The Echo ~Reflection of The FullMetalPanic~   作:手拭

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※前話ですがGWに投稿した15話(仮)を削除し、正規の前編分を書き換えて更新しています。今回分は後編です。そのまま読むと前後関係が繋がっていないので注意してください。


17.それは答えのない答え(後編)

会話中に相手をなんとなく視線を合わせたくないときというのはある。

レナードにとって今がまさにそのときだった。

 

旧敵。

 

敵ながら知っている存在というのは時間が経過すればそこにも特定の感情というものが生まれる。

もっとも、決して相容れることなどはないのだが。

 

 

陽はもう沈みきってしまい、街並みは夜の姿をとっている。

 

 

切った頬に触れる。

当然、手には血がついてしまった。

 

だがそれを拭うことも無く彼はまたぼんやり街並みを眺め始めた。

 

 

不思議と文句を気持ちにはならなかった。

 

相手であるサガラも何も言わずに黙り込んだままだ。

 

 

「どういうつもりだ?」

「つもりも何も無い。最初に言ったはずだ。お前に教えてやると」

「それは聞いた。だから、なにをだ」

 

 

文句は言わないが、いい加減に何が言いたいのかを知りたいのも本音だ。

正確に表現すれば彼は、"聞きたかった"のかもしれないが。

 

 

「言葉にする必要まではないと思ったが、そこまで言うんだなら言ってやろう」

 

「・・・」

 

いちいち腹の立つやつだな。

徹底的に合わないのを感じるのは相変わらずだと思う。

 

だというのに何故返答を待つのか。

自分でも分からない。

 

先刻、こいつは自分のことを"戦士"だと呼んだ。

いつかの前言を撤回して。

 

普通、人間の評価というものは一度ついてしまえばそれが簡単に覆ることは無い。

 

しかしサガラはそれをした。

 

原因は思い当たる。

自分に他人の目から見て取れる変化があったからだ。

 

 

ハヤテの影響で。

 

 

だが――

 

 

「お前は、まともになどなれない」

 

 

奴は静かにそう言った。

 

そうだ。

 

今さら何を。

 

僕は――俺はまともになどなれない。

 

分かりきっていることだ。

 

3つ子の魂百までという諺がある。

 

The child is father of the man.

 

英語圏日本語圏ともに同じ意味の至言は存在する。

つまり、既に形成されてしまった価値観は変わらないというものだ。

 

 

そして、起きてしまった出来事は変わらない。

 

 

だが認めることは出来ないことがある。

こんなはずではないと。

到底受け入れることなど出来ないことがある。

 

いつしかそうした思いは行動へと変化した。

行動は必ず結果を引き起こすものだ。

 

それは、どんなものであれ人の価値観を形作るだろう。

 

繰り返せば繰り返しただけ。

もがけばもがくほどに。

否定すれば否定するだけ。

 

 

苦しみは増していった。

 

 

では理想を目指すにはどうすればいいのか?

 

 

自分は出来ることをしようとした。

いや、しようとしたつもりだった。

 

世界を、変えてしまえばいい。

 

科学技術の分野でも、いまだ解明され尽くされてはいないこの世界。

多重に重なっている説もある。

 

 

自分はウィスパードだった。

無いはずの技術知識。

本来はあり得ないはずのもの。

 

それらを最も強く、認識できる。観測者だった。

 

だから、それらが存在することは間違っている。

 

 

それは正しくあるべきだと。

 

 

結果、間違った世界を変容させる。

 

そうした方法に行き着いた。

しかし、それは。

 

そこには救いなど無い。

今になって分かることだ。

 

 

"理想"で人は救われないのだ。

 

 

自分は、正しい世界を願った。

 

 

だが、それでは誰も。それこそ自分さえも救うことなどできない。

最も――な手段だった。

 

 

今はそれが分かる。

 

 

気がつかないうちにレナードは、自分の足元を見つめていた。

 

問うべきだろう。

 

 

ではどうするのかと。

 

 

 

「じゃあどうすればいいんだ」

「知るか。自分で考えろ」

「・・・」

 

 

 

なんなんだお前。

 

 

レナードはジトッとした目で相手のほうを振り返った。

 

 

単純に憂さ晴らしをしたかっただけか?

いや――それにしては表情、空気共に本気のそれだった。

 

だが教えてやるといいつつ肝心なところで答えにならないのはどういうことなんだ。

 

だんだんとイラついてきたぞ。

完全に肩透かしを食らった気分だ。

 

それが伝わったのか相良はにやりと笑って言った。

 

 

「まあ、それだけじゃない」

 

 

そう言って一旦区切る。

 

 

 

「まともになどなれない――だが、それでも戦うことはできる」

 

 

 

そしてそれを言ったきりヤツは黙り込んだ。

 

様子からして、本当に言いたかったのはそれだけなのだろう。

 

 

 

黙っているのはこれで伝わったと思っているからだ。

 

 

以前の自分であればどう答えただろうか。

 

 

――野蛮な方法でしか在り続けられないのか

――相変わらず頑なすぎると思うんだがな

 

おそらくこうしたことしか思いつかなかったはずだ。

 

 

そういうことではない。

それはよく分かっている。

 

 

そう。

確かに、戦うことはできる。

そして戦えと言っている。

 

 

いかにも戦士らしい、そしてこいつらしい言葉だと思う。

それは今なら自分にも当てはまる言葉だった。

 

 

 

さあ何を言えばいい?

分かったと。理解したといえばいいのか?

そして感謝の言葉を口にすると?

 

馬鹿らしい。

その方が余計に事を理解していない。

 

 

しばらく考えたが結局、答えとなる言葉は見つからなかった。

 

だからあえて正直にそのまま言った。

 

 

「すまないが今はどう答えていいか分からない」

「そうか」

 

 

結局会話はそれで終わってしまった。

 

 

しかし答えは得られた。

 

 

そう。

まともになどなれないかもしれない。

 

何もかもが間違っているかもしれない。

 

そこに健全性などひとかけらもないかもしれない。

 

だがそれでも、目指すところはあるのだ。

 

価値を見誤らなければいい。

方法の選択を間違えなければいい。

 

何よりそれを、渇望すればいい。

 

 

ハヤテ達との生活は自分にとって最大の幸福だ。

本来、得られなかったもの。

 

それが得られた。

 

しかし、その中で自分が悩んでいたのも事実だった。

 

自分と彼女たちには似た部分はあっても根本的に異なると思っていた。

 

いずれ離れなければいけなくなる。

いつか決定的にまで決別してしまう。

 

それが恐ろしかったのだ。

 

けれど、悩む必要はなかった。

 

 

ふとレナードは空を見上げた。

 

 

明日は雨になるのだろうか。

 

 

夜空は厚い雲で覆われていて閉塞感すら感じる空模様だ。

 

 

――まあ、雨でもいいか

 

 

空の機嫌とは正反対の気分を抱きつつそう思った。

 

 

ちょうどそのとき。

 

 

「あ!宗助!見つけたわよ。あんたまたなんかしでかそうと――」

「サガラさん!今晩のお料理は私が――」

「私を運んでくれるのには感謝します――ですが早く私に電源をください。可及的速やかに私に電源を――」

 

 

さわがしい面子が屋上へとやってきたのだった。

 

 

 

 

その後、レナードが少々怪我をしていたことから事情を説明。

 

 

アルが電源を要求し続けるのを全員がスルーしつつ、恒例のプロレス戦?が繰り広げられた。

 

そうした一連のルーチンが終わってからようやくリビングで全員が落ち着くことが出来た。

 

今は食事を取った後だ。

各々が会話をしながら時間を過ごしている。

 

ソファーに腰かけていてぼんやりしていた時にその声はかかった。

 

 

「それで。今後はどうするつもり?」

 

 

突っ込んだ話をしてくるテレサに困る。

 

どうしたもこうしたもない。

 

 

――ハヤテの元に戻らなければならない。

 

 

「ああ。それだが――少し世話になった人の下に向かいたい」

 

 

心は決まっていた。

 

だがまさか実の妹に、義理の妹?を助けに行きたいなどと言える筈がない。

 

 

なんともいえない。

 

 

しかし、そもそもにして自分はどうやってハヤテの元に辿りついたのか。

それが分からないことに今更だが気がつく。

 

 

どうやってハヤテの元に向かうんだ?

 

 

そんな内心の焦りは表情には出していない。

だから構わずに話は進行する。

 

 

「そう。でもその前に墓参りにはついてきてもらうわ」

 

 

そう言うテレサに曖昧に頷きながら、情報の整理を続けたレナードだった。

 

 

結局のところ何時間使っても考えなどまとまらなかった。

そもそも何がどうなっているのかすら整理がついてないではないか。

 

それに気がつきつつもやはり思考を止められない。

今、既に消灯しておりリビングの隣の部屋で彼は考えている。

 

魔法で帰還するというのはどうだろうか?

ハヤテの家で過ごすうちに身についてしまった力だ。

 

もののためしにシューターを1つ使ってみたが出ることには出た。

だがあまりにも弱々しく使い物にならなかった。

 

ベリアルがなければろくに魔法を行使できない。

 

じゃあ陸路なり空路なりで帰るか?

 

たぶんこれも不可能だ。

 

消灯前、携帯端末を借りて世界地図の確認をした。

海鳴市。

こんな地名は日本地図のどこにも存在していなかった。

 

 

薄々だが感じていたことだ。

 

 

恐らくは多世界解釈で説明がつくんだろう。

つまりパラレルワールドというやつだ。

 

 

もしそうであれば何らかの魔法、ないしTAROSで――

 

 

そんなことを考えているうちに時間は過ぎていく。

 

 

次にレナードがあてがわれた部屋で時計を見たとき針は午前3時過ぎを指していた。

 

 

「まずったな」

 

 

思わず独り言を呟いてしまった。

 

考えてもどうしようもないのだが考えずにはいられない。

 

結果、眠れていない。

テレサが墓参りと言っていたのを思い出す。

さすがに数時間でも眠っていなければ拙いだろう。

 

 

そう思って、床に就こうとしたとき声が聞こえてきた。

 

 

「――同じ人物とは思えません」

 

 

テレサの声だった。

 

 

少しだけ扉が開いていて、そこからリビングの明かりが差し込んでいることに気が付く。

 

 

「でも、どう見ても彼は彼よ?」

「カナメさん、彼が本当に兄であることを確認しましたか?」

「確認って・・・どうやって確認するっていうの」

「そうれもそうですね」

 

 

自分について、カナメと話しているようだった。

 

 

「ただ、私の知っている兄と何もかもが違いすぎます」

「それは私達も感じていたことだけど・・・まさかあんた他人がなりすましているって?」

「いいえ。昔の話や"家"についてかなり突っ込んで話したんですが、反応といい内容といい間違いなく本人です」

「じゃあ。本当に変わったんじゃない?」

「――こんな短期間であそこまで人格が変わると思いますか?」

「そう言われるとあたしもなんて言ったらいいかわからなく――」

 

 

どうやら疑われているみたいだ。

自覚が薄いためコメントできないがどうやら他人から見るとだいぶ変化が浮き彫りになるらしい。

 

 

 

レナードはそのまま聞いていないことにして床へと戻った。

 

 

 

それから感覚で数日が経過する。

数日と言っているのはカレンダーを見ていないからだ。

 

次の日の朝、レナードはたたき起こされると移動する旨を告げられるとそのまま連行のような形で車に乗せらた。

そして休憩をあまり挟まない強行軍での移動だ。

 

相良をドライバーとしてテレサ、アル、そして自分という構成で。

 

 

 

そして今ようやく車はポーツマスの郊外に到着している。

 

 

「アルも連れていきますけど大丈夫ですか?」

「ラージ。今回は電源が豊富です」

「よくまあ数日でそこまで縮小化できたもんだ」

 

 

アルは今、ナイフ型に偽装したパッケージの中の小型端末へ衛星通信でアクセスし同行していた。

感想を述べながら自らも車外に降り立つ。

 

 

そこは、林にある墓地だった。

 

 

「じゃあ、行きましょう」

 

 

そう言ってさっさと奥へ進んでしまうテレサの後を、3人で追いかける。

 

並び立つ十字は非常に多い。

これだけの人数が生きて、そして死んでいった。

 

いつかは自分たちもこうしてどこかに収まり眠りにつく日がやってくるだろう。

 

 

――だが、今じゃない

 

 

そんなことを思いながら歩を進める。

 

 

「ここです」

 

 

しばらく進んだ先で突然そう言ってテレサは立ち止った。

 

 

そこには墓があった。

 

父と母。

そして自分の墓が。

 

 

自分と母の間に父がいる配置。

自分の墓標にはこう刻まれている。

 

 

 

"レナード・テスタロッサ。正しい世界を願った者。ここに眠る。"

 

 

 

しばらく静かに並んだ墓標を眺めた。

 

 

「そうか」

「ええ」

「僕は死んでいたのか」

「大西洋の塵になったと思っていました」

 

 

あんまりな言われように僅かに眉をひそめたが、すぐに気を取り直して会話を続けた。

 

 

「あの女――母さんとの間に父さんを挟んだのはわざとかい?」

「そう。いつかあの世で家族会議をするために」

「なるほどね・・・今はそこまでじゃないさ」

「・・・本当に?」

 

 

本当に?

そう言って止まったテレサの様子を伺い見た。

 

毒杯をあおるかのような表情をしている。

 

なるほどな。

 

メリダ島決戦時。

あの女のことを知っているとサガラが言っていたのは本当だったらしい。

 

 

そして、そんな様子に本来なら笑うべき場面ではない筈なのだがなぜか笑いがこみ上げてきてしまった。

思わずそれが零れる。

 

 

「そこでなんで笑うの?真面目に聞いてるんですけど」

「いや、すまない。だがなんだかおかしくてな」

「おかしいのはお前のあた――」

「軍曹、黙っていてください」

 

 

茶々が入りそうになったがアルが防いでくれた。

なるほど、主人と違って話が分かりそうだ。

 

いらないことを考えてから続きを口にする。

 

 

「これだけ色々なことがあって。その度に選択と行動をして。

 敵対することもあれば共感を得られたことも。死んだ者や生き延びた者がいて。

 今さら何を些細なことで、しかも昔のことで悩んだものかと思ってね」

 

「・・・」

 

「テレサ。僕たちは自分の価値観で行動を選んで進んでいる。

 それは僕よりもタフだったテレサの方がずっと分かっているはずだ。

 もう昔のことは思い出にして断ち切るべきだ」

 

「――それをあなたが言うの?」

 

「勘違いしないでほしい。僕は何も過去あったことを無かったことにしたいわけじゃない。

 責任は持つさ。要は間違いは受け入れて正せばいいだけだ」

 

 

珍しく一方的に語ったレナードだった。

テレサはそれを静かに目をつむって聞いていた。

 

 

「兄さんは変わりましたね」

「かもな。だが悪い気分じゃない」

「ええ。ようやく兄妹として分かり合えたかもしれない――」

 

 

雪解けの感触は確かにあった。

 

 

 

 

 

それから簡易式の葬式の真似事をしてから帰路につくこととなる。

そんな時に相良から声がかかった。

 

 

 

「レナード。アルがお前と話したいと言っている」

「なんだ?」

「さあな。俺と大佐殿――テッサは先に車に戻っている」

 

 

ナイフが放物線を描いてこちらへ飛んでくる。

それの柄を正確につかんで受け取った。

 

 

「分かった。すぐに行こう」

 

 

言いつつ手に収まっているナイフへと視線を落とす。

直後に"アル"はすぐに語りかけてきた。

 

 

 

 

「Long time no see! my master(お久しぶりです。マスター)」

 

 

 

その一言に固まった。

少し遅れてから理解が及ぶ。

 

 

「お前、べリアルか?」

「yes. I'm waitting your thinkingtime(はい。私はあなたの思考時間を待っていました)」

「・・・」

「So.What should we do?(それで、どうしますか?)」

 

 

どうしますか?

ベリアルは今、ハヤテの元へ行くか。

留まるかの選択を僕に迫っている。

 

 

心は決まっている。

 

 

「ベリアル。戻ろう」

「OK.my master(了解です。マスター)」

「それにしてもお前、どうして今まで黙っていたんだ」

「Sorry.but my fate is your decided(すみません。ですが私の運命はあなたの決断ですので)」

 

 

決定権は僕にあるのだと。だから待っていたと。

そういうことらしい。

 

そのまま静かに佇んでいるとベリアルは行動を開始した。

 

 

「Barrier Jacket deployment(バリアジャケット展開)」

「Combat form(近接格闘形態)」

 

 

ベリアルの刀身が輝きだす。

白刃と化したその刀身は信じられないほどの光を放っておりまともに直視できない。

 

 

「それにしても突然だな」

「It is always so(いつもそうです)」

「違いない」

 

 

言いつつナイフを両手で構える。

 

最後にちらりと見やると、サガラとテレサが何事かと車から降りてくるのが見て取れた。

 

 

「ありがとう。みんな。――テレサ。会えてよかったと思う」

 

 

そのまま地面へと突き立てると、"世界"は崩壊し眩い光に包まれた―――

 

 

 

 

 

レナード・テスタロッサが去ってから数日後。

 

 

宗助とカナメ。テッサの3人はレナードが現れた夢のことを話し、

その夢の内容がほぼ一致することに驚いていた。

 

 

興味が沸いた3人はその足跡をたどって今、ポーツマスの墓地にいる。

 

 

「ねえテッサ。結局あれは共振だったのかしら?」

 

違うと分かっていながらもカナメは歩きながら聞いた。

あまりに現実的な感覚のありすぎた。そして脳裏から離れない。

 

「さあ分かりません。それでも彼が――兄さんが私達に会いに来たということだけは本当ですから」

 

テッサもそう答えつつ歩を進める。

 

 

そして目的の墓標にたどり着いたとき、立ち尽くした。

 

 

「ウソ」

「バカな。あれは現実だったと?」

 

 

そこには見覚えのある簡易式の葬礼のための献花が施されていたのだった。

 

 

結局どんな議論を行っても結論は出なかった。

 

 

「でもまあ、なんだか元気そうでしたから。

 ですけど、もしもう一度会ったらこうしないと私の気がすみません」

 

 

そう言って、実に不似合いな拳を空へとテッサは突き上げた。

燦々と照らす陽光と重ねて空を見る。

 

真昼の空は天気良好。

雲ひとつ無い青空が広がっている。

 

拳を突き上げたテッサを見たカナメも少し笑ってこう言った。

 

 

「そうね。うちのバカだって生きてたんだもの。彼だってきっとうまくやってるはずよ」

 

「――はい。ところで墓標の文字を書き換えようと思っていて――」

 

 

新たに墓標に刻まれるその一節。

それは今の彼によく似合っている。

 

「いってらっしゃい。兄さん」

 

そして最後にそう言ってテッサはレナードを送った。

 

 

風が吹きつけ、彼方へと去っていく。

 

 

まるでテッサの言葉に応えたかのように、南風が吹き抜けていったのだった。

 

 

16.それは答えのない答え(後編) fin

 





2016.9.10
全話、あとがきを削除しました
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