Admiral of Roughneck~From black to white~   作:八意 颯人

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第69話「医龍、爆誕」

2000 舞鶴鎮守府 出撃ドックにて

 

勇人「……ふぅ」

 

勇人は出撃ドックから見える海を眺めながら、ベンチに座り、何か思い更けているかの様に、タバコを吸っていた

 

勇人(……未来……って、何で俺は、アイツの事を()()してんだ?クソッ……結論が出ねぇ……)

 

そう、勇人は未来と自身の関係性について考えていたのだ

だが、結論が出てきていないのか、少し苛ついた表情で煙草を吸い続けると、後ろから朱里が現れ、勇人に言った

 

朱里「……隣り、良い?」

 

勇人「……ああ」

 

勇人は朱里に言うと、朱里は勇人の隣りに座り、電子煙草を吸い始め、勇人の悩みについて聞いた

 

朱里「……あの子の事が心配?」

 

勇人「まぁな……ったく、何で俺が深海棲艦……いや未来の事を案じなければならねぇんだ……ガキを孕ませた覚えなんか無ぇのに……こんな気持ちは初めてだ……」

 

勇人は朱里に愚痴る様に答えると、朱里もまた、勇人の言葉に同意するかの様に頷き、答えた

 

朱里「成る程ね……勇人の診察結果(悩み事)についてだが、勇人は未来ちゃんに()()として慕われているから、あの子に()が移ったかも知れないわね」

 

勇人「情……ねぇ……」

 

朱里「そう()()()方が自然よ……それに今後の為に『子育て』の()()にもなるしね♪いい加減、嫁と孫を見せなさいよ♪」

 

勇人「あのなぁ……ん?間宮……じゃなかった、美奈か?どうしたん?」

 

朱里「あら?明日の朝の献立の相談?」

 

勇人は朱里の言葉に少し納得しつつも朱里の前向きな考えに呆れながら、吸いきった煙草の火を消し、携帯灰皿に入れると、神妙な表情で二人に近付いて来る美奈に気が付き、質問すると美奈は朱里の質問を否定し、勇人に聞いた

 

美奈「違います……大将と朱里さん、少し()()()()()()()があります」

 

勇人「ん?何だ?」

 

勇人は美奈に聞くと、美奈は意を決し、二人に質問した

だが、その内容は二人にとって、()()()()()()()()()だった

 

美奈「二人は『前世』……前の人生の記憶がありますか?」

 

上城親子「前世?」

 

二人は美奈の言葉に「こいつ、何を言っているんだ?」と言わんばかりの呆れた表情で質問すると、美奈は呆れた表情の二人に少し俯いた表情で答えた

 

美奈「この様子だと()()みたいですね……」

 

勇人「だから何や……そんな霊的現象(オカルト)染みた事は()()()や……早苗(アイツ)じゃあるまいし」

 

朱里「……成る程ね、貴女……()()()()()わね?」

 

美奈「……はい」

 

勇人「持っている?」

 

朱里は美奈に聞くと、美奈は肯定し、意を決したのか、勇人の質問に答えた

 

美奈「……実は、私……そして未来は()()()()()()()()()()()建造されました(産まれてきました)』」

 

勇人「……は?」

 

朱里「……やっぱり」

 

勇人「『やっぱり』って……知ってたのか!?母さん!」

 

勇人は美奈と朱里の発言に驚愕しつつ、朱里に聞くと、朱里は頭を静かに横に振り、答えた

 

朱里「んな訳無いでしょ、美奈さんの発言を()()()だけよ」

 

勇人「……色々と、ぶっ飛び過ぎで頭が追い付けねぇ……」

 

朱里「同感よ……まぁ良いわ、美奈さん……未来ちゃんの……いえ『貴女と未来ちゃんの前世』について、御話しを聞きたいわ」

 

朱里が美奈に言うと、美奈は俯いた表情で答えた

 

美奈「……大将の()()()()()()と比べれば()()()()()()になりますが……」

 

朱里「ゴクッ……」

 

勇人「……」

 

朱里は美奈の神妙な雰囲気に飲まれ、生唾を飲み、勇人は静かに美奈の前世の話を聞こうとした途端、何かに急いでいるかの様に全力で走ってきた大淀が勇人達に報告し始めた

 

大淀「大変です大将!!舞鶴に……霧の艦隊がやって来ます!!」

 

勇人「はぁ!?まさか……コンゴウが!?」

 

大淀「はい!一体どうすれば……」

 

朱里「落ち着いて大淀、今コンゴウは味方よ」

 

大淀「それは分かっています!!問題はコンゴウさんからの伝達内容です!!」

 

勇人「……内容は?」

 

勇人は冷静になりつつ、神妙な表情で大淀に聞くと、大淀は慌てながらもコンゴウの報告内容を簡潔に説明した

 

大淀「『我、急患を運送中、至急、佐世保鎮守府総司令である上城大将に治療をお願いしたい』……だそうです」

 

勇人「……で、その急患は?」

 

勇人は大淀に聞くと、大淀は勇人の『仕事モード』に少し臆しながら答えた

 

大淀「……防空棲姫率いる()()()()()()()()です、特に防空棲姫……いえ、未来ちゃんが()()()()()になっていると言う事です」

 

朱里 美奈「ッ!?」

 

勇人「なっ!?」

 

三人は大淀の報告を聞いて、驚愕すると美奈は血相を変え、上城親子に懇願した

 

美奈「そんな……朱里さん!大将!防空棲姫……未来達を助けて下さい!お願いします!」

 

美奈は二人に頭を下げ、懇願すると、二人は立ち上がり、芯のある強い口調で答えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勇人「……大淀、今すぐウチの明石と夕張を叩き起こして、()()()()()()()()()()を取りかかってくれ!」

 

朱里「時間が無いの!早く!!」

 

大淀「わ……分かりました!!」

 

美奈「大将……朱里さん……」

 

美奈は上城親子の言葉に感謝し、涙を溢すと、朱里は美奈に優しく言った

 

朱里「大丈夫、未来ちゃん達は必ず()()()わ……勇人!!」

 

勇人「分かっている!艤装展開!『mode Sup Weapon Medic』! 」

 

勇人は改造された艤装を展開すると、艤装はハーブーン、トマホーク、CIWSと言った『超攻撃的な武装(普段の艤装)』は装置されておらず、代わりに艦娘用のクレーンや患者用のベッド、手術用のメスといった『治療器具』や麻酔やロキソニン(鎮痛剤)そして高速修復材等の『治療薬』が多数、備えられている艤装になっていた

まるで勇人自身が『最先端医学の結晶体』と誇示をしているかの様に……

 

美奈「……凄い、これが大将の……艤装……」

 

朱里「……アンタ、また()()したんか?」

 

美奈は勇人の艤装を見て、驚愕し、朱里は呆れながら言うと、勇人は時間が惜しいのか、一言だけ返した

 

勇人「ああ」

 

朱里「……本当、()()()を持つ母は苦労するわ……あ、虎じゃなくて()だったわね……」

 

勇人「冗談言っている暇があれば受け入れ準備をしいや!!コンゴウ達が来たぞ!!」

 

勇人は朱里に一喝すると、軍艦では『あり得ないスピード』で舞鶴に近付いて来るコンゴウ達を見つけ、コンゴウも自身の軍艦を()()()()()()の様に錨を沈めさせ、錨を利用したドリフトをし、横にスライドしたまま、出撃用ドックに入って来た

 

コンゴウ「艦長!」

 

勇人「コンゴウ、急患の状態は?」

 

コンゴウ「港湾、拍地、北方、空母ヲ級は軽傷……だが防空棲姫は……」

 

勇人「分かった!今から防空棲姫の治療を始める!」

 

朱里「コンゴウ達は引き続き港湾、拍地、北方、空母ヲ級の治療に専念して!」

 

コンゴウ「もう防空棲姫以外の深海棲艦の治療は終わった……私も手伝おう」

 

勇人「相変わらず仕事が早いな……分かった!手伝ってくれ!」

 

コンゴウ「ああ!」

 

勇人はコンゴウの報告を聞き、急いで軍艦の中に入って行った

 

美奈「大将……朱里さん……コンゴウさん……お願いします……」

 

美奈は何も出来ない自分に歯痒く思いながら、勇人達に思いを託す様に祈った

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