機動戦士ギャンダム 焼け野原の戦場   作:Redeye

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1話

宇宙世紀0075年 サイド3

 

場末の居酒屋で二人の男が酒を飲んでいた。

周りの客達が楽しそうに酒を酌み交わすのに比べ店のすみにいるこの二人の雰囲気は照明の加減もあってかどこか淀んでいた。

 

「おい、ヒロシもうその辺で止めとけ。明日も仕事があるだろ?」

「お前は悔しくないのかジャン!?あの卑怯者のジオニックの連中が去り際に言った言葉をもう忘れたのか?」

 

顔を真っ赤にさせて兵装開発主任のノハラ・ヒロシが声を上げる。

酒が回った為かそれともいまだに怒りが込み上げるためか血管さえ浮かんでおり彼のルーツの国では赤鬼と言う怪物が居たらしいがたぶんこんな感じだったのだろう。

 

「二時間前からずっと同じこと繰り返してるぞ?あと俺はコンペ会場には参加してないの忘れたのか?」

 

ヒロシが荒れている理由はこれだ。

つい先日ジオンの今後を担うMS(モビルスーツ)の制式化コンペに自社(ツィマッド)が開発したヅダがジオニック開発のザクに敗れ今までの苦労が無駄になってしまったのだ。

彼は今まで多くの時間をヅダの開発に打ち込んできた。

それこそ息子の運動会等イベントには一度も出れずそれを妻になじられた事さえある。しかし、成功さえすれば旦那としての面目躍如出来ると自分に言い聞かせながら。

しかし結果は不採用。家族との時間を削ってさえ費やしてきた結果がこれだ。

その気持ちは同僚で軍から出向してきたジャン・リュック・デュバルには痛いほど分かるが決まってしまったものは覆しようがない。

 

「とりあえず今日は帰ろう、あんまり家族をほったらかしてると嫁さんに逃げられちまうぞ」

「、、、分かった、帰る。」

「よしいい子だ。あとこれからは少し時間も出来るだろう?家族サービスでもするんだな。すみませーんお勘定。」

 

こうして男達は帰路につくことになったがその心の奥には依然消えない悔しさが燻っていくことになる。

 

 

 

「お隣良いですか?」

「へ?あ、あぁどうぞ。」

 

あれから数日後仕事上がりに一人で呑んでいると一人の女が声を掛けてきた。

特別に美人と言うことも無いが小綺麗にスーツを着こなした彼女との話は、初対面だと言うのに弾んだ。

ミラーと名乗った彼女はジャーナリストであり昨今の地球ーコロニー間の経済問題を取材する目的で宇宙に来たらしい。

通りで話が上手いなと納得する、話術が下手では文屋は勤まらないだろうと思う。

仕事ばかりで経済情勢に疎かった俺は新鮮な話に引き込まれて行った。

「そういえばこんな話を聞いたんですが聞いたことありますか?」

話を要約すると癒着企業を調べているとサイド政府とジオニック社の癒着の噂があったらしい。

「ジオニック社とMIP社で戦車のコンペディションがあったらしいのですが、技術本部のシュナイダー審査官がジオニック製のマゼラアタックを強く押して採用させたなんて噂があったんですよ」

噂は知らなかったがジオニックのマゼラアタックの採用に関しては自分でも不思議に思ったところはあった。

MIP製は従来戦車の延長であり革新性は無いものの堅実な設計だったのに対しジオニックのマゼラアタックは砲塔が分離飛行可能と言う面白い物であったが砲塔が旋回不可と言う問題を抱えていた。

確かに西暦の時代に無砲塔の戦車は存在したが森林でのアンブッシュ等限定された状況でなければ運用が難しい物であり旋回砲塔が無いのは即応性に大きく劣る。

そんなこともあり疑問に思っていたがそんな噂が有ったとは。

いや、待てよ。シュナイダー審査官?この前のMSコンペでも同じ名前の審査官が居なかったか?

「あの、ノハラさんどうかされましたか?」

「え、あっいやなんでもありませんよ。ちょっと飲み過ぎちゃったかな!?すみませんもう帰ります。」

「そーですか?私はもう少し飲んでこうかな、またあったら飲みましょうね。」

返事もそこそこに俺は切り上げて家に帰ることにした、胸の奥に疑惑を押し込みながら。

 

 

ーサイド3ビジネスホテルー

 

???「対象者に接触しました、仕込みは上々です。引き続き工作を継続します。」

???「はい、タブロイド紙に情報のリークも行いますがしばらく待って下さい関係者への下処理をもう少し進めます。」

 

 

あの夜ジャーナリストの女から噂話を聞いて半年程たったある日同僚のジャンが話し掛けてきた。

「おい、ヒロシ開発部で噂が広がってるのは知ってるか?」

「ジャンか、どうしたんだ?」

「この前のMSコンペで不正が有ったんじゃ無いかって話が出ているらしい」

「、、、」

噂の出所は不明らしいがかなり話が広がっているらしくジャンもジオニックの不正を疑いはじめたようだ。

「俺はMSでの話は知らないがそれに似た話なら以前聞いたな。」

そう言ってマゼラアタック採用に掛かる噂話が有ることを教えた。

「なんだと?シュナイダー審査官!?そいつはMSコンペにも参加していなかったか?まさか本当に!?」

何かきな臭い物を感じるが今更どうなるものでもあるまい。

「落ち着けジャン!仮にその話が本当だったとしてMS開発は極秘事項だ不正の調査などされるわけがない、連邦にばれるリスクを政府が侵すわけ無いだろ!?」

「しかし、それでは事故で死んだノーマンが浮かばれん!!」

ノーマン少尉、ジャンと同じ様にヅダ開発の為に軍から出向してきたパイロットだった。

制式化競争の試験中に空中分解事故を起こし殉職した同僚だ。

皆大なり小なりその事を引きずっており、不採用が決まったときジャンが泣いていた事は忘れていない。

無論開発に関わった俺も彼の死に報いることが出来なかったことを嘆いた。

「、、、どうしょうもないんだ。分かってくれ。」

ジャンは真っ赤な顔で数秒俺を睨み付けたあと踵を返すと外へ出ていってしまった。

現実に絶望してるのはお前だけじゃ無いんだ。俺だって。

「駄目かもしんねーな。」

いや、家族のためにはそれでも頑張らないとな。

 

 

 

その日いつもの居酒屋に俺はいた。数日前にあんなことがあってはジャンとはギクシャクしており、誘う気にはならずいつかのように一人酒と洒落混んでいた。

「お隣良いですか?」

「(デジャブか?)えぇ、どうぞ。失礼ですが以前どこかでお会いしましたっけ」

「ええ、半年程前にもご一緒したはずですよ。今日はお疲れのようですね?」

そうだこの人はいつかの女ジャーナリストだ。

「えぇ、仕事でトラブルが起きて同僚と揉めちゃったんですよ。」

「あら、それは大変でしたね。でもよくある話ですよそんなのは。」

そう言って愛想笑いを浮かべてくれる、いつか見たような人当たりの良さそうな顔だ。

「トラブル原因の一つはたぶん貴女がが関わってるよ。最近出たタブロイドの記事あんただろ?記事の内容がこの前聞いた話に似ていたし結構手広くやってるんだな。」

何が面白いのかくつくつと女は笑う。どことなく上品さを感じさせる笑い方だ。

「ジャーナリストですからね独自のルートは色々持ってるものですよ。」

「興味深い話が聞けたから俺は良かったんだがあまりべらべら喋って良いのか?飯の種なんだろ?」

「良いのよ対象者に情報が集中するように仕向けたんだから。」

何を言ってるんだこいつは?と言う顔で相手を見る。

「EMS-04ヅダって名前でしたよねノハラ・ヒロシ主任?」

!!!どういうことだなんでその名が出てくる!?俺は喋ったか?いや、そもそもファーストネームを話した覚えはあったか?

「なかなかカッコいい物作ってるのね。強そうだわ。」

言っちゃぁなんだが女性にあれの良さが分かるとは少し嬉しい。いや、それどころではない。

「たいした物じゃないですよ。生憎あれはデブリベルトでの作業機械でね装甲板はデブリ用のバンパーだし、木星圏でも使うからブースターも大型なだけだよ。」

「ふーん、機関砲や大口径砲は岩石の破砕用なのね?」

「、、、」

どこまで知ってやがる?

「そう言えば名乗っていたかしら?ジャーナリストは本業じゃないの。本業はこう見えて公務員なのよ?」

公務員だぁ?そう言うのは一般に工作員って言うんじゃないのか?

「公務員の方が俺になんの用ですか?宇宙用の作業ポットなら連邦さんもお持ちでは?」

MS開発は表向きコロニー外作業機械とされたが、本当は新兵器開発の極秘計画だ。もうばれてるってどういう事だよ。

「そんなに慌てないで、上はそんなに興味を示してる訳じゃないの。実際の所土人が竹槍の用意してる程度の認識なのよ。工事用の作業機械に鉄板と火器を取り付けたって万歳特攻しか出来ないだろうってのが大半の意見だし。」

敵が油断してくれた方が良い筈なのだが自分達が馬鹿にされている気がして気に入らない話だ。

「あぁ、気に触ったならご免なさい。別に馬鹿にしてるわけじゃないわ。中には第二次大戦の戦闘機みたいになるかもって意見もあって私みたいのが調べてるのよ。」

「、、、そんなことをべらべら喋って結局あんたは何がしたいんだ?」

「そうね、あなたうちに来ない?」

なに言ってるんだこいつは?

「あのタブロイドに流した記事だけど本当の話よ。何処にでも居るのよね不良役人なんて。今時流行らない古臭い不正会計やってたから簡単に分かったわ。あ、信じてないでしょ?賄賂に関しては連邦官僚には到底及ばないわよあなたの国、威張れる事じゃないけど連邦の腐敗ぶりはあなた達の比じゃないわ。」

疑っていた事が本当だと聞かされてもどうすればいいんだ?今更どうなるものでも無いだろ。俺たちの努力は何だったんだ?家族との時間を削り苦労して作り上げ、仲間の犠牲まで払ってコンペに出したものが結局のところ一部の人間の金儲けに潰された訳だ。

これが政治力って奴なのか?馬鹿らしくなってくる。

「いきなりうちに来いって言われたって、俺はあくまでも兵装関係の開発主任で制御系や出力系はそんなに関わって無いんだが?そもそも会社を裏切ってまでするメリットがどこにある?」

「問題ないわ。実際声掛けてるのは他にも何人か居るらしいし、未知の兵器って事で運用思想や概念等全く分かってないからとにかく情報が欲しいのよ。あとメリットは有り体に言ってお金ね。」

「そんないい加減な扱いで良いのか?」

「良いのよ予算はあるんだから。それにデータや現物が有ったって基礎知識がなければ解析はなかなか進まないものよ。概要が分かってるだけで違うんだから。」

そう言う物かと若干考えを巡らした後ふと浮かんだ事を聞いてみる。

「なあ、一つ良いか?この話を蹴ったらどうなるんだ?まさか始末されるとか」

ドラマや映画ではよくあるパターンだ、そう思うとさっきから飲んでいる酒に何か混ぜられていないかと心配になってきた。

「今のところそういった指示は無いわね。別に戦争が起きてる訳でもない、何度も言うようだけど上はそれほど重要視してる訳ではないのあくまで諜報活動のいっかんよ。」

「じゃあ俺が会社を簡単に裏切ると思っているのか?安く見られたもんだな?えぇ、おぃ!?」

彼女の言葉に俺は憤慨して見せる、確かに不満はある。しかし、それはジオニックの連中や不正役人であって同僚を裏切るのは筋違いだ。

「案外可能性が高いのよ貴方みたいなタイプは。理想はあるけど現実主義者、更に家族思いって良いわよね。」

「家族だと!?てめぇうちのに手を出すつもりか!?」

「勘違いしないで、私達は危害を加える気はないわ。」

「じゃあどういうつもりなんだ?」

彼女はこちらを落ち着かせるようにゆっくりと話す。

「まだ小さいお子さんがいるわよね?これから学校やなにかとお金が掛かるようになるわよね?」

「だったらなんだ!!そのくらいなんとかなる給料は貰ってるよ。」

「そう、今の会社に居られればね。でも工作員と接触した可能性のある研究員をいつまで使うかしら?それも機密兵器の開発スタッフを?」

「、、、」

「勧誘に失敗しても名簿の情報を流せば開発スタッフは入れ換えなければならないその分開発は遅れるわね。そして貴方が仕事を失ったりしたらご家族も大変よね?そもそも制式化に負けた会社には開発費が負債として残るのよ?この先会社が存続出来るかしら?」

心配そうな顔でこっちを見るが白々しいまねしやがって。

 

 

結局のところ俺は会社の仲間と家族とを天秤にかけ一家での亡命を条件に仲間を裏切る事を決めた。

その後ヅダがどうなったかわからないが開戦後回ってきた敵機のデータライブラリーには見当たらず開発は凍結されたのだろう。

そして俺が中心となって開発していた試作135ミリ対艦ライフルは俺がデータを持ち出した事がばれたのか分からないがザクの兵装には採用されず見ることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

宇宙世紀0077年 ジャブロー

 

ジオンからサイド6経由で連邦に亡命した俺を迎えたのは連邦軍の技術士官達の冷たい眼差しだった。

ツィマッドの仲間から恨まれるのは覚悟していたが、これから同僚となる者達の冷ややかな対応は堪えるものがある。

今は同僚でも裏切った前科もちなどこんなものだろう。

そんな状況でも情報部から届けられる設計データやジオニックから流れてくる不良品をジャンク屋に偽装して回収した現物を使いフレームの再現を進めていた。信頼がマイナスでも積み上げによって状況は逆転出来ると信じて。

 

ブースター等元から連邦にある小型航宙艇技術の流用可能なブロックの試作は順調であるらしいが、関節系(特に脚部)の製作に手間取っていた。

他には制御OS製作にも時間を取られておりこの解決にはMSの現物をてに入れるまで時間が掛かる事になる。

また、実際に技術部に入ってみると色々な派閥が有るらしく今回のジオン新兵器に対する予算は大きく2つに分けられた。

 

一つは主流派として既存の航空兵器の改善・強化をする派閥である。

比率として技術部の七割近くがこれになる。

理由としてMSと言う新兵器がどの程度の性能か不明な為保守派を中心に予算があっても無駄使いするのを嫌った為である。また、MSを駆逐した後も通常戦力を強化したとして意義は残るだろうとするしごくまっとうな理由でもあった。

しかも失敗すれば出世に響く、また政敵に足元を掬われる等官僚主義らしい側面を多分に含んでもいた。

有能なエリートと呼ばれる技術者の中には不満を持つ者もいたが派閥トップの意向に逆らう程の動きはなかった。

他にも兵器メーカーは自分達のシェアを守るため、財務部は既存の設備を流用出来る等の理由により主流派のバックアップを行ったのも大きい。

この主流派は既存の戦闘機等の強化改良を中心に開発を行っていった。コアブースターに取り付けられるビーム兵装、それに関連したビームライフル等も開発していく事になるが高機動ミサイル等レーダー関連のミノフスキー粒子に無効化される事になる関連資材も多くこの時開発された機材の中には無駄も多く結果的には開戦後の足かせとなっていく。

(この時はミノフスキー粒子散布によると影響は不明であり、これによって緒戦の惨敗を招く事になる。)

 

 

もう一つは非主流派となるMS開発派である。

これは改革派を中心になっているが規模は小さく予算も比例して小さな物となる。俺のような者は当然こちらに所属することになった。

この時点ではMS開発技術の確立は出来ておらず連邦技官を中心に元ジオンのミノフスキー博士や俺のような技術者がオブザーバーとなって開発・改良を進めていた。

派閥に別れていたが中立派の音頭のもと技術交流は行われ互いに協力出来る分野では共同して開発にあたった。

これによってコアファイターの開発は進んでいった。

(主流派はビーム兵装を稼働させるだけのジェネレータ出力を持った戦闘機をMS派は機体を稼働させるジェネレータを求めた結果がこの戦闘機の開発だ。確かに脱出ポットとしての機能を持っており優秀な機体ではあるのだが無駄に高いコストがネックとなり生産数は結果としてあまり伸びなかった)

 

 

「やあ、ノハラ君調子はどうだね?」

データとにらめっこしていると後ろから眼鏡を掛けた中年男性から声を掛けられた。

「お疲れ様ですレイ主任。あまり芳しくないですね、私はもともと兵装関係を中心に開発していたので駆動系は専門ではないんですよ。」

テム・レイ大尉。俺の所属する部署の開発リーダーであり実質的に連邦のMS開発の中心人物である。

人物評によると天才でありオタク気質の技術馬鹿だそうだ。

ミノフスキー博士の直弟子らしく、俺たちのような元ジオンの技術者にも別け隔てなく対応してくれる。

彼のお陰で周りの技術者からの風当たりも緩和されておりその点は非常に助かっている。

「そうか、まあ仕方ないか。実際に手をつけてみるとこのMSと言うのは奥が深い。18mもの巨体の姿勢制御だけでも手一杯だと言うのに火器管制やそもそも操作系の連動まで入れればまるで底無し沼だ。なんかこうワクワクしてくるな。」

いいおっさんが少年のように瞳を輝かせる。少しキモいが同じ技術者として気持ちは分かる。

「火器管制までくればお役にたてるのが増えるのですが。実際に動かした事もありますし、結構楽しいですよ。」

「そう言えば君はザクに乗った事があったんだっけ?どんな感じだったんだ?」

「正確にはヅダなんですが、開発中に射撃テストしたんですが宇宙では案外思い道理に動くんですが重力ブロックでは歩かせるのも一苦労でした。」

「楽しみだ、出来ることなら私も乗ってみたいがまだ遠い話だな。」

今のところ試作機の目処は立っていない。比較的上手く行っているジェネレータに関しても出力を維持して小型化するのに手間取っている他排熱にも問題を抱え長時間の稼働に至っていない。

「確か先日試作機が作られたって話を聞いたんですがどうでした?生憎こっちにはデータが回ってこなかったんで。」

理解はできるが元ジオンの俺達にはこういったデータのまわりは悪かった。ったく小学生のいじめか。

「あぁ、RTX-44か。上にせっつかれて主流派と合同で作っては見たものの所詮只のデカイ戦車だよ。たしか端末に、、、あったこれだ。」

携帯端末に表示された情報と概要を見てみる。

 

RTX-44 試作型ガンタンク

 

RX-75ガンタンクに発展する事になるこの機体はこの時点では二足歩行に至っていないため脚を備えずキャタピラー駆動となっている。

碗部に関してはパッと見、腕に見えるが大型機関砲とロケットランチャーを直接取り付けられる形をとった。これは、ジェネレータの問題が解決していなかった事も一因となるが、この頃フィールドモーターは未開発であり既存のモーターの大型改良品では消費電力、反応速度共に問題を抱えていた。

試作機の完成を急いだ開発部はこの武器腕とでも言える状態での完成を容認した。

格好をつけてはいたが結局のところヘリのチェーンガンの様に可動性をある程度確保したに過ぎない。

他には肩部主砲は61式戦車の155mm砲を流用し主機も61式のバッテリーを複数備え電力を賄っていた。

「確かに戦車ですね。どうすんですかこれ?」

「急ぎで作ったからなんとも言い辛いらしいが、一応コロニー内制圧用なら使えるだろうと評価は出ている。実際火力は高いし正面装甲は非常に厚くなっている、正面切っての撃ち合いならいい線いってるんじゃないか?」

「確かに装甲は厚いみたいですが、その代わり腰が無いから旋回出来ないような。それに後ろの装甲は結構薄いですよ。印象としては硬くてデカイ自走砲ってとこですかね?」

「とりあえず試作機だしこんなものだろう、それよりも我々の本命は二足歩行型だから上が満足してる内に開発を進めよう。」

そもそもこの時点ではジオンとの戦争は地上戦を想定しておらず首脳陣は今回の試作型ガンタンクの開発で十分ではないか?との意見が多かった。

また、コロニー内での小規模制圧戦と言う用途もあり生産は極て小規模の物となった。

(環境に合わせ生産時主砲は新規開発された240mm砲にマイナーチェンジされる事になる。これは狭いコロニー内では長射程は必要がなく取り回しの為に砲身を切り詰めた事の他に戦車砲では主流のAPFSDS弾では貫通力が強く外れたときコロニー外壁への被害を抑えるため空中炸裂式の榴弾を採用、威力増強の為大口径化したと言う諸事情があった。また、余談ではあるがこの240mm砲は後にガンキャノンに採用される事になる)

以降もMS開発は継続されるのだが技術課題の克服はなかなか進まなかった。

開発本部でもセイバーフィッシュの強化、RTX-44の開発に満足しており開発は空間戦闘用の高機動ミサイル等誘導兵器に予算が再分配されMS開発のてこ入れは遅れることとなる。

MS開発の進展は小型核融合炉・フィールドモーターの実用の目処が立った78年に本格化してくる。

計画名「RX計画」として。

 

 

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