夕凪颯の暗殺教室   作:カゲロー@

63 / 69
特別夏期講習リベンジ編、これで終了です。
……どうしてこんなラストになったんだろう。


第56話 「酔いの時間」

「颯…………キスして……」

 

「ち、ちょっと、優月サン?」

 

……どうしてこうなった。

今現在、俺は優月に押し倒されている。

あのエロ系が苦手でラノベのシチュを話すだけでも赤面している優月が、扇情的な表情で俺に迫ってくるのだ。正直、理性がヤバいんだが……

 

………どうしてこうなった…………

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

およそ半日前……

 

2日目は、クラス全員で回ることにした。早朝にホテルを出て急いで向かい、一番に並ぶことが出来た。

烏間先生やビッチ先生、モバイル律を交えた全員で、色々なアトラクションに乗った。皆ではしゃぎ回り、殺せんせーは沢山その光景を撮ってくれていた。

そして、日が赤く染まり始めた頃だろう。

 

「疲れたぁ〜……」

 

「一生分満喫した気がするぜ……」

 

倉橋の言葉に、岡島もそう呟く。ベンチで休憩中なのだが、もう既に皆疲れ切っているようだった。

 

「今日はここで終わりにするか」

 

「「「さんせ〜……」」」

 

「あ、それじゃあさ!最後に皆で写真撮ろうよ!」

 

「お、いーね」「撮ろう撮ろう!」

 

茅野の提案に皆が賛成する。

俺達はエントランスの方に向かい、デカい地球儀の前に並んだ。

 

「ヌルフフフ……皆さん行きますよ〜!

………1+1は!?」

 

「「「「「「にっ!!」」」」」」

 

こうして、俺らのユニバ旅行は幕を閉じた。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「明日のチェックアウトには出るから、それまでに荷物とか用意しとけよ〜」

 

「「「はーい」」」

 

ホテルのエントランスに戻り、そう呼びかけて解散する。

さぁて、思ったより時間が余るな……どうしたものか……

 

「颯君!」

 

「ん?どーした優月?」

 

「この後さ、一緒に夕御飯食べない?ここ、レストランとかあるし!」

 

「そーだな……うん、じゃあそうするか!」

 

そう優月と会話を交わす。それを、遠目から見る人間が3人……

 

「チッ、淡白に徹してるね……」

 

「ちゃっかり名前呼びだしね……」

 

「初々しい感じが見れなくてつまんないですねぇ………」

 

おい、テメェがそっち側は教師としてダメだろゴシップタコ。

フン、俺はお前らに弄られるなんて御免だからな。意地でもこのスタイルを貫くぜ!

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

19:00

 

携帯を弄りながら、レストランがある2Fのフロアで待つ。すると、待ち合わせ丁度にエレベーターが開いた。

 

「ごめん颯君、待った?」

 

「ううん、全然」

 

男はどんだけ待っても待ってないって言わないといけないんだぜ!?非リア共は知ってたか!?

………はい、調子乗りました。やっぱ初めての経験に浮かれてるわけですよ。

 

「それじゃ入るか」

 

「うん!」

 

そう言葉を交わし、店の中に入る。店員さんに案内されてテーブルに着くと、一息ついたように腰を沈めた。

 

「はぁっ……疲れたぁ〜…っ」

 

「目一杯楽しんだね〜……」

 

疲弊したように二人で言う。本当に遊んではしゃぎ回ったなぁ。今日はぐっすり眠れそうだ。

 

「それに、今の所恋人ネタで弄られる事も無いしな」

 

園内でも、弄るネタを狙ってくる奴らをことごとく回避していた。奴らも時期に諦めるだろう。

 

「でもさ……二人きりの時はそういうの気にしなくて、良いよね?」

 

「あ、ああ……」

 

優月の言葉で、途端に恋人同士だという事を意識してしまった。

そう言えば、恋人って何をすれば良いんだ……?

食べさせ合い?……馬鹿か。そんなどこぞのバカップルみたいな事望んで無い。服装とかの容姿を褒めたりとか?……そんなん始めにいう事だろ!?夕食のタイミングで言うとか頭おかしいだろ!

俺がウンウンと頭を悩ませていると、優月はメニュー表を手に取った。

 

「とりあえずなんか頼もっか?」

 

「え?あ、ああ!そうだな!そうだ……」

 

変な風に意識してしまっているせいで、受け答えが変になってしまった。

……馬鹿か俺は。今まで通り、普通に会話すれば良いんだ。今日楽しかったねーとか、また行きたいねーとか。

 

ウエイトレスさんを呼び、適当に選んだディナーセットとアイスティーを頼む。優月も同じセット、ドリンクは洒落た感じの名前のジュースを頼んでいた。

注文が終わり、再び沈黙が訪れる。お互いに変に意識しているせいで、切り出すタイミングに迷っている。

き……気まずい……

 

「あー……えーと……その……」

 

「う、うん……」

 

なんだこの見合いしたての男女みたいな空気は……

またしばらくその状態が続き、ウエイトレスさんが来てしまう。運ばれたアイスティーを少し飲み、俺はハァと息を吐いた。そして、口を開く。

 

「……やめるか。こんなの性に合わない」

 

「やめる……って何を?」

 

「多分、俺らには恋人らしい事とか似合わないんだよ。それよりかさ、今までみたいに漫画の事で盛り上がったりしてさ、一緒に好きな事してる方が楽しいと思う」

 

「……まあ、確かにその方が楽しいし、気が楽かも」

 

「だろ?それでさ、たまに出かけたりして、恋人らしい事とかやってみるとかさ………そんな関係で、やって行かないか?」

 

「……うん、私達にはそれが似合ってると思うよ!」

 

別にドラマに出てくるようなテンプレ的な事をしなくても良い。てか、してるカップルの方が少ないだろう。最初は初めてで戸惑ったけど、別に大した事をする必要はないんだ。

そう考えると、話題なんてものはポンポン出てきた。

 

「そう言えばさ、ジャンプの新連載あったろ?ちょっと邪道を攻めたバトルもののやつ!それがさーーー」

 

「ーーーほんとに!?でもあの展開は絶対主人公覚醒するよね〜。でもさ、ライバルキャラがーー」

 

いつもの様に漫画の話をする。さっきまでの気まずさは嘘の様に、俺達は飲み物を啜りながら談笑した。

 

「でさ、きっとあの師匠がーー」

 

「あぁ〜やっぱその展開か〜……」

 

「ーーだろ?まぁきっと、アイツはーー」

 

「うん……確かに………」

 

「でもさ、俺は絶対主人公がそこで来ると思うんだ。だってあの作者だぜ?そう思うだろ?………優月?」

 

そこで、優月がだんだんと静かになっていく事に気付いた。

 

「どうした?急に静かになって……」

 

「…………………颯君」

 

「……も、もしかして体調崩したとか?だったら部屋に戻らないとーー」

 

「抱き付いて……良いぃ?」

 

「そうかやっぱ抱き付い………はぁ!?」

 

な、何を言っているのだこの子は……

そう言って頭を上げた彼女の顔は、真っ赤だった。一瞬疲れで風邪でも引いたかと思ったが……何かおかしい……

 

「だからぁ……ギュッてしていい?」

 

「待て待て、どうしてこんなに………まさか!?」

 

俺はある考えに至り、優月が手に取ったドリンクを奪い取った。残りあと少しまで減ったそれの匂いを嗅ぐ。

 

「……やっぱこれ、アルコール入ってるだろ!?」

 

「アルコールぅ?知らないよぉ?」

 

えへへへと笑いながら机に突っ伏す優月。やっぱ酔ってやがる……

俺は店員を呼び、注文を確認した。すると、店員が間違えてアルコール入りの物を持って来てしまっていた事が分かった。

 

「申し訳ありませんでした!!今すぐ対応致しますので!!」

 

「いや、いいのでもう会計します。彼女を部屋に連れて行かないといけないので」

 

取り敢えず、こんな状態のまま外に置いておくわけにはいかない。どこかの部屋で休ませなれけば……

優月の部屋は確か……中村と速水と相部屋か……

 

『あれあれぇ?夕凪君は不破ちゃんを酔わせて何をしようってのかなぁ〜?』

 

『……最低…………』

 

ああダメだダメだ!アイツらにみつかるわけにはいかねぇ!何より、中村にバレたら完璧に弄られるだろが!

となると俺の部屋か……いやいや、こんな状態の女の子を男の部屋に置くのはもっとマズい!それに俺の部屋にはあの赤髪がいやがる!あのタコに知らせるのも同じだ!

話が分かりそうで、この事を黙っててくれそうで、頼りになるのは………

 

「……お母さぁん!!」

 

原さんだ!絶対的に信用できる!

俺はスマホをおもむろに取り出し、電話帳から原さんにかける。

 

「もしもし原さん!?優月が大変でさ、ちょっと頼まれてくれないか?ーー」

 

『ごめんね夕凪君!今岡島君が大変で、三村君達と抑えてるとこ!ちょっと手が離せないから!』プツッ

 

「………………………岡島ァ!!」

 

何?岡島が大変て何?遂に性欲が限界突破しちゃったの!?何にしてもくたばれ!!

 

「岡島君はどうでもいぃからぁ〜……颯君〜……」

 

「ああもう!他の奴は……」

 

他に信用できるのは……4班の女子達なら!

奥田さんは対処しきれなさそうだから、神崎さんか茅野か……

まずは神崎さんにと、俺は再びスマホを開く。

 

「もしもし神崎さん!?優月が大変な事になって、ちょっと助けてくれないか?ーー」

 

『ごめんね夕凪君。杉野君に誘われて近くのゲーセンに来ててさ、手が離せないんだ』

 

「そ、そうか、ごめん……」プツッ

 

そう言われ通話を切る。かろうじて聞こえたゲーム音がストファイだったのだが………神崎さんは片手で操作してたのか?いくら杉野が初心者だからって……やっぱ有鬼子様ハンパねぇな……

 

「……って、んな事よりも今はこっちだ!」

 

俺は続けて茅野にかける事にした。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

優月を背負い、店を出た。代金は迷惑をかけたからとタダにしてくれた。

茅野は部屋にいたらしく、事情を簡単に話すと快く引き受けてくれた。一人で何をしていたかは知らないが、疲れてゆっくりしていたのだろう。

エレベーターは使わず、階段を使う事にした。扉が開いた時に出くわすかもしれないからな。茅野達の部屋は2階分上なだけなので、優月を背負いながらでも問題無いだろう。

 

「えへへへ……颯君の背中……」

 

……そんな押し付けないで頂けませんでしょうか?

あの感触を衣服越しに感じてしまい、急に顔が赤くなる。未発達ながら主張してくるそれに、理性を抑えるので必死だった。

階段を上がり、4階に辿り着く。曲がり角を曲がると……

 

「ん?」

 

(て、寺坂!!?)

 

アレに気を取られていた所為で、気づかないままばったりと出くわしてしまった。

 

「おぅ、夕凪かーー」

 

「目潰し!!」グサッ!!

 

「ひぎゃあぁあああ!!目が!目がァァ!!」

 

すまんな寺坂、バレるわけにはいかないんだ!出会ってから0.5秒の目潰しだ。きっと背負ってる優月までは認識してないだろ。

倒れて悶える寺坂の脇を通り、急いで茅野の部屋に向かった。

 

部屋の前に立ち、ノックをする。

 

「茅野?いるか?」ギャァァァ!

 

すると、ドアが開く。

 

「うん。入って」 メガァァァァ!

 

「すまんな」 テラサカ!? ドウシタンダ!?

 

そう言葉を交わし、部屋に入れてもらう。優月をベットに寝かしてやり、やっと一息ついたのだった。

 

「茅野さん〜?颯君〜、浮気はダメだよぅ〜〜」

 

何でそんなメンドくさいキャラが入っちゃってんだよ……

 

「相当酔ってるね……」

 

「元々弱い方なんだろ。それを気づかずに殆ど一杯分飲んだからな」

 

「大変だったね……何か飲み物買って来てあげようか?」

 

「あぁ、なら俺が……」

 

「良いの良いの。それより夕凪君は、不破さんの事見ててあげて!彼氏でしょ!」

 

「お、おう……じゃあ頼んだ」

 

俺は財布の中から小銭を取り出し、茅野に渡す。

 

「じゃあ、不破さんの事見ていてあげてね」

 

「おう」

 

そう言って、茅野は部屋を出て行った。

 

「ふぅ……」

 

部屋が静かになる。さっきまで何かしら言っていた優月も、少し落ち着いたようだ。目を閉じている。

 

「全く……酒に酔ってキャラ変わるとか、どこのアニメの世界だよ…」

 

「……んっ……」

 

笑いながらそう呟き、優月の頭を撫でてやる。

すると……

 

ガバッ!!

 

「おわっ!!」

 

突然その手を引かれ、俺の身体はベットの方に倒れてしまう。そして、彼女に覆い被さられ、両手を抑えられてしまった。

 

「ゆ、優月!?どうしたんだーー」

 

「颯……私のこと……好き?」

 

「うえっ!?」

 

普段はしない呼び捨てと、ど直球な質問に戸惑ってしまう。顔を赤らめた優月は、段々と俺に詰め寄ってくるのだった。

 

「そ、そりゃ……好きに決まってんだろ!」

 

「じゃあ……颯………」

 

………キスして

 

「!!?!?」

 

こうして、今に至るのだった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

この状況を分析して、思う事がある。

……どこの萌えアニメの展開だよ!出来過ぎだろ!

そんな事を考えてる間も、優月は段々と迫ってくる。一種の妖艶さを纏った表情で。活発な彼女が普段なら絶対見せないような顔だ。恋人同士なら、キスくらいなら……

………何を揺れてんだ夕凪颯!酒に酔った彼女とイチャコラなんざ、倫理的にダメだろが!

そんな感じで、頭の中が無茶苦茶になっている中、優月が口を開いたのだった。

 

「颯……ダメ…かな?」

 

プツン

 

その瞬間、俺の中でそんな音が響いたのだった。ヘタレな童貞の理性が、儚く崩壊した音なのだろう。

 

ゆっくりと背中に手を伸ばした、その瞬間だったーー

 

 

 

 

 

 

「茅野ちゃーん!!聞いて聞いて、奥田ちゃん……が………」

 

 

そんな声を上げながら、入って来た人物が。それは、どう考えても中村の声で……

ギギギッとブリキの様に首を回し、入り口の方を見た。入って来たのは中村、速水、奥田だった。

俺は、優月に押し倒された状態で、背中に手を回している。そんな状態を見られたのだ。

奥田ははわわと顔を赤らめていた。そして……この二人は……

 

「ほっほぅ〜……不純異性交遊の現場、はっけーん」

 

「………さいっ底……」

 

 

翌日、我に返って事の顛末を聞かされ、恥ずかしさで悶える優月と共に、俺はクラスの奴らに散々弄られた。

こうして、俺は結局弄られる道を進む事が決定し、旅行は幕を閉じるのだった。

 

……あんまりだぁ………

 

 

 




何でこんなエロ展開になったんだろう…
スミマセン。不破さんの酔うとああなる感じは完全にご都合展開です。
次回、少し会話と夏祭りをやって終わりにします。新学期以降の展開上、入れたい会話があるので。
そしてその次から新学期になります。これからもよろしくお願い致します!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。