フルボッコにしてみたいのですが、ここでは別な感じでやっていきます。
球技大会が終わった数日後、訓練は、始めてから丁度3ヶ月が立った。
烏間は、千葉と三村のナイフを捌きつつ叫ぶ。
「視線を切るな!! 常に相手の先の動きを読んで動けばその分、奴の逃げ道をふさぐ事になる!!」
そう檄を飛ばしつつ、現状のE組の総評する。
磯貝悠馬と前原陽人
運動神経が良く、仲の良い事もありコンビネーションが良い………二人での攻撃なら俺もナイフを喰らう時もある。
2人のナイフが掠ると、烏間は2人に技術点である二点を与える。
「よし、次だ」
赤羽カルマ
のらりくらりとしているが、その目には強い悪戯心がある………俺に赤っ恥をかかせたいだろうが………そう上手くいくかな?
足を出そうとしたところで、タン……と距離を取ると、カルマは目論見を外して舌打ちをする。
「ははっ、バレてやんの」
「うっさい。そんなに言うなら夕凪君がやって見せてよ」
夕凪颯
動体視力と機動力に長けている。また、訓練の日を重ねるごとに、俺の攻撃を読んでいる節がある。彼の能力は、今後暗殺に大きく貢献するだろう。
だが、彼もまだ甘いな。
颯はナイフを振るうとき、烏間の足を注視していた。そして……
(………ッ!今だッ!)
颯は踏み切り、そのまま烏間の足を狙うように、蹴りのモーションに入った。
烏間は予測をしていたので前足を後ろに引かせ、迎撃の構えをとる。
しかし………
「………んなッ!?」
蹴りのモーションに入っていた颯は、蹴りではなくナイフを突き出していたのだ。
(足に意識を集中させて、ナイフを直前まで気づかなくしたのか。考えたな………だが!)
そのナイフを、身体を捻らせて躱した。
「おわっ…………ぐえっ!」
そして腕を掴んで足を払い、転ばせて抑えたのだった。
「大丈夫か?……必殺の一撃をバレないように細工するのはいい手だった。しかし、俺相手ならばもっと罠を重ねないと通用しないぞ?」
そう言って、颯の身体を起こした。
「ハハハ、夕凪君も失敗してんじゃん」
「うっせ、お前より良い線いったわ」
……まぁ、あれも意欲向上には良いのかもな………
女子の中では、元体操部で意表をついた攻撃ができる岡野ひなたと、男子並のリーチと運動量を持つ片岡メグが、優秀なアタッカーになるだろう。
他の生徒も全体的に技術が向上している。
しかし、今のところこれといった生徒は………
ゾクリ
得体の知れない何かを感じ、それに向かって思いっきり腕を振ってしまった。
振り向くとそこにいたのは………
「いててて………」
潮田渚だった。
「すまない、強くやりすぎた。立てるか?」
「あ、へーきです……はは……」
「ばっかでー、ちゃんと見てないからだぞ」
杉野の笑いに、ちゃんと見ていたんだけどなと、渚は落ち込んでいた。
潮田渚
小柄故に多少はすばしこいが、それ以外に特筆した点はない温和な生徒。
気のせいか?今感じた得体の知れない気配は………
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「せんせー、放課後、皆でお茶しよーよ」
訓練が終わり、教室に戻ろうとしていた俺たちは、倉橋のその言葉に振り返った。
しかし、烏間先生は直ぐにそれを断った。
「ああ、誘いはうれしいが、この後は防衛省の連絡まちでな」
そう言って、校舎へと去っていった。
「……私生活でもスキがねーな……」
「……って言うより、私たちとの間で一定の距離を保っているような……」
「厳しいけど優しくて、私たちのこと大切にしてくれてるけど、それってやっぱり、任務だからに過ぎないのかな……」
三村に続いて、矢田と倉橋が少し寂しそうに言う。
すると、殺せんせーが言った。
「そんなことはありません。確かにあの人は先生の暗殺のために送りこまれた人ですが、彼にもちゃんと教師の血が流れてますよ。」
そのとき烏間先生と入れ違いに、何かデカい荷物を沢山持った男がやってきた。
髪型をツーブロックにしていて、腹は出ているが体格は大きい。
………なんか、寺坂に似てるな。
その男は俺たちに近づくと話し始めた。
「やっ!俺の名前は鷹岡明、今日から烏間の補佐としてここで働く!よろしくな、E組の皆!」
そう言って、荷物を置いた。中身はケーキや飲み物のようだ。
「これ……"ラ・ヘルメス"のエクレアじゃん!!」
「こっちは"モンチチ"のロールケーキ!!」
茅野と不破が声を上げる。
「そんなに美味いのか?」
「有名なケーキ屋さんのだよ!一度食べてみたかったんだぁ」
お、おう……失礼だが漫画脳だと思ってたぜ……甘いもの好きとは女の子らしいな。
しかし、袋の中のケーキやら何やらは見るからに美味しそうだ。思わず生唾を飲み込んでしまう。
「俺は早くお前らと仲良くなりたいんだ。それには……皆で囲んでメシ食うのが一番だろ!」
それを聞いて皆、ワイワイと食べ始めた。おいタコ、そのシュークリーム俺のだよ。目で取ってたんだよ。
「同僚なのに、烏間先生と随分違うすね」
「何か近所の父ちゃん見たいですよ」
「ははは、良いじゃないか父ちゃんで!」
木村と原の言葉に、鷹岡先生はそう返す。そして、俺と不破の間に座ると………
「同じ教室にいるからには……俺達、家族みたいなもんだろ?」
そう言いながら肩を組まれた瞬間……
「ッ!?」
悪寒が走り、思わず身を引いてしまった。
「………どうしたんだ?」
鷹岡先生が、怪訝な顔をしてそう問いかける。
「あ、えーと……そうだ!今日はあれの単行本がドラマCD付きの限定発売だったじゃねぇか!行くぞ不破!」
「え?ちょっ待っ……」
そのまま不破の手を引いてその場を立ち去った。
「はは、アイツは相変わらずだな」
杉野は笑うが、鷹岡は立ち去る颯を、意味ありげにじっと見つめるのだった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「はぁ、はぁ……ここら辺までくればいいか………」
あの後急いで支度をして、山を降りてきた。半分のところまできたが早足で来たため、二人とも少し息が上がっている。
「はぁ……どうしたの?今日限定発売の漫画があるなんて聞いてないよ?ケーキもまだ食べ終わってなかったのに……」
「ああ、悪かったな……鷹岡先生が近づいたとき、そして家族だと言ったとき、俺はとんでもなく違和感を感じたんだ」
「違和感?」
俺の言葉がよく分からなかったのか、不破は首をかしげる。
「……アイツには気をつけたほうがいい。自分を家族だと言ったが、アイツにあるのはそこにあるべき優しさとは真逆のものだ」
「……なんで、それがわかったの?」
不破は神妙な顔もちで聞いてくる。俺の真剣さが伝わったのだろう。
「俺は、両親を小さい頃に亡くしている」
「!?」
これには驚いたようだ。驚きと、少し悲しみが混じった表情を浮かべていた。そういえば、クラスの皆には何一つ言っていなかったな。
まぁ、これについて今詳しく話をするつもりはない。俺が言いたいのは……
「そんなに早くいなくなっていても………いや、早くに亡くして、当たり前じゃ無くなってるからこそかな。わかるんだ………俺を大切に想ってくれた両親は、あんなに冷酷じゃない」
「……うん、心に留めとく」
他の人が聞いたら中々無茶苦茶な理論だと思うのだが、不破はわかってくれたようだ。いや、信じてくれたのだろう。
まぁ、俺の思い過ごしなら丸く収まるんだがな………
「それじゃあ折角だし、本屋寄ってこうよ!新しい単行本出てるかもしれないし!」
「おう、そうだな」
それからは他愛もない会話をしながら歩いていった。
そういや、なんで不破を連れ出したんだ?渚とかいたのに………
漫画の言い訳をとっさに思いついたからか。
鷹岡はただのウ○コ野郎ですが、ここでは二人の仲の進展に利用させてもらいます。