夕凪颯の暗殺教室   作:カゲロー@

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リアルでちょっとバタバタしていたので更新遅れました。スミマセンm(_ _)m
いよいよ島編もラストですね!


第46話 「黒幕の時間」

 

最上階

 

階段を上がり、やっとここに辿り着いた。皆はこれ以上ない程緊張していた。

 

「………痛ッ…」

 

刺された所が痛んだ。ちょっと無理し過ぎたな……また出血しないよう、気をつけないと……

 

「皆さん。最上階部屋のパソコンカメラに侵入しました!上の様子を観察出来ます」

 

すると、律がスマホに現れる。俺達は自分のスマホやケータイを確認した。

 

「この最上階一室は貸し切り。確認する限り残るのは……この男ただ1人です」

 

「こいつが………黒幕か……」

 

スマホには、黒幕と思われる男が映されている。奴が見ているのは、ウイルスに感染したE組の皆。苦しむ皆を見て、心底楽しそうにしていた。

すると、殺せんせーが口を開いた。

 

「黒幕について、1つ分かった事があります……彼は殺し屋ではない。殺し屋の使い方を間違えてます。元々は先生を殺すために雇った殺し屋、ですが状況が変わり、見張りと防衛に回したのでしょう。でもそれは殺し屋の本来の仕事じゃない。彼等の力は、フルに発揮すれば恐るべきものになります」

 

「確かに……コンサートホールでの銃撃戦も戦術では勝ったけど………あいつ、狙った的は1cmたりとも外さなかった……」

 

殺せんせーの言葉に、千葉がそう言う。確かに、菅谷の即席人形の眉間には、正確に銃弾がブチ込まれていた。

 

「カルマ君もそう。敵が廊下で見張るのではなく、日常で後ろから忍び寄られたら……あの握力に瞬殺されていたでしょう」

 

「……そりゃね」

 

「あの少女が他の3人に比べて脅威に感じたのはその為です。ナイフの技術と体術が彼女の武器ですが、それは純粋な戦闘能力です。殺し屋の中では、彼女のようなタイプは珍しい。そのお陰で、あれだけ手間取ったという訳です」

 

「確かに……でも、殺し屋じゃないなら……黒幕は、何者なんだ?」

 

殺せんせーの事は国家機密。殺し屋の間と、そして国の一部の人間しか知らないはずだ。でも、国の人間がこんなふざけた計画を立てるとは思えない。

 

「……まぁ、考えるより見た方が早いか……」

 

「その通りです夕凪君。さぁ、行きましょう。敵はすぐそこです」

 

殺せんせーがそう言い、烏間先生が見張りから奪ったカードキーで扉を開ける。

律の情報から、この部屋は広いが遮蔽物が多いのがわかった。気配を消せば、かなり近くまで近づける。

俺達は、烏間先生に教わった方法で歩く。ナンバと言い、手と足を一緒に出して胴の捻りや軸のブレを無くし、音を軽減する歩法だ。

俺は怪我人なので、一番後ろから着いていった。

部屋を通り抜け、奥の部屋へ進んでいく。そして………

 

(((いやがった……黒幕だ)))

 

近くにあるスーツケースが、おそらく治療薬だろう。爆弾も付いてる。そして、手に持ってるのが起爆のリモコンだろう。

俺達は烏間先生の指令通り、動こうとする。出来るだけ気づかれずに接近、そこで取り押さえられればベストだ。

もし遠距離で気づかれたら、烏間先生が黒幕を撃ってくれる。腕を撃ち、その後皆で取り押さえる。

心臓が高まる。だが、屈したりはしない。俺達が、この戦いを征する。そして、治療薬を手に入れる!!

皆がそう思い、ジリと近づいた、その時だった………

 

 

「かゆい」

 

 

黒幕が、そう言った。

聞き覚えがあった。

 

 

「思い出すと、痒くなる。でも、そのせいかな。いつも傷口が空気に触れるから……感覚が鋭敏になってるんだ」

 

 

いや、ちょっと違った。前よりずっと禍々しい声だ。その声を聞いた瞬間、恐怖ではなく、憎悪の念を抱いた。

 

するとそいつは、手に持っていた何かをバッと放り投げる。バラバラと落ちたそれは、全て同じ起爆スイッチだった。

 

 

「言ったろう。元々マッハ20の怪物を殺す準備で来てるんだ。リモコンだって奪われないよう予備も作る。うっかり俺が倒れこんでも押す位……な」

 

 

「……連絡がつかなくなったのは……3人の殺し屋の他に身内もいる。防衛省の機密費、暗殺に使うはずの金をごっそり抜いて……俺の同僚が姿を消した……」

 

烏間先生がそう言う。すると、黒幕が振り向こうとする。

振り向かなくても分かる。やっと分かった。

殺し屋じゃなくて、国家機密を知った人間。そして、悪逆非道を厭わない人間。全てのピースが当てはまり、答えを語りかける。

 

「どういうつもりだ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鷹岡ァ!!!!!」

 

鷹岡は振り返り、その顔を見せた。目を血走らせ、頬に大きな傷を何個も作った顔は前と全く違っていたが、それでも、あの鷹岡だった。

 

「悪い子達だ……恩師に会うのに裏口から来る。父ちゃんはそんな子に教えたつもりはないぞ?仕方ない……夏休みの補習をしてやろう…」

 

そう言って、鷹岡は立ち上がり、言う。

 

「屋上へ行こうか……愛する生徒に歓迎の用意をしてある。お前らのクラスは俺の慈悲で生かされてるんだから……ついて来てくれるよなァ?」

 

そう言ってグシャリと笑う鷹岡。それに皆は嫌悪を隠せなかった。

 

「……不破、大丈夫か?」

 

「夕凪君?……ううん、平気」

 

「そっか……」

 

口ではそう言うが、やはり隠せていない。不破は前、俺への見せしめにボコボコにされかけたんだ。そりゃ恐怖に感じるだろうな。

 

「そばに居とけ。怪我人で悪いが……それでも少し落ち着くだろ?」

 

「うん……ありがと」

 

そう言うと、2人で並んで皆の後ろを着いていく。階段を登って屋上に着くと、烏間先生が叫んだ。

 

「気でも違ったか鷹岡!防衛省から盗んだ金で殺し屋を雇い、ウイルスで生徒を人質に取り脅すこの凶行!!」

 

「おいおい、俺は地球を救う為にやってんだぜ?計画では……そこの茅野って言ったか?そいつに賞金首を抱かせて、対せんせー弾がたっぷり入ったバスタブに入れ、その上にセメントで生き埋めにする。生徒想いな殺せんせーなら、爆発せずに大人しく溶かされてくれると思ってなァ」

 

((あ……悪魔……))

 

俺達の心中は一致した。コイツは、人の皮を被った悪魔だ。

地球の危機と比べたら、どうって事は無いのかもしれない。それも1つの意見だ。

でも、それは違うと俺は思ったし、信じてる。だから、言った。

 

「……んな事が、許されると思ってんのか?」

 

「おやおやァ?誰かと思えば夕凪君じゃないかァ。殺されて無いかと心配したぜ。腹の傷は大丈夫かァい?」

 

「毛ほども思って無い事言うんじゃねぇよ気持ち悪ィ」

 

「本当に思ってたぜェ?あのナイフのガキにはお前の命を渡す事を条件に報酬無しで雇ってたんだ。殺されるなら仕方ないと思ってたが………本当はお前に、今から開催するショーの、特等席に座って欲しかったんだよォ」

 

鷹岡はそう言うと、ナイフを取り出して言った。

 

「許されるか、と言ったが……これでも人道的な方さ。お前らが俺にした、非人道的な仕打ちに比べればなァ!特に、潮田渚!俺の未来を汚したお前は絶対に許さねェ!!」

 

成る程、そう言う事か。

茅野を狙ったのは暗殺の為、俺を狙ったのは下の少女の為、そして……渚を狙ったのは、自分の恨みを晴らすためだ。

なんと自分勝手な人間なのだろう。俺は直接見てないが、渚との決闘は完全に鷹岡が決めたもので、渚はルールに則って鷹岡を倒したと聞いた。150%鷹岡が悪い。

 

「ケッ……イカれやがって、言っとくけどな、あの時テメーが勝ってようが負けてようが、俺等テメーのこと大ッ嫌いだからよォ!!!」

 

「ジャリ共の意見なんて聞いてねェ!!俺の指先でジャリが半分減るって事忘れるなァ!!」

 

寺坂がそう言うと、鷹岡はそう叫び、起爆スイッチに指を当てて黙らせた。

 

「チビ、おまえ1人で上のヘリポートまで登ってこい。殺戮ショーを体感させてやる」

 

そう言って、鷹岡は治療薬と起爆スイッチを持って、ヘリポートに上がっていく。

 

「渚、ダメ、行ったら……」

 

「…………行きたくないけど……行くよ。上手く話に合わせて、治療薬を壊さないよう渡してもらうよ」

 

そう言って渚は、茅野に殺せんせーを渡してヘリポートに登っていく。

2人が登り終わると、鷹岡ははしごを外し、もう誰も登って来られないようにした。

 

「足元のナイフで分かるな?この前のリターンマッチだ」

 

「……待って下さい鷹岡先生。闘いに来たわけじゃ無いんです」

 

「だろうなァ。この前みたいな卑怯な手は通じねェ。一瞬で俺にやられるのは目に見えてる。けど、それじゃ俺の気が晴れない。だから……」

 

鷹岡はそう言って指を渚の足元に向ける。

 

「謝罪しろ。土下座だ」

 

渚は、鷹岡のその言葉に、一瞬悔しさを見せながらも膝を着いた。

 

「……僕は…「それが土下座かァ!?頭擦り付けて謝ンだよバカガキがァ!!」」

 

鷹岡がそう叫ぶと、渚は頭を下げ、床につける。そして、再び言った。

 

「僕は、実力が無いから卑怯な手で奇襲しました。ごめんなさい」

 

「おう、その後で偉そうな口も叩いたよな。"出て行け"とか。ガキの分際が大人に向かって!生徒が教師に対してだぞ!?」

 

そう言って、鷹岡は渚の頭を踏み付けた。しかし、それにも渚は動じず、続けた。

 

「……ガキのくせに、生徒のくせに、先生に生意気な口を聞いて……すみませんでした」

 

……悔しくて、たまらなかった。

渚は必死に耐えていた。治療薬を手に入れる為なら何てこと無いと。

怒りに任せて叫びたい気持ちはあったが、それをしては渚の努力が無駄になる。俺達には、悔しくても何も出来なかった。

皆も、悔しそうに顔を歪めていた。

 

「……よーし、やっと本心を言ってくれたな。褒美に良い事を教えてやろう。あのウイルスで死んだ奴がどうなるかスモッグに画像を見せて貰ったが……全身デキモノだらけ。顔面がブドウみたいに腫れ上がってな」

 

そう言って、鷹岡は治療薬の入ったケースを持った。そして……

 

 

 

「見たいだろ?渚君」

 

 

 

 

「ッ!?!?」

 

最悪の結末が俺の脳裏に写った。

俺は走り出そうとした。刺された傷なんて関係無い、止めなければと。

けど、鷹岡は既にスーツケースを放り投げていた。ダメだ……もう間に合わない……

そして…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やめろぉぉおぉおッ!!」

 

ドガァァァアン!!

 

 

放られたスーツケースは、鷹岡がスイッチを押すと同時に爆発した。中にあった治療薬は……1つ残らず粉々になった。

皆の顔に、絶望の色が浮かぶ。これで、治療薬は戻らない、その現実が重くのしかかる。

 

「あはははははははッ!!そう!!その顔が見たかった!!夏休みの観察日記にしたらどうだァ!?お友達の顔面がブドウみたいに化けていくザマをよォ!!ははははははは!!」

 

鷹岡はそう言って笑う。その顔を皆は、嫌悪と憤怒の入り混じった表情で睨んでいた。

 

その時……

 

 

 

 

 

 

「…………してやる」

 

 

 

 

 

渚が、ナイフを手に取った。息を荒くしながら、立ち上がる。

渚からは、途轍も無い殺気が放たれていた。

 

 

「殺……してやる!!」

 

 




原作の、この後に描かれている渚の絵がとてもかっこ良くて震えました。
これからも忙しい時がありますが、出来るだけ早く更新します。
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