Admiral of Roughneck~From black to white~   作:八意 颯人

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第83話「美奈の『癒しの治療法』」

翌日 0900 舞鶴鎮守府 入渠室にて

 

大鯨「……う……うう……ほげぇ?此処は……ん?間宮さん?」

 

藍に気絶させられた大鯨が風呂の湯気によって作られた水滴が重力に負けて滴り落ち、落ちてきた水滴が大鯨の額に当たると大鯨は目が覚め、辺りを見ていると、丁度良いタイミングに美奈が玉子雑炊と水を持参し、入渠室に入ってきた

 

美奈「大鯨さん、大丈夫ですか?」

 

美奈は心配そうに大鯨に言うと、大鯨は少し怯えながら言った

 

大鯨「だ……大丈夫です……あ……あの……此処は?」

 

美奈「舞鶴鎮守府の入渠室ですよ……それに怖がらないで下さい、私達は貴女を保護しただけですから」

 

大鯨「私を……保護?」

 

美奈は大鯨の容態を聞き、少し安堵したのか、微笑みながら簡潔に質問内容を答えると、訓練し終えたばかりの勇人が艤装用の戦闘服を着たまま入渠室に入ってきた

 

勇人「ふぅ……やっぱり朝練は気持ちが良いな……ん?気が付いたか大鯨……」

 

大鯨「ッ!?さ……佐世保の龍が……何故、舞鶴に……」

 

美奈「朝練、お疲れ様です大将」

 

勇人「おう」

 

美奈は勇人を労うと、勇人は服を脱ごうとしたが、美奈に止められた

 

美奈「……大将、今の状態で脱ぐのは止めてくれませんか?アレは大鯨さんが怖がります」

 

勇人「……そうだったな、艤装解除」

 

勇人は艤装解除し、戦闘服から水着になり、そのままシャワーを浴びた

 

勿論、美奈が言ってたアレとは勇人の背中の和堀である

 

勇人「ふぅ……スッキリした……んじゃ大鯨、疲労困憊になっている所を悪いが……」

 

勇人は大鯨に道中と手を組んでいた連中について聞こうとした途端、大鯨は勇人を見て、震え、怯えだし、恐怖のドン底にいる様な表情になり、混乱しながら勇人に言った

 

大鯨「ヒィッ……た……大将『様』……私の勝手な判断で……も……申し訳ございませんでした……直ぐに……か……身体で……御奉仕を……」

 

大鯨は何を思ったのか、服を脱ぎ始めると美奈は雑炊が乗っている御盆を床に置き、急いで暴走する大鯨を勇人と共に、止めに掛かった

 

美奈「落ち着けや!これは大将の命令でやっているんや!服を着いや!!」

 

勇人「そうや!お前はゆっくり休んでいろ!」

 

大鯨「ッ!?し……しかし……」

 

大鯨は美奈と勇人の方言が入った怒鳴り声に我に返り、狼狽えながら聞くと二人は冷静さを取り戻した大鯨にホッと胸を撫で下ろし、優しく言った

 

美奈「……安心せぇ、大将や提督のみんなは優しい人やから、大鯨さんが思っている程、悪い事はせぇへんで……まぁ大将の強面の顔については『慣れろ』としか言えへんが……」

 

勇人「なっ!?」

 

美奈「大将、此処は敢えて乗って下さい……私に()()があります……」

 

勇人「……成程な……分かった、美奈の()()に乗ってやるぜ

 

美奈は大鯨に聞こえない様に小声で勇人に御願いすると、勇人は美奈の考えを察し、了承し、美奈の言葉に乗った

 

勇人「オイコラ、誰が強面や?自分も人の事が言えねぇ方言を言いやがって……」

 

美奈「大将のヤクザ口調よりかはマシや……バー〇ル似のイケメンなのに勿体無い過ぎるやろ」

 

勇人「ダン〇ェ……って!何言わせるんや!!」

 

美奈「大将が勝手に言ったんやろ?しかも、それ……ネタの方や!」

 

美奈は微笑みながら勇人を茶化し、勇人は美奈の『真意』が分かったのか、微笑みながら悪態を付くと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大鯨「……フフッ」

 

美奈「あ!?笑いましたね?」

 

大鯨「ッ!?スミマセンでした!!私みたいな『兵器』が馬鹿な真似を……」

 

大鯨は二人の漫才染みた会話に小さく笑い、直ぐに血相を変え、青ざめながら謝罪すると勇人は微笑みながら大鯨に言った

 

勇人「ん?馬鹿な真似を?お前は何を言っているんだ?別に笑いたかったら笑えば良いんだぞ?それに、お前は人間だ……人間が笑って『何が悪い』んだ?美n……間宮は敢えて大鯨(お前)を笑わせる為に言ったんだ……俺達(人間)に対しての恐怖心(トラウマ)を消すためにな」

 

そう、美奈の考えとは、恐怖心で混乱している大鯨を笑わせ、恐怖心を解かせようとしたのだ

 

美奈「そう言う事です、だから協力してもらった大将には申し訳無いと思っていますが、大鯨さんの為に笑わせたのですよ」

 

勇人「別に気にしてねぇぞ、これも治療の()()だ」

 

大鯨「……私は……人として生きても良いのですね?」

 

美奈「勿論!」

 

勇人「当たり前だ……もし、お前を兵器扱いしている奴がいたら潰してやるからな!」

 

美奈「その時は私も参加しても宜しいのですか?」

 

勇人「ああ」

 

大鯨「ッ!?グスッ……うう……ありがとう……ございます……」

 

美奈「フフッ……少し冷えたけど朝食の雑炊も食べてね」

 

勇人「味は御墨付きだ」

 

大鯨「はい!頂きます!」

 

大鯨は二人の暖かい言葉に身に染みたのか、嬉し泣きをしながら感謝し、少し冷えた雑炊を嬉しそうに食べ始めた

 

美奈の『やり方』に流石の勇人も……

 

勇人(……正しく『母は強し』……ってヤツたな……軍医(専門家)の俺でもさえ()()()()()()()()な……しかも、こうアッサリと大鯨の恐怖心(トラウマ)を打ち消しやがって……完敗だ、俺の負けだ)

 

軍医(専門家)として負けを()()()程の『やり方(治療法)』だった……

 

勇人「……まぁ、間宮が言った通り、ここの連中は、お前のボスとは違って『悪いヤツ』がいねぇ……だから此処でゆっくりと養生しろよ……俺も軍医……いや()()()()()として全身全霊を賭けて()()()やるからな……」

 

美奈「そうですよ、しかも大将の医者の腕はブラッ〇ジャッ〇顔負けですから信用しても大丈夫ですよ……顔の怖さも〇ラック〇ャック顔負けですけどね」

 

大鯨「……はい!宜しくお願いします!大将『様』」

 

勇人「『はい』って……泣けるぜ……後、『様』は要らねぇよ」

 

大鯨「す……スミマセン……大将『閣下』」

 

勇人「貴様を蝋人g……って、デーモ〇小〇じゃねぇよ!!」

 

大鯨「フフッ……スミマセン」

 

美奈「見事なノリツッコミですね」

 

勇人「……うるせぇ」

 

完全に弄られキャラになった勇人は大鯨が笑っている事に安堵しつつ、何時もの口癖で若干呆れると朝練で疲労困憊になった千川がふらつきながら入ってきた

 

千川「ったく、上城……お前の訓練も元帥と同じく洒落にならない位『ハード』だぞ……お!?目覚めたか大鯨君」

 

大鯨「はい、私の為にありがとうございます……えーっと……誰ですか?」

 

大鯨は礼を言い、千川に聞くと、千川は簡潔に自己紹介を始めた

 

千川「僕は『舞鶴鎮守府 第二前衛基地』の提督をやっている千川だ……この様子だと精神的に問題無い様だね」

 

勇人「間宮のお陰でな……」

 

勇人は美奈のお陰で大鯨の精神治療が終わった事を言うと、美奈は謙遜し、恥ずかしそうに言った

 

美奈「いえいえ、私と大将は大鯨さんが恐怖心を打ち消す為に『手を差し伸べた』だけですから……」

 

千川「それでも凄いよ!!」

 

勇人「全くだ」

 

美奈「本当にお恥ずかしい……」

 

千川は純粋に、勇人は先程の仕返しをするかの様に微笑みながら美奈を誉めると勇人は『ある事』を思い出したのか「あ!?」と少し呆気染みた声を上げ、大鯨に聞いた

 

勇人「治療に専念していて『本題』を聞くの忘れてた……大鯨、少し聞きたい事があるのだが……大丈夫か?」

 

大鯨「ん?聞きたい事?」

 

大鯨は首を傾げると勇人は少し抵抗があるのか、俯きながら聞いた

 

勇人「……『道中 潤』について聞きたいんだが?」

 

大鯨「ッ!?妹様を!?」

 

勇人は大鯨に道中について聞こうとした途端、大鯨は再び怯え始めると勇人は大鯨を安心させるかの様に優しく言った

 

勇人「安心しろ……これは、お前を()()為に聞くんだ……それに書類上、お前は()()扱いになっているから連中に狙われる事は無ぇよ」

 

大鯨「良かっ……へ!?ご……轟沈!?しかし……私は生きて……」

 

大鯨は安心感を得たのと同時に自分が轟沈……死亡扱いになっていた事に驚きつつ、生きている自分に戸惑いながら勇人に聞くと、勇人は轟沈扱いになった経緯を簡潔に説明を始めた

 

勇人「それに関しては大鯨……いや全ての艦娘の体内にある装置『ECS』……まぁ艦娘のコンディションを提督に伝える装置だけど、その装置を弄り、誤作動を起こしたんだ……勿論、後で『新しいECS』に交換するから心配しなくて良いぞ」

 

千川「……交換?そのまま再起動させた方が良いのでは?」

 

勇人「馬鹿、交換せずに再起動させるとECSの味方識別信号(IFF)が大鯨の()ボスに伝わる様に設定されているから、交換しないと駄目なんだ」

 

美奈「なら、その……IFFでしたっけ?その信号だけを書き換える事は出来ないのですか?」

 

美奈は勇人に質問すると、勇人は頭を横に振り、答えた

 

勇人「それは無理だ……コードを書き換える為には、大鯨を一旦『仮死状態』にさせないといけないからな……これ以上、大鯨に負荷を与えたくねぇ」

 

美奈「仮死状態!?信号を書き換えるだけで大鯨さんを!?」

 

美奈は勇人の説明に驚くと勇人は肯定し、説明を続けた

 

勇人「ああ、しかも変更されたコードが不適合になったら大鯨は……脳がコードに照合されず、そのままショック死するんだ……だから負荷が一番掛からない方法である『交換』が一番の()()()んだよ」

 

勇人は三人に説明をすると、千川は勇人に質問した

 

千川「……んで、その新しいECSはどうやって調達するんだ?舞鶴には無いぞ」

 

勇人「……それなら()()がある、ちょっと待ってろ」

 

勇人はスマホで『ある人』に電話を始めた

 

勇人「……もしもし俺だ、ロシアでの休暇を満喫しているか……ジッチャン」

 

俊夫「ああ……ん~………久々のボルシチは旨い……さぁ柏木君、これは俺の奢りだ」

 

柏木「ゴチになります……お前、今、休暇で舞鶴に居るんだろ?」

 

勇人「お!?よく分かっt……って!?柏木と飯を食ってたのか!?」

 

俊夫「たまたま会ったんだ……んで用件は?」

 

柏木「またトラブルか?」

 

千川「ッ!?ジッチャン!?まさか……上城財閥会長の『上城俊夫』さん!?それに柏木大将!?」

 

美奈「ああ……そう言う訳でしたか……」

 

大鯨「ほげぇぇぇ!?大将が何故、会長と!?」

 

勇人が電話している相手が勇人の祖父こと俊夫とロシアに駐在している柏木だと知り、千川と大鯨は驚き、美奈は納得したが勇人は三人を無視し、本題に入った

 

勇人「予備の『大鯨のECS』って、まだあるのか?」

 

柏木「大鯨のECS?呉には無いぞ」

 

俊夫「大鯨ちゃんのECS?なら家に置いてあるんだが……欲しいんか?」

 

勇人「ああ……説明する手間が省けたぜ」

 

俊夫は勇人の真意が分かったのか、質問で返すと勇人は少し明るい口調で肯定すると、俊夫は勇人に質問を投げた

 

俊夫「だが……所属コードは入力されていないぞ」

 

勇人「それなら此方で入力する」

 

俊夫「……分かった、予備のECSは、お前のガレージに保管してあると思うから取りに来い」

 

勇人「サンキュー!()()()取りに行くわ」

 

俊夫「すぐに?まぁいい、大鯨ちゃんを必ず完治させろよ……んじゃ」

 

柏木「頑張れよ……兄弟、早く大鯨を元気にさせろよ」

 

勇人は電話を切り、安堵したかの様に胸を撫で下ろし、大鯨に言った

 

勇人「あちゃ……ジッチャンと柏木に大鯨の事がバレていたか……大鯨、少し聞きたい事があるんだ」

 

大鯨「はい?」

 

勇人「お前の転属先の事だが、佐世保と舞鶴……どっちが良い?」

 

大鯨「へ!?て……転属!?」

 

勇人は所属コードを入力する為に大鯨が行きたい鎮守府について聞くと、大鯨は勇人の言葉に少し混乱し、千川は勇人に質問した

 

千川「何故そんな事を言うんだ?」

 

勇人「……予備の大鯨のECSには『所属に関するコード』が入っていないんだ……だから」

 

美奈「此処で決める……という訳ですね」

 

千川「成程……大鯨君、これは難しく考えない方が良いぞ……ウチでは交通の便があるし、観光スポットが山程あるんだ」

 

千川は勇人の説明に納得し、さりげに舞鶴鎮守府に配属する様に勧誘すると、勇人はツッコミを入れる様に言った

 

勇人「オイコラ、さりげにアピールすんな……まぁ佐世保鎮守府は他の鎮守府の艦娘達から『リゾート鎮守府』と言われている位『快適』で舞鶴と負けず劣らずの観光名所が多数あるんだ……しかも設備や訓練等の鎮守府本来の質の高さは大本営以上だ」

 

美奈「そうですね……佐世保は全てにおいて()()と言われても仕方無い位の質の高さを誇っていますからね……」

 

千川「なっ!?上城もアピールするな!!」

 

勇人「うるせぇ!後、間宮!変態は余計だ!!」

 

勇人は少し顰めっ面になり、ツッコミを入れる様に反論すると美奈は勇人の異常性について答えた

 

美奈「いやいやいや!あれはホワイトやリゾートを通り越して()()()()()で変態鎮守府や!!未来の艦娘であるメンタルモデルの軍艦(身体)を治したり、軍艦『金剛』を『移動要塞』に改造するわ、艦娘全員に『クライアントシールド』や『MTフィールド』を装着させたり……普通の鎮守府では『ありえへん』よ!!」

 

勇人「そうか?ちなみに『クライアントシールド』じゃなくて『クラインフィールド』、そして『MTフィールド』じゃなくて『ATフィールド』だ」

 

千川「良く軍法違反にならなかったな……お前……」

 

勇人「フン、こう見えて『総理大臣』から直々に許可を貰っているから軍法上『()()』だ……財閥の権力を使って脅したが……」

 

千川「オイコラ、今()()()()()()()()()を聞いたぞ」

 

千川は勇人の呟きにツッコミを入れる様に少し強い口調で聞くと勇人は笑いながら答えた

 

勇人「ハハッ!気にするな、さて大鯨……お前の希望を聞きてぇ……何処に配属したいんだ?」

 

勇人は大鯨に聞くと、大鯨は眉を八の字になり、腕を組みながら困り、考えていた

 

大鯨「いきなり言われても……なら舞鶴鎮守府と移動要塞になっている軍艦『金剛』の内部を見てからで良いですか?決めるのは『その後』で……」

 

美奈「……そうですね」

 

千川「そうだね、それじゃ案内するよ」

 

勇人「分かった、んじゃ……まずは舞鶴鎮守府からだ……行くか」

 

ヒョイ!

 

大鯨「ッ!?ちょ!?大将!?」

 

美奈「あら……あらあら♪お姫様抱っことは紳士的ですね♪されてみたいですね♪」

 

勇人「……一回しただろ間宮、行くぞ」

 

大鯨は配属する際の判断材料が足りないのか、舞鶴と軍艦の内部を見てから決める事を勇人達に言うと、三人は納得し、勇人は大鯨をお姫様抱っこをし、内部を案内した

 

だだ……

 

大鯨「あの……大将、着替えてくれませんか?胸の筋肉が……」

 

勇人「あ!?悪い……」

 

間宮「しかし、凄い胸筋ですね♪」

 

大鯨「そうですね……相当鍛えられていますね」

 

勇人「だろ?」

 

千川「でも……『上城の雄ッパイ(それ)()()()のでしょ?」

 

勇人「御安心下さい!筋肉の緩急的な意味で柔らk……って!千川!どこぞのテレビショッピングみたいに弄るの止めまぁ!」

 

千川「いやいやいや、お前こそ悪乗りするな……」

 

脱衣場で千川の弄りに呆れ、ツッコミを入れる勇人だった

 

 

 

 

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