「さて、始めましょうか。」
・・・何を?
教室に入ってきた殺せんせーは、何か沢山分身し始めた。
「学校の中間テストが迫って来ました。」
「そうそう。」
「そんなわけでこの時間は、」
「高速強化テスト勉強を行います!」
「分身が一人ずつマンツーマンで、」
「それぞれの苦手科目を徹底して復習します!」
「ええい鬱陶しい!いっぺんに喋れ!」
そういえばもうそんな時期か。ずっとサボってたから知らんかった。
「下らね、教科別にハチマキとか・・・・何で俺だけNARUTOなんだよ!!」
「寺坂君は特別コースです。苦手科目が複数ありますからねぇ。」
「ははっ、寺坂ニキは頭悪いからしょうがない・・・俺もかよ!」
「君は国語と数学が壊滅的です。
あと、暗記だけなら得意なので、折角だから伸ばしましょう。」
「さて、次はここの年表を覚えてみましょう。」
「あれ?ここ範囲じゃないでしょ?」
「念には念を入れましょう。君なら余裕でしょう。」
「まあね。てか、能力のことも聞いたのかよ。」
「はい。」
「プライバシーとは何だったのか・・
・・・殺せんせー、前まで分身そんなに出来なかったでしょ。」
「君達と同じように、先生も成長するんですよ。」
「ふーん・・・覚え終わりました。」
「にゅやっ!?本当ですか!?」
「うん。」
「便利ですねぇ、羨ましいです。」
「別に、良いことばっかりじゃないですよ。特に、俺みたいな過去を持ってる奴とかは。」
「使い方次第ですよ。
それでは、確認テストをしましょう。問題を出すのでノートに書いてにゅやあっ!!?」
「うおっ!?」
いきなり殺せんせーの顔がバナナみたいに凹んだ。
「カルマ君!急に暗殺しないでください!避けると残像が乱れにゅやああっ!!?」
と言うわけで俺も刺してみた。カルマとは逆のところを刺したら、ひょうたんみたいな形になった。
「夕凪君まで!」
「こんな楽しいことやらない訳ねえだろ!」
俺とカルマで刺しまくる。殺せんせーの頭がどんどん凹んでいく。
「やめなさい!今はテスト勉強中ですよ!」
対殺せんせーナイフを白いハンカチで取られてしまった。
「「へーい。」」
全く、飽きないなここは。
だけどそれも今年一年。仮に暗殺が成功しても、このタコの授業は今年一年だけなんだよな。
「それでは、今から言う条約を、古い順に並べ替えて下さい。」
教師としては、こんなに心強い先生もいないだろうな。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
次の日、
「先生、さらに頑張って増えてみました。
さぁ、授業開始です。」
多すぎだから!!
「そんな増えて意味あるのかよ。」
「増えた分だけ分かりやすく説明できます!」
「さあ!」「夕凪君!」「昨日の続きから!」「始めましょう!」
「だからいっぺんに喋れ!ドヤ顔するなウザったい!」
何でまたこんなに張り切ってんだか。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ゼェ・・ゼェ・・ゼェ・・・」
「・・・相当疲れたみたいだな。」
「今なら殺れるかな?」
「何でここまで一生懸命先生すんのかねぇ。」
「ヌルフフフフ、すべては君達のテストの点数を上げるため。そうすれば・・・」
『せんせーのおかげで良い点が取れたよ!』
『もう殺すなんて出来ないよ!』
『殺せんせー!私達にも勉強教えて!』
「・・と言うような一石二鳥の展開が・・・」
「・・・今日も平常運転だな。」
まぁ、こんなこと言いながら、殺せんせーは俺達のことを本気で考えてくれている。
だから、あんなにも頑張っているのだろう。
「・・・いや、勉強のほうはそれなりで良いよな。」
「うん。暗殺成功すれば百億だし。」
「百億あれば、その後の人生薔薇色だしさ。」
「にゅやっ!そういう考えをしますか!」
「当たり前だ。絶対殺してニートになってやるからな。」
そう言って殺せんせーにナイフを向ける。
「・・・せんせー君の将来が心配です。」
冗談に決まってるだろ。仕事しないだけだ。あれれーおっかしーぞ?
「俺達E組だぜ?殺せんせー。」
「テスト何かより暗殺の方がよほど身近なチャンスなんだよ。」
・・・いや、それは違うだろ。
やっぱり、このクラスのほとんどがE組であることの劣等感を抱えている。
このままじゃ、暗殺はおろか、人生のどこかで絶対に挫折する。
俺は皆に救って貰ったんだ。
今度は俺が救う番だ!!!キリッ
「それは違「なるほど、よく分かりました。」・・・」
・・・・・・・・・
「?何が?」
「今の君達には、暗殺者の資格がありませんねぇ。」
・・・・・・・・・
「全員校庭へ出なさい。
烏間先生とイリーナ先生も呼んでください。」
・・・・・・・・・
「急にどうしたんだ殺せんせー。」
「さぁ?いきなり不機嫌になったよね。」
「とにかく行こう。」
そう言って皆出て行く。
トン
振り返るとカルマがいた。悪魔のような笑顔で。
「ドンマイ、夕凪君」
・・・・超恥ずい。死にたい。
俺は校庭に向かった。
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校庭に出ると、殺せんせーがゴールを退かしていた。
「イリーナ先生。
あなたはいつも仕事をするとき、用意するプランは一つですか?」
「・・・いいえ。
本命のプランなんて思った通り行くことの方が少ないわ。不測の事態に備えて、予備のプランを綿密に作っておくのが暗殺の基本よ。」
「次に烏間先生。
ナイフ術において、重要なのは第一撃だけですか?」
「・・・第一撃は勿論最重要だが、次の動きも大切だ。
強敵相手では第一撃は高確率でかわされる。その後の攻撃をいかに高精度で繰り出すかが勝敗を分ける。」
「結局何が言いたい「先生方のおっしゃるように、」
殺せんせーが回転し始める。
「自信の持てる次の手があるから自信に満ちた暗殺者になれる。
対して君達はどうでしょう。」
更に回転を速めていく。
「"俺らには暗殺があるからいいや。"
そう考えて勉強の目標を低くしている。それは、劣等感の原因から目を背けているだけです。
夕凪君、君は皆の間違いに気がついていましたよね。」
「っ!・・ああ。」
全く、何でもお見通しってか。
「もし先生がこの教室から逃げ去ったら?もし先に他の殺し屋が先生を殺したら?
君達には、E組の劣等感しか残らない。
そんな君達に先生から警告です。」
どんどん回転が速くなる。何をするつもりだ?
「第二の刃を持たざる者は、暗殺者を名乗る資格なし!!」
視界が晴れると、綺麗に手入れされたグラウンドがあった。
「もし君達が自信を持てる第二の刃を示せなければ、相手に値する暗殺者はこの教室にいないと見なし、校舎ごと平らにして先生は去ります。」
「第二の刃・・・いつまでに?」
「決まっています。明日です。
明日の中間テスト、クラス全員50位以内を取りなさい。」
「「「「!!?」」」」
マジかよ・・・
「君達の第二の刃は、既に先生が育てています。
自信を持ってその刃を振るってきなさい。恥じることなく、笑顔で胸を張るのです。
自分達が暗殺者であり、E組であることに。」
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家に帰った俺は、直ぐに教科書を開いた。
「出て行かれて、たまるかよ。」
やっと手に入れた居場所だ。それは、あいつが居なくなったら崩れてしまう。
あいつらなら、E組の皆なら、今は話せなくても、きっといつか・・・
中間テストなんてやる気なかったけど、話が変わった。絶対50位以内に入る。
「まずは数学だ。公式全部覚えてひたすら反復練習だ。」