために駆け付けたのであろう。

 

 

 ???「ふっふっふ…現れましたな、ウルトラマンジャック、そして我が因縁深きウルトラマンエース。」

 

 多々良町の町はずれの場所から一人の謎の宇宙人がジャック達を見上げていた。

 

 目的や正体は今のとこ不明だが、もしかしたら今回の真犯人はこいつなのだろうか?

 

 ???「早速、こいつの性能とやらを試してみますか。」

 

 その謎の宇宙人は何やら赤と銀で構成された光線銃と、怪獣の姿を象った赤いカプセルのようなアイテムを取り出す。

 

 そしてそのアイテムを放り投げ、銃口からの赤黒い稲妻のような光線を浴びせる。

 

 光線を浴びたアイテムは赤黒い光に包まれ多々良町内へと飛んで行き、そして巨大怪獣の姿となって着地する!

 

 現れたのは、蛇腹状の体に逆三角形の顔、ハサミ上の両腕が特徴の『岩石怪獣サドラ』、カブトガニと宇宙怪獣を合成した超獣『大蟹超獣キングクラブ』である。

 

 ???「行け!あのウルトラマンどもを始末するんだ!」

 

 謎の宇宙人はサドラたちに命じた後、その場から姿を消した。

 

 二体は暴れ始め、ジャックたちも二体の登場に気付く。

 

 二匹とも人食の怪獣だ。このままにすると被害が広がってしまう。

 

 ジャックとエースは着地し、それぞれサドラ、キングクラブに立ち向かっていく。

 

 ジャック「行くぞエース!」

 

 エース「はい!」

 

 

 

 一方、ゼロから言われた事を隊長に伝えた大地は、急遽Xioの仲間と共に異常なエネルギー反応を感じる多々良町に向かっていた。

 

 ハッチバック型の『ジオアトス』、ワゴン型の『ジオアラミス』、トラック型の『ジオボルトス』で多々良町に向かうXio。

 

 そして、多々良町に到着し、そこでジャックたちの戦いを見つけ下車する。

 

 ワタル「…何なんだ?あいつらは…。」

 

 大地「エックスと同じウルトラマンなのか?」

 

 エックス「それっぽいが、一体誰なんだ…。」

 

 その時、大地はふと思い出す。

 

 大地「はっ………もしかして、彼らがゼロが言っていたジャックとエース…?」

 

 ハヤト「隊長から援護の指示が出た。いくz……」

 

 ???「レッドサンダー!!」

 

 一同「!!」

 

 “ズドーン”

 

 突如、何処からか光線が飛んで来て隊員たちの周囲で爆発する。

 

 隊員たちはふと前を振り向く。そこには一人の男が歩いて来ていた。

 

 その男は、端正だがどこか暗い顔つきに服装は前を全開に下の白いシャツを剥き出しにしたアナーキーな赤いコートに身を包み、左足のブーツには拍車をかけている等なんともやさぐれた格好をしている。

 

 アスナ「誰なの…!?」

 

 アスナが尋ねると、その男は話し始める。

 

 ???「お前ら、さっき赤い巨人を見ただろ?あれは俺だ。」

 

 ワタル「!まさかお前、レッドマンの人間態か!?」

 

 ???「ああ。この姿は…そうだな、赤石攻司とでもしておこうか。」

 

 なんと、突如現れた男はあのレッドマンの人間に変身した姿・『赤石攻司』(あかしこうじ)である!

 

 アスナ「私たちに何の用!?」

 

 攻司「…お前らがさっき怪獣に味方した奴の仲間か?」

 

 大地「味方したんじゃない。共存を目指すために保護しただけだ。」

 

 大地が言うと、攻司は強く握った右拳を胸元にゆっくり持っていく。妙に殺気を感じる行動である。

 

 攻司「………なら、潰す。」

 

 攻司は大地たち目掛けて駆け始める。どうやら一戦交えるつもりのようだ。

 

 正太郎「仕方がない…総員迎撃!」

 

 一同「了解!!」

 

 正太郎隊長の指示を受けた隊員たちは攻司を迎え撃つため駆け始める。

 

 まずはワタルが先陣を切って殴りかかるが攻司はそれを素速くしゃがんでかわし腹部にボディブローを決める。ワタルは怯むながらも右フックを繰り出すがかわされた上に両腕で防ごうとしたハイキックで吹っ飛ばされる。

 

 続いてハヤトが駆け寄りながら前蹴りを繰り出すがあっさり腕で弾かれ顔面に左振りの左拳を喰らい、その後繰り出して来た右回しハイキックをしゃがんでかわすが、それはフェイントに過ぎず直後に左後ろ回し蹴りを胸部に喰らい吹っ飛ぶ。

 

 今度はアスナが突っ込み、組み付くと同時に海老反りになって頭越しに蹴りを放つ。

 

 蹴りは攻司の顔面に命中すると思いきや彼はそれを片手で受け止めていた。

 

 アスナは続けて右横蹴りを放ち防がれるが即座に左前蹴りを腹部に打ち込み吹っ飛ばす。

 

 だが後ろ向きに吹っ飛んで着地した攻司はダメージを受けた様子はなく、跳躍一回転してアスナの前に着地した後顔面に右回し蹴りこ決め、怯まず相手が打って来た右横蹴りを左足で防いでそのまま右前蹴りを腹部に打ち込んで吹っ飛ばした。

 

 人間態とはいえ、長年独りで戦っていた“赤い通り魔”だけあり、次々と隊員たちをしばき倒す攻司(レッドマン)。

 

 だがアスナを吹っ飛ばした隙に後ろから大地に抑え込まれる。

 

 大地「止めろっ!なぜそこまで怪獣を憎む!?」

 

 攻司「憎むだとっ?………ふっ、」

 

 攻司は後ろから抑え込む大地をそのままあっさり前方に放り投げる。

 

 そして隊員たちの反対側に走り石塀を蹴って宙返りで跳び、ハヤト、ワタル、アスナ、大地と順に蹴りを放って吹っ飛ばし着地する。

 

 そしてレッドナイフらしき短剣を取り出して揚げると、刃先から光が発射され、その中からあらゆる暴れる怪獣の映像が映し出される。

 

 大地「!それは一体?」

 

 攻司「怪獣どもは平和を乱す敵だ。これは、あらゆる世界でその怪獣どもが暴れてるところを俺が記録したものだ。」

 

 攻司が映し出した映像を呆然と見上げる隊員たち。しばらくすると怪獣たちが暴れたことにより被害を受けた人々の映像が映し出される。

 

 重病に苦しむ人、家や身内を失い悲しむ人などの映像を見て大地は信じられないような顔になる。

 

 大地「…これも、怪獣たちがやったというのか?」

 

 攻司「そうだ。怪獣どもはこのように、人々の幸せを奪い続ける。」

 

 攻司は映像を切りナイフをしまう。

 

 攻司「俺は銀河連邦の上層部から、宇宙で暴れる怪獣どもを殲滅するようにと命じられている。俺も様々なところで怪獣により親などを失い泣き叫ぶ人たちを見てきた………。地球だけじゃない、全宇宙の平和や命のためにも、怪獣どもは倒さなきゃなんねーんだ!」

 

 大地「確かに、君の言うことは一理あるかもしれない。でも、怪獣たちには好きで暴れてるだけじゃない奴もいるかもしれないだろ⁉︎」

 

 攻司「何?」

 

 大地「彼らなりの事実がある怪獣や宇宙人もいるってことだ。」

 

 攻司「黙れ!貴様、エックスだな?そんな甘ったるい考えで怪獣を保護するとは……現にさっきの奴らも、街で暴れてただろ⁉︎」

 

 攻司は怒鳴るが、大地は折れずに語りかけ続ける。

 

 大地「君はたまたま暴れるのが好きな怪獣たちを見てきただけだ。でもそうじゃない怪獣も探せばいるはずだ!」

 

 攻司「話にならねーな。」

 

 大地は必死の説得も一蹴されてしまう。そして攻司はジャックたちの戦いを見上げ始める。

 

 攻司「…怪獣が何かをしでかす前にぶっ倒す。それが俺のポリシーだ。ま、赤い通り魔と呼ばれんのもさぞ無理ねーかもな。だがな、被害を最小限にしたけりゃそうするしかねーんだよ!」

 

 攻司の言葉に大地たちは言葉を失ってしまう。

 

 エックス「…大地、今こいつに何を言っても無駄みたいだ。」

 

 大地「くそっ……同じ平和を愛する戦士なら、分かり合えると思ったのに……。」

 

 攻司「ふんっ、そう失望してるがいいさ。俺は変わらず怪獣どもを倒すのみ。」

 

 そう言うと攻司は、瞬く間にどこかへと去って行った。

 

 その場に取り残された隊員たちは呆然としてしまう。

 

 正太郎「……ひとまず今は、あのウルトラマンたちの援護だ。ハヤトはスカイマスケッティ、アスナはランドマスケッティで援護。大地はワタルと共にあの男の捜索。」

 

 四人「…了解!」

 

 正太郎隊長の指示に隊員たちはひとまず了解する。

 

 大地はワタルと同行し攻司の捜索を始める。

 

 大地(………絶対に分かり合えるはずだ…だって、同じ戦士だから…。)

 

 

 

 (BGM:ウルトラマンエース)

 

 

 キングクラブと戦うエース。

 

 エースはキングクラブの腹部に右肩でのタックルを決め、相手の反撃の左フックを左拳で防いだ後顔面の左側面に左横振りの左拳、腹部に左右交互のパンチを決める。

 

 その後キングクラブの上から振り上げる頭突きをかわして顔面を蹴り上げ、腹部に左膝蹴りを打ち込んだ後、左フックを右腕で弾きそのまま一回転して右後ろ蹴りを腹部に叩き込む。

 

 アスナ「ファントンレールキャノン、発射!」

 

 後退したキングクラブは長い尻尾を伸ばしエースを締め上げる。そしてそのまま引きずり込もうとするが、アスナの操縦する『ランドマスケッティ』のファントンレールキャノンを顔面に喰らい怯む。

 

 その隙にエースは両手を重ねてドリルのように渦を巻いた光線『ドリル光線』を装着し自信を締め上げていた尻尾をバラバラに切り落とし、その後右後ろ蹴りを背中に打ち込んで転倒させた。

 

 

 (BGM:帰ってきたウルトラマン)

 

 

 サドラと戦うジャックは、サドラの両腕のハサミの殴り込みを避けつつパンチ、キックなどでダメージを与えていく。

 

 ジャックはサドラの右フックを両手で受け止め腹部に右横蹴りを決め、続けて跳躍して頭部に右手刀を打ち込みその後腹部に右チョップを叩き込む。

 

 サドラは反撃として頭部を突き出して突進を繰り出すがジャックは頭部の角を掴んでそれを受け止め、そのまま顔面に膝蹴りを数発打ち込んだ後腹部に右前蹴りを叩き込んで吹っ飛ばした。

 

 サドラは反撃として両腕を伸ばしてジャックの首、右腕を挟み込み締め上げるが、ハヤトの操縦するスカイマスケッティのファントン光子砲で弱点でもある頭部の角を破壊されて怯む。

 

 その隙にジャックは左腕の『ウルトラブレスレット』の力で強化された左手チョップ『ブレスレットチョップ』でサドラの両腕を切り落とし、跳躍しての右足蹴りで吹っ飛ばした。

 

 

 二体が完全に弱った所でジャックとエースは合流し並び立つ。

 

 ジャックは両腕を十字に組んで青白い輝きの必殺光線『スペシウム光線』、エースは直前に両腕を伸ばしつつ上半身を大きく左後方にひねった後両腕をL字に組んで赤、青、黄の輝きを持つ必殺光線『メタリウム光線』を発射する!

 

 二つの光線はそれぞれサドラ、キングクラブを直撃!光線を浴びた二体は大爆発し砕け散った。

 

 エース「この怪獣たちも、あの者が送り込んだのでしょうか?」

 

 ジャック「かもしれない。事態が大きくなる前に、引き続きレッドマンの捜索に当たるぞ。」

 

 エース「はい。」

 

 怪獣たちを撃破した二人は光と共に姿を消した。

 

 

 ハヤトはスカイマスケッティから降り、アスナと合流する。

 

 アスナ「私達もあの男を探そうか。」

 

 ハヤト「そうだな。」

 

 アスナ達も隊長に報告し、攻司の捜索を始めた。

 

 大地たちもその報告を受けていた。

 

 ワタル「了解。」

 

 大地「しかし、なかなか見つかりませんね………ここは二手に別れましょう。俺はあっちを探してきます。」

 

 ワタル「おう、気を付けろよ。」

 

 大地は一旦ワタルと別れた。

 

 

 エックス「しかし、見つけたところですぐに話が付くとは思えないがな。」

 

 大地「だとしても、絶対に理解してくれる時が来る。平和を愛する戦士なら、レッドマンは少なくとも同じ正義の戦士なのだから。」

 

 大地が攻司を再び探そうとしたその時、

 

 ???「レッドマンを知っているのか?」

 

 ???「もしかして君が、ゼロが言っていたウルトラマンなのかね?」

 

 突然話しかけられて振り向いてみると。そこには二人の男が立っていた。

 

 レッドマンを知ってる?しかも大地がエックスと言う事も…?一体彼らは何者なのだろうか………?

 

 大地「………あの…あなた達は…、」

 

 エックス「もしかして、先ほどのウルトラ戦士たちですか?」

 

 大地「え?」

 

 エックスが尋ねた時、その二人の男は静かに頷いた………………………。

 

 

 

 同じ頃、大地たちから逃れた攻司は町を彷徨っていた。

 

 しかし、その様子はどこかふらついていて、今にもこけそうである。

 

 彼は長年怪獣たちと戦い続けていて、更に最近は一時的な暴走を繰り返す事が多かったため、その分過労が溜まっていたのだ。

 

 攻司「くそっ………こんな所で………。」

 

 やがて攻司はその場で跪いてしまった。

 

 攻司「………早く………怪獣どもを………倒さねば………………。」

 

 攻司の意識が遠くなりそうになっていたその時、

 

 

 ???「………あの~…大丈夫ですか?」

 

 

 優しく話しかける声が聞こえ攻司は顔を上げる。そこには学生服に身を包んだ、可憐な顔つきの美少女が屈んで見つめていた。

 

 頭には何やら花で出来た飾りを付けている。

 

 攻司「……何だ?貴様h…うっ!」

 

 攻司はどうやら体のダメージが大きいみたいだ。

 

 ???「ああっ、無理しないで。………お水飲む?」

 

 少女は鞄から水筒を取り出し攻司に手渡した。

 

 ???「ここは危ないから、近くの公園で休みましょ?」

 

 そういうと少女は攻司に手を差し伸べる。攻司は動揺しながらも彼女の肩を借りて移動を始める。

 

 

 やがて公園まで移動した二人はベンチで話を始める。

 

 攻司は、自身が宇宙から来た戦士・レッドマンだと言う事も話したが、少女はなんと驚いたり恐れたりする様子はほぼ無かった。

 

 攻司「…なぜだ?…なぜ驚いたりしない?………俺は地球人じゃないんだぞ?」

 

 ???「宇宙人だからって、全てが敵で、恐れる奴じゃないから。それに、あなたが戦士ならなおさらよ。」

 

 攻司は少女を不思議そうに見つめる。

 

 ???「…実は私ね、過去にも異星人と交流した事があるの。彼は強くて優しくて、良い人だったなぁ。今も元気にしてるかな?」

 

 少女の言葉に攻司は少し驚きの表情を見せる。

 

 そう、実は彼女は、かつて『石化魔獣ガーゴルゴン』に故郷の『惑星ゴールド』を襲撃されて地球に避難し、そのガーゴルゴンが地球に飛来した際に『メカ守護獣ルディアン』を操縦し、エックスやXioと共にガーゴルゴンを撃破した惑星ゴールドの王子『tE・rU』(テル)と心を通わせた少女『春崎優希』である。

 

 このように、彼女は一度宇宙人と交流した事があるが故に、攻司の正体だレッドマンだと知っても動揺したり、怖がったりする様子をほとんど見せなかったのだ。

 

 攻司「異星人と………心を通わせただと?」

 

 優希「あなたは、他の宇宙人と心を通わせた事ってある?」

 

 攻司「………ねえな。俺は今まで様々な怪獣や宇宙人をぶっ倒し、宇宙の平和を守って来た。なんせ怪獣や宇宙人どもは、皆平和を乱す敵だからな!」

 

 優希「…本当に、そう思う?」

 

 優希はどこか哀れむ様な表情で見つめる。

 

 攻司「何っ?」

 

 優希「………私ね、ちょっと前にショッピングモールで迷子の子を助けたことがあるの。最後に無事に親が見つかった時、その子がお礼としてこの花の髪飾りをくれたの。「友達の怪獣と一緒に作ったんだ。」ってね。」

 

 そう、優希が付けている髪飾りとは、ピグモンと友達になった少女・サクラからもらった物なのだ。

 

 攻司「………異星人や怪獣と友達にだと………ありえん!」

 

 優希「あなたはそう思うのかもしれないけど………怪獣や宇宙人にも良い心を持った者がいると私は信じてるよ。」

 

 さっきの大地と言い優希と言い、何故この地球(ほし)の人はそんなにまで怪獣や宇宙人と仲良く………?攻司の動揺は深まる一方である。

 

 攻司「怪獣なんて敵だ!奴らは例え普段は大人しくても、何かあると何もかも暴れて解決しようとしてるではないか。」

 

 優希「確かに、暴れる怪獣はいっぱいいるけど………その怪獣たちは、人間と変わりないと私は思うんだよね。」

 

 攻司「………何っ?」

 

 優希「暴れるのは、彼らなりの正当防衛じゃないのかな?例えば、人間だって新しい住所を築く時、邪魔な自然を破壊したり、邪魔な害虫を駆除したり、そして怒ってる時や悲しい時、時に整理がつかなくて暴力や暴言が出たりするじゃない?」

 

 攻司「………。」

 

 優希「怪獣たちも同じで、自分たちが住みやすい状態にするために邪魔なビルを壊したり人間を殺したり、そして怒りや悲しみの時、整理がつかなくて暴れてしまう………そう考えると、怪獣や宇宙人も人間とほぼ変わりない存在だと思うんだ。」

 

 攻司「………何が言いたい。」

 

 優希「だから、怪獣や宇宙人を一方的に敵と決めつけるんじゃなく、私達と同じものとして捉えれば、共存する道は見つかると私は思うんだ。」

 

 笑顔で自分の考えを語る優希。攻司は脳内で激しい葛藤を始めていた。

 

 攻司(怪獣どもが人間と同じ………ホントにそうなのか?だとすると俺は、今まで人間と同じ存在を殺して来たという事になるじゃねーか!)

 

 大地や優希の言葉を浮かべるほどに、攻司の葛藤は深まる一方である。

 

 攻司(俺のやって来たことは、間違いもあったと言う事なのか?………怪獣を倒すのに、宇宙の平和を守るのに、なぜここまで難しく考えなきゃなんねーんだ?チクショー!!)

 

 

 と、その時、

 

 

 ???「よーお、随分葛藤してるな。」

 

 突然声のした方に攻司、そして優希は振り向く。そこには一人の宇宙人が立っていた。

 

 攻司「………貴様、何者だ!?」

 

 ジャグルド「俺はヒッポリト星人・ジャグルドという者だ。」

 

 現れたのは『地獄星人スーパーヒッポリト星人ジャグルド』。彼はかつてウルトラマンエースと戦った『地獄星人ヒッポリト星人』の同族である。

 

 先ほどサドラたちを召喚したのも奴なのだ。

 

 そんな彼が、葛藤するレッドマンこと赤石攻司を見つけ嬉しそうである。果たして彼は何を企んでいるのであろうか………?

 

 ジャグルド「その心の歪み、それを狙っていたのだよ!」

 

 そう言うとジャグルドは先ほどの赤と銀の光線銃を取り出す。

 

 優希「一体何する気!?」

 

 優希は問いかけるが、その瞬間ジャグルドは手を突き出し衝撃波で優希を吹っ飛ばす!

 

 優希「きゃーっ!!」

 

 吹っ飛ばされた優希は木に激突し、気を失ってしまった。

 

 攻司「………貴様何を………、」

 

 “ズドーン”

 

 攻司「ぐっ!!?」

 

 攻司は向かって行こうとした時、ジャグルドの銃から撃たれた赤黒い光線を浴びてしまう。

 

 攻司「………ぐっ………ぐおおあああぁぁ…!!」

 

 そして、身体から何やらそれと同じ色のオーラを発しながら苦しみ始める。

 

 ジャグルド「さあ、いよいよ我が物になるのです!ハハハハハハ!」

 

 ジャグルドが高笑いをしたその時、空の彼方から一つの影が舞い降りてくる。

 

 裏で暗躍しているジャグルドの探索をしていたウルトラマンゼロだ。

 

 ゼロ「ヒッポリト星人ジャグルド!そこにいるのは分かっている。姿を現せ!」

 

 ジャグルド「ちっ……面倒な奴が来ましたな……はあっ!」

 

 ジャグルドは両腕をクロスして巨大化した。

 

 ジャグルド「俺を見つけたのは見事。しかし、もうじきレッドマンは闇落ちし、我が物になりますぞ〜。」

 

 ゼロ「何だとッ⁉︎」

 

 ゼロがふと振り向くと、そこには赤黒いオーラを発しながらもがき苦しむ攻司(レッドマン)の姿があった。

 

 ゼロ「なるほどな…ふっ……だが、あいつが闇落ちする前に、お前をぶっ倒せばいいんだろ? セアアァァッ!」

 

 ジャグルド「望むところです!はああっ!」

 

 両者は互いに駆け寄り跳躍し、戦いを始めようとする。

 

 

 果たしてジャグルドの目的とは?レッドマンの運命は?

 

 エックス、Xio、そしてウルトラ戦士たちはこの暗躍を阻止する事が出来るのだろうか⁉︎

 

 

 To Be Continued………

 

 

 (ED:Unite~君とつながるために~ 一番)

 

 

 〈大地の怪獣ラボ〉

 

 大地「今回の怪獣はこれだ。」

 

 大地はサラマンドラのスパークドールズをエクスデバイザーにリードする。

 

 《サラマンドラ、ロードします》

 

 大地「再生怪獣サラマンドラ。協力な生命力を持ち、その硬い皮膚や火炎攻撃にはXioも手こずった。」

 

 エックス「そして今日紹介する戦士は、平和を愛する戦士レッドマン。怪獣を倒す使命を受けているみたいだが、何やら様子がおかしいどころか、どうやら宇宙人に狙われてるみたいだ。」

 

 大地「エックス…これは大激闘の気配がするね。」

 

 エックス「ああ、我々も気を引き締め、全力で挑むべきだな。」

 

 大地「次回、その地球の命をかけた大決闘が始まるよ。」

 

 大地・エックス「見てくれよな!」

 

 

 〈次回予告〉

 

 (予告BGM:ウルトラマンⅩ インストルメンタル サビ)

 

 (予告ナレーション:大空大地)

 

 レッドマンをも我が物にしたヒッポリト星人・ジャグルドは、地球侵略の最終段階へと移る!

 

 立ち上がれ!エックス、Xio、そしてウルトラ戦士達!

 

 地球の命運をかけた最後の決戦が始まる!

 

 次回、ウルトラマンⅩ外伝 STAGEⅡ『真っ赤な誓い 七色の夢』




 読んでいただきありがとうございます。

 次回で本作は完結する予定です。

 ゼロは最初は登場させる予定ではなかったのですが、私自身、ゼロが大好きであり(笑)、エックス第5話での活躍を見返した事で再び火が付き、登場が決定しました。

 あと、エックス第6、7話に登場した優希ちゃんの再登場に関しては、最初は彼女の役割をオリジナルの女性キャラにする予定でしたが、本作により説得力を持たせるために、彼女の再登場に変更しました。

 因みに私、バトルシーンの演出は坂本浩一監督をリスペクトしたものにしています(笑)

 サラマンドラ、サドラ、キングクラブに関しては、エックス本編でスパークドールズのみの登場だったという縁で登場させてみました。

 ここで本作オリジナルキャラの外見イメージキャラです。(【】内は登場作品)

 赤石攻司:矢車想【仮面ライダーカブト】※やさぐれモードの服を赤くした感じです。

 感想・指摘・意見等をお待ちしています。

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