夕凪颯の暗殺教室   作:カゲロー@

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スミマセン、律を出すタイミングが遅れてしまいました……


第19話 「親愛の時間」

「ああ、だりぃ………」

 

時刻は朝の7時半。登校途中だ。

いつもの道を通りながら、俺は気だるげにそう言った。

 

「おはようございます!夕凪さん!」

 

すると、どこからか女の子の声が俺の名前を呼んだ。ヤベェ、二次元にハマり過ぎて遂に二次元娘の幻覚が………

しかしそれは違うようで、その声は俺のポケットの中から聞こえてくるようだ。

ポケットの中のスマホを取り出すと………

 

「律!?何でこんなとこに?」

 

「皆さんとの情報共有を円滑にする為に、全員の携帯に私の端末をダウンロードしてみました。モバイル律とお呼び下さい!」

 

お、おう……お前は大概何でもアリだな………

ん?発狂しないのか?ばっか、いつもあんなんじゃねぇよ。あの時は、人間と二次元娘が出会ったことに感動したんだよ。

 

「これからはこんな風に皆さんと話したいので、気軽に呼んで下さいね!」

 

「おう、何ならずっと居てくれ」

 

まぁ、律が可愛いことには変わりないのだがな!律マジ天使。

 

「それで、そんな溜め息ついてどうしたんですか?」

 

「ああ……学校ってなんで行かなくちゃいけないんだろうな……」

 

「義務教育だからです」

 

「マジレスしないで……」

 

「でも夕凪さんだって、皆さんと一緒だと楽しそうじゃないですか」

 

「……まぁ、そりゃな。それが無かったら、今頃引きこもりになってたかもな」

「それなら、学校に行く意味あったじゃないですか」

 

「………そうだな」

 

なんか、寝不足で思わず呟いただけなのに、深い話になってしまった……

本当の原因は鷹岡だ。さっきの返しは……まぁ、全国の学生諸君の言葉を代弁したまでだ。

今日の4時間目に体育の授業がある。おそらく、鷹岡が受け持つことになるだろう。

流石に中学生相手だ。よっぽどイカれてなきゃ危険はないはずだが……

 

「そうだ。律、ハッキングとかできるか?」

 

「できますよ。国家機密レベルでも、おそらくは」

 

うそん、有能過ぎる。てか国家機密て重犯罪レベルなんじゃ……

 

「まぁいいや……律、一つ頼まれてくれないか?」

 

「はい、なんでしょう?」

 

まぁ、念には念を押した方がいいだろう。

 

「鷹岡について、調べてほしいんだ」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

3時間目の授業が終わり、皆はそれぞれ体育の準備をしている。

 

「あれ?夕凪君着替えないの?」

 

「ん?ああ、ちょっと体調悪くてな。もう先生には言ってある」

 

「そうなんだ。お大事にね」

 

「おう」

 

あまり確証のない話なので、話すことは無かった。先生にも報告済みだ。これで俺が休んでいても、問題ないだろう。

 

「………渚」

 

「ん?何?」

 

「……気をつけておいた方がいいぞ」

 

「……えーと……何が?」

 

「いや……いいんだ、忘れてくれ」

 

「う、うん」

 

そう言って、皆についていった。

……本当に、何もなければいいんだがな……

 

「夕凪さん、さっき頼まれたデータですが……」

 

「ああ、出来たのか?」

 

「はい。夕凪さんが学校に着く頃には」

 

うそん、有能過ぎる。てか、こんな簡単にハッキングされるとか日本政府大丈夫かよ……

 

「そ、それで、どうだったんだ?」

 

「今、ファイルをそちらに送ります」

 

律がそう言うと、俺のポケットの中のスマホが震えた。

送られたファイルを開き、中を見てみる。中には、防衛省で働く人達の実績記録が載っていた。

俺はその中から、鷹岡の名前を探す………あった。これで、鷹岡の過去の記録が調べられる。

 

現在は防衛省の特務部に所属している。どうやら、教官として優れているらしく、その能力はかなり高いようだ。なるほど、これなら烏間先生の補佐として殺せんせー暗殺のサポートをする役に選ばれるわけだ。

やはり、俺の思い過ごしだったのか。そう思いながら、念のために添付されていた画像ファイルを開く。

そこには、四人の訓練兵らしき人達と鷹岡が笑って写っている。どうやら、鷹岡が育てた軍人らしい。俺は何気なく次の画像を開く。

 

「………!!、これは……」

 

そこには、背中が鞭のようなもので打たれた傷だらけで、手を後ろで縛られたさっきの四人の姿があった。そこには一緒に、鷹岡が変わらず笑顔で写っていた。

こんなに傷だらけなのに、何も変わらず。

 

俺は急いで、窓の外を見た。そこでは、前原が渡されたのであろうプリントを持って抗議していた。ここからだと声は聞こえないが、大方鷹岡が無茶な訓練をやらせようとしたのだろう。

そして次の瞬間………

 

「んなッ!!?」

 

鷹岡が、前原の腹に向かって膝蹴りを食らわせたのだ。

ヤバい、アイツをあのままにして置いたら、間違いなく無茶苦茶にされる。アイツは、暴力とかそういうのを平気でやれる、そういう人種だ。

俺は急いで教室を飛び出し、廊下を走って制服のままで外に出た。

外では鷹岡が、今度は神崎さんに寄って、何やら脅しているようだった。そして………思いっきりビンタをしたのだった。

華奢な体は吹っ飛び、地面に倒れた。

 

「っ、アイツ!!」

 

俺は急いで、皆の元に駆け寄った。

 

「大丈夫か?神崎さん、前原も……」

 

「夕凪……君、大丈夫……」

 

「お……おう、へーきだ……」

 

俺の問いに、二人は切れ切れの声で答えた。やはり、まだ痛むようだった。

 

「やめろ!鷹岡!!」

 

「ちゃんと手加減してるさ、烏間。大事な俺の家族だ。当然だろ?」

 

烏間先生の怒鳴り声に、鷹岡はさも当たり前だと言うように答えた。

 

「手加減してるからって、こんなやり方が許されると思ってんのか?ふざけんなよてめぇ!」

 

「ん?お前は体調不良じゃなかったのか?仮病とはダメだなぁ。お仕置きしなきゃ……なっ!!」

 

そう言って、鷹岡が殴りかかってきた。それを俺は紙一重で避け、鷹岡の腹に膝蹴りを入れた。

無理な体勢からの攻撃だったが、予想してなかったのか、少し退け反らせるくらいは出来た。

 

「……反射神経は良いようだな……だが、俺はお前の父親だ。逆らっちゃいけないんだよ。だからおとなしく……」

 

「うるせェよ!!ごたごた言ってねぇでかかってこい!」

 

こうして、二人の戦闘は始まった。

 

先手は鷹岡、放った中段蹴りを、俺はステップを使って躱す。その後、二発パンチが飛んで来たが、それも体を捻らせて躱した。

 

「中々すばしこいな……だが、逃げてるばかりじゃあ俺は倒せないぜ?」

 

「うるせェ肉ダルマ」

 

俺の挑発にイラっときたのか、少し攻撃に力が入った。まともに食らったらひとたまりもないだろうが、逆に隙を大きくすることもできた。

鷹岡は積極的に殴りにくる。体格の割に速くて厄介だが、見切れないほどじゃない。

鷹岡がストレートを放った後、蹴りを放ってきた。俺は斜め前にステップして、躱しつつ接近した。

 

「はあぁぁッ!!」

 

叫びながら、拳を鳩尾に叩き込む。

俺は、別にケンカが強いわけじゃない。訓練のおかげである程度の筋力はあるが、腐っても精鋭軍人のコイツには歯が立たないだろう。

だから、躱す。躱すことに専念して、ベストのタイミングで急所に攻撃を叩き込む。これで、かなりのダメージを与えられるだろう。そう思っていた。しかし………

 

「おいおい、手加減してるのか?」

 

嘘だろ!?微動だにしねぇのかよ!

そのまま鷹岡は、腕を思いっきり振って俺を飛ばした。

 

「ガハッ!!?」

 

「柔い拳だな。さっきまでの威勢はどうしたんだ?ああ?」

 

確かに急所を捉えたはずだ。なのに、全くダメージを受けてない。

思ったよりずっと、実力の差がそこにはあった。

 

「はぁ、家族亡くして不良化か。哀しいやつだなオマエは」

 

そう言われた瞬間、呼吸が止まりそうになった。

 

「……何……言って……」

 

「知ってるぜ?オマエの両親、オマエが5歳のときに殺されたんだってなぁ」

 

心底楽しそうに言う鷹岡に、とてつもない殺意が湧く。

 

「オマエらの情報は全部調べた。オマエみたいなやつがいた時の為になぁ。他のやつに目ぼしい情報は無かったが、オマエの過去にはわんさかあったぜ」

 

鷹岡はそう続ける。倒れたまま、周りを見渡す。皆初耳だったから、驚きと戸惑いの目で俺を見ていた。

 

怖い、そう思った。この関係が、このまま崩れてしまいそうで、怖い。だから俺は、ずっと皆に隠していたんだ。

 

「両親死んでからは、よく分からん孤児院入れられ、小6の時にこんどは友達が2人死んでる。死神か疫病神なんじゃないのかオマエ」

 

鷹岡に言い返したいのに、体が悲鳴を上げる。それが、どうしようもなく悔しい。

 

 

 

 

「それでショックで中1から不良化した……くだらないなぁ。そんなに友達死んじゃったのが辛かったのかなぁ。どうせそいつらも孤児じゃないか。いわば消耗品だ。生きててもロクな人生歩みはしなかったよ」

 

 

………なんだと?

今、コイツは何て言った?二人に……朋樹と此衣に、何て言った?

 

「そんな奴らのことをいつまでもひきずってないで、現実を見たらどうだ?」

 

俺の中でコイツが確定した。最底辺のクズ野郎だ。生かしておくのも許せないレベル。

俺はその瞬間、周りが全く見えなくなった。すべてが目の前の敵に集中する。

 

「俺の訓練についてこれれば、一年で屈強な兵士になれる。クラス全員がそうなれれば、超生物だって殺せるだろう」

 

もしかしたら、この挑発も鷹岡の作戦かもしれない。怒り狂う俺を完膚なきまでに倒して、見せしめにするためなのかもしれない。

 

「だからそんなやつらのこと、忘れちまえ。ひきずっていても良いことなんてない」

 

だけど、手のひらの上だったとしても、どうでも良いと思った。

俺はただ、コイツが憎い。

 

 

「俺についてきて、一緒に100億取れば、一生遊ん「黙れよ」……は?」

 

 

 

だから、コイツをぶっ潰す。それだけの話だ。

 

 

 

「さっさとその腐った口閉じろォォ!!ぶっ殺すぞォ!!!!」

 

俺はそう叫んで立つ。さっきまでの痛みが嘘みたいに動けた。

体内でアドレナリンが生成される。コイツをぶっ潰せるだけの力が湧いてきた気がした。

 

両親の死を笑ったコイツが憎い。

二人の親友を侮辱したコイツが憎い。

俺の大切な物を奪おうとするコイツが……憎い!!

 

「おうおう怖いねぇ、まだ反抗するつもりなのか。悪い子だ」

 

憎しみが、俺に力を与えた。

俺は思いっきり踏み込んで、鷹岡に殴りかかった。

 

 

 




中々ウザい感じに書いてみましたがどうでしょう?
今見て下さっている方、これからも見て頂けると嬉しいです。これからもよろしくお願いします!
……ああ、早く鷹岡ぶっ潰したい。
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