おっさんと過ごす特別な日々   作:ももんじゃ

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どうも、ももんじゃと言います。何だかすっごい面白そうな企画があったので参加する事にしました。前後編に分けるつもりなのでよろしくお願いします。


うるう年とおっさん
おっさんと俺


『少年。お前今なんか叶えたい願いとかあるか?』

眼前の男は、俺にそう語りかけた。

 

事の発端は俺が帰宅途中に人が倒れているのを見つけたことである。取り敢えず側によって容態を確かめようとしたんだが、倒れていたはずの人は俺の存在に気づいた瞬間猛スピードで足元にすがりついた。

 

「お前!い、いまなんか食いもんとか持ってないか!?腹が…腹が減りすぎてもうやばい…お腹と背中がくっつくとかいうレベルを超越している…このままだとわし…空腹でぺしゃんこになる…」

 

こんな事を早口でまくしたてるもんだから、俺は断腸の思いでおやつにとっておいたチョコレート菓子ファミリーパックを袋ごと渡した。

 

こういう空腹の極みのような人にお菓子を与えるのは正直大丈夫なのかと心配だったのだが、その人はお菓子をもらった瞬間嬉しそうに目を輝かせ、飲み込むように一袋ペロリと平らげてしまった。一袋と言っても全部ではなく、小分けにされたうちの一つと言った方が分かりやすいか。

 

「ありがとな、少年。取り敢えず餓死は免れた。」

 

男はすでに二つ目の袋を開けながらそう俺に呟いた。

 

小分けにされたお菓子を今度はちびちびと味わいながら食べる姿は、少しみっともなく見えた。ひょっとしたら彼の着ているヨレヨレの服とかボサボサの髪がそういった印象に拍車をかけているのかもしれない。言葉遣いも変だし。

 

「いやー、四年に一度の晴れ舞台だし今日はいっちょ頑張るぞ!って元気に家を出たところまでは良かったんだが、金も持たずに来てしまってな。食う当てもなかったもんで、朝から何も食ってなかったんだ。いや、ほんと、恩にきる。」

 

「あ、はい。どういたしまして。」

 

何だかびっくりするくらい感謝されるもんだから、動揺して微妙な返答になってしまった。どういたしましてって言ったのも失敗だったな。なんか自分のやった事を自慢してる気分だ。

 

「なんだ、そう固くならなくてもいいぞ、少年よ。おっさんに遠慮なんかいらんさ。」

 

「そんなもんですか。」

 

「そんなもんだ。せっかくだし、おっさんにちょっと付き合ってくれるか。ほら、ここに座って。」

 

男はそう言いながら、さっきまで倒れていた地面にすわりこんで俺も横に座るよう促した。てか地面に直で座るのか。ここ車も通るんだけどな……まあ大丈夫か。

 

「おぉ、付き合ってくれるんだな。少年もなかなかノリがいいようでおっさんも嬉しいよ。」

 

横に座ると男は…ってもう面倒だしおっさんでいいか、おっさんはニンマリと笑った。

 

「まあ暇ですし、ちょっとくらいだったら大丈夫ですよ。」

 

見るからに怪しいおっさんではあるが、ヤバくなれば大声を出して逃げればいいし、俺が暇だったのは事実だ。おっさんに付き合うと何かしら面白いことがあるかもしれない。そんな淡い期待も抱いて、俺はおっさんの誘いに乗った。

 

「それじゃ単刀直入に本題からズバッと言わせてもらう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少年。お前今なんか叶えたい願いとかあるか?」

 

おっさんはそう言い放ったのである。

 

 

 

「今だったらこれの恩もあるし、特別に一つだけ叶えてやろうと思っているんだが…どうだ?」

 

おっさんは俺があげたお菓子を指差しながらそう言った。ファミリーパックは小分けにされたお菓子が計六個あったはずだが、すでに中身は空のようだった。

 

「いや…どうだって言われても…ってか叶えられるもんなんですか?」

 

「できる。おっさんにかかればチョチョイのチョイだ。」

 

「チョチョイのチョイって言われても…そんな人の願いとかほいほい叶えていいもんでもないでしょう?」

 

「…ほぅ、そうか。少年はおっさんが願いを叶えられる方は信じているんだな。もうちょっと勘繰られると思っていたのだが。」

 

「いやそれも信じている訳ではないですよ。言葉のあやってやつです。」

 

「そうかそうか…まぁ、実際見てみない限り分からないもんだろうな…」

 

そう言っておっさんは既に空になったお菓子の袋に手を突っ込んだかと思うと、中から小分けにされた袋を取り出した。

 

「…7つ目の袋を出したんですか。」

 

「そういうことだ。少年は案外察しが良いんだな。馬鹿正直、と言うべきかもしれんが。」

 

おっさんはそう言うと大きい方の袋を逆さまにした。

 

そこからは元から入っていたかのように小分けにされたお菓子が出てきた。まるで雪崩のごとく、暫くの間降り注いだそれは最終的には一つの山を形成するに至ったので、こちらとしてはもう疑う余地はなくなってしまった。

 

「こういう風に、おっさんは望むことなら何だってできる。天地創造から酒池肉林まで何でもござれってわけよ。」

 

誇らしげにしているおっさんを尻目に、俺は酒池肉林ってこういう時に使ったっけ、とかどうでも良いことを考えていた。

 

「さあ。おっさんに何でも言ってみろ。どんな願いでも叶えてやろうじゃないか。」

 

お菓子の山を越えてズイっと迫ってきたおっさんは、子供のように楽しそうにして、俺の返答を待った。

 

「………それじゃあ」

 

「おぉっ!もう決めたのか!言い忘れていたが一回しか受け付けんぞ!後から今のなしとか言ってもダメだからな!」

 

「大丈夫です。もう決めました。」

 

「そうか!なら言ってみろ!お前の願い、叶えてやろうじゃないか!」

 

「はい。じゃあ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日の晩御飯を豪華にしてくれませんか?」

 

俺は迷う事なくこう言い切った。

 




うるう年成分が圧倒的に足りない気がするけど多分気のせいだろう(震え)
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