2042年11月12日の昼頃、この日は打って変わって作戦の最終確認および統堂艦隊との連携のための報告が行われた。
作戦開始予定までおよそ2日。
にこ「以前から準備を進めていたとは言え・・・、奴らをどうやって誘き寄せようかしら・・・」
真姫「いっそ珊瑚海に誘き寄せトレス海峡で叩くのも悪くないと思います・・・」
にこ「可能な限りパプアニューギニアの陸上基地を潰したとは言え、そこの大本であるオーストラリアから敵機の大軍が押し寄せ兼ねない・・・、何としても敵艦隊はソロモン海に誘き寄せたいわ・・・」
凛「しかし今回の作戦、我が艦隊はいいですが統堂艦隊は戦力を二分する事になります・・・、もしその隙に敵東インド洋艦隊がアンダマン海を制圧、シンガポールへ侵攻すれば・・・」
鳥海「提督!、統堂提督より暗号電文!、八戦隊および八水戦がティモール基地に到着、準備が整い次第敵ダーウィン基地を攻撃するとの事です!」
にこ「来たわね・・・」
矢澤はこの時を待っていた。
統堂艦隊は本命である敵東インド洋艦隊の一大拠点であるセイロン島を奪還作戦を決行する際に重巡・青葉を旗艦とする第八戦隊と雷巡・大井を旗艦とする第八水雷戦隊は揺動としてオーストラリアにあるダーウィン基地を攻撃させ、軽巡・天龍を旗艦とする第七水雷戦隊と水母3名でセイロン島奪還作戦を決行するつもりであった。
凛「しかし提督、敵東インド洋艦隊もまた強大な艦隊、いくら陸上基地からの支援を受けられるとはいえベンガル湾まで行けばその先その戦力で攻め込むのは・・・」
にこ「そこは問題ない、新たに戦列に加わった臨時の部隊がブルネイに寄港、シンガポールへ向かっているとの報告が入ったわ。」
愛宕「誰なんですか?」
にこ「独巡洋戦艦・シャルンホルストに英高速戦艦・フッドにレパレス、装甲空母・イラストリアスをはじめまだ新任の娘ばかりだけど期待していいと思うわ。」
現在がら丁度3日ほど前、新たに着任した艦娘のうち緊急の戦力として渡辺曜中将が独軍艦である巡洋戦艦・シャルンホルスト、Uボート5名の6名および桜内莉子中将は英軍艦である高速戦艦・フッド、レパレス、装甲空母・イラストリアスの3名を引き連れ統堂艦隊に加わった。
にこ「ダーウィンが攻撃されたとなればオーストラリアの連中はそっちに夢中になってこっちに手出しできないし、東南アジアへの入り口は哨戒潜水艦が常時張り付いてるからうかつに出て来れない・・・」
霧島「更にそのダーウィン基地を援護するために敵南太平洋艦隊が援軍を派遣、我々が戦う敵の数を減らす事も出来るというわけですね!」
鳥海「しかもフィジーからダーウィンへ向かうには一度珊瑚海に出た後、トレス海峡を通りアラフラ海に出る必要があります!」
金剛「そこで珊瑚海側に幽霊達を密かに配備するつもりですネ!」
にこ「流石、理解が早くて助かるわ。」
以前のサモア奪還作戦の際に矢澤はこの様な事態を想定し、松浦と二人きりで対談、あらかじめ了解を決めてあった。
鳥海「!、提督!、統堂艦隊の別動隊がダーウィンを攻撃したと今連絡が入りました!、確か予定では明日の夕刻のはずです!、こんな真昼間に航空隊の支援なしで攻撃するのは!」
にこ「安心しなさい、ダーウィン攻撃部隊はまだティモールにいるから。」
先ほど鳥海が聞いた通信はガダルカナル島に配備したCICによる欺瞞工作であった。
にこ「星空司令官、明日早朝に航空隊発進、敵の前衛を攻撃して頂戴・・・」
凛「了解!」
にこ「これから先は一撃離脱の小規模な戦闘を繰り返してとことん敵を挑発するわよ・・・」
艦隊一同「「「「了解!」」」」
矢澤の考える作戦の要旨はまだそのほとんどが明かされていないが、前世では日本軍の戦法は単調な作戦の繰り返しと情報漏れによって敵に裏をかかれ敗北していた、天照の会のメンバーはこれを反省し、独創的な作戦と高坂のやる時は断固として徹底的にやるという精神の下で戦力の集中を図った。
今回のフィジー奪還作戦も人類側が勝利すれば南太平洋のほとんどを奪還できるが、敗北すれば多大な被害が出る乾坤一擲の勝負に出たのである。
そのため味方の艦隊は常に密な連携が必要不可欠なのである。
同日深夜、一つの暗号電文が届いた。
鳥海「ティモールより暗号電文!、我らこれより作戦行動に入る!」
にこ「動いた・・・、鳥海、健闘を祈るとそっちのやつで返信。」ニヤリ
鳥海「了解・・・」眼鏡キラッ
翌日明け方、ガダルカナル島より発進した星空航戦が敵艦隊の前衛に波状攻撃を仕掛け、戦艦1、空母1、軽空母2、重巡2を撃沈または大破させた。
時を同じくして統堂艦隊の別動隊はティモールの東端を抜けダーウィンを攻撃する気配を見せるや否やティモール海にて180度反転、スラバヤ基地へと引き上げていった。
鳥海「各観測所から入電!、敵南太平洋艦隊の一部がサンタクルーズ諸島を離脱、空母3、戦艦3、重巡3、駆逐12の編成で珊瑚海に向かって進行中との事です!」
にこ「動いてくれたわね・・・」ニヤニヤ
そして敵はダーウィンへ急行、サンタクルーズ諸島を出撃し珊瑚海からアラフラ海へ抜けるトレス海峡を抜けた。
ばっしゃーーん!、ばっしゃーーん!
リ級1「ギャアアアアーーーー!」
その直後、敵重巡一隻に雷撃を仕掛け撃沈した。
リ級2「敵ノ雷撃デス!」
ヲ級FS「緊急非常警戒態勢ヲ取リナサイ!、海面警戒ヲ怠ラナイデ!」
この時、言い知れぬ不安が敵旗艦を襲う。
ヲ級FS「マサカX艦隊・・・、ダトシタラ奴ラハ潜望鏡サエ出サズ高性能ナソナーやレーダーダケデ雷撃スルトイウ・・・」
ル級E「ヲ級様、モシココデ空母ヲ一隻デモ失エバ戦局全体ニ影響ヲキタシトテモ統堂艦隊ト戦エル様ナ状態デハナクナリマス!」
ヲ級FS「ココハ旗艦権限デ引キ返ス事モ可能ダケド・・・」
リ級FS「シカシソレデハダーウィンガ!」
リ級2「ヲ級様!、ダーウィンカラノ緊急要請デス!、状況ハ切迫シテイルラシク平文デ送ラレテキマシタ!」
ヲ級FS「敵ノ攻撃機ノ爆撃ヤ猛烈ナ艦砲射撃ニ晒サレ、沖合ニハ輸送船団カ・・・」
リ級FS「ダーウィンヲ見殺シニスルオツモリデスカ!」
ル級E「最低デモ攻撃機ヲ飛バシマショウ!、上空ニモ護衛戦闘機ヲ!」
ヲ級FS「ヨシ、ソレデイキマショウ。」
同日の昼、敵空母はダーウィンに向け攻撃機を発艦させ、上空には護衛戦闘機と哨戒機を飛ばした。
ヲ級FS「哨戒機ノ行動範囲ヲ広ゲナサイ!、ラバウルカラノ空襲ニ備エテ!」
敵攻撃機1「ギャアアアアーーーー!」
ヲ級FS「ドウシタ!」
敵攻撃機2「待ち伏せです!、ダーウィン上空に敵戦闘機!」
敵哨戒機1「ダーウィン沖には敵艦隊も輸送船団も見当たりません!」
ヲ級FS「オノレ・・・、嵌メラレタ、トイウワケネ・・・」
伊601「司令官!、敵は見事に引っかかりました!」
先ほど敵艦隊に送られて来た電文は海底に潜む伊601が送った物であった。
果南「了解・・・、作戦を次の段階に移すわ・・・」
そして敵旗艦が気付いた時には既に半数以上の攻撃機が撃墜されていた。
この時ダーウィンに戦闘機隊を飛ばしたのは統堂艦隊の別動隊に紛れ接近していた新任の龍驤型軽空母二番艦・龍翔であった。
龍翔「今頃敵さん、慌てとるやろな。」ニヤリ
にこ「サンキュー、そのままラバウルに向かって頂戴。」
龍翔「了解や!」
ヲ級FS「岩礁ニ気ヲ付ケテ!」
敵艦隊は反転、ラバウルからの空襲圏内からの離脱を図りつつ撤退行動に入る。
しかしその先に待ち受けていたのは天下の難所、トレス海峡であった。
ヲ級FS「雲行キガ怪シクナッテ来タワネ・・・」
ヲ級1「コノスコール敵モ航空機ヲ飛バセナイデショウ!、何トカ逃ゲ切レタノガ幸イデス!」
ヲ級FS「幸イカ・・・(前方ノトレス海峡ノ海面ガヤケニ不気味ニ映ルワ・・・)」
ヲ級FSは言い知れぬ不安に襲われた。
ヲ級FS「見張リヲ増ヤシナサイ!」
ヲ級2「コノ雨デハ敵機ノ来襲ハ無イト思ワレマスガ・・・」
ヲ級FS「空デハナクテ海底ヨ・・・」
ル級1「マ、マサカ!」
ヲ級FS「居ル・・・、必ズ・・・」
どごおーーーーん!、ばっしゃーーん!
ル級FS「グアアアアッーーー!」
ヲ級FS「!!」
伊503「よっしゃーーー!、命中!」
伊601「司令官!、敵は見事に罠に引っ掛かってくれました!、敵は肝を潰しているに違いありません!」
伊701「一気に沈めてしまいましょう!」
果南「まあそう慌てないで、我々の極秘任務はただ沈めればいいものじゃない、率的に沈めなければいけないのよ。
でなければトレス海峡を封鎖するという高坂総長の指示された秘中の秘は果たされないわ。」ニヤリ
今回この幽霊艦隊が行っているトレス海峡封鎖作戦はもっと前から計画されていた事で、たまたまフィジーに大艦隊が現れたからそれを利用したに過ぎない。
果南「トレス海峡を封鎖された上に敵南太平洋艦隊の戦力ダウンも図れる、焦らなくても獲物はうじゃうじゃいるでしょ。」
伊601「ニヒ!、了解!」
どかーーーーん!、どかーーーーん!
伊702「かなり遠くで爆発音多数!」
果南「敵も必死の様ね・・・、601、潜望鏡深度まで浮上、モニター出して頂戴・・・」
伊601「了解!、潜望鏡深度へ浮上!」
チャポン
果南「外はスコールで真っ暗ね・・・、さて、どうしたものかしら・・・」
参謀長「司令官、ここは新装備の電探射撃装置を試して見てはいかがでしょうか!」
果南「よし、それで行くわよ・・・、みんな深度50、速力3ノットで前進!」
幽霊艦隊一同「「「「「「了解!」」」」」」
果南「CIC、海底の深度は?」
CIC1「深度100、だんだん浅くなっていきます!、!!、感4!、敵駆逐艦です!、近づいてきます!」
伊601「司令官!」
果南「迎撃してやりなさい!」
伊601「了解!、全魚雷発射装置!、電探連動!、53式酸素魚雷!、放射状に発射!、撃てーーーー!」
ぱんぱんぱんぱん!、ぱんぱんぱんぱん!、しゅるるるるるるるルルルルルルーーーー
CIC1「敵、遠ざかります・・・」
果南「発見された訳ではなかったのね・・・」
どかーーーーん!、ばっしゃーーん!、ばっしゃーーん!
ロ級1・2・3「「「ギャアアアアーーーー!」」」
CIC1「命中を確認!、敵駆逐艦3隻撃沈!、残る1隻は遠ざかります!」
果南「しっかり適を追尾して命中するなんて、お利口な魚雷ね。」
CIC2「トレス海峡入り口に敵影を補足!、大型艦5、いや6!、敵の本体です!、方位左15!」
果南「10射線一斉発射!」
幽霊艦隊一同「「「「「「撃てーーーーーー!」」」」」」
ぱんぱんぱんぱん!、ぱんぱんぱんぱん!、ぱんぱんぱんぱん!、ぱんぱんぱんぱん!、しゅるるるるるるるルルルルルルーーーー
果南「左30降下!」
ばっしゃーーん!、ばっしゃーーん!
敵艦隊「「「「グアアアアアーーーーー!」」」」
ヲ級FS「!!」
豪雨の音によって他の一切の音をかき消される中、突如轟音と共に水柱があちこちで立、その度に1隻、また1隻と海の藻屑と消えていった。
リ級3「X艦隊ダ・・・、X艦隊ノ仕業ダ・・・」
ヲ級FS「コレガ・・・、虎ノ子ノ太平洋主力艦隊ト2個航空艦隊ヲ壊滅サセタX艦隊・・・」
ばっしゃーーん!、ばっしゃーーん!、どかーーーーん!、どかーーーーん!
ヲ級1・2「「グアアアアアアーーーーーー!」」
ル級1・2・3「「「ギヤアアアアアアーーーー!」」」
ヲ級FS「魔物メ・・・」
スコールが去った後、敵旗艦の言う魔物達が潜む前方の海は青く不気味に広がり、背後には岩礁が牙を剥き、荒波が砕け散るトレス海峡が立ちはだかり敵艦隊は動きを封じられていく。
リ級2「ヲ級様!、撃沈サレタ艦ガ浅瀬ニ乗リ上ゲ、マタハ座礁シテ海峡ヲ塞ギ艦隊行動ガ取レナクナッテイマス!」
ヲ級FS「!!、奴ラノ狙イハ我ガ艦隊ヲ使ッテノトレス海峡封鎖ダッタノネ!」
このトレス海峡封鎖の戦略的意味は大きい。
珊瑚海にはX艦隊が潜んでいると敵にわざとえる事でブリスベン、シドニーに立て籠もる敵艦隊は完全に孤立、待ち受けるソロモン海での戦いに横槍を入れられる心配は無くなった。
ヲ級FS「コレデオーストラリアノ連中ハ完全ニ怖気ヅキ援軍ヲ望メ無クナッタ・・・」
ばっしゃーーん!、ばっしゃーーん!
ヲ級FS「グウウッ!、ハアー、ハアー、コレマデノ様ネ・・・」
ばっしゃーーん!
伊601「敵旗艦撃沈!、その他随伴艦も尽く撃沈または座礁!、これでトレス海峡は完全に封鎖されました!」
2042年11月13日、決戦を前にして敵南太平洋艦隊は主力たる戦艦、空母の半数を失いまたその他大小戦闘艦含め21隻の損出を出した。
サンタクルーズ諸島沖
南方棲姫「ナンテ事ダ!、主力空母ト戦艦ノ半数ヲ1日デ失イ、トレス海峡ヲ封鎖サレ、オーストラリアノ連中ハX艦隊ナドトイウ迷信ニ踊ラサレ援軍ヲ拒否サレ」
?「敵ノ作戦ハ私達ヲドンドンバラバラニシテ小サクナッタトコロヲ各個撃破、ト言ッタトコロカナ。」
南方棲姫「レ級!、貴様半日ノ遅刻ダゾ!」
レ級「マアマア、デモホラ、コレ、持ッテ来タカラサ。」
南方棲姫「・・・、今回ダケダゾ!」
レ級「ウン!」
南方棲姫「シカシ、Admiral・矢澤ノ作戦ガサッキオ前ノ言ッタ通リ各個撃破ガ狙イダトシタラ・・・」
レ級「艦隊規模ハ約2倍以上、力押シスレバ火力デ勝ルコッチガ有利ダネ。」
南方棲姫「ヨシッ!、出撃準備ニ取リ掛カレ!、全軍ヲ持ッテソロモン海ヲ強襲!、ラバウルマデ一気ニ攻メ込ム!」
同日夕暮れ、敵艦隊動く。
決戦はもうすぐそこまで迫っていた。
にこ「あたしが言える事はただ一つ!、絶対勝つわよ!」
矢澤艦隊一同「「「「おおおーーーーー!」」」」
愛宕「提督、作戦が終わったら、その、また夜戦(意味深)しませんか?」ボソッ
にこ「///」カー
真姫「・・・、あの二人、仲良すぎ・・・」ムスー