2042年11月10日、軍令部より作戦承認の通知が届き、作戦結構は前世の第三次ソロモン海戦第一夜と同日の11月14日と決まった。
鳥海「提督、軍令部より暗号電文です!」
にこ「いよいよね・・・」グッ
鳥海「はい・・・」
にこ「ブイン基地の西木野、ガダルカナル島基地の星空両航空戦隊に打電!、戦いはすぐそこまで迫っている!、いつでも出撃出来る様準備しておく様に!」
にこ「(この戦い!、何としても勝つ!)」ググッ
そして矢澤は自身に気合を入れる。
前世の悲劇を繰り返さないために。
同日の午後23時頃、ラバウル基地指令部のすぐそばに作った露天風呂に矢澤艦隊指令長官・矢澤にこ提督、それに続き艦隊総旗艦・愛宕の姿があった。
カッポーン
愛宕「提督、相当お疲れの様ですね・・・」
にこ「それはあんたもでしょ、しょっちゅう爆撃されてりゃ精神的に参るっての・・・」
にこ「・・・」ジー
愛宕「どうかされました?」
にこ「いえ、なんとなくあんた見てると落ち着く・・・、それに何だか不思議と心が安らぐのよ・・・」
矢澤は空を見上げながらつぶやいた。
愛宕「ふふふ、お役に立てて光栄です。」ニッコリ
愛宕はそのつぶやきを快く受け取る。
にこ「えね、あんたは今回の作戦、怖くないの?、作戦だってまだはっきり決まってないし・・・」
次に矢澤は今回決行されるであろうフィジー進行作戦についてを愛宕に問う。
愛宕「そうですね~・・・」
艦娘達には高坂等天照の会のメンバーと似た様に前世の記憶を持つが、艦娘の場合は名前を受け継いだ軍艦自体が見てきた様々な光景と名前を受け継いだ軍艦の艦長の一人の記憶を持って現世に生を受ける。
愛宕の場合は重巡・愛宕が見てきた光景とソロモン海戦時に艦長を務め、前世のラバウル大空襲で戦死した中岡信喜大佐の記憶を持つ。
愛宕「怖くないと言ったら嘘になりますが・・・」
矢澤が愛宕に問う理由は前世の事も踏まえ作戦の要旨についてはあらかじめ決まっていたが、どうしても最後の決め手に欠けているからであった。
愛宕「総旗艦が怖がっていては艦隊総員の士気に関わりますし、それに・・・」ススッ
すると語りながら愛宕は立ち上がる。
にこ「ちょっ!、あんた前隠しなさいよ!」
愛宕「一番あなたを怖がらせてしまいますから・・・」
そして矢澤の背後に回り後ろから抱き着く。
にこ「愛宕・・・、あんたこんなに頼りない無能司令官相手でも本当に優しいわね・・・」
愛宕「何を言いますか提督、あなたは決して無能でなんかありませんよ。
それと、少しは震え、止まりましたか?」ニッコリ
にこ「!!」
愛宕「鳥海ちゃんが軍令部からの暗号電文を提督に伝えた時からずっと体が震えていましたよ。」
この時の愛宕の矢澤を見る目は娘をあやす母親の様であった。
にこ「はは・・・、上手く隠せてるつもりだったのに...、あんたの前で嘘はつけないか・・・」
愛宕「割と長い付き合いになりますもの。」ニッコリ
にこ「ねえ愛宕、あんたから見て私ってどういう風に見える?」
愛宕「そうですね・・・、素直じゃないしケチで意地っ張りで、強がりで・・・」
にこ「うっ・・・(予想外にドストレート!)」
愛宕「ですが、あなたを嫌いと言う人は誰一人としていません。」ニッコリ
にこ「!!」
愛宕「私達を始め艦隊の皆さんは提督が私達の提督で良かったと思っています。」ニッコリ
にこ「この前もあんなに無茶苦茶な事させたのに・・・」
愛宕「艦娘に志願した者達はみんな大切な物があるから、誰かのために何かをしたい、そう言う人が殆どです・・・」
愛宕「以前提督はただ戦って勝つだけが戦争ではないって仰いました・・・、提督は私達に大切な物を守るための戦いをさせてくれています・・・」
にこ「戦わせて貰ってるって!、あんた達みんな命懸けじゃないの!」
愛宕「はい・・・、確かに命懸けです・・・」
矢澤の問いに今度は愛宕が空を見上げながら語り始める。
愛宕「ですが、貴女の下でなら思う存分戦う事が出来ます・・・」
愛宕の言う事に一切の嘘は無い。
愛宕「戦わなくてはならないではなく、戦うだけの意義のある戦いを・・・」
にこ「・・・」愛宕の方を向く
愛宕「提督?」
にこ「・・・」ギュー
愛宕「うふふ、もう提督ったら、意外と甘えん坊さんなのですね・・・」ナデナデ
にこ「まあ、裸の付き合いって事で、許して頂戴・・・」
にこ「(こんなに優しくて慈愛に満ちた人に好意を持って貰えるなんて、私は幸せ者だわ・・・、でも!)」ギュー
にこ「それっ!」モミュッ
愛宕「やあーん♪」
にこ「これだけは許すまじい!(てかマジで今の希よりでかい!、なんか無性に腹立つ!)」モミモミ
2人が風呂から上がって身支度を整え執務室に向かう頃には日付が変わっており、あたり一面より一層静まり返っていた。
聞こえてくる物は虫の音、見上げれば南国の星空、そして熱帯の夜の爽やかな風、そんな中で浴場から執務室に続く林道の途中にある野外食堂にてそれらを台無しにする様な事態が起きていた。
にこ・愛宕「「・・・」」
隼鷹「ヒャッハーーー!」グビグビ
那智・足柄・高雄「「「あそーれ飲んで飲んで飲んでーーー!」」」
隼鷹「ぷはーーー!」
駆逐艦s「「「「・・・」」」」ガタガタ
にこ・愛宕「「・・・(なぜブイン基地にいるはずの隼鷹が・・・)」」チラッ
そこにいたのは加減というものを知らない4名の酔っ払いとそれを見て隅でガタガタ震える駆逐艦達、更にあちこちに酒瓶の山が出来上がっているのである。
那智「では次は私が行こうか!」グビグビ
隼鷹・足柄・高雄「「「よーし飲んで飲んで飲んでーーー!」」」
那智「ぷはーーー!、最高だな!」
那智「うっ、と、流石に酔って来たな・・・」ドタッ
足柄「あははは!、転んでやんの!」クラクラ
高雄「バカめ!、と言ってやりますわ!」デロデロ
物陰にて。
にこ「何やってんのよあいつら・・・」
愛宕「・・・」
足柄「この年になるとさーーー、彼氏いないのーとか作らないのーとかさー、この前島の市街地の飲み屋で星空司令官や島民達と飲んだとき言われれたのよ~」ヒック
隼鷹「ああー、言われる言われる!、あたしも島の飲み屋行ったときに島民のカップルだらけでよー・・・」ヒック
那智「そういえばこの前その店で西木野司令官が酔い潰れているのを見たぞ、なんでも提督と愛宕が夜戦(意味深)しているところを偶然にも見てしまったとか何とか・・・」ウンウン
にこ・愛宕「「///」」カー
足柄「それまじで!、あははは!、失恋した時のやけ酒!」
高雄「あははは!、あの二人が!、ないない!、ていうかやけ酒って!、足柄じゃあるまいし!」
足柄「なんですって!、そういうあんたはどうなのよ!」カー
高雄「・・・」
足柄「なによ!、無いんじゃないの!」
高雄「わ、私はいないんじゃなくて作らないの!(だって私には心に決めた人が・・・)」カー
隼鷹「そういや羽黒とか妙高とかあいつらよく長距離恋愛続くよな~・・・」
那智「まあ羽黒も妙高姉さんも一途だからな・・・」グビグビ
足柄「そういう那智姉さんだってこの前配属されて来た若手士官と良い雰囲気じゃないの!」グビグビ
那智「!!」
隼鷹「流石は飢えた狼!、鋭いねー!」
足柄「これで姉妹艦で付き合ってないの私だけ?、え、なに?、私だけ仲間はずれ?」
高雄「バカめ!、と言ってやりますわ!、流石はお嫁に行かせてあげたい艦娘ランキング一位の足柄さんね!」アハハハ
足柄「な・ん・で・す・っ・て?」プッチン
隼鷹・那智「「おお!、いいぞ!、やれやれ!」」
足柄「と、キレても仕方ないわ・・・、そういう高雄こそどうなの?、生真面目過ぎて彼氏できなそうな艦娘ランキング一位対の高雄さん?」
高雄「あら?、幻聴かしら?」プッチン
再び物陰にて。
にこ「そろそろ止めに入らないと大変な事になりそうな予感がするんだけど・・・」
愛宕「・・・」
妙高「あのー・・・」
愛宕「あら妙高さんに飛鷹さん。」
妙高「駆逐艦の子達から食堂がうるさくて眠れないと苦情が来て見に来たのですが・・・」
飛鷹「やっぱりこういう事でしたか・・・」
にこ「(丁度よかった・・・)」
再び食堂にて。
足柄「高雄、死にたいの?」手首パキパキ
高雄「それはこっちの台詞よ・・・」指ポキポキ
那智・隼鷹「「いけいけ!」」ヒック
妙高「那智さん、足柄さん・・・」ニッコリ
那智・足柄「「!!」」ゾワッ
飛鷹「隼鷹・・・」ガシッ
隼鷹「いたたた!」
愛宕「高雄ちゃん・・・、流石にやりすぎよ・・・」真顔
高雄「・・・」ゾワッ
その後、飛鷹は隼鷹を無理やり引っ張りだし、妙高は口では言い表せない様な粛正を行った。
ただし愛宕だけは高雄が酒に物凄く弱いのを知っていたため更に飲ませ酔い潰した。
にこ「(とても人類の存亡を賭けた大作戦の前とは思えない光景ね・・・、てか飛鷹はともかくガチギレした愛宕と妙高はヤバイ・・・)」
勤務外の間や非番の日は皆ここぞとばかりにお祭り騒ぎを起こしていた。
今回はかなりに茶番劇になってしまいましたが、今後ともよろしくお願いします。