機動戦士ギャンダム 焼け野原の戦場   作:Redeye

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2話

宇宙世紀0078年 1月 ジャブロー

 

前年末のクリスマス休暇を家族の住むシドニーで過ごした後ジャブローに帰って来ると開発部に大きなクリスマスプレゼントが届けられていた。

 

ジオニック社製MSザクⅠだ。

「主任、あけましておめでとうございます。」

「おお、ノハラ君か?いやーめでたいな、ついにMSが丸々一体手に入ったんだ。こんなに嬉しいことはない」

このおっさんには盆も正月も無いのか?そんなんじゃ家族に逃げられるぞ。年末はどうしてたか聞くと奥さんは地球に居るが息子さんはサイド6に居るらしくどうせ集まれないならとジャブローで仕事していたらしい。

そんなのどこかに集まれば済む話だと思ったがこのおっさんにはここの方が居心地が良いのかもしれない。

そんなの俺はごめんだね。大分ましになったが亡命者への風当たりはいまだ冷たい、俺の信じる味方は家族だけだ。

休暇明けでダルいが家族の為に頑張るとしよう。

主任は大型車両用のトレーラーに乗せられたザクをずっと眺めているので他の同僚になぜザクが有るのか聞いてみた。

諜報部がジオニックの一部を買収し入手したそうだ。練習機の消耗品を改竄、組立したらしく稼働は可能だが全体的にくたびれているらしい。

「ノハラ君!!MS動かせるんだよね!?ちょっと動かしてくれないか!?」

いつの間にかコックピットに取り付いていたレイ主任がこちらに大声をあげている。

同僚にどうしたもんかと聞いてみると

「良いんじゃないか?あの人責任者だし何かあっても怒られるのは大尉だろ?」

そんなことより俺も見てみたいと同僚の目は俺に訴えている。周りを見ても日頃俺の存在に否定的な連中さえ何も言って来ない、中には観察しやすい様にキャットウォークに登っている奴までいる。

「ノハラくーーん!!早くーー!!」

これだから技術屋って連中はとため息をつきコックピットに近づいていく。

「おーいみんなぁーー!!ザクが動くぞ少し離れてろー!」

主任の声を聞き周りを囲んでいた連中が離れていく。

俺がザクに取り付くと警備兵がぎょっとしている、そりゃそうだ元とは言えジオンの人間をMSに乗せるなんてどうかしてる。

「ノハラ君、僕も一緒に乗って良いかな?良いよね?」

悪いなのび太これ一人乗りなんだ。とは言いづらい空気だ。

「、、、狭いんで変なレバー触んないで下さいよ」

ヅダ同様MS-04を元に設計されている為基本的な操作系は一緒のはずだが電装スイッチは、、、あった。

スイッチを押し込みディスプレイが点灯する。マスター・コーション・システムを立ち上げジェネレータのチェックを行う。

スキャン開始、、、5分程かかりステータスが表示される。外装の傷みが示す通り内部にもがたが来ておりステータスは軒並みイエローであった。

起動自体は問題ないので核融合炉に火を入れアイドリング出力迄パワーを上げていく。

発生した電力を使用し関節部の余熱を行う。同時平行で機体各部のシステムチェックを実施、推進材は残っていないようだ、関節もスキャンを実施する。こちらはイエローどころか一部レッドに突入しておりこの調子だとオーバーホールしなければ危険だろう。

「レイ主任、計器上は一応動きますが大分ガタがきてますね。無理はさせない方が良いと思います。一応ハッチ閉めた後立たせますね」

ジェネレータをクルーズ出力に引き揚げコックピットハッチを閉める。大丈夫そうた、全てのディスプレイが点灯する。

それにしても主任が邪魔だな。オートで機体を立ち上げるか。

「動きます、捕まって下さい。」

「うおぉぉぉ、、、凄い立ち上がっていくぞ」

目に映る景色が変わっていく。えっと立ち上がったな。

「主任感動してるとこすみませんがどこに立てておきますか?」

「とりあえずそこの壁の前で良いや」

外部スピーカーのスイッチを入れ、進行方向上のスタッフに警告と降りるための昇降機の用意を頼む。

移動した後に関節を固定、ハッチを上げ主機を落として所定の停止作業を完了させる。

この後警備関係者から勝手に機体を動かしたことを怒られもしたらしいが開発部の中でMSを動かした事があるのが俺しかいなかったらしく、これ以降主任に度々呼び出されては機体のデータ取りに付き合う事になる。

 

この機体の解析をはじめフィールドモーター・小型核融合炉の試作にある程度の目処が立った事により連邦独自のMS開発計画「RX計画」がこの年の3月発足した。

 

 

計画承認後レイ主任を中心に試作されたフィールドモーターの組み込みと動作チェックが行われた。ここまで来ると修復と言うよりは改造と言った方が正しいだろう。

俺自身は修復作業に直接は関わらず既存兵装の開発データを多く持つ主流派の一部と合同でMS用兵装の試作を開始した。

これには装備品の試作と合わせFCSとのデータリンクシステムの調整も必要であり関連スタッフと連携しシステム構築をすすめていった。

ジオンでの兵装はどう言った物が有ったかと意見を求められ各種レポートを提出した。

一つ目、ザクマシンガン。この時報告したのは一年戦争時ザクⅡが持っていた120mm砲ではなくザクⅠが持っていた旧式の105mmの方だ。これは徹甲弾を打ち出し対艦対空両用を想定した装備である。

二つ目、ザクバズーカ。口径280mmの滑腔砲である。これは対艦用の装備で戦車戦で使用されるHEAT(対戦車用成形炸薬弾)の拡大版である。威力は非常に高く戦艦の装甲を容易く穿つ力がある。発射前に設定変更する事により榴弾の様に使う事も可能だ。しかし問題点もある宇宙空間では空気が無い為、発射後羽による弾道安定性に乏しく精密射撃には向かない。

三つ目、ヒートホーク。近接用の白兵戦装備である。MS同士での戦闘は考慮せず対艦、対戦闘機用として設計されている。擦れ違い様に切りつける事を想定した為肉厚な斧型をしている。剣のように太刀筋を考慮する必要も無く重量任せに殴り付ければ良いため経験の薄い兵でも使えると好評だった。

四つ目、135mm対艦ライフル。高初速の徹甲弾を打ち出す狙撃砲。高い装甲貫徹力を持ち射程も長い為対艦戦に有望視されたが狙撃と言う特性上高速移動時の命中率はパイロットに依存する。その為ベテラン向けの兵装であった。

五つ目、シールド(白兵戦用ピック装備)こちらもヅダの装備である。シールドにて機銃を反らしてピックで擦れ違い様戦闘機を撃破することをコンセプトに設計された。一定の評価を貰った物のコストが比較的高く被弾し使い捨てるのはもったいない為、既にヒートホークが採用されたこともあり実際の採用はだだのシールドとなった。

この装甲任せのタックルのアイディアはスパイスアーマーとして別の形をとったようである。

 

 

レポート提出後開発部では会議が開かれこれに俺はオブザーバーとして召集される。

出席者達は基本的に各開発セクションの責任者である。

責任者達が大きな丸テーブルに座りその後ろに関係者が集まっている。うちの責任者はレイ主任なので俺はその後ろの方に座る。

「では会議をはじめます、本日の議題は先日発足したRX計画に採用する兵装の策定です。時間もないので早速第一開発室から発言願います。」

髭を生やした50才ほどの男が場をしきる。

それを皮切りに順番に意見を上げていく。MSとして腕部に保持する事を前提に射撃兵装、格闘装備、各種補助装備等多岐にわたる。

各部署のオブザーバーが責任者に代わり資料説明を進めていく。

射撃武器では機関砲を大型化したマシンガン、対空用のバルカン、ミサイル、ロケット、バズーカ、キャノン等比較的理解しやすい物が並ぶ。

各責任者達はその提案に確認を取っていく。コスト、開発期間、予想されるデメリットetc.

和やかに進んでいた会議が近接格闘装備に移ると次第に怪しい雰囲気を醸し出す。

「このフレイルタイプの装備はその大質量をブースターによる加速も加味し相手を粉砕する事を目的としており、、、」

30がらみの男が得意気に説明していく。

(鎖付の鉄球って忍者か?だいたいリーチが中途半端じゃないか?)

他には

「超硬度のサムライブレードによって相手を切り裂きます。また、モーションは武術の達人を招致しモーションキャプチャーで、、、」

20代位か?若い女が力説する。どうせアニメに感化された類いだろう。

(それはお前の趣味だろ?一機倒したら折れるんじゃ、、、いやヒートホークみたいに赤熱化させればいけるか?)

他にも射突型パイル、先端に指向性爆薬を仕掛けた長柄のハンマー等連邦内で前例が無いからとロマンをぶっこんでくる。

いつの間にか会場は夢追い人の社交場となっていた。

「君、パイルバンカーとは男のロマンを分かっているじゃないか!!」

レイ主任なに食いついてんだよ、いやこういう人かこの人は。

 

結局会議は予定を一時間超過し閉会となる。

可決されたプランは射撃兵装は全て開発、格闘装備は時期尚早と判断されとりあえずヒートホークを試作しデータ取りをすることが決まった。

しかしこの時の会議が技術部内の趣味人のグループを作り出し色物武器を作る切っ掛けとなった事は、その時の俺は知る由もなかった。

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