報われない男の物語   作:羽付き羊

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女王騎士入団試験編
プロローグ


朝起きてカーテンを開けると淡い光が俺を包み、窓を開けると心地よい風が吹いて小鳥達も囀っていた。

そんないつもと同じ光景が今日はやけに俺を優しく包んでくれ、まるで俺を祝福してくれる聖歌のようにさえも聞こえてくる。

いつもなら億劫な気分になる事が多い朝なのに今日は様子が違っているように思える。

そのまま洗面台で爽やかな気分でいつもの様に顔を洗おうとすると親父の「ヴォエエェェ」というえずく音ですら天使の歌声にすら聞こえてくる程なのだからよっぽどだろう。

そんな親父の後で顔を洗い、朝食を食べる為に階段を降りて母親が作ったいつものパンとサラダを食べる。

毎朝いつもと同じメニューのこの朝食だがそれすらとてつもなく美味しく感じられる。

 

「今日は偉くご機嫌ね?」

 

「……そうかな?」

 

母親が俺にそう話しかけてきたが俺は自分の機嫌の良さを隠していた。

 

「母さん、忘れたの?今日は兄さんの大事な試験の日だよ」

 

「あら、忘れてたわ」

 

「ふはははは!母さんは忘れっぽいからなぁ」

 

「もう貴方ったら、失礼しちゃう!」

 

「すまん、すまん」

 

こんな家族団欒を見ていると俺も申し訳ない気持ちになりながらも笑顔になった。

確かに今日は俺の人生についてとても大切な岐路に立たされていると言っても過言ではない。

 

「ふふふふふふ……」

 

思わず笑い声がこぼれ出す。

そうそれもそのはずだろう

何故だって?

それは……

今日は俺が待ちに待った日、女王騎士試験の日だからだ。お正月よりも楽しみにしてたよ。

もう~い~くつね~ると~女王騎士試験♪みたいな感じで……

それほどまでに楽しみにしてるのは理由がある。

自分の為に頑張ってきた……

自分の欲望を叶える為に頑張ってきた結果、騎士学校でそこそこ優秀な成績を修めた。

 

あまり得意ではない剣技の実習も頑張って頑張ってなんとか成績も真ん中ぐらいになった。

座学なんて殆どトップクラスと言っても良いぐらいの成績で俺のちょっとした自慢である。

そしてひたすら女王騎士になる為にいろはを叩き込まれて来て卒業した。

 

周りからは嫌われたのかは分からないがあまり話しかけられて来なかったり、友達もそんなにできなかったがそれもこれもこの日の為に頑張って来たのだ!

 

これでようやく3年間の努力が報われると思うと嬉しくて嬉しくて堪らない。この試験さえこの試験さえ終わる事ができたのならば俺は……

 

俺はニートになれる!

 

誰が女王騎士に好きこのんでなりたいと思ってんだ!

俺は期間限定ニートになりたいんだよ!

 

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