報われない男の物語   作:羽付き羊

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書いてたプロットとネタの鮮度が違うと書き直したくなるのがss書いてる人間の性なんですよね
今回魔黒騎士放浪編ラストです


22話「予想の遥か斜め上の事を言われてもキャパオーになるだけ」

「んで、アルシリアにいる筈のお前が何でこんなとこにいるんだ?」

 

ギスカーンにやって来て有名なジンギスカン料理店で食べているとジン王子に捕まってしまいました。

 

いやフラグ回収とか以前の問題ですわ。

ペット同伴で料理を食べれる美味しい店があるって聞いてそこで飯を食べてたら普通に遭遇してしまった。

まぁジン君はちょっとオツムが弱いから何とでもなるだろう。

 

「いや……美味しい店があると聞いてたんで来ちゃいましたね」

 

「だろう?ここ俺の経営してる店なんだわ」

 

やっぱりめちゃチョロいわジン君。でも君王子だからもうちょっと警戒心持ってないとダメだと思うよ?

 

因みに何でこんなにジン王子ことジン君と俺がフレンドリーなのかと言えば、ギスカーン帝国は実家の仕入れ先で何故か爺さんの代でギスカーン帝国の皇族が厳選した食材を仕入れる事となり、繋がりがあるのだとかで実際にギスカーンに行って食材を食べに行く機会があった時に仲良くなった。

今考えても皇族直々に食材の説明ってやっぱりおかしいと思う。

 

「コンバートさん元気にしてるか?」

 

「元気すぎて困っちゃう程には元気だよね」

 

「いやぁ、お前の祖父のコンバートさんには俺のじいちゃんの代から色々とアドバイスして貰ってるし気になってなぁ」

 

俺の家系はどうにも皇族との繋がりが出来やすい家系らしい。

自分で言ってて何を訳の解らん事を……と思うが事実なので仕方ない。

 

爺ちゃん本人曰く、そんなに凄い事をしてる訳ではないらしく、自分の思ってた事と違う認識で相手が勘違いして結果的に爺ちゃんが凄いみたいになるらしい。

その結果が今のジン君と俺がフレンドリーになっているのと繋がっているのだ。

 

「そう言えば新人騎士大会でしたっけ?アレにジン君出場するらしいじゃないですか!凄いですよね」

 

「え?何で知ってるんだ?」

 

本気で驚いてるみたいだが、その事に俺が驚いたわ。

 

いやだってねぇ?

 

"ジン王子新人騎士大会出場おめでとう割引"って書いてあるからそれぐらい誰だって分かるよ。

 

全品20%とオフだから財布に優しいから別に良いんだけどさ。

 

「ははは……まぁこの店で知ったんですよ本当に凄いですね」

 

「まぁギスカーンの新人騎士じゃ俺の足下に及ぶ奴がいねーからなぁ当然だけどよ」

 

自分に自信満々な所は相変わらずだなぁ……

 

「くぅぅぅーん」

 

おや?ベルがもうお腹いっぱいで眠たいらしいな。それじゃそろそろお勘定でも払っておいとましますかね。

 

「ん?お前金払うつもりかよ!?」

 

財布出す俺を見てジン君は俺の手を握った。

 

え?どしたの?

 

「水臭い奴だなぁ、ここは俺の店っつっただろ?んなもん無料で良いに決まってんじゃねーか」

 

キュン……

 

 

 

は!?

 

今、俺は男にときめいてたの?いやぁ皇族って怖いわー

 

「コイツの卓、全部俺持ちで良いからな」

 

「分かりました。ジン殿下」

 

「殿下なんて柄じゃねーよ、ジンで良いって」

 

「流石にそれは不敬ですよ」

 

「バカ野郎、国民あっての皇族だぞ?敬われる様な事は俺はまだしてねーからな、ただのジンで良いっつってんだよ」

 

「ジン皇子……」

 

ヤバい、ジン君の好感度がストップ高なんだが。バカだけど。

 

「んじゃあゆっくり食べていってくれや!俺は今からエルムガンドに出発なんでな!」

 

「今からですか?まだ新人大会までは1ヶ月は先ですよね?」

 

ここから1週間もあれば馬で寝泊まりしながらエルムガンドまでは余裕で到着できる。

ましてや皇族のジン君であれば馬よりももっと良い神獣クラスの騎獣がいてもおかしくないから不思議な話だ。

 

「何言ってんだよ、ギスカーンの料理をたらふく堪能する為に決まってんだろ!その国によって味の方向性を変えて行かなきゃチェーン店なんざ夢のまた夢だぜ」

 

「流石ですぜ!ジン皇子」

 

「俺等の大将はやっぱり漢だねぇ!」

 

店員の人達やお客さんがジン皇子を称えている。

 

いやあんた新人騎士大会に出る為に行くんだよね?

チェーン店出す為にエルムガンド行く訳じゃないよね?

やっぱりバカだなジン君は。

でもそういうバカは嫌いじゃないよね俺。

 

「アルシリアに店を出す時は言って下さいね。微力ながらお手伝いさせてもらいます」

 

「微力な訳あるかよ頼むぜ兄弟!」

 

そう言って出された右手を俺は握った。

 

「何これ?」

 

小声でベルが呟いたのは仕方ないと思う。

その場のノリって大切なんだよ。

覚えておいて損はないんだよベル?

 

 

ギスカーンでは特に何事もなく終わった。

いやまぁジン君に会っている時点で何事もない訳じゃないけどまぁ実に平和に終わったのだ。

実際調査してみた結果もさほど大した事はなかったしね。

 

残す所はワールークだけなんだけど、別に行かなくても良いと思ってるんだよね。

まぁ仕事だから行った方が良いとは思うんだけどさ必要性がないんだよなぁ……

 

そんな事を考えながらベルを連れて歩いていると誰かに見られている気配を感じた。

 

……この気配は間違いない。気配を感じた場所に向かって短剣を投げるとキンッという金属に跳ね返される音が帰ってきた。

 

「……やはり貴様か、仮面の騎士よ」

 

そこに現れたのは現在俺達、魔黒騎士と敵対している仮面の騎士。

つまりはジークさんだ。

 

「……ディファイ、お前が魔黒騎士に堕ちていたとはな」

 

「ここで会ったが運の尽きよ仮面の騎士、いや裏切り者の憐れな男よ」

 

「お前を正気に目覚めさせてやる」

 

「ふ……やれるものならやってみるが良い!」

 

 

「「決闘だ!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だぁぁぁまた負けたぁ!!」

 

そう言ってカードを投げ捨てるジークさん、いやカード痛むから大切にしてあげてよスリーブ入れてるとは言えさ。

 

「いやぁジークさん相変わらずヒーローデッキ好きですよね」

 

「なんだよ俺が現役でやってた時なんてシンクロがギリギリ出てぐらいだぞ!

 

ここまでの会話で分かるとは思うが、俺達がやってたのは決闘は決闘でも決闘(デュエル)の方である。

昔からだけどこの人とは俺と会ったらデュエルしたがる。

それもシチュエーションに滅茶苦茶こだわりがあるらしく、俺が敵役でジークさんが正義の味方じゃないといけないのだ。

 

俺もどうかとは思うのだが歳上のお兄さんが駄々っ子の様にごねる姿を見てしまって以来ずっとこうなってしまっているのだ。

 

「あれからエクシーズとかペンデュラムとか色々召喚方法増えましたからねぇ」

 

リンク召喚?なにそれ美味しいの?

 

「ペンデュラム?それってデジモンの振る奴の事じゃねーの?」

 

やっぱり古い人だなぁ……

今の子はデジモンがドット絵だった頃すら知らないんじゃないだろうか?

デジモンワールドは神ゲーってはっきり分かんだかね!

 

「そにしてもお前も魔黒騎士として潜入調査とか大変な役目だよなぁ」

 

「まぁそうですね」

 

確かに潜入調査は凄く面倒臭い限りである。

なんで各国に行った潜入調査なんてしなくちゃならんのだ。

俺はあくまで数年ニートとして暮らしたいだけなのに……

 

「そういや女の仮面騎士様は一緒じゃなかったんですか?」

 

いつも一緒に行動している方が見当たらないのでそうジークさんに聞いてみた。

 

「各国の不穏要素を調査してるぐらいだし今回は別行動だな」

 

まぁあの方は正直護られる様な器じゃないぐらいには本来強いからなぁ……

 

「で何か不安要素とかあったんですか?」

 

何気なく軽い気持ちで聞いたのだがジークさんは急に真面目な顔になった。

え、まさか不安要素あったの?

 

「ディファイ、ワールークの事は知っているな?」

 

「……はい」

 

「こればっかりは俺達でも流石にどうする事が出来ない事案だ、色々と暴動が起きそうになっている」

 

「え!?まさか……」

 

「そうだ……リンク召喚ってのが出て来てカードの価値が暴落しているらしい」

 

そっちかーい!

いやワールークと言えば機械で有名だけどカードゲームの聖地でもあるのだ。

だからネットでワールークの事は大抵分かるし、なんかネット知り合いのバル君ってのがワールークの内情に詳しいから別に行かなくても良いと思っている訳なのだ。

 

なんだよシリアスになるかと思ってちょっとビビったじゃんよ。

 

「あ、そうそうディファイは知ってると思うけど」

 

ん?他に何かあったけ?

リンク召喚以外は特に問題はなかっと思うけど……

 

「近々、世界大戦が起きるぞ」

 

……そんな話は聞きたくなかったでござる。

 

正義の味方(仮)side

 

伝えるべき事は伝えてディファイと別れた。

 

久し振りに会ったというのにディファイはまるで変わってはいなかった。

流石に魔黒騎士になったという話を聞いて驚いたが、アイツは恐らく女王騎士にそのままなった場合は魔黒騎士の動向が掴めないというのを計算したのだろう。

 

やはりギルバードさんの血筋だな慧眼っていうのか?そこがズバ抜けている。

 

それにしても魔黒騎士内部の潜入調査なんて骨が折れる事をよくやれるな年下を尊敬するなんて思ってもみなかったぜ。

 

シェリーの事にしてみてもルカの事にしてみても今に思えば計算通りだったのか?

 

もしディファイが試験を受けていなかったと思うと考えてみるだけでも恐ろしい。

 

あの時にシェリーが無事だと言うことをルカが知らなければその責任でルカは闇に堕ちていた可能性は充分に考えられるし、そのまま魔黒騎士になっていた可能性すらある。

しかしそうはならなかった。

 

あの時にディファイがいたからだ。

不思議な話だがディファイがいなければ色々と不都合になる場面も多かったのは間違いない。

いて欲しい時に何処からか現れる。

そんな奴なんだディファイという男は。

まるで俺の目指している正義の味方そのものだ。

 

年下に負けていると思うと少しばかり悔しいと思ってしまうのは俺がまだ不甲斐ないからだと思う。

 

だから下らないとは分かっているが遊びでディファイに悪役をやって貰って自尊心を護ってる所がある。

 

アイツが本気で嫌がってるなら辞めようと思っているのだが、結構ノリノリでやってくれる。

 

案外そういう事も好きらしい、ルカはこういうノリが分からないからなぁ……

デュエルとかも全く興味を示してくれなかったし……

 

まぁルカはルカで真面目だしピュアだから仕方ないんだが尊敬だけの眼差しを向けてくるのは正直嬉しい反面、息抜きが出来ない。

 

立派な兄だという姿を見せてやりたくなるのが兄貴という生き物だから仕方ないんだよ……

 

別に嫌いという訳ではなくむしろ好きだからこそという部分が強いんだよなぁ……

 

さてそんな弟が平和で暮らせる為に今日も魔黒騎士の拠点を潰すとしますかね。

近々起こる大戦の為にも戦力は削っておかないと行けないし、何よりディファイに負けない正義の味方になるためにもな!

 

 

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