ドタバタやっていくので楽しんでいって下さい!
8月18日 午前7時 椚ヶ丘駅前
「で、こうやって集まってきたわけだけど………」
前原がそう呟きながら、スマホの画面を見ると、もうその時間だった。
「「「何で誘ったアイツ(夕凪)が居ないんだよ!!」」」
クラスメイトや先生方も集まっているにも関わらず、夕凪颯だけが居ないのだった。
「にゅぅ…遅刻とは関心しませんねぇ…」
「そもそも、アイツから詳細の殆ど聞いてねぇぞ……」
「2泊3日空いてるかと金あるかとしか聞いてきてないしね……」
「指示も着替えとか持ってここに7時集合……適当すぎんだろ!!」
皆が口々に言っていると、遂に奴がやって来た。
「おいテメェら!!貴様らの夏はそれで良いのか!?」
俺はベンチの背もたれのとこに立ち皆を見下ろす。噴水をバックに、皆み向かって叫んだ。
「やっと来たよ、主催者が遅れてどうすんだ………」
「てか……何してんの?」
「折角勝ち取ったリゾートを鷹岡のクソ馬鹿チ○カス野郎に滅茶苦茶にされた!」
「言葉が汚ねぇなオイ……」
「質問全部無視だし…」
「あとは訓練、たまに近場で遊ぶ位だろう!!それで!夏をやり切ったと言えるのかぁ!?あぁ!?」
「何で朝からこんなテンション高ぇんだよコイツは……」
「そこで!俺はこれを企画した!椚ヶ丘特別夏期講習リベンジ!!本来あるはずだった遊び放題の夏期講習を!今度こそやろうではないかぁ!!」
「「「お……おおぉ〜〜…?」」」
あれ?反応薄いな。
「いやもっと来いよ!皆揃っての旅行だぞ!?奇跡的に予定合ったんだぞ!?もっと沸けよぉ!」
「いや、日曜の静かな朝だし……」
「てか、事前に知らせてよ……迷惑な」
「いやいや、サプライズって奴だよ!この方が盛り上がると思っtあちょっとペットボトル投げないで後ろ噴水だからあっああっ!!」
反論しようとしたら速水にペットボトル投げられた。やはり遅れて来たのを怒っているらしい。
てか落ちるから!これから旅行行くのにびしょ濡れとかシャレになんないでしょ!?
「もう行こーぜ」
「チケット売り場にいるから夕凪早く来いよー」
「あちょっお前ら置いてくな!コイツをなんとかって何でお前二本目持ってんの!?」
俺が第2撃に戦慄している中、薄情な奴らは気だるげに歩いて行くのだった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ふぅ、乗れた乗れた」
ひと段落ついた俺は、リラックスしながら椅子に座る。電車に揺られる中、殺せんせー以外はリラックスしている感じだ。
「ありがとな殺せんせー。電車とか色々決めてくれて」
「構いません……マッハを使えばこんなの朝飯前……皆さんの楽しい旅行……役に立てたなら嬉しヴォエ!!」
「「「吐くなぁ!」」」
相変わらず弱いんだな……
「で、そろそろどこへ行くか教えてくれるか?」
「あぁ、スマンスマン。大阪だ」
「「「大阪?」」」
「修学旅行で京都には行った。夏期講習で海も行ったし、残ってる遊び場で最高の娯楽と行ったら何だ?」
「……遊園地か?」
杉野の答えに俺は指を鳴らして答える。
「そう!正解!遊園地ならこの企画に相応しいだろ!でも、東京の某耳まで脳が詰まってるネズミがいる遊園地は、近場で何か物足りない」
「言い回しが独特過ぎる……」
「そこで!ユニ○ーサルってわけだ!直属のホテルも取ってあるし、昼から夜まで遊びまくりだぜ!!」
「もう夏期講習のカケラも無いね……」
「良いさ良いさ。どうせ元の奴だって名ばかりの、遊ぶ為のご褒美なんだから。こんな時くらい勉強の事なんか一切忘れて、思いっきり楽しもうぜ!!」
苦笑いで言う茅野にキッパリ言い切る。
「なんか……楽しそうだな」
「うん!いい思い出作れそう!」
今まであまり乗り気じゃなかった皆も、段々とテンションが上がっていく。しかしその中、烏間先生が俺に話しかける。
「しかし……俺も行って良いのか?」
「?何でですか烏間先生?」
「行った事も無いし、実際どうやって楽しんだら良いかも分からん……邪魔になるのではないか?」
「そんな事気にしなくていいんですよ!普段忙しいんだから、こういう時くらいゆっくり楽しんで下さい!ね?ビッチ先生?」
「え?あ…ええ!そうね、楽しみましょう?カラスマ!」
「お前と一緒は余計疲れる気がするんだが……」
「そんな事言わないで、ね?結構楽しいアトラクションとかあるわよ?例えば……」
まくしたてるビッチ先生。すると、渚が耳打ちしてくる。
(ねぇ、ビッチ先生何であんなに乗り気なの?普段だったら"ガキ共と一緒の旅行なんて退屈だわ"くらい言いそうなのに……)
(ああ、それは俺がビッチ先生誘った時に……)
『烏間先生も来るそうだから、この機会に仲を深めてみたら?』
『んなっ!?』
(そう言ったら、事前に調べてデートプランまで作ってきた)
(そう言う事ね……)
一生懸命烏間先生に話しかけるビッチ先生を、苦笑いしながら俺らは見つめていた。
「まぁ、そんなわけで2泊3日、大変だった南の島での事の分、思いっきり楽しもうぜ!!」
「「「いえぇぇい!!」」」
「あ、他の人もいるから静かに」
「「「お、おう……」」」
(さっきまでお前が一番うるさかった癖に……)
一通りはしゃいだ俺は、皆とのこれからの旅行に想いを馳せるのだった。
「なんか、夕凪に振り回されてばっかだな」
騒ぐ夕凪君達を遠目に、千葉君はそう呟く。多分、それはきっと……
「夕凪君は楽しいんだと思うよ、今が。小さい頃に色々あってずっと1人だったから、その分今を人一倍楽しんでる。だから多分、良い事なんだよ」
「……フッ、まるで子供よね」
優しい表情で言う速水さん千葉君も、暖かい眼差しで見ている。2人とも、友達として本当に大切に思ってるんだろうな……
「で、不破ちゃん!どういうプランなの?」
「な、中村さん?プランて何……」
すると隣に座る中村さんは、肩に手を回して私にヒソヒソと耳打ちする。悪どい笑みを浮かべながら……
「何とぼけてるのさ、夕凪との距離縮める良い機会でしょ?何ならgetしちゃいなよ!」
「げ、ゲット……ってしないよ!それにそんなプラン最初から考えて無い!」
「機を伺ってオトすつもりなんでしょ?ビッチ先生秘伝のハニートラップで」
「ふえっ!?な、何言ってるの中村さん!そんな事しないって!」
必死で弁解しようとするも、さらに悪いことに……
「えー何々?面白そうな話?」
もう1人来た……
「おおカルマ、良いとこに」
「カルマ君!?面白い話なんかじゃーー」
「うん分かるよ。中村が不破さんに詰め寄ってたら一つしか無いでしょ?」
バレてるし……
「で」「どうやって」
「「アイツをオトすつもりなのかなぁ?」」
だ、誰か助けて……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ほぉ〜〜!良い部屋だねぇ!」
「夕凪君〜窓からも景色も凄いよ〜」
「おおマジか!」
「ちょっと待て」
中々の部屋にはしゃぐ俺とカルマ。しかし、乗り気じゃない奴が1人のようだ。
「どうしたの、千葉?」
「ほらほら、お前も楽しめって!」
「いや……部屋が良いのも景色が良いのも分かった。だけど……」
千葉は一呼吸置き、言った。
「何で俺がこの2人となんだよ!!」
「えぇ?俺ら仲良いだろぉ?そんな事言うなよぉ〜〜」
「悪どい笑みを浮かべて言うな!お前ら2人が揃ったらロクな事にならない事くらい分かってんだよ!!」
悲痛な声を上げる千葉の肩に、2人で手を置く。
「でももう決まっちゃったしぃ?」
「腹くくれよ。千葉」
「……はぁぁっ……」
ガックリと項垂れる千葉。そんなに嫌なのかよ……
(道理で常識人がどんどんと部屋組んでくと思ったよ。クソッ杉野め、磯貝と渚との部屋とかどんだけ天国なんだよ……)
「さて、お前らはこれからの予定とか決まってんのか?」
「俺は取り敢えず、渚君達と合流してから適当に回るつもり」
「千葉は?」
「特に決まって無いな」
「俺も決まってないし……取り敢えず一緒に回るか」
「……そうだな」
さっきの会話のせいか、一瞬躊躇ったなコイツ……
「じゃあ、下までは一緒に行こうよ。多分そこで渚君達待ってるよ」
「そうだな。行くか」
カルマの提案に軽く返事を返し答える。
その時俺は忘れていた。俺が弄る側ではなく、弄られる側だと。この赤い悪魔とあの金髪の悪魔に支配されていた屈辱を。
気づくべきだった。コイツが後ろにスマホを隠し持っていたのと、中村、不破、速水の2班女子が同じ部屋である事を……