これ以降はテスト明け(来週金曜)からの更新になるのではと思います。
シルヴィアの見た目についてですが、
見た目イメージは白猫プロジェクトのティナ(このキャラ欲しくて出なかったからここに現れたのでしょうか?)を緑目にした感じです。ソシャゲからですが、これが一番近いです。
雰囲気は妖狐×僕ssのカルタを意識しました。
『颯ーーよく聞くのよーー』
それは、昔の話。ありふれた記憶で、沢山の記憶の中に埋もれていた記憶の片鱗。
『もし大変な事に巻き込まれたら、この写真を見なさい。私達3人で撮った、ママのお気に入りよ。貴方ならきっと、正しい事が出来るから』
当時は気づかなかったけど、その時の母の顔は、何かを悟っていた気がする。
奥にいる父さんは、電話で話していた。警視総監らしく、落ち着いた声音で。
『私達は、ずっと見てる。貴方の事を、ずっと、ずっと、見守ってるから……
だから颯、貴方も頑張って!絶対に、諦めないで!』
『風織、そろそろ行こう』
『…………ん、分かった』
すると、いつもの笑みで言った。優しくて、暖かい、その笑顔で。
『じゃあ颯、行ってきます』
いつも通り、頭をわしゃわしゃしてくる。少しくすぐったくて、嬉しい。
幼稚園は休みで、今日は留守番。近所に預けるつもりだったらしいけど、俺は両親を家で待っていたかった。
『ーー…………、……ー』
出る前に両親は何か言ったが、聞こえなかった。
だから、玄関で、元気いっぱいに言う。
『行ってらっしゃい!父さん!母さん!』
……俺の両親、
「…………………夢……か?」
起き上がってから、第一声がそれだった。現実と夢の区別が付かない感覚……遠い昔の記憶がフラッシュバックして、俺はその中に囚われていた。
ピロリン♪
すると、携帯が鳴る。その音で俺は完璧に覚醒する。
「…ッ!やべっ!!」
慌てて携帯の画面を見た。アラームはとうの昔に鳴っており、時間は今すぐ出ても間に合うかどうかだった。
「ハハッ、久しぶりの遅刻だな……」
俺は布団から出ると、急いで支度をし始める。朝食と昼飯はコンビニで買っていく事にしよう。
クローゼットを開きワイシャツを掴む。鏡に向かって着替えを済ませ、クローゼットを閉じようとする。
すると、置いてあるダンボールが目に入った。
急がないとと思いながらもどうしても気になってしまい、俺はダンボールを開く。しまった場所にそのままあったそれを、取り出した。
「……父さん、母さん……」
愛おしそうにしばらく見つめていただろう。俺はハッと、自分が遅刻寸前である事を思い出した。
「ヤバイヤバイ、早くしねぇと…」
俺は机の上の勉強道具をカバンに放り込み、それを掴む。
手に持つ写真をしまおうとする。しかし少し考えた後、俺はそれを棚に飾った。
「じゃ、行ってきます」
ずっと、誰もいない部屋に向かって言っていた言葉。久しぶりに、誰かに向けて言った気がする。
俺は笑顔で写る両親と幼き頃の俺を一瞥し、家を出たのだった。
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ガララッ!
「にゅやっ!?夕凪君!遅いですよ!」
「ごめんごめん、ちょっと寝坊しちゃって…」
「またですか……まぁ良いでしょう。夕凪君も席に着いて下さい」
俺はいつもの席に着き、カバンを横に掛けた。クラスメイト達は俺の寝坊癖は1学期で知っているので、別段騒ぎもしない。
時計を見ると、HRが始まってから1分程だ。この時間なら上出来だろ。いやぁ、山を突っ切ってきた甲斐があった。
「さて……色々あったおかげで紹介も遅れましたが、これから皆さんと一緒に暗殺していきます!」
「シルヴィア・グレイフォードです……よろしく…」
編入時のローブではなく、ちゃんとした椚ヶ丘の制服を身にまとい、シルヴィア
は前に立っていた。まだ夏の暑さが抜けきらないのに長袖を着ていたのは疑問に思ったが。
「殺せんせー、ちょっと良い?幾つか聞きたいんだけど……」
すると前原がそう言って手を挙げる。
「良いでしょう。何ですか?」
「じゃあ1つ目………そもそもこの子誰だ!?」
前原の問いに、は?と一瞬思うが、すぐに合点がいった。そういえばここの人の半数がシルヴィアとは初対面だったな……
「そういえば、君達には伝えていませんでしたねぇ……」
「ひたすら置いてけぼりだったよ!そもそもどこで知り合ったんだ!?」
前原の言葉にうんうん、と頷く杉野や岡島。
はぁ、とため息をついて、俺は立ち上がった。
「あの島で会った暗殺者だよ。それも、殺せんせー暗殺じゃなくて夕凪颯捕縛の為のな」
「「「ええぇ!??」」」
事情を知らない人達から驚きの声が上がる。そんな中、俺は説明すべく前に出た。
何やら、シルヴィアの元"マスター"に狙われている事。自分自身も分からない情報を、自分が握っている事。そして、シルヴィアは俺がその"マスター"に捕まる前に、殺すつもりだった事。
俺から話しておきたかった。他でもない俺自身の事だから。
「まぁ、そんなわけでシルヴィアは晴れて殺し屋を辞め、普通の生活を送る事になった。まぁ、この教室に来たのは予想外だったが………」
そう言って隣のシルヴィアを見やると、どこから出したのかペロペロキャンディを舐めていた。うそん、今でもそんなの売ってんの?
「へぇ、じゃあシルヴィアちゃんて強いのか?」
「まぁそうだな。ナイフや格闘は一級品だぜ」
「意外……こんな可愛い女の子なのに!」
倉橋が驚いたように言う。確かに、あのスピードとパワーは見た目からは想像しにくいな……
すると、殺せんせーがシルヴィアの肩を叩きながら言った。
「せっかくですから、シルヴィアさんの暗殺を披露してもらいましょう。彼女がどれだけ優れているのか、皆さんも知っていたほうが良いでしょうから」
「ん……わかった……」
殺せんせーの提案に二つ返事で答えるシルヴィア。
「では、早速外に出て暗殺演習をーー」
殺せんせーがそう言いかけた時だった。
シルヴィアが手に持つキャンディを上に投げたのだ。
全員がそれに注目した、その刹那ーー
「……殺す」
ゾクッ!!
「「「「「ッ!!?」」」」」
その言霊は教室を一瞬凍りつかせ…
すぐさまシルヴィアは攻撃に移った。袖からナイフを出して掴み、殺せんせーに対して突きの連撃を放った。
「にゅやぁぁああっ!!?」
そして、シルヴィアの一撃が顔に迫る。すかさず殺せんせーは触手で手を抑えようとする。
……しかし、そこにはナイフしか無かった。
ナイフを置くようにして手を離し一旦体を屈めたシルヴィアは、すかさず左手の袖からもう一本取り出す。流れるようにして体を動かし、二本目の刃で胴体に斬りかかった。
パアァン!!
勢いよく向かった刃は……殺せんせーに腕を触手で掴まれ、止められたのだった。
宙を舞うペロペロキャンディが重力の運動に負け、落下してくる。それをシルヴィアは空いた左手でキャッチした。
教室の皆は唖然としていた。数秒もしなかったこの戦いを、一体何人が理解できただろうか。少なくとも俺は、これだけ間近じゃなかったら理解できていなかった。
彼女を知らなかった人は勿論、彼女を知っていた人も、改めて凄さを認識した。
キャンディを舐めながら、シルヴィアは言った。
「よろしくお願いします……殺せんせー……」
殺せない先生を前に、微かに笑みを浮かべるシルヴィア。ナイフを下ろす彼女に、殺せんせーは言った。
「ヌルフフフ……また面白くなりそうですねぇ……」
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1時間目
「さて………今日は抜き打ちのテストをしたいと思います!」
「「「ええぇ!??」」」
突然のテストに不満の声が上がる。対殺せんせー弾が飛び交う中、殺せんせーはヌルフフフと笑いながら言った。
「皆さん、夏休み明けですからねぇ〜。遊んでいる間に学の刃が鈍ってないか、ここではっきりさせましょう!」
それに、と殺せんせーは続けた。
「シルヴィアさんの学力も知りたいですから。同じテストをして、皆さんの素の点数と比較して、どれだけ取れるかやってみましょう」
確かに、勉強面ではどうなんだろう。
そう思いシルヴィアを見やる。すると、彼女が話しかけてきたのだった。
「ハヤテ……書く物、持ってない……?」
「ん?筆箱忘れたのか?」
俺は筆箱から、シャーペン一本と予備の消しゴムを取り出して渡してやる。シルヴィアは受け取ったそれを、何故か困り顔で見た。
「どうした?」
「……ハヤテ……鉛筆無い?」
「鉛筆の方が良いのか?」
妙なこだわりだと思いながら、俺は筆箱の中から一本だけあった鉛筆を取り出して渡す。先程と違い嬉しそうにしていた。
そんなやり取りをしているうちにテストが配られる。最初は数学、三角関数はやり方を大体抑えてあるから問題無い。
コロコロ……
スラスラと解いていく。前まで数学は苦手で見たくも無かったのに、変わったなと自分でも思う。
コロコロ……
……よし、次の問題だ。ええと、これは……
コロコロ……
……なるべく信じたくなかった。でも、この音はやはりそうだ。
シルヴィアが鉛筆を欲しがった理由、使い勝手の問題じゃない。出来ない奴の奥の手だ。
俺は横をチラリと向いた。
コロコロ……
「……よし、4」
なぁにやってんだよぉぉ!!?
高校レベルの数学で鉛筆コロコロとか勇者かよ!ここの問題じゃ絶対に整数出ねぇよ!
コロコロ……
「……よし、√3/2」
うえぇぇえ!?なんで鉛筆コロコロでルートとか出んの!?おかしいよね!?
その仕組みがどうしても気になったが、今はテスト中だ。集中集中……
よし、次は証明だ。ええと、これは……
コロコロ……
「………よし、y=5x² +6x+2」
「そんなんコロコロで出るわけねぇだろ!!?」
思わず叫んでしまう。テスト中なのに。
「夕凪君……カンニングで0点にしますよ?」
「うぇっ!?いや、あの……スンマセン……」
そう言われて座る。くそう、おかしいだろ……
コロコロ……
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3時間目
マッハで採点を終えた殺せんせー。いつもと違ってテストが同じなため、返されるのも早かった。
気になるのは自分のよりシルヴィアのだ。というより、2時間目の授業でもうその予想が大方当たっている事が分かった。クラスの皆も段々気付き始めている。
ガララッ!と扉が開く。入ってきた殺せんせーはというと……
「えぇ……では……テスト返却を……」
苦虫を噛み潰したような顔になっていた。
(いつも点数が悪い時には赤くなるのに……)
(よっぽど酷いのか……)
すると、殺せんせーはテストをマッハで配る。さてさて……
夕凪颯
英語 100点
国語 96点
数学 92点
社会 100点
理科 98点
ふーむ、まぁこんなものか。数学のテストが上がってたのは嬉しい。
さて、問題の彼女は……
俺は隣を覗き込んだ。
シルヴィア・グレイフォード
英語 86点
国語 3点
数学 1点
理科 4点
社会 6点
「「「「やっぱりか!!?」」」」
酷っでぇ……一桁て……
「悪い方の予想が当たったな……」
「あ、でも英語は出来てるよ」
「まぁ見た目から外人だもんな……」
杉野、優月、菅谷が口々に言う中、前原が口を開いた。
「……で、これを50位以内まで引き上げないといけないのか?」
「「「「………………」」」」
教室が静まり返る。確かに、彼女は暗殺においては大きなアドバンテージかもだが、俺達には他に目標がある。
「殺せんせー、大丈夫なのか?」
「………ヌルフフフ。先生を誰だと思ってるんです!絶対に50位以内まで上げてみせます!!」
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6時間目
今日の訓練はナイフの実践練習だ。今は村松と吉田ペアが烏間先生に向けてナイフを振るっている。
村松が大きく振るうナイフを烏間先生が横ステップで避けた直後、吉田が影から飛び出て素早い突きを当てた。
「村松・吉田ペア、加点1!」
「「よっしゃっ!!」」
こうして他を見てみても、ナイフを当てれる人が増えてきた。やっぱ積み重ねの成果が出てるんだな…
一通りのペアを終えた烏間先生は、シルヴィアの方を向いて言った。
「まぁ、ナイフの訓練はこんな感じだ。このナイフは奴にだけしか効かないから、遠慮なくかかってくるといい」
「ん……了解……」
そう言って、シルヴィアは歩み進める。烏間先生の前に立ち、静かにナイフを構えた。
「フ……君とやり合うのは二度目だな。今回はこちらも万全でいかせてもらうぞ……」
「うん……前とは比べ物にならないくらい………強い……」
((少し……本気を出すか))
向かい合い、薄く笑っている二人に周りの人間は戦慄していた。
「颯君はどっちが勝つと思う?」
「ん?そうだな……」
優月の疑問に、俺は頭を捻らせて考える。
「んー……烏間先生が全快してるとはいえ、シルヴィア側はナイフを掠めれば勝ち………でも、烏間先生もマジっぽいからなぁ……」
戦場では毒ナイフである可能性もあるのだ。ナイフを掠るのを妥協する訓練など精鋭軍人である烏間先生が受けているはず無いだろう。
「……さっぱり分からん。どっちが勝ってもおかしくねぇよ」
そう決断を下した。
すると、遂に戦闘が始まった。
シルヴィアは正面から突っ込み、ナイフで刺そうとする。それを烏間先生は右手でいなした。
すると今度は……シルヴィアが両足で思いっきりジャンプし、後ろに宙返りした。
「んなっ!?」
足を空中で開き、体を捻らせて回し蹴りを放つ。それを烏間先生は両手で受け止めた。
(彼女の体術は単純な力じゃない。回転や重心、自然な体運びによって力を生み出している。彼女の事だ、計算してやってるわけでは無いだろう………全く、才能は恐ろしい)
蹴りを受け止められたシルヴィアはすかさず掴んだナイフを持って烏間先生を狙いにいく。避けようとするが、シルヴィアはナイフを持つ手を離し、もう一度体を屈めた。あらかじめ隠し持っていたナイフを袖から取り出し、再び切りかかろうとした時……
「だが甘い!!」
烏間先生は迫る腕を掴んで足を払い、シルヴィアを制圧した。
「…わお………ホントに強い……」
どうやら、烏間先生の勝利のようだ。烏間先生はシルヴィアを引き上げ、立たせてやる。
「初日から、更に一人でここまでくれば大したものだ。これから訓練して更に向上させてくれ」
汗を拭いながらそう言う烏間先生。
一連の二人の戦いを見て、E組一同は思った。
((((ほ、ホントにとんでもない子がいらっしゃった……))))
「ははっ、こりゃ心強いねぇ〜」
「これで、暗殺の幅も広がりそうだね」
カルマと渚の言葉に頷いて賛成する。ほんとは暗殺なんて縁のないところで過ごしていてほしかったが……まぁ、彼女がそれで良いならいいか。
女子達に撫で撫でされながらきゃっきゃと騒いでいる中にいるシルヴィアを見ながら、そんな事を思うのだった。
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帰り道
いつもは優月と帰るが、今日はシルヴィアもついてきた。何でもいろんな奴と仲良くしたいのだと。
「シルヴィアちゃん、"ガードスキル、ハンドソニック!"って言って袖からナイフ出してみて!!」
それで、さっきから優月は某アニメの銀髪少女の真似をシルヴィアにさせようとしている。漫画版見せちゃったからなぁ……
「いやぁ、こんなに漫画みたいな動きが出来る娘に出会えるなんて、ほんとにE組で良かった!」
「そりゃ、ここには超生物も精鋭軍人も殺し屋も集まってるわけだしな。似てる人間もいるんじゃね?」
「んー……私としては、探偵物の成分が足りない気が……」
そりゃ超生物暗殺に探偵はいらんだろうからな。
「そういえばシルヴィア、お前今はどこに住んでんだ?」
「駅近くにあるアパート……防衛省の人が隣の部屋に居て、守ってくれてる……」
「そか、それなら良かった……」
俺と同じく裏切った彼女も狙われてるはずだ。しかしどうやら、彼女は"マスター"に怯えたりせずに暮らせているようだった。
俺らを、何かが目的で捕らえようとするその人物。一体、何をするつもりなのだろう……
「シルヴィア」
「……ん…?」
「良かったらなんだが……お前の元"マスター"について、教えてくれないか?」
「颯君、それって……」
「あぁ。俺の事を狙ってる奴の事だ」
すると、シルヴィアは口を開いた。
「……私は彼について殆ど知らない。何を探しているのかも、何をハヤテが握っているのかも……」
「そっか……」
手掛かりが掴めそうだったのにな、と思い肩を落とす。
しかし、再びシルヴィアは口を開いたのだった。
「でも、彼の目的と、名前なら知ってる………彼の目的は……国家への復讐」
そして、と続けるシルヴィア。
「彼の名前はこう呼ばれていた。
………サクリファイス…国家の生贄」
「ッ!!?」
「サクリ……ファイス?颯君は知ってるの?」
優月は分からないという風だったが、俺はその名を知っている。
夏休み、少し気になって聞いた殺し屋の話。
世界最高の殺し屋に手が届きそうだった、二人組の殺し屋。
もう一人が、未だに日本国家を恨んでいるという。
「…サクリファイスが……俺を……?」
このシルヴィアの言葉から、
ーー長い長い、俺と奴との戦いが幕を開けたのだった。
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「あいつがあっち側に着いた、か。きっと俺らの存在が、夕凪颯や超生物にも伝わってるだろうなァ」
ナイフをクルクルと回しながら、男は呟いた。
顔には大きな傷、髪は肩まで伸ばしている。端正な顔と甘い声が、万人を魅了する力を持っているようだった。ローブを着込むその男は、薄い笑みを浮かべていた。
「……殺しますか?あの子供」
低い声でそう言うのは、身長は2メートルを余裕で超える大男だ。筋骨隆々な体つきは、彼が一騎当千の強者である事を物語っている。
「何言ってんのよこのゴリラ!愛しのシルヴィアちゃんを殺すなんて!?」
金切り声でそう叫ぶのは、紛れもなく男だった。女装に濃い化粧、きっと中身の顔立ちもそんなではないだろうその男は、紛れもなくオカマだ。
「裏切ったんだ……こちらの不利益になる……」
「この単細胞!!そんなの大した利益じゃないわ!殺す必要なんて無いでしょう!?マスター!?」
「あー、どっちでも構わん。どうせアイツには大した情報は与えてないからな」
その言葉にオカマは喜びの声を上げ、大男は少し舌打ちをした。
すると、更にもう一人闇から現れた。
「マスター、防衛省は秘密裏に我らの事を嗅ぎまわっているとの事。どうしましょう?」
茶髪をポニーテールにし、忍者風な和装束に身を包んでいる女は、跪きながらローブの男の前にいた。大きな胸が強く主張していて、鋭い眼光は引き寄せられた男共を纏めて殺しそうな勢いだ。
「へェ、奴らも無能じゃないってわけか。まァここを特定するのは無理だろう。何せあの超生物でさえ特定不能なんだからな。お前は何もしなくて構わんぞ」
「そうですか。了解ですマスター」
「しかし……手は打っておくか」
そう言って、ローブを着た男はナイフを持ち直した。窓からの光が当たったそのナイフには、血が滴るのが見えた。
ここに居るのは5人。あと1人、人物がいたのだった。
その人物はかつてのサクリファイスの研究の責任者。裁かれたはずだった彼は、今までのうのうと生きていたのだった。
「ンンンーーッ、ンーーー!!!」
しかし、その人物は口を縛られ、両手両足は拘束されている。床に転がってもがく彼には…………指が無かった。
「さぁて、これで最期だ。何か言い残した事はあるか?」
「ンンン!ンー!!」
「3秒だけ待ってやろう。遺言どうぞ?」
「ンン、ンンン!!ンー!」
「3、2、1…はい、時間切れ」
そう言って男は、ナイフで縛られた人物の首を斬り裂いた。
「ンーーーー!!!ンン…ン………」
悲鳴すら声にならないまま、その人物は大量に血を吹き出し、絶命した。
「あー、口の拘束解くの忘れてた☆すまんねぇ遺言聞けなくて」
そう言う男の顔は、とても嗜虐的な笑みに曲げられていた。この世の残酷の象徴とも言える、それを生き甲斐とした表情に……
「コイツの死体を防衛省に送れ。"嗅ぎ回れば犠牲者は増えるぞ"という文章と共にな」
「はっ」
「さぁて、最初の人間が生贄となりましたァ。奴らはどうするんだろうなァ」
笑みを浮かべて立つ男。その後ろに着いて、彼をマスターと呼ぶ3人。
日本国に復讐する為、比類なき憎悪を持った彼らが、遂に動き始めるのだった。
「
ーー
夕凪颯の暗殺教室 第2章
サクリファイス
長い……8000文字超えた……
これまでを第1章、これ以降を第2章とすることにしました。話が新しい展開になっていくので。
それではしばらくテスト期間なので、更新は休みます。(そんなかからないです)
これからもこの作品をよろしくお願い致します!