Admiral of Roughneck~From black to white~   作:八意 颯人

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第92話「アズールレーン(平行世界)の龍への贈り物(火種)

舞鶴大異変が終結してから3時間後 1130 佐世保鎮守府 勇人の私室兼医務室にて

 

鹿島「えーっと……ロキソニン(鎮痛剤)メタノール(消毒液)、包帯及びガーゼの在庫は……まだ有りますね……香取姉ぇ、提督さんが開発した『携帯型高速修復剤(ダメコン)』と『飲料型高速修復剤(ボトル)』の在庫(ストック)は?」

 

香取型の二人は舞鶴大異変が終結した事を勇人から聞き、勇人の命令で私室に置いてある薬品全てを舞鶴に届け、多数の負傷者を治療する為に在庫を確認していたのだ

 

鹿島は香取に勇人が作った『ダメコン』こと『携帯型高速修復剤』そして『ボトル』こと『飲料型高速修復剤』の2つの在庫の有無について聞くと、香取は頭を抱えながら鹿島に言った

 

香取「……すっからかんよ、多分コンゴウさんが今回の作戦の為に勝手に持ち出したと思うわ……」

 

鹿島「……あの人は提督さんの事になると、提督さん以上に滅茶苦茶な事を平気でやる人だからね……はぁ……泣けますね」

 

香取「鹿島、それ貴女が言えた事では無いのでは?」

 

鹿島「……」

 

香取は鹿島の言葉に呆れながら反論すると、鹿島は図星なのか、黙り混むと部屋に……というより香取の目の前で隙間が発生し、隙間から勇人と長門が現れた

 

クパァ……

 

勇人「よぉ香取に鹿島、在庫が切れているモノはあったか?」

 

長門「凄いな……すぐに佐世保に着くとは……」

 

香取「キャッ!?」

 

 

ドスン!

 

 

勇人 長門「香取、大丈夫か?」

 

香取「イタタ……て……提督に長門さん!いきなり目の前で隙間から現れないでくれませんか!?吃驚したじゃないですか!」

 

勇人「悪い……次から気ィ付けるから……」

 

長門「……すまん」

 

勇人と長門は自身のせいで尻餅を着いた香取に謝罪すると、鹿島は少し起こっている香取を窘めながら勇人の質問に答えた

 

鹿島「まぁまぁ香取姉ぇ、提督さんと長門さんも悪気が有って目の前で隙間を出した訳でもないから……提督さん、薬品の在庫(ストック)の件ですが……ダメコンとボトル以外の在庫は十分有るので問題無いかと……」

 

勇人「……だろうと思った、ダメコンとボトルはコンゴウが全部、舞鶴に持ってきたからな……所で鹿島『プロマゼパム(精神安定剤)』の在庫は、まだ残っているのか?」

 

長門「提督、プロマゼパムって何ですか?」

 

勇人「精神安定剤の事だ」

 

勇人は鹿島に『精神安定剤』こと『プロマゼパム』の在庫の有無を聞くと、鹿島は勇人の考えを予測し、勇人に質問をした

 

鹿島「はい……それって『秋月(艦娘)に戻った未来ちゃん』の為に……ですか?」

 

鹿島は未来が艦娘の時の記憶が全て蘇った事を勇人から聞いていたのか、未来の身を案じ、未来の事を心配する様に神妙な表情で勇人に聞くと、勇人は鹿島の心配事を払拭する様に微笑みながら答えた

 

勇人「いや、プロマゼパム(精神安定剤)を処方するのは未来じゃねぇ……『()()()()()()』に処方するんだ……それに未来は美奈……舞鶴の間宮に似て精神的にタフだから問題無ぇよ」

 

勇人は鹿島の予測を一部否定し、処方相手である『平行世界の勇人』に渡す事を鹿島に伝えると、鹿島は未来が異常が無い事に安堵しつつも勇人の言葉に長門と共に首を傾げながら再び質問をした

 

鹿島「そうでしたか………ん?()()()()()()()()()?何故、平行世界に?」

 

長門「平行世界の提督に……ですか?」

 

二人は勇人の言葉に首を傾げながら再度、質問をすると、勇人は何故『アズールレーン(平行世界)の勇人』にプロマゼパム(精神安定剤)を処方する経緯を簡潔に説明した

 

勇人「ああ、今回の作戦の協力者であり、幻想郷の長である紫が気紛れで平行世界の俺……『人間が艦娘達に虐げられ続けていた世界の俺自身』が艦娘達の……いや()()()()()()()()()()を、まともに喰らい、瀕死の重傷を負ったんだ……そいつを助ける為に紫が艦娘に似た女性『艦女』と呼ばれている世界の佐世保鎮守府に移転させ『アッチの世界の明石』が平行世界の俺を治療したんだよ……」

 

香取型姉妹「ッ!?」

 

長門「な!?この私が提督を殺める真似を……」

 

香取型の二人は勇人の言葉にショックを受け、絶句し、長門は勇人の言葉に香取型の二人と同じ様にショックを受け、混乱しながら呟くと勇人は混乱している長門を落ち着かせようと優しく言った

 

勇人「長門、お前の事じゃねぇよ……『平行世界』の方だ」

 

長門「……私が……『恩人』である提督を、この手で……」

 

長門は勇人の説得を無視するかの様に絶望し、膝を落とし、身体を震わせながら呟くと勇人は懐から『ある物』を取り出し、それを長門の右肩に叩いた

 

勇人「だから死んで無いって!最後まで人の話を聞かんか!」

 

スパーン!!

 

長門「ッ!?て……提督……それに……これは……夕張がふざけて作った『来客用のスリッパ』……」

 

そう、勇人は長門に叩いた物とは『目ぇ覚ませ』と書かれていた緑色のスリッパ……柏木が大将に昇任した時に夕張が『仮〇ラ〇ダーW』を見て、酔っ払った勢いで開発(再現)した『お仕置きスリッパ』だったのだ

 

長門は叩かれた音を聞き、正気を取り出し、少し戸惑いながら勇人に聞くと、勇人は少し呆れながら長門に言った

 

勇人「ったく、最後まで人の話を聞くモンだぞ……それに平行世界の俺は生きているから安心しろ」

 

長門「そうだったのか……良かった……」

 

香取「でも何故、平行世界の提督にプロマゼパム(精神安定剤)を?治ったのなら要らない筈ですが?」

 

香取は勇人に聞くと、勇人は香取の質問を答える様に再び経緯を説明し始めた

 

勇人「それについては、さっき説明したが、平行世界の俺は艦娘達に虐げられ続け、平行世界の長門の砲撃により瀕死、紫が艦女と呼ばれている世界に移転し、アッチの世界の佐世保鎮守府の明石によって九死に一生を得た……というのは聞いたよな?」

 

香取「はい……ッ!?まさか……平行世界の提督は……艦娘達に虐げられ続けたせいで……精神が崩壊寸前に……」

 

香取は勇人の言葉と自身が味わった過去の……ブラック鎮守府時代の佐世保鎮守府の境遇が重なり合ったのか、平行世界の勇人の状態を憶測し、勇人に聞くと、勇人は黙って香取の質問を返した

 

勇人「……そうだ、俺が佐世保に着任した時のお前達以上に酷い状態だ……まだ結論が出てないが『PTSD』の可能性があるな」

 

鹿島「そんな……」

 

香取「……何故、普通の人間である平行世界の提督が……こんな酷い目に……許さない……」

 

長門「……提督、今すぐにでも平行世界の提督が居た世界に……」

 

三人は勇人の説明を聞き、平行世界の自分自身に怒りを露にしているのか、歯軋りをし、拳を強く握り、怒りが入った重い口調で勇人に聞くと、勇人は黙って頭を横に振り、三人を窘めながら言った

 

勇人「いや……今『人間達を虐げていた方の艦娘の世界』に出撃(カチコミ)をするのは良策では無い……まずは平行世界……『艦女と呼ばれている世界』に移転させた『平行世界の勇人()』の容態を確認してから決める」

 

長門「提督……」

 

勇人「それに俺自身、今後の参考の為に艦娘とは違う女性がいる世界……『艦女の世界の情勢』というのを見てみたいしな」

 

勇人は微笑みながら本音を三人に言うと、三人は勇人の言葉に怒りが収まり、それと同時に勇人の本音(我儘)に呆れ、溜め息を吐きながら言った

 

長門「……ったく、提督らしい理由ですね」

 

香取型姉妹「……そうですね」

 

勇人「まぁ平行世界とは言え『俺自身』だからな……長門、隙間を常時解放させるから部屋にある全ての医薬品を舞鶴に居る『八意永琳』という女医に渡してくれないか?人手が足りなかったら椛達を呼んでも構わねぇ、俺と香取型の二人は平行世界の佐世保鎮守府に潜入し『アッチの俺』の容態を確認し、薬を渡しに行くぞ」

 

勇人は微笑みながら三人に命令を下すと長門は『アズールレーンの世界(艦女と呼ばれた世界)』に興味があったのか、少し残念そうに承諾し、香取型の二人は少し嬉しそうに承諾した

 

長門「私も行きたかったが……仕方無い……分かりました、至急、全ての医薬品を八意先生に渡します」

 

香取型姉妹「ッ!?はい!」

 

勇人「んじゃ、行ってくる……長門、後は頼んだ」

 

長門「分かりました……」

 

勇人は2つの隙間を展開させ、香取型姉妹と共に『アズールレーンの世界(艦女と呼ばれた世界)』に繋がった方の隙間に入り、佐世保鎮守府を後にした

 

長門「……アッチで問題が起きなければ良いのだが……大和、受け取る準備は出来たか?」

 

大和「はい」

 

長門「それじゃ、これを……」

 

長門は勇人の『問題事に巻き込まれ易い体質』否『問題を起こしてしまう性格』に懸念しているのか、少し不安になりながらも隙間を通じて薬品を舞鶴に待機している大和に渡し、作業を始めた

 

まさか、長門の心配事が起きてしまい、大事(おおごと)になってしまったのは、また『別の物語』で……

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