夕凪颯の暗殺教室   作:カゲロー@

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えーと、まずは謝罪を……
元々リクエストがあった通り前原×ひなたペアは書くつもりでしたが……ネタが浮かびませんでした。
そのため今回は、カルマ×奥田ペア、千葉×速水ペア、杉野×神崎ペアの三本立てとなりました。リクエストして下さった紅音葵さん、申し訳ありませんでしたm(_ _)m
では本編へどうぞ。


第53話 「それぞれの時間」

 

「……奥田さん」

 

「はい!」

 

「楽しんでる所を悪いんだけどさ……」

 

「構いませんよ!何でしょう?」

 

こう無邪気に聞かれると困るのだが、どうしても俺は言いたかった。

 

「何で俺、こんな羞恥プレイさせられてんの?」

 

俺らは今、ス○ーピーの背中に乗って飛んでいた。うん、飛んでいた。

何故だろう、てっきり絶叫系とか乗るのかと思ってたんだけど……

 

「羞恥……プレイ?」

 

「ああごめん、奥田さんは知らないし知らなくて良かったね。純粋のままでいてね。

あのね、何でこんな恥ずかしい思いさせられてんのって事だよ」

 

「恥ずかしいですか?」

 

「そりゃね、周り見てみてよ」

 

このエリアは基本子供向けだ。そのため、周りには家族や小さい子供達しかいなかった。和気藹々とする中、1組だけ中学生の男女がいるのは、なんとも目立っていた。

すると、ス○ーピーが段々と降下し始めた。そしてアトラクションが終わり、俺らはス○ーピーから降りた。

 

「そうですね、すみません……私、こういうの初めてでして、ついはしゃぎ過ぎました……」

 

「奥田さん、遊園地とか行った事無かったの?」

 

「はい、だからつい……すみませんでした。カルマ君は子供っぽいの、嫌でしたね……」

 

目に見えて落ち込んでしまう奥田さん。そういうつもりで言ったわけじゃないんだけどなぁ……

無器用な彼女に付き合ってやるのは色々と気を使ったり大変そうだけど……

……仕方ない。今日は奥田さんが楽しめるように頑張ってみるか。

 

「俺は構わないよ」

 

「え?」

 

「子供っぽいのでも。最初は恥ずかったけど、別に嫌いじゃないし」

 

そう言い、奥田さんの顔を覗き込んだ。

 

「俺ら友達でしょ?奥田さんと一緒なら、どこでも多分楽しいよ」

 

柄でもなく気を使った一言。それでも、彼女はパァっと顔を明るくする。

 

「それじゃあ、次行きましょう!」

 

はしゃぐ彼女に思わず苦笑しながらも俺はついて行く。あんなに内気だったのに、今ではすっかり積極的になっている。それが少しだけど、嬉しく思えてくる。

そんな事を思い、小さな背中を見ながら歩いていると、その背中が歩みを止めた。どうやら次のアトラクションに着いたようだ。

 

「次は何………か…な?」

 

目の前にあったのは、コーヒーカップ……なのだが、だいぶファンシーなデザインだ。それに殆どピンク色。

 

「じゃあ、次はこれにーー」

 

「奥田さんやっぱちょっと待って!」

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「「はぁ〜……」」

 

アトラクションから出て来た俺らは、大きくため息を吐いた。理由は先ほど挑戦したアトラクション。カルマに勧められて来た奴だ。

 

「まさかあそこで不意打ちを食らうとは……」

 

「良いところまで行ったんだけどね……」

 

正直、日々訓練をしている俺達なら行けるかもと自信を持っていた。だが、想像したよりもずっと難しかった。流石生存率0.003%だ。

 

「どうする?この後」

 

「ん〜……他の奴と合流してみる?」

 

「まぁそうね。二人でいてもする事無いし」

 

速水もそう言うので、俺は先程まで一緒にいたメンバーにメールを送った。

 

千葉龍之介:さっきのアトラクション終わったんだが、合流しないか?

 

そう打ち、送信する。するとそんなに立たないうちに返ってくる。来たのだが……

 

ハヤテ:馬鹿じゃねぇの?

 

karuma:千葉……馬鹿なの?

 

RIO:千葉君てさ、もしかして馬鹿?

 

「えぇぇ……」

 

3人に馬鹿と言われてしまった。変な事言ったか?

すると、不破からも返信が来た。不破なら、あのボンクラ共と違ってしっかりした答えが……

 

不破優月:千葉君、それはどうなの……

 

「えぇぇ…?」

 

4人全員に言われたってことは、俺がおかしいのか?

 

「なぁ、皆こんな返信なんだが……」

 

「……何で?」←この子も分かってない

 

「……まぁこんな感じだし、2人で回るか」

 

「そうね」

 

にしてもどうしたものか。2人で出掛ける事はあるが、エアガンを見に行ったりとかが殆どで、一回ただ遊びに行った時も、2人とも口数が少なくて微妙な雰囲気だった。

さて、どうしたものか……

 

「……あ」

 

一つ思い出した。修学旅行の時のあの反応、きっと楽しめるんじゃないだろうか。

けど、きっとこんな事を考える自分はSの気質があるのだろう。そんな事を考えながら、こう切り出した。

 

「速水、特に行くとこ無いならさ……ここ、行ってみないか?」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「ねぇ、千葉?」

 

一つ前にいたグループが建物に入っていき、遂に次は俺達の番となった時、速水が不安そうに聞いてきた。

 

「ん?」

 

「本当に……ここ入るの?」

 

「おう。折角並んだんだから入ろうぜ」

 

「そ……そうね…」

 

若干顔を引きつらせて答える速水。

ここはお化け屋敷、和風ホラーになっていて、実際に供養された人形を沢山使っているのだとか。

しばらく待つと遂に俺達の番となる。受付では札を渡される。これを奥の棺桶に入れればいいのだそうだ。

建物の中に入っていく。まず雰囲気がかなりゾクゾクした。道中の仕掛けもかなり驚き、声を上げてしまう時もあるが……

 

「きゃあっ!」

 

それ以上に速水が声を上げるのだった。

 

「大丈夫か?速水」

 

「だ、大丈夫だから…」

 

そう言いつつも、表情は今にも泣きそうだった。

その後も幾つか仕掛けがあり、その都度悲鳴を上げながら進んでいく。そして、最後の部屋に辿りついた。

 

「よし、ここにお札をと…」

 

呟きながら札を置いた瞬間だった。

 

ガタンッッ!!

 

「きゃああああっ!!?」「うわああっ!」

 

人形が飛び出してきたのだった。2人で思わず叫んでしまった。

 

「うぉ……驚いたな、速水……」

 

そう喋りかけたが、返事が無い。

 

「………速水?」

 

振り向くと、速水が蹲っていた。

 

「だ、大丈夫か?」

 

「………………………ッ!」

 

震え過ぎて返事が返せないでいた。

正直、ここまでになるとは思っていなかった。少し悪い事をしたかな……

俺は速水の背中をさすりながら、耳元で言った。

 

「立てるか?」

 

「………無理ッ……」

 

「そうか、じゃあ俺に捕まって行こう。次の人達も来るだろうしな」

 

「…………ぅん…」

 

か細い声でそう答えていた。

速水の肩をとり立ち上がらせてやる。その後、ゴールまで向かうまで速水は俺の腕をガシッと掴み、顔を埋めていた。少しドキドキしたが、顔には出さずに進んだ。

幸いゴールまでは近く、すぐに外の光が見えた。建物から出て、すぐそこにあったベンチまで行き、速水を座らせてやる。

 

「ごめん、ここまで苦手だとは思わなくてさ」

 

「……ぃい、それより……ありがと」

 

そう言って、顔を上げた速水に目を奪われた。

涙でくしゃくしゃになった顔には、いつもの凜とした感じは無い。

でも、今までに無いほど弱々しく、守りたいと思えるものだった。

今まで、速水の事を特別に思った事は無かった。確かに美人だとは思ったが、それだけだ。

でも、俺の中でそれが変わった。怖い思いをさせてしまった事を申し訳ないと思いながらも、速水の"女の子"が見れた事が、ラッキーだと思ってしまったのだ。

 

「………千葉?」

 

「え?ああいや……何でもない…///」

 

慌てて赤面した顔を隠し誤魔化す。とてもじゃないが言えないけど……

 

やば……意識した事無かったけど……俺……

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「じゃ、じゃあ神崎さん、行きたいところってある?」

 

思いがけず2人きりになり、現在進行形で動揺しております。杉野です。

てか、マジでラッキー!偶然の産物とはいえありがとう夕凪!

 

「うーん……それじゃあ一つ、行ってみたい所があるんだけど……」

 

「良いよ!どこでも行こう!」

 

「それじゃあーー」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

列に並んで1時間弱、もうすぐ俺らの番だ。先に乗った人達の悲鳴が響き渡り、それが待っている人達をゾクゾクさせる。

 

「でも、意外だね。ジェットコースター乗ってみたいなんて」

 

「うん…私、あまり遊園地とか来たこと無くて、ジェットコースターに乗った事って無いんだよね…」

 

「そうなんだ」

 

てことは?俺と2人が初めてって事か?何それ凄ぇ嬉しい!!

 

「杉野君は来たりするの?遊園地」

 

「え?まぁ、昔は家族と行ったりしたし、友達とも行ったりしてるよ」

 

「そうなんだ……なんか、羨ましいな」

 

そう言えば、神崎さんの家は結構厳しいって聞いたな。きっと、遊園地に連れて行ってもらったりも無かったんだろうな……

 

「神崎さん……折角の機会だしさ、そういう嫌な事全部忘れて思いっきり楽しもうよ!一生の思い出になるくらいさ」

 

まぁ、俺と2人だけだと役不足かもだけど……

 

「……うん、そうだね!」

 

少し考える風にした神崎さんは、俺の方を向いてそう言った。憂鬱な感じはなく、とても笑顔だったので安心した。

するとようやく俺達の番となる。荷物を置き、案内されて乗り込む。

 

「神崎さん!もし怖かったらいつでも頼ってよ!」

 

「うん、ありがとう。杉野君」

 

良いとこ見せなきゃ、絶好の機会なんだから。も、もしかしたら怖くて抱き付いてくるかも……いやいや、そんな事無いだろうし大体座席に完全に固定されてるし………でも手くらいなら……

俺がそんな妄想をしている間に、アトラクションが始まる。

すると………視界が急に下を向いた。

俺が下を向いた訳では無い。座席ごと下に向いたのだ。

え?こんなの聞いてない……

他の席からも軽く悲鳴が上がる。しかし、それに構わずコースターは動き始めた。どんどんと上に上がっていく。

 

ドナドナド〜ナ〜ド〜ナ〜♪

杉野をの〜せ〜て〜♪

 

俺の脳内にはそんな不穏な曲が再生されていた。

 

「杉野君」

 

「な、何?神崎さん……」

 

「楽しみだね」

 

そう笑顔で言う神崎さん。そしてその時思った。

あ、この子強ぇーわ。と。

先程考えていたラッキーハプニングが儚く霧散したその時、コースターは落下し始めた。

 

「うおおぉおおぉおっ!!」

 

じ、Gがかかるぅ!

一瞬隣を見ると、神崎さんはいつもの微笑みを崩さずに楽しんでいるようだった。やっぱ有鬼子様ハンパねぇ!

しかし、自分もこの状態に慣れてきたようで、段々と楽しくなってきた。本当に空を飛んでる感じがした。

 

「いやっほうぅぅ!!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「いやぁ、楽しかったね」

 

アトラクションを終え、スタッフの人に案内される。隣で頷く神崎さんは、やはり終始神崎スマイルを崩さなかった。ほんと凄いっすわ……

ふと、写真売り場の方に目が行った。

 

「あ、ちょっと待って!」

 

そう言って駆け寄り、写真を見る。2人とも笑顔で写っていた。

……最初の思い出だしな。

そう思考しながら、少々値が張るそれを購入した。そして、神崎さんの元に駆け寄る。

 

「はい、これ」

 

「え?これって……」

 

「写真だよ。乗ってる時のを取ってくれてあるんだ」

 

「でも、高かったんじゃない?プレゼントしてもらうのは悪いよ…」

 

「良いって良いって。喜んでほしくてやってるわけだし。それに……初めての体験なんだから、思い出に残したいじゃん?」

 

その初めてに俺がいるってのも嬉しいし。

神崎さんは少し戸惑いながらも、写真を受け取った。

 

「ありがとう、杉野君。大切にするね」

 

微笑みながら、そう言った。

いつも大人びた雰囲気の神崎さんだけど、垣間見えた嬉しそうな笑顔はとても可愛くて、

これまで以上に神崎さんを好きになってしまう、そう思った。

 

「そ、それなら良かった!じゃあ次どこ行く!?」

 

赤面を隠すように、俺はそう切り出すのだった。

 




思いがけず千速が鈍感キャラになってしまいました。
お互いに頼れるパートナーという意識が強いのでこうなってしまったという認識でお願いします。
神崎さんは公式でも、烏間先生に勝るかもと言われるほどの鈍感ぶりですからね……杉野も大変な子を好きになったものです。
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