夕凪颯の暗殺教室   作:カゲロー@

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第13話 「梅雨の時間」

6月に入り、梅雨の季節になった。

俺は雨があまり好きじゃない。子供の頃はよく、朝雨が降っているとガッカリしていた。

 

「はぁ、何か憂鬱だよね〜」

 

「全くだ」

 

俺は今日、渚達と帰っている。それで岡野と話している訳だ。

話しながら歩いていると、前のほうにクラスメイトの姿が見えた。

 

「ねぇ、あれ前原じゃない?

一緒にいんのは確か、C組の土屋果穂」

 

「はっはー、お盛んだね彼は」

 

「ほうほう・・・」

 

見ると、殺せんせーが木の陰でメモっていた。

 

「相変わらず生徒のゴシップに目がねーな」

 

「これも先生の務めですよ」

 

そんなもの先生の仕事に含まれていない。

 

「3学期までに生徒全員の恋話をノンフィクション小説で出すつもりです。

第1章は"杉野君の、神崎さんへの届かぬ思い"」

 

「出版までに何としても殺さねば・・・」

 

神崎さんの攻略って、杉野も頑張るな・・・

 

「ああちなみに、夕凪君のも執筆中です。タイトルは"夕凪君と不破さん、この気持ちが恋と知った時「死ねぇぇぇ!!」にゅやっ!」

 

俺は思いっきりナイフを振り上げた。

俺と不破はそんなんじゃねぇよ!

 

「まあまあ夕凪くん・・・じゃあ、前原君の章は長くなるね」

 

まあ、前原みたいなタイプはモテるからな。こんな学校じゃなきゃ人気者だろうし。

 

すると、向こうから椚ヶ丘の制服を着た男子生徒が何人か来た。そして、前原にくっついていた土屋が、今度はそっちにくっついていったのだった。

 

「誰だあの醜男?」

 

前原の方が100倍カッコいいだろ。

 

「はは・・A組で生徒会の瀬尾君だよ」

 

「ほお、そういうことか」

 

そう言いながら監察していると、何か揉め始めた。そして、土屋は瀬尾のほうについたようだった。

そして・・・

 

「・・・あいつら!」

 

瀬尾が前原を蹴飛ばしたのだ。

それを見て俺が飛び出していったそのとき・・・

 

「やめなさい」

 

理事長が車から降りてきた。

 

「ダメだよ暴力は。人の心を荒ませる。」

 

そう言って近づいてきた。

 

「これで拭きなさい。酷いことになる前で良かった。

危うくこの学校にいられなくなる所だったね、君が」

 

そう言って理事長は立ち去ろうとした。

だから、俺はどうしようもなく言いたくなって、車に乗りかけている理事長の元へ走っていった。

 

「理事長センセ」

 

「おや、君はE組の・・・」

 

「さっきの、前原明らかに被害者ですよね。なのにあれって、脅迫じゃないんですか?しかもこんな街中で、そんなことしていいんですか?」

 

「・・・それを元に、私を訴えるかい?」

 

「いや、別にそんなことしないですよ。仮にしたとしても叶わないでしょうね。

だけど、一つ言いたかったので。」

 

「なんだい?」

 

そして俺は、一呼吸置いてから言い放った。

 

「ふざけんなクソ野郎」

 

それだけ言って俺は身を翻す。理事長も、何も言わずに車で走り去った。

 

前原の方を見ると、瀬尾達はいなくなっており、杉野が近寄っていた。

あいつらにも言いたいことがあったのだが。

 

「前原、大丈夫か?」

 

「ああ、大丈夫。ありがとな。

・・・俺恐えよ、見たか?さっきの彼女。俺がE組だと気付いた後は、逆ギレと正当化のオンパレードだった。

ヒトって皆ああなのかな。相手が弱いと見たら、俺もああいう事しちゃうのかな」

 

俺はそんなことなかったから、よく分からん。

だけど、今のE組の誰かがもしE組じゃなかったら?そのときは、俺の知る優しい皆じゃなかったかもしれない。

 

・・・それは・・・嫌だな。

 

いや、俺を救ってくれた人達に対してこんなこと考えるなんてな。E組の皆は優しい。

 

「仕返しです」

 

「・・・ん?、うわぁ!!?」

 

見ると、殺せんせーが膨らんでいた。

 

「理不尽な屈辱を受けたのです。力無き者は泣き寝入りをする所ですが、君達には力がある」

 

いやそうだけども、アンタ教師でしょうが。止める側でしょうが。

 

「彼女達をとびきり恥ずかしい目に遭わせましょう」

 

周りを見ると、皆やる気のようだ。

・・・いいのか?

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「すげぇな、あれ渚と茅野かよ」

 

今回、仕返しをするのに菅谷を呼んだわけだが、相変わらず凄い。普通に映画のメイクとか任せられそうな程だ。

 

「てか、あいつらどこでもあんな態度なのかよ。将来ロクな奴にならんぞ?」

 

「ヌルフフフフ。では、その考え方ごと殺ってしまいましょう」

 

そして、作戦が開始する。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「・・っと、これで、あいつらが来るのを待つだけだな」

 

俺達ナイフ術高成績組は、民家の木の上であいつらが来るのを待つ。

ん?何でお前がいるのかって?木登りは得意なんだよ。

 

「にしても、勝手に話広げてくれたよな〜」

 

「いいじゃねぇか。集まってくれてるってことは、人気者なんだろ」

 

「ははは、やっぱ俺人気者だよなー」

 

「調子乗るな女たらし!」

 

「おわっ、危ね!」

 

岡野が前原に放った蹴りを、前原がギリギリ避ける。ここで暴れるなここで。

 

前原は、他の学校だったら間違いなく人気者になっていただろう。そんな前原に、聞いてみたいことができた。

 

「なぁ前原、お前、E組になったこと、後悔してるか?」

 

「なんだ急に・・・初めは後悔したさ。何でもっと頑張れなかったんだろうって。でも、それで殺せんせーに会えたんだから、結果オーライって奴だよ。今は後悔なんてこれっぽっちもしてない」

 

「・・・そっか」

 

どれも、あいつのおかげなんだよな。

あのタコが、E組に沢山の物を与えてくれた。今回だって、仕返しするのに必要な技術は暗殺で得たものだ。

 

「お、来た来た」

 

「あいつらプライド高いから、民家でトイレ借りる発想はねーんだよ」

 

「じゃあそのプライド」

 

「殺っちゃいますか」

 

そう言って、俺達は瀬尾達が下を通るときに木の枝を切り落とす。俺のだけ切り口が汚い。解せぬ。

瀬尾達は、こちらを確認する間もなく走り去っていった。奥田さんの下剤すげぇ、今度悪戯用に貰おう。

 

そんなゲスなことを考えていると、殺せんせーと皆が近づいてきた。

 

「ま、少しはスッキリしましたねぇ。

どうですか、前原君?まだ自分が弱い者を平気で虐める人間だと思いますか?」

 

「いや、皆一見強そうには見えないけど、どこかに頼れる武器を隠し持ってる。そこには、俺が持ってない武器も沢山あって・・・」

 

「そういう事です。それをE組で学んだ君は、この先弱者を簡単に蔑むことは無いでしょう」

 

「・・うん、そう思うよ」

 

1人1人、自分にはない武器がある・・・か、俺の力も、人に誇れるものなのかな。

 

何はともあれ、これで万事解決だ。前原も、これからはこのことで迷うことも無いだろう。

 

「あ、やば、俺これから他校の女子とメシ食いに行かねーと。

じゃあ皆、ありがとな!」

 

そう言って前原は去っていった。

・・・あいつは、もっと別のほうを矯正したほうが良い。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「なあ殺せんせー」

 

「何ですか?」

 

作戦後、皆解散して俺と殺せんせーだけが残った。

 

「理事長センセって、何でこのやり方に固執するのかな。あの人なら、多少遠回りしてもいい生徒を育てられそうなもんなのに」

 

「彼は合理主義ですからねぇ。でも、もしかしたら彼の過去にも何かあるかもしれませんねぇ」

 

なんか、俺達中学生を強くしようと必死な気がするんだよな。強さに固執する理由が、殺せんせーの言うように過去にあるかもしれない。

だが、俺にはどうすることも出来ないだろう。だから、俺は強者に託すことにした。

 

「殺せんせー。俺ってさ、せんせーのこと心底尊敬しているんだよね〜」

 

「それは嬉しいですねぇ。ちょっと含みのあの言い方が気になりますが・・・」

 

「だから、殺せんせーは尊敬されている生徒に、全力で答えてくれるよね?」

 

「はい。先生ですから。」

 

やっぱり、うちの先生は頼りになる。

 

「じゃあ、このクソったれの学校を変えてよ。本校舎の奴らも、理事長センセも」

 

「・・・はい、分かりました。

地球も破壊できる先生にとっては容易いことです。

ですから、夕凪君も、勉強頑張って下さいね」

 

「うげっ、何でそういうことになるんだよ!」

 

「当たり前です。勉強で勝負するんですから。言い出しっぺの君には、特別の勉強コースにしましょうかねぇ」

 

「ふざけんな!殺すぞ!」

 

「殺せるものなら殺してみなさい。

ヌルフフフフ・・・」

 

くっそぉ、どうしてこうなった・・・

 

 




今までは出来るだけ原作沿いにしようと思っていたのですが、これからは颯にあまり関係がない話はストーリーに支障がない範囲で削りたいと思います。
まぁ、個人的に書きたい話は書きますが。
拙い文ですが、これからもよろしくお願いします。
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