Fate/The rule of might   作:じゃくさい

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遅くなって申し訳ありません。

それでは、どうぞ。


蒼き槍兵、白き妖怪

遠坂凛は学校に到着するなりその違和感に気が付いた。

 

「やられたわっ!まさかもう手を打ってくるなんて!」

 

「……結界、か。」

 

「ええ。それもこの学校内にいる生徒の生気を全部吸い取ってやろうって魂胆ね。気に入ら

 

ないわ。でも、これだけ大きな結界だもの、発動するのにまだ時間がかかるはず。私の実力

 

じゃまだ無効化はできないけど、この結界の基点を探して私の魔力を流し込めば少しは妨

 

害できるはず。それしかできないのが悔しいけどね。とにかく、放課後生徒が下校した後に

 

作業を始めましょう。いいわね?ファントム。」

 

「……」

 

殺生丸の無言を了承ととらえた凛は、放課後の基点さがしに思いを巡らせながら校舎内へ

 

と入っていった。

 

 

「遠坂、朝早いんだな。」

 

赤い短髪の男子生徒が凛に声をかけてきた。

 

「あら、おはよう。衛宮君。」

 

彼の名は衛宮士郎。凛の妹である間桐桜の友人である、凛と同じ学年の男子生徒だ。

 

「遠坂って部活とかやってるのか?」

 

「いいえ。今日は少し早く登校しただけよ。」

 

それでは、と早めに衛宮との会話を切り上げる。今は放課後の件で頭がいっぱいなのだから。

 

だが、凛は士郎がのちに自分の聖杯戦争で大きなかかわりを持つことになるとはまだ、知る

 

由もなかった。

 

いつもはまじめに聞く授業も半分流しつつ、放課後。生徒が下校し、静まり返った校内で

 

凛は学校に張られている結界の基点を浄化していた。

 

「ふう。あと、チェックしていないところは……屋上ね。」

 

一通り学校を回った凛たちは最後に屋上へと向かった。

 

「ビンゴ。今までの基点よりも少し複雑。これを浄化すれば少しは時間稼ぎができるはず。」

 

やっと出た成果らしい成果に安堵の息を漏らしつつ、基点の浄化を完了させる。

 

「なんだ?消しちまうのかよ。もったいねえ。」

 

突然聞こえてきた声の方向に凛はすばやく体を向ける。声の方向、給水塔の上には蒼いタイ

 

ツのような戦闘服を着た長身の男が立っていた。

 

「あなたは、サーヴァントッ!!」

 

「おうとも。で、それがわかるお嬢さんは俺の敵ってことでいいのかな?てことはその隣に

 

いる白いお兄さんは、サーヴァントか。まぁ、霊体化してる時点でほぼわかりきってたが。」

 

蒼い男は給水塔から飛び降り、身の丈ほどもある真紅の長槍を顕現させる。

 

ヤバい!そう感じた凛は迷わず屋上のフェンスへと疾駆する。

 

「Es ist grous, Es ist klein.........!! Vox Gott Es Atlas……..!!」

 

魔術によって体を軽くして、フェンスから校庭のほうへと飛び出す。はたから見れば自殺行為。だが、

 

「ファントムッ、着地任せた!」

 

地面との衝突の寸前、殺生丸が落下の勢いを緩和、若干こけそうになりながらも凛は校庭

 

に着地し奔る。

 

「へぇ、なかなか面白い術を使うじゃねぇか。」

 

寒気。背後から濃密な死の気配が迫ってくる。実際コンマ数秒後には凛の体は真紅の長槍

 

によって貫かれていただろう。だがその悲運は抜き放たれた刀によって切り裂かれる。

 

「ファントム!」

 

殺生丸が霊体化を解き、蒼い男と対峙する。

 

「ファントム?ほぉ、お兄さんはエクストラクラスのサーヴァントなのか。刀差してるから

 

セイバーかと思ったが、まぁどっちにしろ少しは楽しめそうだな。」

 

「そういう貴様はさしずめランサー、といったところか。」

 

「ああ、いかにも俺がランサーさ。」

 

ランサー、敏捷性にかけてはサーヴァント七騎のうちトップクラス。セイバー、アーチャー

 

に並ぶ三騎士の一角。その濃密な闘気に充てられ凛は少し動揺するが、何とか持ち直し、

 

殺生丸にマスターとして命令を下す。

 

「いいわ、ファントム。あなたの力、ここで見せてっ!」

 

「……下がっていろ、凛。闘いの邪魔だ。」

 

邪魔、と言われたことに文句の一つでも言ってやろうかと思った凛であったが次の瞬間

 

殺生丸から発せられた闘気に口を閉じる。

 

「へぇ、なかなかいい闘気じゃねぇか。こりゃあ本当に楽しめそうだな。」

 

次の瞬間、殺生丸の姿が掻き消え、刀を振り下ろさんとする姿でランサーの眼前に

 

現れた。

 

「うおっ!」

 

予想外の殺生丸の速さに瞠目しながらも、ランサーは振り下ろされた刀を槍で受け止め、

 

いなし、体を回転させ、殺生丸の後方に回り込み、遠心力を生かして槍を薙ぐ。

 

「ふっ!」

 

殺生丸は振り返りつつ、振り下ろした刀を切り上げる形でせまりくる槍に衝突させる。

 

互いの武器が衝突。すさまじい音を響かせながら火花を散らす。殺生丸が強引に押し切る形

 

でランサーを吹き飛ばし、間髪入れずに唐竹、袈裟懸け、横なぎと斬撃を叩き込んでいく。

 

「おらぁ!!」

 

神速の連撃をランサーはかわし、槍を回転させていなし、できた一瞬の間隙を縫って殺生丸

 

に風を切り裂いて刺突の連撃を繰り出す。同時に来ているかと見まがうような槍の連撃を

 

殺生丸は人智を超えた動体視力と反射神経によってかわし、刀ではじく。

 

「はあっ……!」

 

いつ止むともしれない槍の雨を、殺生丸が刀の切っ先をランサーの槍の穂先に合わせたこ

 

とによって、雨が止んだ。

 

「な、に……!!」

 

さしものランサーもこれには動揺し、地面を蹴って仕切り直しを図る。

 

「これが、サーヴァントの闘い……!」

 

初めて間近で見た英霊たちによる剣戟に凛は驚きを隠せないでいた。

 

「なるほど、セイバーに劣らないその剣技、白く長い髪、腰に差された二本の刀。まさか、

 

こんな早くに闘牙王と相まみえるなんてな。」

 

自分の槍を止めた殺生丸に賛辞の気持ちを込めて殺生丸の異名を呼ぶ。

 

「ふっ。そういう貴様はその真紅の長槍、私と打ち合える速さ、クランの猛犬、

 

クーフーリンか。」

 

「ああ、そうとも。さて、お互いの名も知れたことだ。そろそろ本気出させてもらうぜ。」

 

真紅の槍があふれ出す濃密な魔力に覆われ始める。

 

「この魔力量は、宝具……!」

 

「お前の心臓、貰い受ける!!」

 

伝説の大英雄の一撃。本来であればだれも止めることなど叶わなかったであろうその攻撃

 

は何ということはない、砂利を踏み鳴らす音によって止められた。

 

「何やつだ!」

 

「しまった……!まだ生徒が残っていたんだわ!」

 

ランサーの姿が生徒が校舎内に駆け込むと同時に消え去った。

 

「まずい、ファントム追って!」

 

このままではランサーに生徒が殺されてしまう。そう思い、殺生丸を先にいかせ凛は必死に

 

追いかけた。が、願いむなしく凛の瞳に映りこんだのは心臓から血を流し倒れこむ一人の

 

男子生徒の姿だった。

 

「そんな……こんなの桜になんて言えばいいのよ……!」

 

さらに言えば、その男子生徒は今朝凛が言葉を交わした、衛宮士郎その人だった。

 

「下がれ。」

 

不意に殺生丸がランサーと打ち合っていたのとは別のもう一振りの蒼い刀を抜いた。

 

「ちょっと、何をする気よ?」

 

「……」

 

殺生丸はすでに息絶えた士郎の姿をじっと見つめている。まるで、何か凛には見えていない

 

もの見ているかのように。少しの間をおいて、殺生丸が虚空に刀を振りぬいた。

 

「行くぞ。」

 

殺生丸は何事もなかったかのように歩き去っていく。

 

「え、そんな!」

 

凛は驚愕した。さっきまで完全に息を引き取っていたはずの士郎に生気が宿っていた。

 

本当に今にでも起き上がりそうなほどに。死んだ者の蘇生など、遠坂家に伝わる宝石魔術

 

のなかでもかなり高度な部類。それを殺生丸は刀の一振りでやってのけた。先ほどの

 

ランサーの闘いといい、今といい、殺生丸の底の知れなさに凛は畏敬の念を込めてしばらく

 

歩き去る殺生丸の後ろ姿をぼんやりと眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




戦闘シーンって、難しい……
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