The Echo ~Reflection of The FullMetalPanic~   作:手拭

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9.そして止められないこと(前編)

ある管理外世界。

その砂漠。

 

シグナムは自身のデバイスに新しいカートリッジを装填しながら言った。

 

「テスタロッサ。お前との勝負は預けているはずだ」

 

ザフィーラと2人で倒した蒐集対象を潰されたシグナムはフェイトへの視線を強くする。

それに立ち向かうかのようにフェイトも視線を合わせてきた。

 

「私はあなたと話がしたいだけです」

 

そして彼女のデバイスである黒い鎌を構えそう告げてくる。

突然に姿を現したフェイトは構えると同時にバリアジャケットを展開する。

 

「お前の方が速さは上だ。逃げられん以上は戦うしかないのだろう」

 

それを最後に互いに言葉はなくなった。

 

鞘にレヴァンティンを収め、重心を落とし構える。

 

 

――すまんなレナード。どうにも計画通りにはいかないようだ。

 

 

心の中で侘びをいれる。

 

旋風が互いの間合い、ちょうど中間あたりを通り抜けていく。

巻き上げられた砂が通り過ぎたとき、そのタイミングが合図となった。

 

 

相手の間合いへと自身のトップスピードで踏み込む。

 

正確な体重移動。

研ぎ澄まされた殺気。

澄んだ太刀筋。

見とれるほどの型。

 

今相手にしているシグナムという騎士は己の未熟を時に憂うが、彼女は熟練した腕の持ち主だ。

 

その技量は、鬼神に迫るともいうべき領域にある。

 

彼女を傷つけるにはなんらかのアドバンテージが必要だろう。

そしてそのアドバンテージをフェイトは1つだけ持っていた。

故にそれを生かした最大限の攻めを行う。

 

金色の鎌――バルディッシュを袈裟懸けに振り下ろす。

紙一重でかわされ反撃が来た。

刃を柄で防ぎ、自分の体で隠していた魔力弾で牽制。

それに構わず振るわれる一閃。

 

魔力弾ごと自分を断つ軌道のそれをバックステップで回避する。

 

ザザッという音をたて後退する勢いを足に力を込めて止める。

 

ふとその足に激痛が走った。

見ればふくらはぎのあたりに刀傷があり出血していた。

 

 

「お前を捉えきることが私には出来ない。

 手心を加えられない私の未熟さを許してくれるか」

 

 

油断なく構えなおしたシグナムが言った。

 

―強い。

 

心からそうフェイトは思う。

カートリッジこそ装填しているもののまだ魔法を使っていない。

 

自分も初手のための手しか使ってはいないが、相手はその上をいっている。

 

「これだけの力。どうしてこんなことに!」

「すまないが、話すことはできない。だが我らには為さねばならないことがある」

「為すべきこと?それは――」

 

言いながら、中段腰だめにシグナムが構えを変化させたのを確認した。

その気配が変わったことをフェイトは感じ取る。

叩きつけられていた殺気がさらに濃密なものとなる。

 

 

―来る!

 

 

フェイトがそう思った瞬間、神速の抜刀が抜き放たれた。

 

 

「紫電、一閃!」

 

 

金色の死神の鎌は速い。

ならばこちらもそれに速さをあわせる必要がある。

 

だが、人間の目というものは騙されやすいものだ。

 

速い太刀。遅い太刀。

上段からの太刀。下段からの太刀。

剣閃の辿る軌跡を変化させる。

 

込める力。振るう速さ。

乗せる体重。乗せない体重。

型に限らず動きを変化させる。

 

技量の優れるとはそのようなことをいう。

 

場面ごと、打ち合うごとに的確にそれを変化させるのだ。

 

型に忠実に終始し、次に型を破り、そして型から自由となる。

 

言葉では説明の出来ないものだ。

 

それは体現できる者だけが語ることのできる領域。

その領域にシグナムもいる。

 

彼女がもし地球上に生まれていたならば間違いなく英雄となっていただろう。

 

そしてそれらの技量の到達点。

一見単純に見えるその一閃には、その全てが詰め込まれている。

 

自身の行う最速の抜刀を、シグナムは相手へと放ったのだった。

 

 

 

気がついたらもう目の前に刃があった。

 

驚愕するよりも早くその刃を見つめていた。

 

速い。

自分よりも速い。

 

ただそう思った。

フェイトは体重を落として構えている。

だから、ちょうど顔の高さに刃が来た。

 

頬に、その切っ先が触れる。

 

―動け。

 

実際にすると数千分の一秒に満たないかも知れない時間。

その時間を彼女は捉えていた。

 

―動け。私の体。

 

このままじゃ――

 

 

 

 

自身の持ち得る最速のものを放ったシグナムは、レヴァンティンを抜き放ったままの姿勢を保つ。

残心を解かずに己の手ごたえを確かめた。

 

――。

 

自分が放った一閃は今まで見ていたフェイトよりも数段速いものだった。

 

それは相手であるテスタロッサが通常時にみせたスピードを考慮し放ったものだ。

だから一瞬しか速度を出せないその一刀に、手心など加えていない。

 

 

「まさか、この一刀まで避けるとはな」

 

 

振り返り、やや上空を見る。

 

そこに、テスタロッサは浮遊していた。

髪留めはほどけ、その金の長髪は砂漠の風に揺れている。

 

「――いいえ。今のは偶然でした」

 

控えめな言葉が聞こえる。

 

「いや謙遜はしなくていい。テスタロッサ。

 お前を侮っていた。その非礼を詫びよう」

 

「ありがとうございます。でも本当に偶然ですから」

 

シグナムが再び構えなおすと、フェイトも構える。

 

フェイトを見ると、元々薄いバリアジャケットに覆われていた部分がさらに減っていた。

 

「ただでさえ薄い防御を捨て、さらに速度を増したか」

「あなたに勝つためです」

 

数合目の打ち合いが、その言葉と共に再開される――

 

 

 

 

シグナムとフェイトの戦闘から少し離れた場所。

 

そこには小高い丘がある。

そこにレナードとシャマルはいた。

今さらだがこの砂漠の気温は摂氏37度前後。

湿度はなく、空気は乾いている。

 

地球で言うところの乾燥帯の気候だ。

 

レナードは一度サウジのあたりへ行ったことがあったがその時見た砂漠を思い出した。

太陽よりも小さいだろう恒星が2つある点だけを除けば環境は同じだった。

 

乾燥した風はその丘へと吹き付ける。

砂を巻き上げ、吹きつけてくるその風はレナードの頬をなでて通り過ぎていった。

 

丘の影に隠れながら覗いていた双眼鏡を彼は下げる。

 

 

「まだ来ないようだな」

 

 

周囲を見渡して自分達以外の気配がないことを確認する。

 

不審な影が現れるまで、警戒を続けるつもりだったレナードは舌打ちした。

これではこちらの体力が長続きしない。

 

水筒の水を飲んだ。

 

彼は今回、管理局と衝突する可能性が高いだろうと踏んでいた。

だからわざわざ蒐集する側と別行動をとり警戒に当たっていた。

 

 

「心配のし過ぎよ。レナード君」

 

 

汗を拭いながら、影で休んでいるシャマルが声をかけてくる。

そうなのかもしれない。

 

さすがにこれだけ時間がたって何も起こらないのだ。

 

今回は空振りか――

そう思ったそのときだった。

 

――シャマル、レナード。管理局の連中が現れた。ザフィーラとヴィータそして私がバラバラに戦っている。

 

シグナムの念話が届く。

 

――分かった。では手はず通りに行こう

 

それに対する返事はなかった。

すぐに交戦状態に入ったのだろう。

 

この時点で計画通りとは言い難い状況だった。

 

実際、遠くから激しい剣戟と魔法による破壊の音が耳に届き始めている。

 

やられたか。

少し距離を取ったのが運の尽きだった。

多少効率が悪かろうとやはり固まって行動すればよかった。

 

レナードは最初に自分の判断ミスを呪ったのだった――

 

そして顔を上げ空を見る。

 

そこにはつい今しがたできた、魔法による炎の華が咲いていた。

 

 

 

「――っこのやろぉお!」

 

己の武器であるアイゼンを振り降ろす。

だが相手のプロテクションにそれは阻まれる。

 

「待って!ヴィータちゃん私は話が―」

「いきなり砲撃かましておいていまさら!」

 

槌を振りかざし、相手との距離を開ける。

すると予想していた通りシューターがこちらを狙って放たれた。

 

それを車輪のように回転して円を描き、アイゼンを叩きつけ粉砕してから再び接敵する。

 

あまり距離を開けてはならない。

この相手の収束砲撃の威力は確認済みだ。

 

己の槌をプロテクションへと叩きつけながら、鉄球を発現させる。

 

それをあらぬ方向に打ち出しつつ、なおも正面からの猛攻は止めない。

 

「Coution.Homing bullets(警告 誘導弾です)」

 

相手のデバイスがそう告げるのが聞こえた。

 

―くそ。ばれてやがる。

 

内心で毒づくも攻撃は止めない。

相手の背後から2射。頭上から1射。

 

相手へと着弾させる。

 

だが結果は見えていた。

今のは防がれているだろう。

 

着弾によって見えにくくなった視界の先を睨みつける。

晴れていく煙の先、ふとそこに光が見えた。

 

それに悪寒を感じ、すぐさまヴィータは回避運動に入る。

 

直後に彼女の真横を砲撃が通り抜けていく。

 

構わずヴィータはその砲撃をなぞるように飛行し、ふたたび相手へとアイゼンを叩きつける。

プロテクションと彼女の槌とが何度目かの拮抗をした。

 

「待って!私はただ本当に話が――」

「平和の使者は――武器をもたないんだよ!!」

「――この、わからずや!」

 

カシュ。という音と共にリロードされるカートリッジ。

グラーフアイゼンとレイジングハートの双方からその音は響く。

 

――テートリヒシュラーク

――ディバインバスター

 

空中で再び爆炎が咲いた。

 

 

 

遠くからビリビリと空気を振動させ、爆発音がなおも届いている。

 

レナードはまず状況の整理に入った。

 

シャマルのデバイスが映し出す映像で、シグナムとフェイトが。

そしてなのはとヴィータがそれぞれ戦っているのが確認できた。

 

――拙いな。

 

組み合わせ的に自らの望んだものではない。

 

そしてなお悪いことに、彼らはその場を離れるわけにもいかなくなっていた。

 

「十数人前後かしら。こちらへ向かってきているわ」

 

そう、西の方向の空に管理局の魔導師が迫って来ているのが見て取れたのだ。

 

「分かった。僕らは彼らを迎え撃ってから彼女達の助けに入ろう」

 

なんら情報がないザフィーラが気になるが、今は向かってくる彼らを何とかしなければならない。

そう考えて行動を開始した。

 

 

ところで、こうした戦闘においてレナードの戦略眼は頭一つ飛び出したものがあることは事実だ。

 

 

彼はどちらかというと戦略家だ。

それはテッサと同じような才能で、戦闘の大枠を判断するものである。

 

個別の戦術については特筆するべき点は無い。

1兵卒として見れば平均的なほうだ。

現代戦でもアームスレイブさえ与えなければ、脅威となることはほとんどないだろう。

 

しかし彼は戦略的な思考が出来る人間だった。

最低限の勝利で目標に到達する力。

状況を左右するものを的確に読み取る力。

 

そういったものが備わっていた。

 

だから今度の戦闘でもこうした手法をとる。

 

 

魔力弾を用いた射撃戦となれば空中での背後を取り合うことになるのが常道だ。

 

 

それは基本だけで言えば、第一次大戦の頃の航空機による空中戦と変わりが無い。

一つ違うとすれば人間同士の空中格闘戦があることだが。

 

そんなことを経験豊富な管理局の魔導師達に対して行えば勝負にならない。

それに今までの経験だったが、放つ魔力弾のほとんどは命中しないものが多いのだ。

 

魔法初心者とでもいえる彼にはそれは単なる魔力の無駄使いだ。

練習こそしているものの、ただ魔力弾を生成して叩きつけるとかその程度しか出来ない。

 

命中しないものが多いことには理由がある。

当てるために外す。という攻撃が存在するためだ。

具体的に言うと、あえて狙いを外したものと相手を狙ったものとに分けて放つことで、

相手の飛行する軌道を制限したり誘導したりする。

 

同格の相手ならばともかく、こちらが劣っているのが分かっていてそんな勝負を挑むのは自殺と同じだ。

加えて多勢に無勢。

 

 

ではどうするのか?

 

彼は魔導師としての戦闘における指標を把握しつつあった。

無力化するとか、そういったことではない。

 

ある意味現代兵器を捨て去ったともいえるこの戦闘方法においては、

指標の優先度が入れ替わるのだ。

とにかく命中することがひとつの大きな指標になる。

 

 

なら確実に当たるようにすればいい。

彼らに対してその点で非常に有利なものを自分は持っている。

 

 

ではどのように実行するのか。

 

 

「シャマル。捕縛結界を頼む」

「レナード君。あなた鬼ね・・・」

 

シャマルが何か言っていたが無視する。

 

答えは簡単だ。

こうやればいいのだ。

 

レナードは腕を振るう。

 

「射撃準備」

「Shooter preparation(シューター準備)」

 

右側、左側。

魔力弾の生成だけに集中した彼が放つ弾数はおおよそ30越え。

一つ一つは若干小さいが弾数があれば十分脅威だ。

 

そしてそれらはすべてラムダドライバによって魔法を貫通する代物だ。

バリアジャケットすら貫通しほぼエネルギーを失うことなく発揮されるその威力は、想像するに恐ろしい。

狙われる相手は裸で、ライフルの照準用レーザポインタを当てられているのと同じだった。

 

 

一つだけ放った魔力弾を使い、局員たちの足を止める。

 

集団というものは先頭が止まると後続する者もまとめて足が止まるものだ。

 

翻弄するように彼らの周囲を飛ばしてやると、彼らは円形の陣を取った。

3チームに別れ、互いに背中合わせとなっている。

 

それは死角の生まれない、対人戦闘であれば非常に有効な手段だった。

そう、対人戦闘であればの話だ。

 

足を止めた彼らの周囲へ捕縛結界が展開される。

管理局員達全員がその中に閉じ込められた。

 

「周囲に結界が展開されたのを確認!」

「ベルカ式のものと思われます」

「か―堅い!」

「通信、遮断されました!」

 

結界内、管理局の魔導師達が慌てているのが分かった。

 

「私とクラールヴィントの結界なのだから当然よ」

 

珍しくシャマルが勝気に言うのが聞こえる。

 

それを確認した後、レナードは鳥かごの中の鳥達へと魔力弾の掃射を開始する。

 

オーケストラの指揮者がそうするかのように腕を振り下ろした。

 

「掃射開始」

 

「OK...Start attack(了解...攻撃開始)」

 

放たれる魔力弾はシャマルの結界の外から内部の管理局員達に届く。

そうしている間にもレナードは次々と魔力弾を生成し、放つ。

 

連続で放たれるそれは、徐々に範囲が狭められていく結界もあって回避する場所などなかった。

 

だから局員達は全員がプロテクションを展開して防御に入る。

 

しかし、その結果がどうなるかは既知の通りだ。

 

結界内で悲鳴があがる。

苦痛を伴う怨嗟の声だ。

 

それを聞きながらもレナードはその攻撃を止めない。

 

もう止まれない。

自分達は飛び立ったのだ。

 

 

数分後の結界内で、立っている管理局の魔導師はただの一人もいなかった――

 

 

射撃を終了させ、着弾先を確認する。

 

呻き声だけが聞こえるその惨状を無感情に眺めていた。

そうした光景はもう飽きるほど見ている。

 

そしてこれが実につまらない物だということを再認識した。

 

だがハヤテのためだ。

障害となるものたちは排除しなければならない。

 

「レナード君。やりすぎよ」

「死んだりしない程度に魔力弾は小さくしたんだがな・・・」

 

それは事実だった。命を落としたものは1人としていない。

だが目の前の魔導師たちは2、3ヶ月は動けなくなるほどの重症だった。

 

「嫌なものだな。まあいい。行こう」

 

場所を移しても、やっていることのあまり変わらない自身に嫌気が差した。

そうした思いを振り払うかのように彼はその場を立ち去る。

 

微妙な表情を浮かべながらもシャマルも何も言わずにそれに続く――

 

 

「ザフィーラからの連絡は?」

「まだ来ていないわ。どうするの?」

 

砂漠の空を翔けながら相談する。

 

シグナムとヴィータ。

彼女達を助けなければならない。

だが、ザフィーラの捜索を全く行わないというわけにもいかない。

 

少し思案した後、レナードは意見を出した。

 

「僕が遠距離から狙撃して1人ずつ落とすか?」

「いえ。まだ他の管理局員をみていないわ。1人になったところを叩かれるかもしれない」

 

なるほど。

今回はシャマルの意見に賛成だ。

そしてシャマルが続ける。

 

「私が照明弾と、転移魔法の準備をするわ。

 あなたは見つかるまでザフィーラを探して、頃合を計ってヴィータと合流。

 2人でなのはちゃんを振り切って頂戴。シグナムには私が支援を入れるわ」

 

その指示を吟味する。

無難な策だ。

だが、どこに敵がいるか分からない以上こうするしかないのだろう。

 

「了解した――じゃあ行って来るよ」

「ええ。気をつけて」

 

その確認を取り、すぐに互いに別々の方向へと向かった。

 

 

 

レナードがザフィーラの捜索に当たる数十分前。

 

「出動した3小隊が全滅!?」

 

常識では考えられない事態にリーゼアリアは戦慄する。

ありえない。

1小隊5人だとしても15名の魔導師が全滅するとは到底考えられない。

 

しかも彼らは自分達もよく知るグレアムの腹心の部下達だ。

 

その実力を知っているだけに事実を受け入れることが出来ずにいた。

 

「クロノ達はどうしているの!?」

「2人は交戦中!クロノ執務官には通信繋がりません!」

 

報告と共にアースラのスクリーンに映像が映される。

そこに戦うなのはとフェイトだけが映された。

 

「全員へすぐに撤退するよう連絡を入れて。私達も救助に現地へ向かうわ」

「了解しました!」

 

オペレーターが自身の仕事にかかる。

それと同時にリーゼ達は出撃する準備に入った。

 

そこにリンディが声をかけた。

 

「あなたたちも気をつけなさいな」

 

「ええ。ありがとう」

「行ってくるわ」

 

非常事態だというのに妙に落ち着いた様子のリンディに違和感を覚えたが後にする。

一刻も早く現地に向かうべきだ。

そうしてリーゼ達も戦場へと向かう――

 

 

 

切立った崖の上、砂漠のほとんどが見渡せるだろうその場所。

 

シャマルはそこに降り立った。

落ち着く間もなく、すぐに準備に入る。

 

状況は自分たちの不利に働いている。

相手の戦力の大部分はレナードと自分で潰していたが、まだ他の強力な魔導師は健在。

 

それに先程の局員達が戦力の全てではないだろうことも分かっていた。

 

実際、クロノ執務官とかいったあの子もまだ見ていない。

 

ここが正念場だ。

ここでしくじればもっとまずいことになる。

 

そう気合を入れて準備を続けるシャマル。

 

だがその背後から、彼女へと声をかける人物が姿を現わしたのだった――

 

 

 

 

9.そして止められないこと(前編) fin





2016.9.10
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