『曇天に笑う』では、第1回目となります!
曇天は大好きな作品の1つです。よろしければ、ぜひご覧くださいませ!
宙太郎・天火 『家族』
『曇宙太郎・曇天火』
「…よし、お仕事しゅーりょーっと!」
目の前の机の上には3時間前までは真っ白だった紙たちが真っ黒な文字で埋まっていた。うわー、もう肩ばっきばきだよ…。
「ちょっと散歩にでも行こうかなあ」
最近こういう仕事ばっかりであんまり運動してなかったんだよね。たまには外に出るのもいいかも!
思い立ったらすぐ行動、というモットーの元、私はすくっと立ち上がった。
外は多少曇っているものの、歩くには丁度いい天気だろう。
私室の扉を開けると、なんともタイミングよくある人物とぶつかりそうになった。その人物は私よりも背は低く、赤と黒の帽子を被った男の子。
「あ、宙太郎!そっちの仕事ももう終わり?」
「はいっす!美咲ねぇは?」
向日葵のような明るい笑顔を浮かべる彼。いつになってもやっぱり可愛らしい。
「私もさっき終わったんだ。だから、散歩にでも行こうかなって」
言い終わると、宙太郎はその小さな手で私の手を包み込み、子犬のようなキラキラとした瞳で私にこう言った。
「おいらも、一緒に行っていいっすか!?」
その言葉に、少し驚いてしまう。
私は一緒に行くのは構わないけれど……
「でも、宙太郎は仕事から帰ってきたばっかりでしょう?疲れてない?」
「大丈夫っす!天にぃと空にぃも一緒だったっすから!疲れてなんかないっすよ!」
さっきと同じ屈託のない笑顔で私をにこやかに見つめる。
「じゃあ、一緒に行こうか!」
「はいっす!」
私と宙太郎が手をつないで玄関へ歩き出そうとした瞬間ーー
「どこ行くんだ?お前ら」
後ろからの声掛けに振り向くとそこには曇家の長男、曇天火が立っていた。
「ちょっと2人で散歩に行くだけだよ。というわけで、空丸と白子さんと一緒にお留守番よろしくね~」
「よろしくっす!」
宙太郎と2人で手を振ってからくるりと背中を向けて歩き出すと、急に肩に『重い感覚がのしかかってきた。
一瞬「何?」と思ったが、この感覚が何から来たものかはすぐに理解する事が出来た。
「ちょっと天にぃ…何?」
ちらりと視線をやると、駄々をこねる子供のような声で
「俺も一緒に行く~~!!」
……もう24の男が何言ってんだか…「行く~~!!」じゃないでしょ。子供かあんたは!
「てか、夕飯の手伝いするんじゃなかったの?」
「それは明日に持ち越し」
「空丸、怒るよ?」
「だーいじょーぶだって!」
ぴしっと親指を立てる天にぃ。いやいやいや、大丈夫なのかそれ?
___まあ、いいか。空丸に怒られてるのはいつものことだし。
じゃあ天にぃも一緒に行こうか、と言おうとした瞬間。握られていた私の右手にぎゅっと力が入った。
「ダメっす!!」
思わず、目を丸くした。
…ダメって。宙太郎、急にどうしたんだろう…?
「何だよ宙太郎ー。ダメって」
天にぃは唇を尖らせて子供のようにブーイングをもらす。一回り違う弟にどんな態度とってるんだ、この人は。
…まあ、さっきの発言は私も気になるところがあるから天にぃの言う事はもっともなのだが。
「宙太郎、理由を話してくれないと天にぃも私も納得できないよ?」
なるべく優しい口調で話しかけると「はいっす…」と、か細い声で返事をした。
「だって…最近美咲ねぇと天にぃ、一緒にいる事が多いじゃないっすか。それで…一緒にいる2人を見るとなんだかモヤモヤして天変な気持ちになるんす。だから!おいらも美咲ねぇと2人なら何かわかるかなって…それで……」
「宙太郎」
私は愛する弟の名前を呼び、そっと抱きしめた。
「…ごめんね」
きっと、この子は寂しかったんだ。
私がこの子の母親代わりのはずなのに…それを怠ってしまった。
辛かったよね。
苦しかったよね。
抱きしめてあげられてなくて、ごめんね。
「私はずっと、宙太郎の傍にいるからね」
「う……美咲ねぇ~!!」
宙太郎はぎゅ~っと私の体を抱きしめる。私もそれに応えるように宙太郎の体を抱きしめた。もう、辛い思いも、苦しい思いもさせないと誓うように。
「宙太郎、今までよく耐えてたな…さすが、曇家三男だ」
「天にぃ…美咲ねぇ…」
「「よしよし」」
2人でそっと愛しい弟な頭を撫でた。…やっぱり、この子は可愛い私達の弟だ。
______
「ねえ、天にぃ。…私たち、2人の親代わりになれてるかな?」
私の真剣な眼差しに、天にぃも応える。
「そうだな…本当の親ってのにはなれねぇ。でも、あいつらにとっては俺らが保護者であり、家族であり、兄弟だ。だから、俺もお前も今のままでいいんじゃねーかな」
「……そうだね、ありがと。天にぃ」
ふっと柔らかく微笑むと、私の頭を天にぃの大きな手がわしゃわしゃっと乱暴に撫でた。
「ちょっと、天にぃ!」
「はは、あんまり深く考えんなよー。まだお前は、子供なんだから」
「もー…私だってもう20歳だよ?」
ぷくっと頬を膨らませる私。…もう、やっぱり敵わないなあ。
「いつか天にぃにも負けないような立派な人になるんだから、見ててよね!」
大きく胸を張って、人差し指を天にぃに突き立てる。彼は白い歯を見せて微笑む。
「ははっ、楽しみにしてるぞ!」
私たちは笑顔で交わす。
これからの未来を。
今までの後悔を。
そして__私たち5人の未来を。
初めましての方は初めまして。お久しぶりの方はお久しぶりです。おはこんにちばんわ、ネッシュです!
相変わらずの不定期更新ですですみません…。でも、久しぶりに書けて楽しかったです!
拙い文章で申し訳ありませんが、少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
では、またお会いできることを願って…!