Admiral of Roughneck~From black to white~   作:八意 颯人

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第94話「宴の準備 霊夢&勇人編」

朱里が三笠元帥を誘っている頃 幻想郷 博麗神社にて

 

霊夢「はぁ~……我が家が一番だわ……もう、あんな堅苦しい所は勘弁願いたいわ……」

 

早苗「アハハハ……お疲れ様です……ん?」

 

早苗は博麗神社内部の居間に寝転がっている霊夢を苦笑しながら労うと縁側に座っていたスーツを着た女性……風村綾が緑茶を飲み、微笑みながら言った

 

風村「アヤヤヤ……随分、御疲れの様ですね……霊夢さん」

 

風村は霊夢と面識があるのか、まるで友人の様に接すると、霊夢は気だるそうに風村に悪態を吐いた

 

霊夢「同情するんなら、お賽銭箱に金を入れなさいよ……『(あや)』」

 

風村「……やっぱり………()()()()?」

 

風村は霊夢の『(あや)』という言葉に苦笑いをしながら霊夢に聞くと、霊夢は頷き、風村に言った

 

霊夢「当たり前よ……『蒼霧事変終結後(あの時)』勇人やラムネさんとナガツキさん(コラボ相手の皆様)、更には読者達に散々『鴉天狗』やら『パパラッチ』更には本名である『射命丸!!』と言われていたじゃないの……正体を隠したいのなら、ちゃんと隠しなさいよ……それに勇人はアンタの『()()に高い取材魂(ジャーナリズム)』のせいで瀕死の重傷を負ったのよ……後で謝りに行きなさい」

 

早苗「……そうですよ『射命丸(しゃめいまる)』さん!それに隠すのなら、せめて妖力位は抑えて下さい……後、メタ過ぎますよ霊夢さん……」

 

風村改め『射命丸』「アヤヤヤ!?今の勇人さんに!?霊夢さんに早苗さん、私に『死ね』と言いたいのですか!?」

 

そう、読者達の皆様も御存じだとは思うが、蒼霧事変の時に勇人が庇った女性記者『風村 綾』の正体は、あの幻想郷の新聞記者(マスゴミ)であり、椛の上司そして幻想郷最速の天狗『射命丸(しゃめいまる) (あや)』本人だったのだ

 

『風村 綾』改め『射命丸 文(以後 射命丸)』は霊夢と早苗の言葉に冷や汗を大量に流し、かなり焦りながら言うと、二人は射命丸の反論に完全に頭に来たのか、鬼気迫る勢いのまま射命丸に怒鳴った

 

霊夢「当たり前よ馬鹿天狗!!アンタのせいで勇人は死にかけたのよ!!いっぺん死んでこい!!」

 

早苗「そうですよ!!少しは頭を冷やして下さい!!」

 

射命丸「そんな~……此処は……逃げますか!」

 

霊夢「あ!?コラ!!逃げんな!!」

 

射命丸「嫌です!!それじゃ二人共、ご機嫌……」

 

射命丸は二人の言葉に顔面蒼白になり、勇人の御説教(御話し)を聞きたくないのか、自前の俊敏さを利用し、博麗神社から抜けようとしたが………

 

?「逃がさないネー!!」

 

?2「待て!」

 

ガシッ!

 

射命丸「ッ!?」

 

早苗と霊夢が使っていた隙間から女性らしい品のある手が二つ伸び、逃げようとした射命丸の襟を掴みながら射命丸を掴んだ二人の女性……というよりW金剛が隙間から現れ、眉をピクピクと痙攣しながらドスの効いた重い声で射命丸に言った

 

金剛「Ms.射命丸……あの時は、よくもテートクの邪魔をしてくれたネ……」

 

コンゴウ「……少し……頭を冷やすか?」

 

射命丸「ゲ!?ダブル金剛……さん……あの時は大変御迷惑を御掛けしました……だから……命だけは欲しいので離してくれませんか?」

 

金剛「どうするコンゴウ?」

 

射命丸は二人に謝罪という名の命乞いをすると、コンゴウは射命丸の命乞いを無視するかの様にナノマテリアルブレードを召喚し、既に艤装を展開した金剛に微笑みながら言った

 

コンゴウ「……今日は艦長の大好物である()()()()を追加する……『下拵え』は私がやっておくから『焼き』の方は頼んだぞ」

 

金剛「……understand!」

 

霊夢「私も手伝うわ!調味料(スペルカード)位は出してあげるわよ!」

 

早苗「私も!ハヤチャンに酷い事をさせた罰です!!」

 

金剛はコンゴウの言葉に気合いの入った声で答え、霊夢と早苗もまた、懐からスペルカードを取り出し、殺気丸出しのまま射命丸に近付くと、射命丸は恐怖に怖じ気づいたのか、身体を震わせながら四人に言った

 

射命丸「アヤヤヤ!!み……皆さん、本当に殺るのですか!?冗談は口だけにして欲しいです!」

 

コンゴウ「………これが冗談に()()()()?」

 

コンゴウは相当苛ついているのか、ナノマテリアルブレードを射命丸の首に当てながら言うと、射命丸はコンゴウの言葉に完全に怖じ気づき、顔面蒼白になりながら命乞いをした

 

射命丸「……本当にごめんなさい!!もう勇人さんに関しては今後、取材はしませんので命だけは御助け下さい!!」

 

射命丸は本当に死にたく無いのか、土下座をしながら命乞いをすると、射命丸の背後から新しい隙間が現れ、隙間から真琴と勇人が現れ、コンゴウ達を窘めた

 

真琴「まぁまぁ……本人も反省しているんだし、許してあげれば?」

 

勇人「もう過ぎた事だし、俺は気にしていないから艤装を仕舞いな……これは命令だ」

 

射命丸「ッ!?ありがとうございます!!」

 

W金剛「御祖母様(グランマ)艦長(テートク)!?」

 

霊夢 早苗「伯母様(真琴さん)勇人(ハヤチャン)!?正気!?」

 

四人は勇人と真琴の言葉に驚愕し、射命丸は安堵しながら頭を下げると、勇人は射命丸に微笑みながら言った

 

勇人「ああ……ただ射命丸には少し()()()()()()()()()があるんだ」

 

射命丸「手伝って……貰いたい事……ですか?」

 

射命丸は勇人の言葉に首を傾げると、勇人は微笑みを崩さず、そのまま自身の要件を射命丸に言った

 

勇人「ああ、幻想郷の能力者全員を呼んで今夜、舞鶴で宴会をするんだ……だが俺は『別件』で今すぐに『平行世界』に行かないといけないんだ……だから射命丸には悪いが、俺の代わりに宴会の参加者を集めて貰いたいんだ……やってくれるか?」

 

勇人は『別件』で『平行世界(アズールレーン)に行く事』と『勇人の代わりとして射命丸が舞鶴の宴会の参加者を集めて欲しい事』を伝えると、射命丸は土下座の体勢から立ち上がり、意気揚々と勇人に答えた

 

射命丸「勿論です!!後、集合先はどうします?」

 

勇人「……『博麗神社(此処)』か『守谷神社(早苗の所)』に集合してくれれば、後で紫が隙間で参加者全員を舞鶴に転送するつもりだ」

 

射命丸「分かりました!!では……そぉーれぇ!!」

 

ブァサッ!!

 

勇人「ッ!?」

 

霊夢 真琴「ちょ!?」

 

早苗 コンゴウ「キャッ!?」

 

金剛「oops!」

 

射命丸は勇人の願いを快諾し、スーツを脱ぎ捨て、普段着である『修経装束』に着替え、背中の黒い翼を一気に開くと、勇人達は射命丸の翼から発した風圧に吹き飛ばされ無い様にナノマテリアルブレードを地面に刺し、しがみついたり、艤装の重みを使って足腰を地面に這わせる様に踏ん張っていると射命丸は「アヤヤヤ……」と呟き、申し訳無さそうに勇人達に謝罪した

 

射命丸「……すみません、久々に『元の姿』に戻れる解放感を味わいたかったので、つい……」

 

勇人「まぁ気持ちは分かるが、控え目に頼むぞ……」

 

射命丸「本当にスミマセン……」

 

真琴「だけど、ハヤチャンも()()()から良いでしょ?」

 

射命丸「あ!?成程……勇人さん、何か良い物が見れました?」

 

勇人「ッ!?何をだ?」

 

勇人は射命丸の気持ちを分かっていたのか、苦笑しながら答え、真琴は悪意のある笑みを溢しながら勇人に聞くと、勇人は心当たりがあるのか一瞬、顔を強張ったが、直ぐにポーカーフェイスになり、二人に聞き返すと二人は笑みを崩さ無いまま、勇人の質問に答えた

 

その『心当たり』とは……

 

真琴「往生際の悪い孫ね……ダブル金剛ちゃんと早苗ちゃんの『色』は?」

 

射命丸「見えた範囲で御願いします」

 

勇人「ダブル金剛は『黒』早苗はサラシから透けたブラの色から察するに『ピンク』……って!?何を言わせんだ!!」

 

射命丸「はい♪言わせました♪」

 

真琴「相変わらず動体視力は良いわね……流石、私の孫ね♪」

 

……事故とは言え、W金剛と早苗の下着を見てしまった事だった

 

W金剛と早苗は勇人に見られた事に何故か残念そうに呟いた

 

W金剛「ッ!?艦長(テートク)に見られた……今夜、艦長(テートク)と夜戦の時に見せたかったのに……」

 

早苗「ハヤチャンに私の勝負下着……見られちゃった……今夜、ハヤチャンとヤる時に見せたかったのに……」

 

霊夢「いやいやいや!?普通なら『どこ見ているのよ!!』とか『この変態!!』って言いながら、恥ずかしそうにビンタをする(オチ)でしょ!?ってか『ソレ』をしたら佐世保鎮守府内で『第三次世界対戦(地上最悪のシュラバヤ沖開戦)』待った無しよ!?それにアンタも何、素直に答えているのよ!!」

 

霊夢はW金剛と早苗そして勇人に一喝(ツッコミ)をすると、勇人は悟ったかの様に遠い目になり、霊夢の一喝(ツッコミ)を返した

 

勇人「……今回の事件で、前世含めて『俺の失態(黒歴史)』が(おおやけ)になったからな……色んな意味で吹っ切れたよ……霊夢……」

 

霊夢「あ……そう言えば、そうだったわね……同情するわ、勇人」

 

勇人「……泣けるぜ」

 

霊夢は色んな意味で吹っ切れた勇人に同情するかの様に勇人の肩にポンと手を乗せ、呆れながら言うと、射命丸はニコニコと微笑みながら翼を使って少し上昇しながら勇人に言った

 

射命丸「ゴホン……では、私は今夜の宴会の広報を行いますので、後は御願いしますね♪それでは!」

 

勇人「おう、頼むぞ」

 

勇人は射命丸に願いを託すと、射命丸は意気揚々と光の速さの如く幻想郷の空に消えて行った

 

そして……

 

勇人「んじゃ、俺は別件の用事を済ませてくるわ……バーチャン、後は宜しく」

 

真琴「はいよ、気を付けてね」

 

勇人は射命丸を見送った後、直ぐに別の隙間を展開し、その隙間に入り、残りの仕事を真琴に押し付け、その場を後にすると、真琴は微笑みながら承諾し、見送ると、真琴は微笑みを崩さ無いまま四人に言った

 

真琴「さて!宴会までの間は稽古をするわよ……四人共」

 

霊夢「ゲ!?……逃げるわよ!早苗!ダブル金剛!!」

 

早苗「勿論です!!宴会前に『満身創痍にされる(ピチュられる)』のは嫌ですからね!!」

 

コンゴウ「……そんなに強いのか?」

 

金剛「見た感じ、普通のWomanにしか見えないネー……どれ位に強いのですカ?」

 

二人は真琴の強さを熟知しているのか、如何にも『嫌そうな表情』になり、W金剛に簡潔ではあるが説明した

 

霊夢「……『戦闘モード Monster(付喪神)』になった勇人とタメ張れるわ」

 

早苗「しかも真琴さんは、ハヤチャンと『同じ能力』を持っているのです!」

 

W金剛「What!?(なっ!?)Really?(本当か?)

 

W金剛は二人の言葉に驚愕しながら聞き返すと二人は黙って頷くと、W金剛は真琴をチラ見し、互いを見て……

 

金剛「Disarmament(艤装解除)……Kongo(コンゴウ)

 

コンゴウ「……I do not even have to say it(言われなくても分かっている)……よいしょ……」

 

スッ……

 

コンゴウ「……Run!(撤退!)

 

金剛「Allight!!(了解!!)

 

ピューッ!

 

早苗 霊夢「速ッ!?ってか、置いて行かないで(行くなぁ)!!」

 

……小声ではあるが英語で会話し、コンゴウはロングスカートの膝の部分を持ち上げ、金剛は艤装を解除し、一目散に舞鶴に繋がっている隙間に逃げようと走り出し、早苗と霊夢もまたW金剛に釣られて慌てながら逃げようとしたが、真琴は呆れながら指を鳴らした

 

真琴「やれやれ……隙間閉鎖」

 

パチン!

 

シュッ……

 

W金剛 早苗 霊夢「なっ!?」

 

ズサーッ!

 

真琴は、野球のヘッドスライディングをする様に隙間に飛び込もうとした四人を幻想郷に閉じ込める様に隙間を閉鎖すると、四人は、そのまま地面に擦り付ける様に滑り倒れ、真琴は微笑みを崩さないまま、倒れている四人に近付きながら言った

 

真琴「……あらあら、余程『特別な稽古』をしたいらしいわね」

 

霊夢「いやいやいやいや!私だって死にたく無いわよ!幻想郷史上『()()()()()()()()』と言われていた伯母様に勝てる筈が無いわよ!!」

 

早苗「私もです!!」

 

W金剛「以下同文(me too)!!」

 

四人は真琴から発せられているドス黒いオーラに怖じ気ながら答えると、真琴は自身の通り名に不満を抱えているのか、霊夢達に愚痴を吐く様に答えた

 

真琴「『幻想郷史上最低最悪の破壊巫女』って……私『門〇士(ディ〇イド)』や『常〇ソ〇ゴ(ジ〇ウ)』じゃないのよ……しかも酷い『通り名』ね……せめて通り名が『姉さん』みたいに『幻想郷史上()()()()()()()巫女』にして欲しかったわ」

 

霊夢「……それ、死んだ御祖母様に聞かれたら『幻想郷崩壊レベルの大異変勃発(姉妹喧嘩)』待った無しだわ……」

 

霊夢は少し身震いをしながらも悪態を吐くと、霊夢の隣に新たな隙間が現れ、隙間から紫が顔を出し、先程のやり取りを聞いていたのか、呆れながら真琴に言った

 

紫「よっこいしょ……その通りよ真琴、只でさえ五年前の勇人が能力による暴走をしただけで幻想郷が崩壊寸前になったのに貴女まで暴走したら幻想郷ところが『平行世界』含め『全ての世界』が崩壊するわ……後、霊夢を借りるわよ」

 

ガシッ!

 

霊夢「ちょ!?紫!?何で私が!?」

 

霊夢は、いきなり現れた紫に襟を掴まれた事に動揺しながら紫に聞くと、紫は相当切羽詰まっているのか、少々強い口調で霊夢の質問に答えた

 

紫「勇人絡みの別件で保険を掛けたいの!!真琴!霊夢だけ稽古から外してくれない?」

 

真琴「……嫌よ、それに勇人(あの子)の別件で保険なんか掛ける必要が無いわよ……あの子、私に似て相当強いから問題無いわよ」

 

真琴は紫の要望を微笑みながら拒否すると、紫は少し苛つき、先程から更に増して強い口調で真琴に言った

 

紫「逆に『()()()()』から『()()()』が勇人や此処を狙っている可能性が極めて高いのよ!!それでも嫌なら霊夢の代わりに『メンタルモデル(蒼き鋼)』と『勇人の所(佐世保鎮守府)』の『金剛型全員』と交換するから、それで手を打って頂戴!!」

 

紫は鬼気迫る勢いのまま真琴に言うと、真琴は紫が発言した『アイツ』についての情報が既に耳に入っているのか、先程まで微笑みから一転し、神妙な表情になり、紫の説得に応じ、霊夢に命令した

 

真琴「……成程ね……アイツならアンタと同じ『目的の為に手段を選ばない奴』だからね……霊夢……今すぐ勇人の手伝いをしなさい……これは『博麗一族()』と『博霊一族()』両方の力を使わないと、非常に厄介な事になるわよ」

 

霊夢「……大体分かったわ、んじゃ『一仕事』してくるわ……紫」

 

霊夢は事の重大さを『ある程度』知ったのか、はたまた真琴の稽古から早く抜けたいのか、少し急かす様に紫に御願いをすると、紫は霊夢の足元と頭上に隙間の割れ目を召喚し、慌てながら言った

 

紫「分かったわ!隙間解放!それじゃ頼んだわよ!!」

 

紫は霊夢の足元と頭上の隙間を解放すると、霊夢は足元の隙間に落とすと同時に足元の隙間を閉鎖し、頭上の隙間から勇人側の比叡、W榛名、霧島そして『摩耶に似た勝ち気のある茶髪の女性』が落下し、無事に幻想郷に集まった事を確認し、すぐに自身の隙間を閉鎖し、幻想郷を後にした

 

比叡「ヒェーッ!?これはどういう訳ですかダブル金剛御姉様!?ってか此処、何処?それに貴女は?」

 

榛名「御祖母様、何故……榛名達を?それに……」

 

ハルナ コンゴウ「ッ!?嘘だろ……真琴(御祖母様)、これは一体……」

 

霧島「眼鏡眼鏡……皆さん、私の眼鏡は?」

 

金剛「知らないデース……ってか、貴女は?」

 

比叡と榛名は真琴に『今居る場所』と『茶髪の女性』について、ハルナとコンゴウは女性の正体を知っているのか、少し狼狽えながら真琴に質問すると、霧島は眼鏡を無くし、裸眼では見えている物『全て』がボヤけてるせいなのか、普段の知性溢れる穏やかな目付きから一転し、鋭い目付きになりながら探すと、茶髪の女性は呆れながら自身の頭の上に引っ掛かっている眼鏡を外し、霧島に渡した

 

茶髪の女性「ホラ、眼鏡なら此処にあるぞ」

 

霧島「あ……ありがとうございます……ッ!?貴女は?」

 

霧島は女性から眼鏡を受け取り、そのまま掛けると、目の前にいる見知らぬ女性が居た事に少し動揺し、その女性に聞くと、女性の代わりにコンゴウが狼狽えながらも霧島達の質問に答えた

 

コンゴウ「……キリシマの『本来の姿』だ」

 

金剛型4姉妹「はぁ!?あの『ぬいぐるみ(テディベア)』が!?」

 

そう『摩耶に似た勝ち気のある茶髪の女性』の正体は、あのテディベアである『キリシマ』本人だったのだ

 

キリシマは金剛型4姉妹の反応を見て、自身も驚いているのか、少し狼狽えながらコンゴウに言った

 

茶髪の女性改め『キリシマ』「え!?私が元の姿に!?コンゴウ!手鏡を貸してくれ!」

 

コンゴウ「……はいよ」

 

コンゴウは持参している手鏡をキリシマに渡すと、キリシマは手鏡越しではあるが、自身の今の姿を見て、余程嬉しかったのか、興奮し、感極まって泣きながら叫んだ

 

キリシマ「ほ……本当に……元の姿に戻っている!!ヨッシャァァァァァ!!!これで『ヨタロウ』やら『蒼き鋼のマスコットキャラ』とか言われなくて済むぞォォォ!!」

 

ハルナ「良かったなキリシマ……しかし何故、アイツ自身のナノマテリアルが枯渇しているのに身体が元の姿に戻れたんだ?」

 

ハルナはキリシマが人形になった原因である『キリシマ自身のナノマテリアルが枯渇している事』について触れながら真琴に聞くと、真琴はキリシマが喜んでいる事に安堵し、微笑みながら答えた

 

真琴「簡単よ♪一時的ではあるが、ナノマテリアルの代わりに私の『霊力』でキリシマちゃんを元に戻したのよ♪勿論これは、あくまでも『一時的』だから私の霊力が底に着くか、キリシマちゃんに供給している霊力を止めれば元のテディベアに戻るから注意してね」

 

キリシマ「マジかよ!?流石、勇人のバーチャンだ!!私達に出来ない事を平然にするなんて……そこにシビれる!あこがれるゥ!」

 

真琴「フフフ♪誉めたって何も変わらないわよ……さて!全員揃った事だし……稽古するわよ」

 

早苗 W金剛「ッ!?」

 

比叡「へ?」

 

榛名「稽古……」

 

霧島「ですか?」

 

ハルナ「……んで、その『稽古内容』は?組手?演習?」

 

キリシマ「稽古!?ならバッチコイだ!久々に『この身体』で戦いたいからな!!早く始めようか真琴!!」

 

真琴は微笑みながら本来の目的である『稽古』を始める事を全員に言うと、早苗とW金剛は顔が引き釣り、キリシマは興奮し、それ以外の連中は首を傾げながら真琴に聞くと、真琴は微笑みを崩さないまま比叡達の質問に答えた

 

真琴「そんなバイオレンスな事はしないわよ♪今回の稽古内容は『宴会芸の練習』よ♪」

 

W金剛「へ?」

 

早苗 比叡 榛名 霧島「宴会……」

 

キリシマ「Guy?(ゲイ?)

 

ハルナ「……何故、宴会芸を?それは勇人と千早群像が担当するんじゃ……」

 

金剛達は真琴の稽古内容である『宴会芸』だと聞き、W金剛は安堵しながらも、その場に居た全員が首を傾げながら聞くと真琴はキリシマの流暢な発言に苦笑しつつも、金剛達の質問に答えた

 

真琴「キリシマちゃん、それは違う『(Guy)』よ……ハルナちゃん、今勇人が別件で平行世界『アズールレーン』に行っている理由を知っているわよね?」

 

ハルナ「……『平行世界の艦娘に虐げられた方の勇人』を治療しに……だよな」

 

金剛「………成程ネー、だからグランマは……」

 

ハルナは簡潔ではあるが、勇人が平行世界に行った理由を答えると、金剛はハルナと真琴の言葉をヒントに真琴の考えを察したのか、微笑みながら呟くと真琴は金剛の考えが当たっているのか、金剛の考えを肯定し、自身の考えを金剛達に伝えた

 

真琴「そうよ、アズールレーンの方の佐世保鎮守府に着任した『平行世界の勇人』を祝う為に宴会芸を行うのよ……それに、今後『アッチの勇人』と関わるであろう貴女達が彼に『艦娘に対しての最悪なイメージ』を払拭し、本来の貴女達(艦娘達)はアズールレーン版の艦娘……確か……『艦船』だったかしら?その艦船と同じく『人類を守る軍人』だと知ってもらう為にね」

 

そう、真琴は平行世界の勇人の着任祝いと共に、艦娘に対して強いトラウマを持っている平行世界の勇人の意識を変える為に宴会芸を始めたのだ

 

金剛達は真琴の『本当の目的』を聞き、余程ショックなのか、少し俯きながら言った

 

比叡「あ……成程……」

 

早苗「確かに……アッチのハヤチャンは金剛さん達を見て……」

 

ハルナ「アッチの艦娘と一緒にされてしまうからな……」

 

榛名「……それに、あんな『極悪非道な金剛御姉様達』と一緒にされる御姉様達からすれば『傍迷惑』……いえ……『虫酸が走る話』ですね……」

 

コンゴウ「……メンタルモデルである私達からしても『許しがたい事』だ」

 

キリシマ「……全くだ」

 

霧島「……私と金剛御姉様は過去に司令を危害を加えていた身として、あまり強く言えませんが……本当に許せない話ですね」

 

金剛「……Yes」

 

金剛達は『平行世界の勇人』が受けた待遇を事前に勇人か紫から聞いていたのか、話を纏める毎に、徐々に『平行世界の勇人が元居た世界の艦娘達』に対しての強い怒りが身体の内側から込み上がってくるかの様に殺気の籠った真剣な表情になりながら話を纏めると、真琴は金剛達の怒りを落ち着かせる為に、微笑みを崩さず、金剛達の気持ちを切り替える様に少しハリのある強い声を出し、金剛達に言った

 

真琴「だから、アッチの勇人に再認識させる為に行うのよ!分かった?」

 

真琴は微笑みながら金剛達に言うと、金剛達は黙って頷くと真琴は隙間から宴会芸用の衣装であろう『金剛型に似た巫女服』を取り出し、メンタルモデル側の金剛型三人に渡しながら言った

 

真琴「後、コンゴウちゃん達は『コレ』を着て練習してね」

 

コンゴウ「これは?」

 

ハルナ「多分『宴会芸用の衣装』だ」

 

キリシマ「うわぁ……如何にもパンツとブラが見えそうな『際どい衣装』だ……真琴、まさか『コレ』を……」

 

メンタルモデルの金剛型三人は真琴に渡された衣装を見て、()()()()()()()()に顔を引き釣ると真琴は微笑みながら答えた

 

真琴「その通りよ、ちなみに『コレ』は歴代の博麗の巫女達が着ていた物を仕立て直した物よ……勿論、着るよね?」

 

真琴はドス黒いオーラを放しながら微笑みかけると、メンタルモデルの金剛型三人は……

 

メンタルモデルの金剛型三人「……泣けるぞ」

 

金剛型四姉妹 早苗「……同情します」

 

真琴「よし!では始めるわよ!」

 

……何かを諦めたかの様に勇人の口癖を言いながら渋々、衣装に着替え、金剛型四姉妹と早苗と共に宴会芸の練習を始めたのは言うまでもなかった……


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