報われない男の物語   作:羽付き羊

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12話「この親あってこの子あり」

トイレが終わりお礼を言ってそのまま帰ろうとしたのだが呼び止められた。

この女の子、イルマちゃんが言うには自分は王族だけどマナが不安定なせいで悪い影響を受け易いらしく、ここで療養しているとの事。

それでも一人は寂しいからお話して欲しいという事だった。

そんな事を不安そうな瞳で目をうるうるさせながら頼まれたら断るという選択ができる訳もなく、当たり障りのないどこから来たとか年齢の話とかジークさんの話とかをたくさんした。

 

何でジークさんの話をしたのかと言うと先日の事について話さなくてはならない。

 

「女の子が喜びそうなものって花かな?」

 

とジークさんから聞かれ話をよく覚えていたからだ。

 

「歳によるでしょう、小さい子ならぬいぐるみとか、若い女性なら貴金属とか、それ以上の人になると花が喜ぶらしいですよ。この前母さんが言ってました」

 

「そんなに言うならお前も一緒に来てプレゼント選び手伝ってくれよ」

 

という話になってそれでプレゼントを選んだのがオーダーメイドのぬいぐるみだった。

男2人で「ああでもない」「こうでもない」「もっと可愛く」とか言ってたのでそのぬいぐるみの事はよく覚えている。

それがイルマちゃんの部屋に大事そうに飾ってあったのでこの子へのプレゼントだったのかと納得したのだ。

 

ぬいぐるみの話を何気なく聞くと満面の微笑みで花が咲き乱れるかようにそれはそれは微笑ましくなる程喜びが伝わってきた。

 

母や姉から以外のプレゼントだからとても嬉しかった。

 

ずっとこんな場所に閉じ籠っているけど、そのおかげでジークにプレゼント貰えて嬉しい。

 

はやくマナが安定できるようになれば皆と外に遊ぶのが夢だ。

 

イルマちゃんはあまり人と会話をしていないせいか凄くたどたどしくではあるが自分の想いを俺に打ち明けてくれた。

あまりの良い子っぷりに涙が出てきたのはここだけの秘密。

 

そんな会話をしていたのだけれど、陛下のところまで行く約束があったのを思い出した。

その場から女王の間の行こうとしたのだけど場所が分からないのでイルマちゃんに聞いたら直接案内してくれるとの事なので一緒に行った。

 

それで陛下と親父が談笑しているところに2人で来ると陛下が凄く驚いていたのをよく覚えている。

何でも人見知りが激しい子なので仲良くしていたのに驚いたらしい。

そりゃ殆ど人と話した事のないような環境ならそうなっても仕方ないでしょうに……

 

そんなイルマちゃんの友達になって欲しいと陛下に頼まれた。

あの目で見つめられると断るものも断れないだろうと思う。

まぁ断る気はないですけどね。

こんな良い子が友達とか普通に俺も嬉しいし癒されるし……

俺の周りは野郎ばっかりで迷惑ばかりかけられるが、イルマちゃんは俺にも気を使ってくれる優しい子だから一緒に遊ぶと俺の心が浄化されていく感覚なのでこちらからお願いしたい程だもん。

いやもう1人の女の子の知り合いのスージーちゃんも良い子なんだけど、あの子とは滅多に会えないしブリュンヒルデ卿がとてつもなく面倒だからなぁ……

 

そんなこんなで暇な時にはイルマちゃんの所へ必ず遊びに出かけていた。

カルマ君やジェダ君は女の子と一緒に遊ぶのが嫌なのか分からないけど誘っても来なかったのでジークさんが任務がない時には3人で遊んだりもした。

 

ジークさんはイルマ姫の事を「放っておけない」とかなんとか言ってたけど単純にロリコンなだけなんじゃ?と思ったりもしたが、一緒に遊ぶと楽しかったのでそんなに突っ込んだ話はしなかった。

 

というか六大公爵家にそんな事を言うと俺の立場がかなり危ない。

生き残るにはスルーも大切、成人すれば大手を振って挨拶できるし披露宴は是非うちのホテルでお願いします。

 

ただジークさんもまだペーペーの従騎士級(スクワイア)の女王騎士で任務で遊びに来れない日も多く2人で部屋でだべって遊んでたりもしたけどイルマ姫の話は大抵ジークさん関連の話ばかりだった。

 

アルマ姫とかたまに来たので一緒に遊んだりもした時には物凄く疲れた……

アルマ姫はお転婆すぎるから本当に大変なのだ。

イルマ姫はインドア派に対してアルマ姫は超アウトドア派。双子で顔は似ているのに何故こうも違う?とよく思ったものだ。

 

アルマ姫にもイルマちゃんはよくジ―クさんの話をしてた。

よっぽど好きなんだね、そして確実に外堀を埋められるジークさんは勝ち組なのだろう。本人的にはどうなのかは分かんないけど。

それにジークさんに話しかけるとイルマちゃんはすっごく良い笑顔になってたしコレはゾッコンloveという奴ですわ。

 

「イルマ姫ってジークさんの事好きでしょ?」

 

2人で遊んでいる時に一応確認してみた。

 

「ええ!そ、そんなこと……」

 

「あるでしょう?」

 

「うう…ディファ君のいじわる!」

 

そう言いながら、ほっぺたを風船のように膨らませている姿はロリコン好きには堪らん姿だと思う。

実際お姉さん好きの俺でも危なかった。

この子のポテンシャルは恐ろしい……

 

「それに姫って言うのはやめてよ!友達なんだから姫って呼ばないで!!」

 

「じゃジークさんの事好きって認めたらやめるよ?」

 

俺ってこんなにSッ気があったのか…自分でも驚くほどです。好きな子ほどいじめたくなる小学生でもないだろうに……

 

「うう…ずるい!!」

 

「ごめん、ごめん」

 

それからイルマちゃんにはジークさんだけいる時や2人で遊ぶ時はイルマ姫ではなく、ちゃん付けで呼ぶことになった。

 

――それにしても俺ってこんなキャラだったけ?

 

 

 

 

 

 

 

最近は嬉しい事がよく起こる。

この前は部屋に迷って入り込んだジークと仲良くなれたし、大きなぬいぐるみのプレゼントも貰えた。

 

ずっと前までは私は一人でここで遊ばなくちゃいけなかったから本当に嬉しい。

時々アルマ姉さんとか母さんも来てくれるけど、ほとんど一人ぼっちだった。

ジークも女王騎士で任務で忙しいからあんまり来れないからやっぱり少し寂しかったけど、違う日に迷い混んで来たディファ君とは一番のお友達になれたので嬉しい事がたくさんになった。

 

ディファ君と会ったのは偶然としか言いようがない。

最初に会った時はビックリしちゃった。

ここに来るには隠し扉を見つけなくちゃいけないから女王騎士の人でもここの部屋を知っている人は少ないんだけど……

 

「……トイレ貸してください」

 

まさかトイレを借りにここに来るなんて信じられなかったよ……

けどあの時のディファ君我慢しすぎて一周回って冷静な顔だったけど、思いっきりモジモジしていたから面白かったなぁー

 

その時に少し話してみて面白い子だったからすぐに仲良くなれた。

 

ジークも話易いけど結構年齢が離れているから少し遠慮しちゃう、けどディファ君は年齢は離れているといっても精神年齢はそんなに離れていなし、私とも話を合わせてくれるのから一緒にいて楽しかった。

 

本当はあんまり他の人と遊んだりしたらダメってお医者さんから言われてるんだけど、やっぱり1人で遊ぶのは寂しい……

だからディファ君がお母さんの所に行くと言っていたので案内した時にお母さんにたまにでいいからディファ君と遊べるように頼もうとした。

 

けどお母さんはそんな事を言う前にディファ君に私と一緒に遊んでくれるように頼んでくれた。

 

とっても嬉しかった。

私は生まれた頃からマナが不安定らしくて他人といると悪影響が出ると言われて1人で遊んでばかりいたから……

 

本当はとっても寂しかった。

 

お母さんは忙しくてほとんど遊んでももらえないし、姉さんも女王を継ぐ為に色々な稽古をして私とはあまり遊んでもらえなかったから……

そんな時にジークが遊んでくれたけど任務とかで忙しい時は私は1人ぼっちだったから寂しかった。

 

だからお母さんがディファ君と遊んで良いって言ってくれたときはホントに嬉しかった。

 

「お母さん、ありがとう!大好き!!」

 

思わずお母さんに抱きついてしまった。迷惑じゃなかったかな?

ディファ君とかギルバードさんとかいたのを忘れたのでそれを思い出して少し恥ずかしかったけど、お母さんは私の頭をずっと撫でてくれたからそれが居心地がよくて離れられなかった。

 

でもお母さんがディファ君に一緒に遊んでくれるように頼んだ時にディファ君は

 

「陛下に頼まれるは光栄な事ですが、恐れながら私は姫とはもう友達だと思っているので……イルマ姫と遊ぶのは楽しいですし迷惑でないならこちらから頼みたい程です」

 

と言ってくれて私は凄く驚いた。

 

だって私はお部屋ばかりで遊んでいてディファ君ぐらいの歳の子はお外で遊びたがるのにディファ君はそれでも私と遊ぶのは楽しいと言ってくれた。

ディファ君は本当に優しいと思う。

 

そんな事もあって私達は色々な遊びもたくさんした。

 

ディファ君の友達の話も聞いた。

 

六大公爵家のブリュンヒルデ家のスージーちゃんと遊んだとか。

 

そのお兄ちゃんのイージス君は妹仲が悪いのか分からないけど絶対一緒にはいないとか。

 

ルナハイネン家のキャロルちゃんには何でかよく分からないけど鞭でよく叩かれるから苦手だとか。

 

そんな外のお話もたくさん。

 

ディファ君は料理ができると言っていたので料理も教えてもらった。

ジークに私が作った不格好なクッキーをあげる時は緊張した。

でもディファ君は

 

「ジークさんはイルマちゃんのなら食べてくれるよ。このクッキーは形が悪いかもしれないけどイルマちゃんの想いが入ってるからね」

 

と言ってくれて、その通りでジークは美味しそうに全部食べてくれて私はとっても嬉しかった。

最近は本当に嬉しいことばかりだ。

 

そんな感じで半年が過ぎた。昔とは考えられない程今は幸せ。

 

……でも私は不安なの、私みたいな子がこんなに幸せでいいのかな?お母さんにも姉さんにも私のせいで迷惑かけてばかりなのに…

 

「イルマちゃんが幸せじゃなかったらアルマちゃんも陛下も幸せじゃないと思うよ?ここだけの話だけどね、陛下、親父によく相談してるよ?『イルマは我慢しすぎているから心配だわ』って」

 

ディファ君はそう言っていた。

ディファ君は冗談とか意地悪はよく言うけど嘘は吐かないから本当の事だと思う。

 

けど私はお母さんに心配されるような悪い子だ。

そうだ、それならお母さんに心配されないような良い子になればいいんだ!

 

「ううん?心配するのは親なら普通なんだけど……まぁでもイルマちゃん何か危なっかしいから何かあったら俺にも相談してよ?」

 

とディファ君は言ってくれた。

ディファ君は秘密にしてと言ったら秘密にしてくれるから相談しやすい。

「ジークが好きな事は秘密だからね!」と言ったら本当に秘密にしてくれたもんね。

 

それにしてもディファ君は不思議だな、何だろう?

 

よく分からないけどディファ君は何か普通の人とは違う気がする。

ギルバードさんもそうだけど。

何が?と聞かれたら分からないけど不思議な感じがする。

 

「イルマちゃん、今日は何して遊ぶの?」

 

ノックの音がしてディファ君の声がする。

 

「ええとね、ぷよぷよはどうかな?」

 

まぁいいや、今度考えよう。

今はこの幸せが長く続いてくれるだけで良いもん。

 

 

 

私としてはイルマもアルマと同様に大切な娘の1人であり自慢すべき娘である。

それは誰にどう言われようとはっきりと自信と誇りを持って答えることができる。

 

だからこそ、マナが不安定なだけでイルマを隔離するのは私自身反対しているのだが、他の女王騎士達にそれが「イルマの為だ」と言われてしまえば私には拒める事はできなかった。

確かに不安定なところにイルマが暴走すればイルマが壊れてしまうかもしれないのも事実だからだ。

私は心を鬼にしてイルマを隔離する事を決めたのだが、イルマは何も文句を言わずにその事を受けとめてくれたのだけれど、私はそれが余計に心配だった

 

イルマは聞き分けの良すぎてしまう娘だから「分かった」と言い、「嫌ならいつでも言ってね?」と言っても「私の為だもん、お母さんのせいじゃないから…」と泣きそうに笑って答えてくれたのだ。

 

できる限りイルマが寂しくないようにと考えてはいるのだけど、やはり1人ぼっちで幼少の時期に育つのは心の教育の為にも心配だった。

 

そんなある日イルマが女王の間に少年を連れてきた。

ディファイ=R=ボルトというギルバードさんの息子、それに私は驚いた。

イルマは滅多な事がないとあの部屋から出ようとしない。

用件があるのならいつでも騎士を呼べるようにもしてあるのでイルマ本人がこの女王の間来るのは今までなかったから私の驚きも当然なのだ。

経緯を聞けばディファイ君があの部屋に迷いこんでそれで仲良くなったらしい。

 

イルマの顔をみればディファイ君ともっとお話とかをしてみたい事はすぐ分かった。

しかし私はイルマの母親である前にこのアルシリア王国の女王である。

この少年が王族に害意を持っているのなら二度とイルマと逢わせてはいけない。

 

「ディファイ君、イルマの友達になってもらえないかしら?」

 

私はディファイ君を試してみた。

女王という仕事についていると相手の悪意には敏感になる。甘い密を用意する事でどう返答するかで相手の害意を確かめる事は容易なのだ。

 

「陛下に頼まれるは光栄な事ですが、恐れながら私は姫とはもう友達だと思っているので……イルマ姫と遊ぶのは楽しいですし迷惑でないならこちらから頼みたい程です」

 

この子の目には何の嘘もない。

本当にそう思っている目だった…

子供でも打算的な人間はいる、王族の人間だからとかそんな理由の人間が多いのは私が生きてきた中で何度も嫌という程経験してきたから分かる。

 

しかしディファイ君はそうではなく本当にイルマと一緒にいて楽しいと思っているのだ。

 

当然、悪影響を受けるかもしれない恐れもあったが、ディファイ君がギルバード=R=ボルトの実子だという事を聞けばそれは何の問題もないと思われる。

 

何故なら私が子供だった頃、誘拐されたのを体を張って助けてくれた人の息子だからだ。

 

まだ私が姫であった頃の話だが、女王騎士の目を盗んで外に遊びに出た私は不覚にもどこかの国の隠密に誘拐されてしまったのだ。

当時、私は世間知らずで美味しいからと勧められた饅頭を食べた。

まさかそれが睡眠薬入りだとも知らずに…

 

「あれは大人が食べれば一口で一晩はぐっすり寝る薬だぞ?」

 

と捕まった後に女王騎士の尋問官に嘘を吐いていたのは良く分からないが……

私は軽く10個は食べていたからそれはないと断言できる。……そうだよね?

 

まぁともあれ、そんな睡眠薬で眠らされた私を抱えて逃げている男に対してギルバードさんは体当たりをして誘拐犯を止めたらしい。

その衝撃で袋から飛び出て目が醒めた。

 

どうやら明らかに怪しい男が子供一人入りそうな袋を背負っていたので中身を確認する為にわざとぶつかったのだろう。

 

そしてぶつかった事を平謝りしていたおかげで女王騎士が間に合い、なんとか誘拐されずに済んだのだ。

 

「ありがとうございます」

 

「私は何にもしていませんよ?」

 

と少年は私の顔を見て言った。

私の顔はこの国の民なら誰でも知っている程有名である。というかコレでもこの国の姫だったので知っていて当然なのだが……

 

「では失礼致します」

 

しかし少年は礼を求めるどころか彼はそう言ってすぐにこの場から去ろうとしたのだった。

当然の事をしたから礼には及ばないという事なのであろう。それに私は感動した。

迷惑だとは思ったがここで礼をしなければ王族としても面目がたたない。

 

「今度、城に招待しますね」

 

「はい?」

 

「その時に改めてお礼をさせてください」

 

「お礼なんて、滅相もない!私は本当に何もしていないので…では!」

 

「あっ…」

 

その場から走ってどこかへと行ってしまった。

 

「彼は何者なんですか?」

 

と私の側近の女王騎士が聞いてきたが私にも分からない。

そこで私は女王騎士にあの少年を探すように頼んだ。

礼がまだ済んでいないと、私自身が彼にしっかりお礼を言いたかったからだ。

 

翌日、簡単に見つかり私の方からその少年の実家のホテルに出向いていった。

 

「な、何でアルテリーナ姫様がこんな場所に……?」

 

と少年は驚いたようだった。

私はお礼を言いに来てその事で何かできないかを聞きに来たのだと説明した。

 

「姫様、申し訳ないのですが、私はお礼をされるような事をした覚えはありません。仮にそうであってもそれは当たり前の事をしたはずですから。お礼なんて要りませんよ?」

 

私は驚いた。

少なくとも命を助けたのにそれが当たり前の事だと言えるこの少年、私はこういう人に女王騎士になってもらいたいと思ってしまった。

当時は王族の推薦があれば中途入団できるようなっていたのでそれを使おうとする程に願ってしまったのだ。

 

「ならせめて女王騎士になっていただけないでしょうか?アナタのような人にこの国を守って頂きたいのです。」

 

「ひ、姫様?それは…」

 

「黙ってください。私はこの人に聞いているのです」

 

「はい」

 

私は本当にこういう人に女王騎士になってほしいのだ。

昨年終わったばかりの女王騎士試験、たぶんこの人の年齢は13歳ぐらいだし本来なら4年後に正式に試験を受けてもらうのが良いとは思う。

 

しかしこの国は当時大変不安定な時期にあり、女王騎士も負傷や死亡などして人数が足りず、女王騎士になる為の訓練できる施設すらも戦争の為に運営できなくなった事もあり王族の権限で見込みがある人物は見習いとしてだが女王騎士になれる事ができたのだ。

 

ならばこういう誠実な人を育てた方が将来的にこの国の平和になるのではないかと思い女王騎士に誘ったとい訳だ。

 

女王騎士になる事はアルシリアに男として生を受けて生まれた者なら誰もが夢を見るものだと私の周りの人間は皆そう言っているからこの人も例外ではないだろう。

 

「……確かにこの国自体を守るのは大切な事だと思いますし、女王騎士なんて名誉すぎることだとは思います」

 

「では!」

 

「しかし、私は家を継ぎそして子孫を残さねばなりません。それはこの国の未来へとも繋がっていくことだと私は考えています。今このアルシリアは他国からの侵攻もあり不安定であるからこそ騎士以外の人間がこの国を支える土台を作るべきだと私は考えているのです。騎士の人が安心して国を守れるような国作りをする事も大切な事だとは私は信じています」

 

「……そう、ですか」

 

少し期待していたのが、それは無理なことだという事がわかり残念だった。でもこの人の言う事には一理ある。だからこそ私はこれ以上は何も言えなかった。

 

「……ただ、私のような人間でも必要なら頼って下さい。それが今の私が唯一できる約束です」

 

「!!はい、また機会があればここに来ると思います。その時はよろしくお願いしますね」

 

「それに私は無理ですが、もしも将来2人以上子供ができたらその中の1人を女王騎士になるように育てて国を守れるように出来るだけ約束しましょう」

 

「その時はお願いしますね。でもお礼がまだ……」

 

ここまでの事を言ってくれて命を救ってくれた少年に恩を返さねばアルシリア王家の名が廃るというものだ。

 

「…なら約束して下さい。この国が永久に平和になるように努力してくれると……」

 

「……はい、分かりました」

 

 

お礼とかなんとか言ってる私が愚かに思えてしまった。

 

この人は女王騎士でもなんでもないのにこの国の事を思ってくれている。

私はそれが嬉しかった。

 

「姫、あの少年は本当にこの国を思っているのですね…」

 

「そうですね。私たちもあの人との約束を無碍にしないように頑張りましょう」

 

「はい!」

 

 

姫を助けた貴族の息子が報奨を受け取らず、「国を良くしてくれ」とだけ言ったという事実だけが女王騎士の中で噂となり、そこで彼の父親が経営していたホテルが騎士達やその親戚や家族などが泊まったり、その事を聞いた受験者達が物珍しさや願かけでそのホテルに行ってみたりして有名になるのだが、それはまだ少し先のお話である。

 

 

そのホテルの名前は「憩の郷」。なぜか、すこしあっちの方を想像してしまう名前のホテルだった。

 

 

 




日間ランキング1位とかそりゃまぁ驚きますよね……
なにがどうなってこうなった?
嬉しい反面不安にもなりますね
それにしてもarcadiaでやってた頃に薄々気付いてましたが原作知らない人が以外と多いですね。
ちゃんと原作キャラの魅力が上手く伝わってるか、それが一番不安です
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