夕凪颯の暗殺教室   作:カゲロー@

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これまで見て下さった皆さん、本当にありがとうございます!感謝感激です!!
他の作家さんにはまだ及ばないので、これからも頑張っていきたいと思います!
これからも、"夕凪颯の暗殺教室"をよろしくお願いします!


第42話 「ナイフの時間」

九階

 

階段の九階に出る所に見張りがいた。

だいぶ動けるようになり、磯貝の支えも要らなくなった烏間先生は、その見張りを背後から拘束する。そして……

 

キュッ

 

「ふうぅ〜……だいぶ体が動くようになってきた………」

 

ヒイィィィイ!!やめたげて!やめたげてぇ!!

その見張りは烏間先生に首を絞められ、気絶させられていた。気のせいか?首がとんでもない方向に曲がってるが……

 

「まぁ、まだ力半分ってところだがな」

 

烏間先生はそう言うと、敵が居ないか警戒している。

 

「力半分ですでに俺等より倍強ぇ……」

 

「あの人1人で侵入った方が良かったんじゃ……」

 

木村と片岡がそう呟く。確かに……毒にやられなきゃ、敵をバッタンバッタン倒してそう……

 

「殺せんせー、雇われた殺し屋って、あと何人いるのかな?」

 

渚はそう殺せんせーに尋ねると、殺せんせーではなく烏間先生が答えた。

 

「ロヴロさんの話によると、姿を消した殺し屋は3人らしい。恐らく、下で戦った3人だろう。けど油断するな、もしかしたら別ルートの殺し屋がいるかもしれない」

 

そう言って、廊下の向こうを覗く。出来れば、次がラスボスだと助かるんだがな………

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

九階 VIPフロア ホール

 

廊下を抜けると、ホールがあった。てか暗い。光は廊下から入ってくるものしかあらず、目を凝らさないと向こうが見えない。

辛うじて見えた部屋の向こうには、最上階に続く階段があった。そこを登れば、いよいよ黒幕の登場だ。

烏間先生に続いて、ホールに足を踏み入れる。その瞬間……

 

「「「「「……ッ!?」」」」」

 

俺達の誰もが、その殺気を感じ取った。いる……このホールに、あと1人!

 

「……烏間先生」

 

「ああ、分かってる……皆、絶対に俺から離れるな。敵への警戒を怠らず、いつ来ても大丈夫な様に備えろ……」

 

その指示に、全員の緊張感が高まる。

どこだ?ここは休憩目的のホールみたいで、遮蔽物も多いようだ。

クッソ……暗くてよく見えねぇ!

 

「あ、あれ!」

 

茅野が声を上げて指を指す。それは天井にかかっているシャンデリアだった。

見ると、そこにある人影が辛うじて確認できた。その人影は、シャンデリアから飛び降り、俺の所に落ちてこようとする。

その手には、ナイフがあった。

 

「……っ!?」

 

やばっ!?俺を殺る気だ!

俺はバックステップをとり、すんでのところで回避した。全員で距離をとり、敵の姿を見る。

 

立ち上がったそいつはローブを被っていた。深く被っているので顔は見えないが、茅野くらいのかなり小柄だった。女だろうか……

 

「ナイフ使い……それも、かなり身のこなしが軽いですねぇ……」

 

殺せんせーがそう言う。すると、奴は俺達の方にナイフを向け、ローブのフードをとった。

 

「「「「「!!」」」」」

 

そこには、銀髪が肩まで伸び、透き通った翡翠色と雪のように白い肌をしている、幼いながらも端正な顔立ちの美少女がいた。

 

「………可愛い…」

 

矢田がそう呟く。ここに岡島がいてそう言っていたらぶん殴っていたな。

その少女はナイフを向けながら言った。

 

「……私の目的は……夕凪颯を殺すこと……」

 

………え?俺?

皆の視線が俺に集まる。予想外の言葉に戸惑っていた。

 

「……貴女は、護衛として雇われた殺し屋じゃないのですか?」

 

「そう……だけど、私の目的はそれじゃない………雇い主の作戦に乗じて……夕凪颯を殺害すること……それが私の目的……」

 

独特の話し方でそう言う。

てか、俺を殺害するのが目的?正直訳が分からない。殺される程恨まれた覚えはないんだがな………

けど……やるしかねぇか。殺されるつもりは全くないし、こいつが黒幕に雇われている以上、ぶっ倒さなきゃ先には進めないんだから。

俺は、黙ってナイフを向ける少女に歩いていった。

 

「1つ聞く……お前の目的は俺の命だ。なら、俺以外の皆は先に進ませてやってくれねぇか?こっちは急いでるんだ」

 

「夕凪!?それって「それは出来ない」」

 

磯貝が俺を止めようとするが、それを遮って少女が言う。

 

「一応……私はこの上に居る人に雇われてる………だから、形だけでも足留めしないと……後々面倒になる……だから、上に行こうとした人間は……斬る」

 

「そうか………なら、他の皆には危害は加えないでくれ。お前の目的は俺だけなんだろ?」

 

「………邪魔しなければ、危害を加えるつもりはない……」

 

「そっか。ならいいや。とっとと始めよう。時間が惜しい」

 

俺はそう言うと、軽く骨を鳴らして戦闘態勢に入る。すると、後ろで烏間先生が言った。

 

「夕凪君、危険だ!さっきの感じ……恐らく、下の3人よりも強いぞ!俺が戦うから夕凪君はサポートを…「大丈夫です」」

 

俺は、心配する烏間先生の言葉を遮った。

 

「烏間先生、まだ麻痺が残ってるでしょ?敏捷性とか反応速度とかはまだ落ちてるはず。その状態でこの子の素早いナイフは回避出来ませんよ」

 

図星だったのか、烏間先生はクッ…と悔しそうにしていた。俺はそれに、と続ける。

 

「この子は俺を狙ってるんです。それなら俺が戦う。誰かに頼る気もありませんし………負ける気もありませんから」

 

そう言って、今度こそ目の前に集中する。少女は腰を低くして、ナイフを構えた。

先に動いたのは少女、ナイフで胸を狙って突いてきた。俺はそれを横に動くことで回避する。そこから切り上げ、突きの連撃と攻撃を繰り出してくる。俺はそれらを最低限の動きで避けた。

てか早ぇ!避けるだけでも大変だ。

今までから得た情報だが、この少女はスピード特化型だ。素早い身のこなしと流れるような連撃、特訓の時の玄斗さんの攻撃よりも速かった。攻撃手段がナイフだけなので読みやすく、辛うじて避けてるだけだ。

しかも、相手が使うのは本物のナイフ、死と隣り合わせのプレッシャーが俺を焦らせる。

 

「……クッ……!」

 

少女の顔を狙った一撃、俺は顔を動かして避けるが、ナイフが頬を掠めた。切り口から血が流れる。

 

「……意外と素早い………でも、いつまで続くかな………」

 

そう言った少女は、再び動き出す。上から斜めに大きく斬ろうとしたので、俺は無理にバックステップでかわす。するとその距離を一瞬で詰めてきて、更に追撃を加えようとする。

やばい……体勢が崩れてる……

 

「ッ!………らぁああぁあっ!!」

 

俺は無理な体勢から、体を捻ることで蹴りを繰り出し、少女を迎撃する。見た目通り華奢なので、あんな無理な体勢の蹴りでも退け反らせることが出来た。ふぅ、危なかった……

 

 

 

 

 

 

「殺せんせー、夕凪君押されてるみたいだけど、大丈夫かな……」

 

渚の問いに、殺せんせーは答える。

 

「確かに、夕凪君は防戦一方です。ですが、序盤は彼の真骨頂ではない。それに、彼はこの数ヶ月でかなり厳しい特訓をしてきたのです。大丈夫ですよ。見ていればわかります」

 

 

 

 

 

 

 

その後も連撃が続く。少女の攻撃を俺は紙一重で躱す。俺は攻撃と言う攻撃をせず、避けに徹していた。

けど、確かな変化がある。

 

「……さっきよりも簡単に避けられてる………いくら何でも適応が早い……」

 

少女はそう呟く。それに対し、俺はこう呟いた。

 

「ふぅ……やっと慣れてきた」

 

ここからは、俺のターンといかせてもらうぜ!

 

 

 

 

 

 

 

 

「夕凪君のあの適応力の高さは、彼の優れた観察眼、そして彼の能力に関係があります」

 

「記憶能力?」

 

渚はよく分からないと言う風に、そう呟く。それに対し殺せんせーは言う。

 

「はい。彼は一度見た物は忘れない。加えて細かい所まで見れる観察眼です。その情報量は、常人のそれを遥かに凌駕します」

 

そして、と殺せんせーは続けた。

 

「その情報量を生かして相手の行動パターンを読み、攻撃に適応する。そして相手の回避パターンを読み、必殺の一撃を与える。少し先の未来を見るスキル、"未来を見通す眼(フューチャー・アイ)"です!!!!」

 

「「「「「…………」」」」」

 

殺せんせーの言葉に、その場がシンと静まり返った。

 

「……何言ってんの?殺せんせー」

 

「にゅやっ!?反応が冷たい!か、カッコよくないですか?中二心をくすぐるというか何というか……」

 

「いや、くすぐらねぇし」

 

「そんなこと言ってたら後で夕凪に仕返しされるよ?」

 

「にゅやっ!?」

 

技名に自信があったらしく、菅谷と岡野がそう言うと殺せんせーは驚いていた。

 

「……ゴホン!そんな理由で、夕凪君は敵の攻撃への適応力が高いんです。これから反撃していくでしょう」

 

「凄いな夕凪、そんな能力のこと一言も言ってなかったぞ?」

 

それは……と殺せんせーは答える。

 

「夕凪君は、自分でその能力に気づいていないからです。まだ不完全ですし、彼自身も適応が早いなぁくらいにしか思っていません。いずれ教えるつもりですが……多分、自分で気づくでしょう」

 

 

 

 

 

 

「はあぁぁあっ!!」

 

少女の突きを避け、拳を繰り出す。少女はそれを姿勢を低くして避け、ナイフで斬り上げてくる。俺は小さくステップをして最低限の動きで避け、ナイフを上げて無防備になった体へ蹴りを叩き込んだ。

 

「……グッ…………!」

 

少女は一瞬顔を顰めたが、受け身をとって着地に成功する。

だいぶ攻撃に対応できるようになり、反撃ができるようになってきた。

 

「………記憶能力……か……凄いね、君………でも、殺す……殺さないと……」

 

「……なぁ、何で俺が殺されなきゃいけないんだ?恨まれるような事した覚えないんだが……」

 

それだけが気になった。なので聞いてみた。すると少女が口を開く。

 

「………私のマスターの命令」

 

「ま、マスター?」

 

よく分からず、聞き返してしまった。

 

「何故貴方なのかも、どうして殺すのかも………私は知らない……ただ、殺せと命令されたから……私は貴方を……殺す……」

 

「そうか……だけど、俺だって譲れないんだよ!死ぬ気も無いし、逃げる気も無い!皆を助ける為に、お前をぶっ倒させてもらうぜ!」

 

俺はそう叫ぶ。すると、少女が一瞬だが、笑ったような気がした。

先程と同じように少女が走ってくる。近づいて、胸を狙って刺してくる攻撃だ。

ナイフに集中しろ。避けて、そして今度こそ、決定打を叩き込んで倒す!

そう、決めた時だった。

 

「………なッ!!?」

 

気づくと、そこにはナイフしか無かった。迫って来ていた少女は、消えた。

いや、目の端で微かに捉えたが……今の動きは……バスケットボールのロール?

そして次に、背中に大きな衝撃が走った。思いっきり蹴り飛ばされたのだと分かる。クッソ……華奢だと思ってたのに、中々効く攻撃だ。

恐らく、少女はナイフで斬ると見せかけて、ナイフを空中に置くようにして自分は横を通り過ぎ、背後から決定打を与える、さっきのはそう言う技だ。

しかし、ナイフの手放し方、視界からの外れ方、そこから軸足を使った流れるような動き、全てが揃ってできる技だった。やはり、コイツは強い!

とにかく体勢を整えないと追撃が危険だ!そう思って体勢を直し、少女の方を見た。

その、瞬間だった……

 

 

 

 

 

 

グサリ

 

 

生々しい音が聞こえる。

目の前には、幼いながらも端正な顔立ちをした、ローブ姿の少女。

その少女が持つのは、刃渡り20センチ位のダガーナイフ。そのナイフが、刺さっていたのだ。

………俺の身体に。

 

「……夕凪颯……死んで」

 

そう言って、少女はナイフを引き抜く。

意識が遠のく。朦朧とした視界は、どんどん近づく地面を捉えていた。身体が、倒れていく。

痛みよりも、先に眠気を感じた。俺はまどろみの中に、落ちていった。

彼らの悲痛な叫び声も、聞こえることは無かった

 

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