でもどうしても蒼莱の話は書きたかったです!
しかし、あまりいいネタが思いつかない・・・
翌日の午前、東京ワシントンホテルの一室に松浦果南の姿があった。
果南「・・・、確か昨日、すっごく疲れて帰ってきて、そのまま寝ちゃったんだっけ・・・」
コンコン
果南「・・・、どなたですか?」
ことり「南だよ。」
果南「!、どうぞ!」
がちゃっ
ことり「おじゃまするね。」
訪ねて来たのは海軍航空隊司令長官・南ことり大将であった。
果南「南長官、どうされましたか?」
ことり「あなたをとあるところへ案内して欲しいと高坂総長が。」
果南「・・・、まだ朝食を取っていないので、構いませんか?」
ことり「どうぞ。」
その後、松浦は南に連れられ着いた先は土浦の本土防空隊基地であった。
果南「ここは・・・」
鳳翔「お待ちしておりました。」
果南「鳳翔さん!、それに東野さんも!」
ひかり「疲れているところを呼び出して悪いね。」
鳳翔「南長官、例の機体の準備は万端です。」
ことり「了解!」
ひかり「さあ、こちらへ。」
松浦は南に東野、軽空母・鳳翔に言われるがまま格納庫の奥へと案内された。
鳳翔は一線を退いてはいるが、航空隊妖精の教官として妖精達を訓練しており、彼女が練成した鳳翔隊の妖精の熟練度はもはや赤城隊や飛龍隊の比ではなく、現在は鳳翔隊および同境遇の天城隊を中核とする妖精達で結成された本土防空隊の指揮を執っている。
果南「それにしても鳳翔さん、まだ艤装を扱えるなんて凄いですね。」
鳳翔「なぜですか?」
果南「だって鳳翔さん、今年でさんじゅう・・・」
鳳翔「はい?」ニッコリ
果南「いえ、なんでもありません!」ガクガク
鳳翔に年齢の話はタブーである。
そしてこの基地の中で最も警備の厳しい区画へとたどり着く。
そこには白衣を着た長い黒髪を白色のリボンを使い首もとで結った女性が一人と鳳翔隊の妖精達がいた。
?「皆さんこちらです。」
果南「あなたは・・・」
ひかり「彼女は青山蓮、直接は面識がないと思うけど、幽霊艦隊の艦載機の設計開発をしたのは彼女だよ。」
蓮「はじめまして、航空機関連の事を一任されている青山と申します。」
青山蓮は東野をはじめとする技術将校の一人で、主に航空機の設計開発を担当している。
ひかり「早速だけど例の物を!」
蓮「こちらです!」
松浦はここに来てテンションの高い南や東野、鳳翔、青山の指さす方を見る。
そこにはこれまでとはまるで違う、機首に小さな前翼があり機尾に大型の発動機が取り付けられた通常の機体とは全てが逆に設計された奇妙なエンテ形(逆前翼型)をした航空機があった。
蓮「前世の局地戦闘機・震電の生まれ変わりに当たる最新鋭局地戦闘機・蒼莱です!」
果南「蒼莱!、これが!、遂に完成したんですね!」
蓮「全長10.66m、全幅11.20m、重量3,725㎏、2200馬力の東式梅型発動機に二重反転式八枚プロペラを搭載、最大時速は高度9000mで760km以上、実用上昇高度は13000m以上で航続距離は1200kmと短いですがその分、上昇力と運動性能を重視した設計になっています!」
果南「真に短距離の高性能高高度迎撃機というわけですね!」
蓮「はい!、そして機首に装備された57㎜迫撃砲がどんな大型機をも粉砕します!」
果南「なんと!」
ひかり「奇妙な形でしょ?、でもこれがあのムカつく超空の要塞を叩き落せる唯一の機体よ!」
現在敵には前世のB17(フライングフォートレス)を模作した四発機が存在し、この機体が前線基地を次々と爆撃、味方の迎撃機は高高度戦闘用には設計させれおらず、ほとんど反撃できずに一方的に攻撃されていた。
ことり「この世界に転生して何度か空襲を体験したけど、上空9000mを悠々と飛行して飛び上がった迎撃機をあ酒笑うかのように解散していく敵を何も出来ないまま何度も何度も見ているともう悔しくて堪らないよ!」
B17型の最高高度はおよそ9000m、対して味方の海軍迎撃機、主に零戦は2000m程度での格闘戦用に設計されたため、高高度ではもはや息も絶え絶えであった。
高高度迎撃用に改良された機体でも完全阻止は困難を極め、三分の一ほど撃墜できればいい方だ。
ひかり「けどそれは3年前の話で、今では敵にまだ少数ではあるけどB29型が確認されるようになってきた・・・、前世のB29(スーパーフォートレス)を模作しているとすれば敵は高度10000mで時速550km、いや600kmを超えて来る上にあの頑強な装甲と機銃による弾幕に阻まれ近づけやしない!」
3年前の4月、前世と同様に横須賀鎮守府が領海に侵入した空母ヲ級から発進したB25(ミッチェル)型爆撃機により爆撃され、この事が原因でこの世界におけるミッドウェー海戦が勃発していた。
しかしこのとき敵のB25型は意外と低空であったため、迎撃機が全て撃墜した。
蓮「私も転生する際に前世大戦時の東京大空襲を経験した名も無き航空工学者志望の学生の記憶を持ってこの世界に転生しました。
辺り一面が焼け野原となり目の前で多くの人が亡くなりました・・・、味方の航空隊がほぼ壊滅状態にあるためろくな対処も出来ずみやられ放題、見ている側としてもとても無念で仕方がありません・・・」
どの世界においても高度10000mに達するのに鳳翔隊の熟練パイロットでも数十分から1時間は掛かっていた。
しかし蒼莱はわずか10分ちょいで成層圏まで達することができるのである。
蓮「現世でもB17を完全阻止出来ない以上、B29型が相手では零戦どころか紫電改や烈風でさえ不可能です・・・、ですが!」ぐっ
先ほどまで失意のどん底に突き落とされた様な表情をしていた青山であったが蒼莱を見て再びその顔は希望と自信に溢れていた。
蓮「ですがこの蒼莱ならきっと!」
その後、一度帝国ホテルへと戻った松浦は海軍の白い軍服に着替え再び訪ねて来た南や東野、鳳翔および途中で合流した青山や天城(天城型)と神楽坂の料亭に向かった。
ことり「けどいいの?、幽霊がこんなところでお酒なんか飲んでて。」
果南「たまには幽霊だってにぎやかに飲みたい時くらいあります!」
鳳翔「さあ幽霊さん、どうぞ。」ニコッ
果南「ありがとうございます!」グビグビ
ひかり「青山!、全然飲んでないぞ!、ほらもっと飲め!」ドン
蓮「日本酒一升瓶!、東野さん飲みすぎです!、少しは控えてください!」
天城(天城型)「まあまあ、今夜くらいは羽目を外されては?」
蓮「・・・、今日だけですよ!」
ひかり「うひひひひ!」グビグビ
この日はこれまでの疲れを吹き飛ばさんと一晩飲み明かした。
それから2日後の昼、松浦は高坂に自宅へ呼ばれ、囲碁をしていた。
ぱちっ、ぱちっ
果南「囲碁なんて初めてですよ・・・」ぱちっ
穂乃果「私も園田長官に勧められてやってみたんだけど、結構おもしろいよ・・・」ぱちっ
果南「しかし、流石に七目も置くと碁盤は真っ黒、総長の白はまるで我が日本国の様です・・・」
穂乃果「だとしたらこの七目は前世で言うところの米英仏蘭豪ソ中、蘭は即急に潰し仏と中も動きを封じたが米英豪ソは今だ健在・・・
太平洋の南には懐の深い豪、背後には強かなソと来た・・・」ぱちっ
果南「碁盤のど真ん中!、それはハワイですか!」
穂乃果「こうも列強国に囲まれたら私達は太平洋へ出るしか無くなる・・・
しかし、ハワイへ出たはいいけど今度は北にダッチハーバーがある・・・、今度は間違いなくここの飛行場からB29型が飛んでくるだろうね・・・」
果南「これを攻略しない事には事が進みそうに無いですね・・・、となるとダッチハーバはアリューシャン列島の角地みある堅固な要塞軍港・・・、この辺ですね!」ぱちっ
穂乃果「・・・、松浦さん、あなたならこの角地に陣取ったダッチハーバーをどう攻める?」
果南「大部隊を持って攻め込むか・・・、奴らを誘い出して洋上で叩くか・・・、と言ったところでしょうか?」ぱちっ
穂乃果「なにか現状を大きく左右する天元の一石が欲しいね・・・、あるとしたら・・・」ニヤリ
高坂は碁盤のど真ん中に視線を向けた。
果南「ハワイ!、天元の一石は太平洋の中心のハワイですね!」
穂乃果「ふふ、天元の一石か・・・
よし!、本作戦は天元作戦と名付けよう!、まあ最も今は名前が決まっただけで作戦自体は当然まだだけどね!」
果南「ははは、使えますか?」
穂乃果「多分!」ぱちっ
果南「!」
穂乃果「と、そんな話をしているうちに豪州とインド洋が封鎖されたよ!、待ったは無しだからね!」
果南「!、参りました・・・」
そして同年3月下旬、松浦は機上の人となり新知島の幽霊艦隊指令部へと戻って行った。
新知島指令部
果南「ただいま戻ったわ!」
副長「おかいりなさいませ!、指令官!」
果南「状況はどう?」
副長「相変わらずと言ったところです・・・」
伊601「指令官!、おかえり!」
果南「ただいま、本部は相当荒れていたわ・・・」
伊601「あははは、やっぱりですか・・・」
果南「しかしこちらとていつまでもこのままというわけにはいかないわ!、幽霊艦隊総員!、再び北太平洋にて索敵を行う!」
幽霊艦隊一同「「「「了解!」」」」
幽霊艦隊は旗艦・伊601(富嶽)を中心に再び太平洋を東に進み、アリューシャン列島海域にて広範囲な索敵を開始した。
それから何度か敵航空機の接近はあったものの、小競り合い程度戦闘が数回起きただけで特に大きな戦闘には至らなかった。
2042年4月17日午後23時を過ぎようとしていた頃、松浦の脳裏いる前原一征の記憶の一つが呼び起された。
松浦「(確か4月18日は前世後世の双方で本土空襲のあった日・・・、なんか嫌な予感がするわね・・・)」
そして翌18日午前、高坂をはじめとする首脳が会議をしている最中、舞鶴鎮守府総司令・高海千歌大将より緊急の電文が届いた。
穂乃果「(はあー、相変わらずか・・・)」
ばん!
ヒデコ「総長!、高海長官より緊急電です!」
穂乃果「何事?」
ヒデコ「敵大型機が九州より領空に侵入!、列島沿いに北上しつつ東京を目指している模様です!」
穂乃果「!、敵の機種は!」
ヒデコ「それは不明ですが、こちらの航空隊が迎撃に飛び上がると高度を12000mまで上げ寄せ付けないとの事です!」
穂乃果「(高度12000m!、まさかB29型!)」
穂乃果「敵の発進基地は!」
ヒデコ「シナ方面です!」
穂乃果「(シナ・・・、前世ではドーリットル攻撃隊が降りたところ!、逆コースで来たか!)」
希「爆撃による被害は!」
ヒデコ「北九州、阪神、中京と各工業地帯が爆撃を受け被害は決して軽微ではないとの事です!」
希「迎撃に飛び上がった機体は?」
ヒデコ「零戦52型と少数ですが紫電改もいました!」
ツバサ「紫電改でも12000mじゃきついわね・・・」
希「いかがいたしますか総長!」
穂乃果「東條参謀総長、南長官へ平文で打電!、蒼莱をもってこれを迎撃せよ!」
希「了解!」
敵機撃墜命令はすぐさま南の下へ届けられ、土浦の本土防空隊へ伝わった。
しかし蒼莱はまだ量産ラインには乗っておらず、今は土浦に24機配備されているだけであった。
鳳翔「蒼莱の初陣ですね!」
ことり「敵はもうすぐ関東上空へ差し掛かるよ!」
鳳翔「了解!、稼働機全機発進してください!」
ギリギリパシュッ!、ギリギリパシュッ!、ギリギリパシュッ!
ぶーん、ぶーん、ぶーん
本土防空隊発進の直後、東京では空襲警報が鳴り響いていた。
うーーーーーん、うーーーーーん、うーーーーーん
ばばばばばばばばばば!、どーんどーんどーん!
そんな中で高坂は軍令部の最上階にてその様子を見ている。
穂乃果「・・・」
ヒデコ「総長!、そこに居ては危険です!、すぐ中へ!」
穂乃果「構わないよ・・・、それよりあの当たるはずの無い高射砲を黙らせてくれる!」
ヒデコ「了解です!」
蒼莱隊長妖精「・・・、高度8000、・・・、高度9000、・・・、高度10000!」
鳳翔「敵は今、神奈川上空に到達しました!」
蒼莱隊長妖精「了解!、・・・、高度15000!」
蒼莱は発進から20分と掛からず高度15000mに到達、一方敵は工業地帯を爆撃ししつ九州より北上、途中で半数は引き返したが残りの13機はちょうど神奈川上空から東京上空へ差し掛かろうとしていた。
蒼莱隊長妖精「目を見開いて敵を探せ!」
蒼莱妖精1「左舷下方に敵影!、数10以上!」
蒼莱妖精2「でけー!、まるで空飛ぶクジラだ!」
蒼莱妖精3「こっちはイワシかよ!」
蒼莱隊長妖精「ちっ!、奴らなんてもん持ってやがるんだ!」
鳳翔「皆さん情けない事言わないでください!、敵がクジラならこちらはシャチと思いなさい!」
蒼莱隊長妖精「了解!、行くぞ!」
蒼莱妖精s「「「おーーー!」」」
ぶーん、ぶーん、ぶーん
敵爆撃機1「右舷上空より敵機!」
敵爆撃隊長機「おいおい、こっちは今高度12000を飛行してんだぞ!、こちらより高く飛べる機体なんて・・・」
敵爆撃機1「いえしかし・・・」
敵爆撃隊長機「しかしもヘチマもあるか!」
敵爆撃機2「!、敵の新型機だ!」
敵爆撃隊長機「馬鹿な!、そんなはずは!」
蒼莱妖精1「食らえーーー!」
どん!どん!どん!、どかーーーーん!
敵爆撃機2「ぐあーーー!」
敵爆撃隊長機「一撃だと!、敵を近づけさせるな!、編隊を密にし弾幕を張れ!」
ばばばばばばばばばば!、ぶーんぶーんぶーん
敵爆撃機1「かなり速い奴だ!」
敵爆撃機3「1機そっちへ行ったぞ!」
どん!どん!どん!、どかーーーーん!
敵爆撃機5「ぐああああっ!」
蒼莱妖精3「そんなヒョロヒョロ弾当たるかよ!」
どん!どん!どん!、どかーーーーん!
敵爆撃機2「ぐあーーー!、落ちるーーーー!」
まるでハリネズミのように張り巡らされた敵の対空機銃による弾幕にも死角があり、蒼莱はその速力と運動性能を生かして死角である真上から背面急降下し敵機の操縦席または胴体と翼の付け根に極めて正確な一撃をぶつけ離脱。
かつては紫電改の妖精が爆撃機撃墜のために執っていた戦法であるが、紫電改の20㎜機銃と蒼莱の57㎜迫撃砲では威力が段違であり、この戦法を使う事によってその効率性が格段に上がる。
どん!どん!どん!、どかーーーーん!
敵爆撃機1「くそっ!、ぐあーーー!」
蒼莱妖精1「残念でした!」
そして戦闘開始から30分ほど経った頃、超空の要塞は全て地に堕ちていた。
蒼莱隊長妖精「敵機全機撃墜!、これより帰投する!」
ぶーん、ぶーん、ぶーん
蒼莱が去った後の空には幾つもの白い飛行機雲が入り乱れていた。
しかしそれを見てとても美しいと感じた高坂は満足気な表情をして戻って行った。
穂乃果「やってくれたね!、蒼莱!」
このとき敵爆撃機を速やかに駆逐した蒼莱の姿は高坂を始め多くの人々の目に映り、最も美しいシルエットをした戦闘機として世界中に知れ渡った。
ことり「本日東京に来襲した敵機の残骸を青山さんが調べたところ、最新鋭のXB30型である事が判明しました・・・」
穂乃果「XB30・・・、いや、ご苦労様。」
戦争である以上は勝者側にも当然、嬉しくない情報も入って来る。
果南「・・・」
副長「指令官!、東京に来襲して敵機ですが、我が海軍の新型機が全機撃墜したそうです!」
果南「そう、じゃあ今度は私たちの番ね!」
しかし、この本土防空戦がきっかけとなり、膠着していた戦局が遂に動き始めた。
穂乃果「はあー、こっちに爆弾落ちてこないか内心冷や冷やしたよ!」
ことり「空襲の最中に屋上でのんびり空を眺めてた人が良く言えるね・・・」
穂乃果「さてと、気を取り直して次回予告行ってみよう!、翔鶴さんに瑞鶴さんよろしくね!」
翔鶴「はい。」
瑞鶴「やっとダッチハーバーに引き籠ってた奴らが出て来たか!」
翔鶴「敵の航空戦力はかなりの物ね!、更にキスカにも大艦隊がいるから挟まれたら危ないわ!」
瑞鶴「大丈夫だよ翔鶴姉!、絢瀬艦隊にはあの随伴艦さん(笑)がいるし今は艦隊間航空決戦が主流なんだからきっと弾除けになってくれるからさ!」
翔鶴「だめよ瑞鶴、いくら相手が随伴艦(笑)でも先輩に弾除けなんて言ったら。」
穂乃果・ことり「「・・・」」
加賀「頭にきました・・・」
ことり「(なんか嫌な予感が・・・)」
加賀「勝利の暁にはあなた達に七面鳥を送ってあげるわ、おっと、もうここにいたわね(笑)」
瑞鶴「なんですって!、この人間焼き鳥製造機!」
加賀「黙りなさい、甲板胸の七面鳥女!」
ワーワー!、ギャーギャー!、シチメンチョウノブンザイデナマイキヨ!、サッサトクワレロヤキトリ!
加賀「それに弾除けならそこの不幸さん(笑)がいるから大丈夫よ。」
翔鶴「あらあらうふふ。」
ことり「(瑞鶴さんも瑞鶴さんだけど、加賀さんも加賀さんだね・・・)」
穂乃果「(このままじゃ収集がつかないから今回はここまで!)」