報われない男の物語 作:羽付き羊
デイファイの愛がアルシリアを救うと信じて……
15話「こんな最終話は嫌だ!」
「――やっと、やっと終わるんだな……」
アルシリア城内を走りながらジ―クさんはそう呟いた。
「ああ……」
「ええ……」
「そうですね……」
「……」
エルト君とアルマ姫、陛下がそう返事を返す。
カルマ君は黙ってうなづいた。
それに対して俺はこれまでの事について振り返っていた。
あの崖から落とされた後、ジークさんに助けられた俺とカルマ君はアルテリーナ陛下に会った。
そこで話を聞いたらレヴァンデイン卿から襲われてマナを失いジークさんと一緒にマナが回復するのとレヴァンデイン卿を打ち破る力を蓄える為にトアル村に逃げ込んでいたらしい。
その話を聞いた俺とカルマ君はジークさんや陛下の元で修業をした。
修行から1年間が過ぎる頃、風の噂でアルシリアがエルムガンド公国に攻撃を仕掛けるのではないかと言う話を聞いた俺達はそこにレヴァンデイン卿が一枚噛んでいるのではないかと思い、トアル村の人達の造った飛行戦艦と俺用の聖騎装とカルマ君専用の聖騎装を携えて出発をした。
なんでもトアル村の人達は元々は
準備を整えた俺達がエルムガンドで見たのは最悪の光景だった。
なんとアルシリアの女王騎士達がヤパーナやワールーク、エルムガンド、ギスカーン、マクノイスの国々の騎士達に戦争を仕掛けている姿だったのだ。
さらに大きなバーチャル映像で映しだされたイルマちゃんの変わり果てた姿もそこにはあったのだ。
「あははは、死ね!我に仇なす存在は皆死んでしまえ!!」
そう言うイルマちゃんを見るアルテリーナ陛下は辛そうだった。
しかし、そうも言ってはいられない状況で俺達は各国々の王族達を守るべく戦争の渦中へと踏みだしたのだ。
だけどその結果は惨敗。
結局誰一人として救える事はなく女王騎士や魔黒騎士達に王族達を攫われてしまったのだった。
「っく…今までの修行は何だったんだよ!!」
「ディファイ……」
そう叫ぶ俺にカルマ君は声を掛けようとするが上手く言葉が出てこないらしい。
しかしそんな事をしている間にアルマ姫にピンチが訪れていた。
アルマ姫は各国の新人騎士大会に来賓で来ておりこの戦争の事は何も知らされていなかったらしいというのを後々聞いた。
ロイヤルガードの人達ですら姫と新人騎士大会にエントリーしていたエルト君を逃がすので精一杯だったらしく、時間を稼いで死んでいってしまったらしい。
「俺が生来を懸けて一生守ると決めた人に手を出すなぁぁぁ!!!!」
アルマ姫を殺してイルマちゃんを正式なアルシリアの女王とするべく、謀反を起こした女王騎士達や実はアルシリア王国の暗部であった魔黒騎士達を前に、エルト君が自分の真の力が目覚め、暗黒騎士達の幹部をバッタバッタとなぎ倒していき敵は一端逃げたようだった。
しかし、空を浮かぶ移動要塞であるアルシリア城の主砲がエルト君とアルマ姫達に牙を向けようと動きだした。
エルト君はもう力が出ないらしく、アルマ姫を抱きしめて庇おうとするだけの力しか残っていなかった。
そして主砲がエルト君達に向かって発射されようとするその刹那、一人の男が現れた。
「若い命に後は任すかな……後は頼んだぜ、ディファイ」
それは俺の父ギルバードだった。
「何やってんだよ!!親父!?そこから逃げろよ!」
「逃げれたら苦労はしねぇよ。ここで俺の全てを懸けてコイツ達を守る。エクスードとバルトとの約束だしな…」
「頼むよ、逃げて…逃げてくれよ」
「おいおい、泣くなよ。お前はボルトの血を受け継いでるんだぜ?じゃあな母さんのところに行ってくるわ…」
親父は光弾の篭手に自分の全てを込めたマナを主砲に向かって撃った。しかしそれは無残に押し返され親父は死んだ。エルト君とアルマ姫を救って…
「お、親父ぃぃぃ!!!!!!」
結局この戦争で活躍した魔黒騎士達はアルシリアの主要騎士になった。
そしてアルシリアも神聖アルシリア帝国という名前に代え、その初代王女にイルマちゃんが即位した。
俺は復讐に燃えた。
親父を殺したレヴァンデイン卿を倒す為に……
そして7年の月日が流れ、力を蓄えた俺達はアルマ姫を中心に反乱軍をたちあげたのだった。
どうやらマナの回復しきっていないアルテリーナ陛下よりもアルマ姫の方がマナもあり、さらに今まで頑張ってきた成果を横取りしたくないという事でそうなったらしい。
そして神聖アルシリア帝国の首都になんとか着く事ができた俺達はアルシリア城まで辿り着いた。
しかしそこでアルシリア城が巨大ロボットになって俺達を襲って来たのだ。
「なんなんだよコレ?どうやってこんなのと戦えばいいんだよ!?」
と叫ぶエルト君。
「定石としては内部からの破壊だが…」
と言うカルマ君だが、どうやって侵入すればいいのかが全く分からない。
そんな事を考えていると胸の扉が開いた。
そこに居たのは血だらけのルカ君だった。
「兄さん、ボクはこんなやり方間違っていると思うんです……どうかこの国を救ってください……」
どうやらルカ君は神聖アルシリア帝国のやり方に嫌気がさして裏切り城内へ行けるようにしてくれたらしい。
しかしその代償は大きく血塗れになってしまったようだ。
そんなルカ君を受け止めるジークさん。
「許さねぇ……絶対に許さねぇぞレヴァンデイン!!」
そして奥に進んで行くと暗黒騎士達の幹部がそこにいた。
しかもなんとジェダ君がそこで不敵に笑っていた。
「兄貴ぃ待ってたぜぇ!!」
「何でお前が暗黒騎士なんかに!」
その言葉を皮切りに戦い出す兄弟。
魔黒装の力を使って互角以上の勝負をするジェダ君だったが、お互いに最後の力を振り絞った攻撃に倒れるジェダ君。
「くははは、力を求めてこの様だよ、兄貴にただ勝ちたかっただけなのにな……」
「……こんな事しなくてもお前はいつかは俺を超えていただろう」
泣きそうな声でジェダ君にそう言うカルマ君。
「…ははは、本当は俺さ兄貴と親父に追い付きたかっただけなんだよ。何でこんな事になっちまったの…か、な………」
琴切れたジェダ君。それを抱きしめるカルマ君。
「……泣いている暇なんてないなディファイ。先に進もう!!」
ジェダ君の亡骸をその場に置いてさらに先へと進む。
その間に他の幹部は他の仲間たちが倒してくれたらしい。
そして諸悪の根源であるレヴァンデイン卿がそこに待ち構えていた。
「ははは!俺は自分自身を魔黒装へと変えたのだ!!そんな俺にキサマ等ひよっこが勝てる訳などないわぁ!!!」
といいながらロボットになったレヴァンデイン卿が襲ってくる。
「ここは俺に任せてくれないか?」
俺は皆にそう告げた。ジークさんやカルマ君には悪いけど俺はコイツは許せないのだ。
「…負けたら俺が倒すぞ」
「…ああ任せた」
そう言って剣を鞘に戻すカルマ君にジークさん。
「何人で来ようが変わらないわ!!!」
そう言って襲ってくるレヴァンデイン卿。
一撃の攻撃が重くてさらに速いというやっかいなものだったが、俺にはボルトの血が流れている。
代々ボルトの血というのは後継者に力が渡されていくというものだ。
そして親父という後継者が死んだ今、俺にその力は渡っている。
「喰らえ!!!ボルト・バースト!!!!!」
そう叫びながら俺はレヴァンデイン卿を倒した。
「……ワタシが負けるとはな、でももう遅い、この城に取り込んだイルマはもう助からないぞ?ははは!!!洗脳したかいがあったわ!!」
と言いながら自害するレヴァンデイン卿。
そしてイルマちゃんを救う為に今この城を走っているという訳だ。
そして女王帝の間に着くとそこにいたのは城と合体したイルマちゃんの変わり果てた姿だった。
「イルマ……」
顔を覆うように言う陛下。
俺も正直見ていたくなかった。何故なら昔のイルマちゃんを知っているからだ。
ジークさんもアルマ姫も顔を下に向け涙を流していた。エルト君はただ呆然とその姿を見ていた。
「…私がこの城の核であるイルマごと破壊します。」
「「「陛下!?」」」
「お母様!?」
その言葉に驚きを隠せない俺達。
「この城は破壊しないと巨大ロボットのまま今も民や他の騎士達、国を破壊しています。そんな事をこの子にさせているのは私のせいです」
「……分かりました」
「おい!ディファイ何を言って…?」
「今一番辛いのは陛下だよ…陛下に任せよう」
そういう俺の言葉に皆納得したらしく俺達はその場から離れていった。
イルマちゃんは核にされているのでそれを破壊したら爆発する。
つまり陛下は死ぬ覚悟だった。
そして城は爆発して沈んだ。
「なんで報われないんだよ…」
そうエルト君が漏らす言葉に俺は痛く共感していた。
しかしこれで物語は終わらないらしい。
アルマ姫が死んだはずのレヴァンデイン卿が連れ去っていったのだ。
「ははは!ワタシがわざわざ本当自分の自分を出すと思っていたのか?馬鹿どもめ!!さぁこの魔王装をどうぞ、アルマ姫…」
「やめろぉぉぉ!!!」
エルト君が叫びながら言うが間にあわずアルマ姫は何と“与えし者”になった。
『何だかまだ力が出ぬな…あそこで力を蓄えよう。』
そう言いながら暗黒マナの溜まっている塔へとアルマ姫は飛んでいった。
「離せ!!俺が今からアルマ姫を連れ戻すんだ!!!」
そういうエルト君だがこの戦いでもうボロボロなので皆が止めていた。すると神々しく光りながら剣が飛んで来た。
『おいおいディファイ。何してんだよ?』
「お、親父?」
なんとそこに現れたのは死んだはずの親父だった。
『今は死の世界から連絡してんだが長くは持たん。聞けボルトの血を受け継ぐ者ディファイよ、この剣は今のお前なら使いこなせるはずだ。過去玉の真の姿を!』
「これが?」
神々しく光る剣を手に持ちながら俺はそう言った。
『ああ、この国を…いや世界を頼んだぞ。』
親父はそう言って消えた。エルト君にも光る剣が渡されていた。これならいけるはずだ。
1週間で傷を癒した俺達は戦いの場に臨もうとしていた。
「今から世界…いやこの報われない物語に終止符をうちに行くぞ!!」
「おおう!!」
と返す反乱軍の面々。そうだ俺達の戦いはまだまだ続くんだ。
「……っていう夢を見たのか?」
俺の夢の内容を言うとカルマ君は「すごい夢だな」と言いながら昼ごはんのA定食のサバ味噌を食べながらそう言った。
「まぁね、っていうかツッコミどころありすぎて何が何やら分からないしね~」
俺も鰤のセット定食の鰤の照り焼きを食べながらそう言った。あ、ごはん粒飛んだ。
「まぁ巨大ロボットが一番のツッコミどころじゃないか?」
「いやいや、ボルトの家系うんぬんの話でしょう。それか親父が凄く格好いいのと母さん死んでないのに死んでるみたいなとことか」
「俺としてはジェダが嫌だな。あり得そうで怖い」
そう言いながらカルマ君は本当に嫌そうな顔でほうれんそうを俺に渡してきた。
ほうれんそう嫌いだもんね、カルマ君。
「いや何で俺が出てこないのかが聞きたいんだけど?」
とシモンズ君がすき焼き定食のシイタケを俺に渡しながらそう言った。
「だって、出てこないんだから仕方ないじゃん。」
「何だか除け者のされた感が半端なくて嫌なんだけど…ていうかレヴァンデイン卿悪役すぎじゃね?」
とか言うシモンズ君、俺に聞かれても困る。
だって夢だもん。
「そういうな、シモンズ。ディファイはデスフォレストに明日行くからそういう夢を見たんだろ。」
「ああ、明日からだったけ?」
そういう事を思い出させて欲しくはなかった。
そうなのだ。明日はとうとう魔黒騎士の修行の一環としてデスフォレスト。通称“死んだ方がマシな森”に行かなければならない。
なぜこんな事になったのかというとそれは崖から落ちた時に遡る…
はい
女王騎士物語の最終話を夢オチという形で書いてみました。
まるで同じではありませんが女王騎士物語の最終回って小説で表すとこんな感じだと思います。
超展開なんですよ、いや本当に最終回はね……
だから二次創作書いてみた次第なんですけどね。
本来ならエイプリルフールネタなんですが少し忙しくなりそうで早めの投稿です。