夕凪颯の暗殺教室   作:カゲロー@

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後編です。上手く出来てると良いのですが……


第31話 「帰りの時間」

 

「……っと、ここまで来れば大丈夫だろ」

 

早歩きで教室を出て、山を降りてきた。ここは山の真ん中くらいだし、あいつらも走って追っかけてくることは無いだろう。

 

「急がせて悪いな。躓いたりしなかったか?」

 

「大丈夫……それよりも……」

 

「ん?」

 

不破は少し俯いている。心なしか顔が赤い気がする。

 

「………手……//」

 

「ん?……ああ、悪いな」

 

手を引っ張ってきたことに今気づいた。強めに握り過ぎたのかと思い、離してやる。

てか、手を握ってこの反応、もしかしたら…………菌が、とか思われてる?

 

「……比企谷菌みたいなあだ名は勘弁な……」

 

「???」

 

「何でもない……それよか、行きたい店ってどこだ?」

 

「え?……そ、そうだったね、少し前に出来たカフェなんだけど、そこのパフェが食べたくて……」

 

「ん?本屋とかじゃないんだな。俺は良いけど、茅野とか誘った方が良かったんじゃないか?」

 

「ま、まぁたまには夕凪君と行くのも良いかなぁって思って………」

 

「ふぅん……まぁいいか」

 

少人数で行くのも悪くないしな。

 

「急に誘ってゴメンね。夕凪君こそなんか用事あったんじゃないの?」

 

「ん?大丈夫大丈夫、どうせ大した用事じゃないし………」

 

ピロリン♪

 

「………確かもうすぐで新しい味が出るから、その時に買った方が喜ぶと思うんだピロリン♪……」

 

「……LINEが鳴ってるよ?」

 

「……大丈夫大丈夫、多少無視ピロリン♪しても呪われるピロリン♪訳じゃないし、二人とも心ピロリン♪が広いから許してピロリン♪くれるピロリン♪よ。てか、その位心ピロリン♪が広くないとピロリン♪ハーゲンピロリン♪ダッツを与えるピロリン♪資格は無いしそれにピロリン♪うるせぇ!!」

 

携帯を開くと、通知が100を超えていた。スタ爆してやがる……

LINEを開き、二人の個チャの通知をオフにした。これでうるさいのは無くなる。面倒なので既読はつけなかった。

皆さん、スタ爆は相手の携帯を壊すので止めましょう。

 

「よし、これで大丈夫」

 

「……それは大丈夫なの?」

 

「………多分」

 

気にするな俺よ。多分今日は無事でいられるから。明日は知らんがな……

そんな不安を残しながら、俺達は目的地へ向かうのだった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「おぉ、ここか」

 

やっと、私達は目的地に着いた。

椚ヶ丘駅から少し離れたところ、飲食店が立ち並ぶ通りの1つに、その店はあった。

 

『行く店が思いつかなかったら、こことか良いんじゃない?パフェが美味しいらしいよ』

 

そう言って中村さんに勧められた。その時の悪い笑みがちょっと気になるけど……

 

「なぁんだ、だから俺と二人で来たかったのかぁ。それなら最初から言ってくれれば良かったのに」

 

「え?どういうこと?」

 

いきなり意味深なことを言い出す夕凪君。何故この店だと夕凪君と二人なの?

 

「え?だってここ……カップル推奨の店だろ?」

 

…………え?

 

「えぇええぇえ!?どゆこと!?」

 

「いや、ここカップルで来ると割引されるんだよ。知らなかったのか?」

 

「うん………てか、何で夕凪君はそんなこと知ってるの?」

 

「殺せんせーが律に、世界のスイーツ大全とかいうアプリをダウンロードしたんだよ。開発者に外された後もう一回。それで、近場にある美味しい店を教えてくれたってわけ」

 

「そうなんだ………えっと、夕凪は嫌じゃないの?」

 

私はちょっと気になって聞いてみた。

 

「ん?何が?」

 

「その、私と……ふりだけどカップルになるなんて……」

 

私も割引のことは知らなかった。多分中村さんは分かってて勧めたんだろうけど、それで夕凪君が気分を害するならやめようと思った。

 

「いんや、全然」

 

しかし、夕凪君は即答した。

 

「ふりだったら別に何とも思わんだろが。友達だし、気分悪くなるなんてことはありえねぇよ。割引受けられるなら役得だ」

 

そう言って店のドアを開ける。その言葉に、私は安心した。

すると、夕凪君は振り向いて……

 

「それに、不破可愛いから、カップルのふりだけでも得してるよ」

 

「……っっ!!////」

 

笑顔でそんなことを言い出すのだ。その顔には若干の悪戯心が見えた。

 

「……もうっ!からかわないでよ…」

 

「はは、悪い悪い」

 

そんなやり取りをしながら、店に入る。冗談と知ってても止まらない、顔の火照りを隠しながら。

 

 

 

 

 

 

「あの二人、店前であんなイチャコラぶって………リア充爆発しろ!」

 

「すんごいニヤニヤしながら言ってるから、面白がってるようにしか見えないよ中村さん……」

 

「でも、夕凪君涼しい顔してるねぇ。ほんと鈍感なのかなぁ」

 

「ねぇ、何で僕まで付き合わされてるの?」

 

「「特に理由はない」」

 

「(゜Д゜#)」

 

「お、席に着いたようね」

 

「俺達も入ろっか」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「どれにしようかな~♪」

 

「このチョコのやつ美味しそう!」

 

「おお、こっちのイチゴと迷うな……」

 

メニューを見てみると、結構種類があって驚いた。どれも美味しそうで困る。私もこう見えてスイーツ好きだ。

 

LINE♪

 

「ん?私のだ……」

 

携帯を開いて見てみる。相手は中村さんだった。

 

RIO:不破ちゃーん!これ頼んでみなよ~ψ(`∇´)ψ

 

そう言って送られてきたのは、バニラ、チョコ、ストロベリーのアイスやチョコ、クリームのパフェなのだが………ところどころにあるチョコがハートの形をしていたりして、完全にカップル用なのだ。しかも、他のパフェに比べて二倍の大きさで、つまり………

 

不破優月:ゼッッッタイ無理!!!

 

そう送り返す。あんなの無理に決まってるでしょ……あれを食べてる私達を想像するだけで恥ずかしさで死ねる。

というか、やっぱ尾行してきたんだ……

 

「あ、やべぇ、このフルーツミックスの奴超美味そう………」

 

しかし、メニューの方のさっきのパフェを見てみると………安っ!?

さっきのパフェは、他のパフェ2つの値段に比べ、3割引きの値段なのだ。しかも男女二人組でしか頼めないとまで書かれていた。そんなにイチャイチャしてるの見たいの?

 

「俺これにしよ~。不破は決まったのか?」

 

「うん。もう決まったよ」

 

さっきのチョコの奴で決めていたのでそう答える。夕凪君がすみませーんとウェイターさんを呼んでいた。夕凪君はフルーツパフェ、私はチョコパフェをオーダーした。

 

「さっきのLINE、誰だったんだ?」

 

「え?ああ、夕凪君は気にしないで」

 

「??」

 

さっきから向こうの席でニヤニヤしてる人達見たら、パフェどころじゃなくなるから。てか、渚君が不遇過ぎる…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱりこのパフェは頼まなかったか……」

 

「ハードル高いって………渚君、このデカいパフェ一緒に頼もっか」

 

「頼まないよそんなの!僕男だし!」

 

「あ、私このイチゴ~」

 

「え~俺それ頼もうとしてたのに。一口あげるから別のにしてよ~」

 

「三口で手を打とう」

 

「二人はそういうの抵抗無さそうだよね………」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「お~来た来た」

 

時々、メニューの写真よりも遥かに少ない量で出てくる時があるが、そんなこともなく、写真に見劣りしない、とても美味しそうなパフェが運ばれてきた。

スプーンを手に、早速一口頂く。

 

「……美味しい!!」

 

チョコアイスの濃厚な甘みが口に広がる。

 

「やば、超美味い……」

 

夕凪君の方も同じようだった。

 

「凄え……アイスやクリームにもフルーツの味が付いてて、酸味と甘味が……なんか凄いんだよ!」

 

「へぇ……」

 

「不破も食べてみるか?」

 

「え?ああ……じゃあ、一口……」

 

そう言って自分のスプーンを持つ。そして夕凪君のパフェに手を伸ばそうとしたのだが………

 

「……はぐっ!?」

 

夕凪君は、自分のスプーンで私に食べさせてきた。急に口の中に入れられたので、抵抗する間もなくやられてしまう。

 

「どうだ?美味いだろ」

 

「………美味しい」

 

屈託の無い笑顔で言う夕凪君に、そう返すしかなかった。

確かに、アイスやクリームにもフルーツの味が付いていて、変に甘くない、フルーツのさっぱりとした味が口に広がる。

だけど、私はそれどころじゃなくなってる。だって、さっきのは完全に、カップル達がやると言われてるあーん的なアレな訳で………

 

「その……さっきの………/////」

 

「ん?………ああ、悪い。昔の癖が出ちまった」

 

「昔の?」

 

「ああ。昔レストランとか行ったりするとさ、必ず此衣がこう言うんだ。"一口ちょーだい!"ってさ。それで俺達はアイツの口に突っ込んでやってた」

 

そうなんだと納得した。幼い頃からずっと一緒にいる仲だったのだから、気にせずやってたのだろう。

なんか、私だけ恥ずかしがってるのが悔しい………

 

「それよか、不破の奴も一口くれよ。チョコの奴美味そうじゃん」

 

「うん、いいよ」

 

そう言うと、夕凪君は持っていたスプーンで私のパフェから一口分すくった。

え?お返し?やる訳無いじゃないですかハハ………許して恥ずかしくて死んじゃう。

 

「ん~、こっちも美味いな!」

 

「でしょ!」

 

喜んでもらえて何よりだ。

その後は食べるのに夢中になった。そして、美味しいパフェはあっという間に無くなっていくのだった。

 

「ふぅ~、食った食った」

 

「今度、茅野さんと陽菜乃ちゃんにも食べてもらいたいなぁ」

 

「ああ。あいつらなら狂乱乱舞するんじゃねぇか?」

 

「あはは、はしゃぐ二人が思い浮かぶよ」

 

そう言い、アイスティーを飲み干す。

 

「ふぅ、食い終わったけどどうする?」

 

「じゃあもう行こっか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………撮れてた?」

 

「ああ。バッチリ」

 

「マジか。いきなりで撮れなかった」

 

「にしても、夕凪君もやるねぇ。あ、ほら渚君。あーん」

 

「やらないよ!?」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

店を出て歩き始める。途中までは道が同じなので、話しながら歩き始めた。

 

「美味かったなぁあの店。今度また行こうぜ」

 

「うん。今度は皆で行こっか」

 

「ああ。そうだな」

 

あの味を私達だけが味わうのは勿体無い。その位美味しかった。皆も喜んでくれると思う。

ふと、気になった事があったので聞いた。

 

「夕凪君?」

 

「ん?」

 

「今日、楽しかった?」

 

私と二人(遠くに三人居たけど)だけで、本当に楽しめたのだろうか。ちょっと変かもしれないけど、気になった。

 

「ただ学校帰りに寄っただけなんだが……まぁ、楽しかったよ」

 

「そっか。変なこと聞いてゴメンね」

 

「おう………じゃあ、ここら辺で」

 

いつの間にか、別れる所まで来ていた。

 

「うん。今日はありがとね」

 

「おう。また行こうぜ!」

 

そう言って別れた。歩きながら思う。

平気で可愛いなんて言ったり、気にせずあんな事出来る所を見ると、夕凪君が私のことを友達だと思っていることは分かる。

だけど、やっぱ私は夕凪君の事が好きだ。ただ学校帰りに寄っていっただけだけど、これで一歩踏み出せたと思う。それが、嬉しかった。

 

「そう言えば、中村さんとカルマ君に後押しされたんだよね……」

 

多分二人は面白がってるだけだけど、きっかけを作ってくれたのにはかわりない。二人には感謝しないとな。

 

LINE♪

 

「ん?」

 

携帯を開いてみる。カルマ君からだった。開いてみると……

 

「……っ!?///」

 

それは、夕凪君が私に食べさせてる所だった。あんな急だったのになんでこんな綺麗に撮れてるのさ……

少し踏み出せた私は、顔を赤くしながら帰路につくのだった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

ジュウゥゥウゥウ……

 

「♪〜」

 

夕飯作りなう。今日はパフェを食べてきたので少なめだ。今まで料理の描写が無かったが、これでも自炊してる人間なのだよ。

今日のメインは野菜炒めだ。楽で良いんだよなこれ。というか、この家のメニューは野菜炒めとカレーが多い気がする。

 

「♪〜〜……あっぢぃ"!?」

 

間違えてフライパンの、鉄のとこを触ってしまった。名曲が途切れてしまったではないか。

まぁ火傷は無かったので、仕上げに入っていた野菜炒めを皿に移す。そして、リビングに全て運んだ。

 

「いただきます」

 

これが俺の夕食の風景だ。一人寂しい。てか、孤児院に戻っても良いんだがな。実際もう修行で通ってるし。

まぁ、ここは学校から近いし、なんだかんだで住み心地良いから、このままで良いか。

 

「夕凪さん、こんばんは!」

 

すると、いきなり俺のスマホが喋り始めた。だけど俺は声の主をもう知っている。

 

「律か。どうしたんだ?」

 

「夕凪さんのLINE通知がとんでもないことになっているので、知らせた方が良いかと思いまして」

 

「げっ!?」

 

そう言えば忘れてたな……うん。僕知らない。

 

「千葉さんと速水さんですか。開きますね」

 

「ちょぉおぉおい!?」

 

勝手に開いてしまった。ヤバい、寝てたぁテヘペロ☆とか言うつもりだったのに、既読付いたらダメじゃん……

 

「えーと、千葉さんからは、怒ったスタンプがいっぱい送られて来てます。」

 

「あぁ、テヘペロ☆って送っといてくれ」

 

千葉にはこの返しで良いだろ。

 

「了解しました!それと、速水さんから。"お詫びに明日ハーゲンダッツ3個ずつ買って来ないと、眉間に対せんせー弾100発撃ちこむわよ?"だそうです」

 

怖ぇよ!

 

「……善処しますって送っといてくれ……」

 

「了解しました!」

 

千葉みたいな返しをしたらマジで殺されそう。俺に対してはツンデレのツンしか発動しねぇよなアイツ。

てか、律が有能すぎる。画面見なくてもメールのやり取りできるし。

 

「律は凄ぇな。結婚してくれよ」

 

冗談で言ってみたのだが……

 

「夕凪さん。浮気はダメですよ?」

 

「ブフォッ!?」

 

吹き出してしまった。なに変な事言ってるんだかこの子は。

 

「何だよ浮気って……」

 

「今日、不破さんとカルマ君のLINEにこのような画像を確認しました」

 

「ん?………はあぁぁあぁあ!?」

 

そう言って映し出されたのは、俺が間違えて不破にあーんしちゃった時の奴だ。これを持ってるって、アイツら尾行してきやがったな……

 

「データによると、これは恋人同士が行う愛の儀式だそうです。つまり二人はそういう関係だと「ストップストップ!」」

 

何だよ愛の儀式って。どこのガセ情報だよ……

 

「とにかく、俺と不破はそう言うんじゃないよ。間違ってもバラすなよ?」

 

「そうですか。了解しました」

 

そう言って画面から消える。若干つまらなそうだったのは気のせいだろうか。

 

改めて、今日を思い返す。

………俺だって鈍感ではない。ラノベ読んでてそう言う描写はよくあるし、それなりに知識はある。だから、不破の態度が急にそれになったことくらい分かってしまう。手を繋ぐだけで照れるのもおかしいだろう。

不破は充分魅力的な女の子だ。漫画の話をするときは目を輝かせながら語る。けど、俺がラノベのアレ系なシーンのことを言ったりすると、顔を赤くしてしまう。出会って3ヶ月ばかりだけど、色んなことに気づいた。

 

「………ありえないか」

 

それでも、気づいていても、俺は目を背けた。そんなことないと決めつけた。

だって、俺と、朋樹と此衣を引き離したのは、ただの恋心だったのだから。

俺は不破が好きだが、皆も好きだ。千葉や速水、渚やカルマ、E組の皆が好きだ………もちろん友達的な意味でな。

また、またこの関係が崩れるくらいなら、俺は目を背け続ける。

 




オリ回を挟みました。よく分からない所があったらスミマセン。
次は一学期期末テストです。

*少し変更しました。歌詞を入れておくと著作権に引っかかることがあるらしいので。
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