渚、カルマ、殺せんせー 颯君→夕凪君
最初の方がバラバラだったので、これで統一したいと思います。
「ごちそうさま」
昨日の残りや納豆だけで済ませた簡単な朝食を食べ終える。朝に料理とかしたくないし。
夏休みに入って二日目、今日は何をしようか。
ちなみに昨日はぐうたらしまくった。ベットの上でアニメ見たり漫画見たりゲームしたりとやりたい放題だった。まぁ、夕方にはちょっと宿題やったが……とりあえず、今日の午前は勉強しよう。
問題は午後だ。宿題さっさと終わらせろと言う意見もあると思うが、俺は遊ぶ。なんかこう……そういう気分だ。
「……ゲーセンにでも行くかな」
この頃は行ってなかったからな。たまにはいいだろう。
ピロリン♪
なんだと思い、携帯を開いてみる。千葉からだった。
千葉龍之介:今日暇なんだが、夕凪はどうだ?
あいつからの誘いとは珍しいな。まぁ丁度良いか。
ハヤテ:午後からゲーセン行こうかと思ってたんだが、一緒に行く?
千葉龍之介:良いな。速水も連れて行って良いか?
速水?なんでその名前が出てくるか疑問に思ったが、大方二人で暇だとか話してたんだろうな。そして一番暇そうな奴に話しかけたというとこだろう。失礼な話だなそれ……
ハヤテ:良いけど、男二人とであいつは良いのか?
千葉龍之介:気にしないって。てか、俺達訓練でも一緒じゃん。
そういうもんなのか?
ハヤテ:じゃあ、12時半に椚ヶ丘駅集合な。
千葉龍之介:了解
千葉の返信を確認して携帯を閉じる。
こういう風に友達と話していると、俺、ぼっちじゃ無いんだなぁとよく思う。これまでは、ゲーセン=一人で行くものだと思ってたからな。
まぁ、午後までまだ時間がある。カルマ達と同じ土俵に立つって言っちゃったし、頑張りますかな。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
椚ヶ丘駅にて
俺は予定の15分早く着いた。まぁ、やる事無かったしな。
辺りを見回すと千葉がいた。早いなと思いつつ声をかける。
「よう。早いんだな」
「ああ、夕凪か。遠いから早めに出たんだ」
そうかと言い、隣に腰掛ける。遅れないように早めに出る辺り、千葉のしっかりした性格が見られる。速水も同じタイプだが、そこは女の子だ、色々と準備は大変なのだろう。
「てか、プライベートでも速水と遊んだりするのか?」
「いや、エアガンの店とか行ったりするだけで、遊びにはまだ」
「へぇ………邪魔だったか?」
「……何が?」
え〜?無自覚なの?
千葉と速水は、恋愛的な面でよくクラスの奴らから噂されている。まぁ、思春期にありがちなやつだ。俺としても二人は似合ってると思う。一緒にいて感じるが、なんか雰囲気的なのが似ているのだ。
二人も知らずに意識しているのかと思ったが、それも無いのか……
「ごめん、待たせた」
「ああ、速水か」
「いや、まだ5分前だから大丈夫だ」
こっちもほんと真面目だな。
「じゃあ、行こうぜ」
そう言って歩きだす。隣に速水が来たので、聞いてみた。
「……邪魔だったか?」
「はぁ?何で邪魔なの?」
こっちもかよ……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ゲーセンにて
久しぶりに入る店だったが、前と変わる所は殆どない。相変わらずの騒音に包まれた空間だ。
変わったと言うなら、入り口の方に新しいアーケードゲームが少し設置されたくらいだ。
「私、あまりゲーセンってきた事ないかも……」
「そうなのか?今時珍しいな」
友達とかと来る事くらいあるだろ。
「じゃあ、あれなんか良いんじゃないか?」
そう言って千葉が指すのは、銃でゾンビを倒していくガンシューティングゲームだった。複数人プレイも出来る。
「へぇ、あれなら私でもやれそうだわ」
「お、あれは俺やった事ないぞ」
「俺もやったことないから、これでフェアだろ。スコア勝負しようぜ」
千葉がそう言い、ハンドガンを取る。
スコア勝負か。俺はやった後の店内ランキングでしか競い合ったことないからな。ちょっとワクワクしながらハンドガンを取った。
「じゃあ、負けたやつジュース奢りな!」
「「………え?良いの?」」
え?何二人揃ってその返し?
「お前、練習の時も勝負挑んでは負けてるだろ」
「そのたびに何かかけて、その後負けて泣いてるじゃない」
泣いてない!項垂れてるだけだ!
「い、いや、これはゲームだし……そんな目するなら俺だって本気出すもんね!お前ら負けても知らねぇぞ!」
((うわ、負けフラグ……))
いや、この中では俺が一番ゲーセンに来てるはずだ。ゲームと現実が違うことを思い知らせてやるぜ!
グオオォォォォ! パンパン!!グシャァァ
「やべ、ちょナイフ無いのか……」
グオオォォ… ドガァァァアアァン!!グギャアアァア!
「おい!何だよ今の爆発!!」
「手榴弾だよ。そこに使い方書いてあるだろ?」
パンパン!! グオォォオォオ!!!
「………負けた……」
((やっぱり………))
千葉とは大差をつけられて負け、ゲーム初心者の速水にも僅差で負けた。
何でだよぉぉおぉ!ゲームならこいつらに勝てると思ったのに……
「結構難しいわね……」
「いや、上出来だと思うぞ?だって速水、手榴弾未使用だし」
「はぁ!?」
リザルト画面を見てみると、確かに一度も使用して無かった。確か使わないと辛いとこが何個かあったはずだが……ハンドガンだけで切り抜けたのか?
もし使っていたら、速水にも大差をつけられてたかも……
「……いやマジ……なんか凄えなお前ら……」
もう、プライドとかボロボロだわ……
「じゃあ、俺コーラで」
「私ミルクティーで、よろしく」
「うぅ………」
トボトボと、自販機の元へ歩いていくのだった。くそぉ……
「うおっ、この人凄えな!」
「ん?誰が?」
夕凪が行った後、千葉が驚いたように言ってゲーム画面を指した。見ると、ランキング上位を同じ名前が独占していた。千葉のランキングはその次だ。
「"yukiko"って人らしいね。どんな人なんだろ?」
「さぁ?けどきっと、只者じゃないぜ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「フルコンボだドン!」
そう言って最後をキメる。
「おお、夕凪こっちは上手いな」
「ふふん!これならお前らに負けねぇぜ!」
まぁ、フルコンできるのこの曲だけなんだがな。音ゲーならどの機種でも大体できる。
「どけやぁ!クソガキ!!」
突然、バカでかい声が聞こえた。アーケードゲームの方だ。
「おい、行ってみようぜ」
そう言って向かう。全く、どこにでもチンピラみたいなのがいるんだな。
「だから、その子は先にゲームしてたんです。別に譲る権利は無いじゃないですか?」
騒ぎの周りには人が集まっていて、よく見ることができなかった。
「あぁ?知らねェよ!とろくせェことやってていつまで経っても終わらねェからどかしたんだよ!文句あんのか!?」
どうやら、さっきの男を女の子が止めているようだ。凄い勇気があるのだが危ないな。
「千葉、速水、止めに入ろう。いざという時は俺が抑えるから」
「「オーケー」」
そう言って人を掻き分けていく。万が一暴力沙汰になったら洒落にならないからな。
「じゃあこうしましょう………」
ようやく見えてきた。チンピラは結構いかつい男だった。そして、女の子の方は………
「私にこのゲームで勝ったら、順番を譲ってあげます」
「「「か、神崎さん!?」」」
チンピラを説得していたのは神崎さんだった。
「ほほぅ、言うじゃねぇか姉ちゃんよぉ?良いぜ、受けてやんよ!」
勝てると思ってるのか、チンピラは勝負を受けた。まぁ、これなら俺達が出て行かなくても大丈夫だろ。
「おい夕凪!神崎さんが巻き込まれてるじゃんか!」
「止めに行った方がいいでしょ?」
「ああ、お前ら知らないのか」
「「??」」
「まぁ見てろって。凄えもん見れるから」
二人はまだ心配しているが、一目見ればわかるだろうよ。
「はっ、余裕だな!俺は本気で行くぜぇ?負けて泣くんじゃねぇぞ?」
「じゃあ、始めましょうか」
「……何…………だと………」
「それじゃあ、私の勝ちということで」
結果は神崎さんの圧勝、修学旅行の時と変わらぬ手捌きで、圧倒的なスコアを叩きだした。その姿に観客もざわついている。
「意外……神崎って、あんなにゲーム上手かったんだ………」
「ああ。手元速すぎて見えなかったぞ……」
速水と千葉も驚いた様子だった。
「っ!……くそおぉぉおぉおおっ!」
負け犬の様にチンピラは去っていく。それと同時に歓声が沸き起こり、絡まれていたであろう子供達もはしゃいでいた。
神崎さんは一礼すると去ろうとする。その時、俺達と目が合った。
「夕凪君!?千葉君と速水さんまで!」
「よう、大活躍じゃん」
「見られてたんだ、照れるな……」
神崎さんは照れくさそうに頬をかいた。
「意外だな。神崎さんってゲーム上手いんだな」
「うん……昔色々あってね。ゲームセンターにはよく来てたんだ」
様子から察するに、あまり良いことじゃなかったんだろうな。だけど、俺が詮索することじゃない。
「神崎さん、よかったらこの後は一緒に遊ばない?」
「え?……うん。良いよ!」
「っしゃあ!修学旅行のリベンジだぜ!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「うぅ……もう嫌じゃぁ……」
全戦全敗、完膚なきまでに叩きのめされた。何でこんなに強いのん?
「あんた……負けるのが好きなの?」
「うるせぇやい!負けたくて負けてるわけじゃねぇよ!」
速水の辛辣な言葉に半泣きで返す。プライドもクソもねぇ……
「結構遅くなってきたね。私そろそろ帰らなきゃ」
門限厳しいんだな、と千葉が呟く。携帯を開くと、確かに結構な時間になっていた。
「んじゃ、帰るか」
「そういえば最初にやったガンゲーム、上位独占してたの神崎さんだったのか」
「ん?何の話だ?」
「あんたがパシリにされてた時「パシリじゃない!」あのゲームで"yukiko"って人が凄い得点出してるのを見たのよ」
へぇ、あのゲームでも高得点出してたんだ……
「うん。いろんなゲームやってて、あの店のゲームは多分全制覇してるよ」
「「「ゆ、有鬼子さんまじパネェ………」」」
「あ、私こっちの道なんだ。じゃあね」
「ああ。またな」
こうして神崎さんと別れる。俺達3人はまだ同じ道なので、再び歩き始めた。
「俺、神崎さんがゲーム得意なんて知らなかった」
「うん、普段からだとそんなイメージ無いのにね」
千葉と速水が疑問に思っていた。
「修学旅行の時になんかあったらしいぞ。まぁ、殺せんせーのことだ、色々やって解決したんだろうよ」
結果、今まで隠してたゲーム好きの一面を出すようになったんだろうな。
「てか、俺結構ゲームには自信あったのに………もう自分ゲーム得意とか言いませんわ……」
「まぁまぁ、太鼓の達人だけは上手かっただろ」
千葉、それフォローになってない……
まぁ、今までずっとゲーセンにはぼっちで行ってたからな。こうやって友達と行って、競い合って、楽しくワイワイするのも………
「悪くない……か……」
ほんと、わずか4ヶ月でよくこんなに変わったよ。俺。
すると、いつの間にか家に近づいていた。
「あ、俺こっちだ。じゃあな!」
「おう」「またね」
「おう!また行こうぜ!」
そう言って、俺は二人と別れるのだった。
それを遠くから見る、一人の少女。日本では見ることのない銀髪だが、フードを被っているので目立たずにいる。
電話をしながら、透き通った翡翠色の目で颯を見ていた。
「……ターゲット、確認。今、友人と別れて……自宅に向かってる……」
『ああ。どうだ?奴の様子は?』
「……普通の学生。そこら辺の奴と変わらない」
『HAHAHA!お偉い警視総監サマの子供は平和ボケしてるんだな』
「ただ、結構身のこなしは軽そう……もしかしたら強いかも……?」
『もしそうでも、オマエなら大丈夫だろ?観察が済んだら現地に向かえ。作戦は伝えた通りだ。奴の超生物暗殺に紛れて、夕凪颯を捕縛しろ。いいか?今回は殺すなよ?』
「………了解」
電話の相手にそう伝えて、電話を切る。
少女から見る颯は、ごく普通に毎日を過ごす、普通の学生にしか見えなかった。
「夕凪颯……私が貴方を……殺す」
少女はそう呟く。その声は、彼女にしか聞こえることはなかった。