Admiral of Roughneck~From black to white~ 作:八意 颯人
妹紅達が隙間経由で日本に帰国している同時刻、佐世保鎮守府 第三前衛基地 執務室では……
「……繋がりませんね……こんな時に……」
妖夢は勇人の命令で大本営に電話をしていると彼女の秘書鑑である天龍と木曽が珍しく妖夢が苛ついている表情を見て狼狽えながら聞いた。
「い……一体どうしたんだ妖夢?そんなに苛ついて……」
「あ……『兄貴』絡みで何か問題でも起きたのか?」
天龍は狼狽えながら首を傾げ、木曽は妖夢の
「あーもう!!うるさい!!此方は急いでいるんですよ!!静かにしてくれませんか!」
「「ヒィッ!?は……ハイィィィ!!」」
「妖夢、ちょっと落ち着きなよ。急いでいるのは分かるけど……」
「其所で失敗したら元も無いわ。一体どうしたの?」
妖夢は能天気に聞いた天龍と木曽に自身の苛立ちをぶつける様に怒鳴ると二人の姉妹鑑である北上と龍田が妖夢の怒りに震えている二人を窘めながら聞くと妖夢は二人の発言に我に帰りながらも少し急かす様に二人の質問に答えた。
「……今ドイツに居る勇人さんから伝言を頼まれたのですよ。しかも事を急いでいるんです」
「そうだったの……ん?『ドイツ』?」
「………ちょっと待って。今、総司令官は舞鶴では無く『ドイツ』に居るって言わなかった?」
龍田と北上は妖夢の説明に納得しつつも今現在、勇人がドイツに居る事に嫌な予感を感じ、恐る恐る妖夢に聞くと、妖夢は神妙な表情になりながら事の経緯を簡潔に説明した。
「……ニュース見てないのですか?今、勇人さんはテロリストに襲撃された『元 呉鎮守府総司令官』の『柏木大将』を治療する為に八意先生……私の知人の医者と共にドイツに居るのですよ」
「「…………はぁ!?柏木大将を治療する為に!?ってかテロリスト!?」」
「……此方も、あの新入りについて頭を抱えているのに……」
「……全くよ。それで妖夢、総司令官の伝言の内容は?」
天龍と木曽は妖夢の説明に事の重大さに気付いたのか、かなり狼狽え、北上は自身の言葉通り頭を抱えながら悪態を吐き、龍田は妖夢の任務である『勇人の伝言を大本営総司令官に伝達する任務』の内容である『伝言内容』について真剣な表情になりながら聞くと妖夢は時間が無いのか、かなり大雑把に説明した。
「……『
「大岡って……あの警察上がりの新兵さんの事ね。何故、延ばす必要があるの?何か彼女に疚しい事でもあるの?」
龍田は妖夢の説明に首を傾げながら聞くと、ある程度の事情を知っている北上は神妙な表情になりながら妖夢の代わりに自身の憶測を交えた説明を続けた。
「……そんな子供染みた生易しい事では無いよ。『総司令官側の私』から聞いた情報だけど、彼女は兵士や憲兵すら持っていない『ある権利』を使って総司令官を……いえ下手すれば、この鎮守府を解体するつもりだよ。だから総司令官は、それを阻止する為に妖夢を通して大本営に『ある提案』を提示させているんだよ……そうだよね妖夢?」
「……そうです」
「……ねぇ妖夢に北上、その……彼女しか持っていない『権利』というのは?」
妖夢は頭を頷き、北上の憶測を肯定すると龍田は北上が言った『ある権利』について触れると北上は普段の緩い表情から真剣な表情になりながら答えた。
「……『勅令解体権』と『委託外部逮捕権』を持っているんだ。しかも本来なら総司令官である
「「ッ!?嘘だろ!?あの新兵が『大本営総司令官と同格の権利』を!?」」
「チッ……不味いわね。しかも警察と組んでいたとは……」
「勅令解体権に委託外部逮捕権?」
北上の説明に天龍と木曽は忠実が持っている権利に驚愕し、龍田は舌打ちをし、神妙な表情で呟き、妖夢は北上が言った権利にピンと来なかったのか、首を傾げながら聞き返すと北上は妖夢に分かり易く説明し直した。
「……分かり易く言うと『勅令解体権』は
北上は妖夢に分かり易く、そして『その権利の本来の使い方』を簡潔に伝えると妖夢は『勇人の伝言の真意』が分かったのか、勝ち誇った笑みを溢しながら言った。
「……解体に逮捕ですか……だから勇人さんは……彼女の権利を利用して……相変わらず悪どい真似をしますね……」
「よ……妖夢……その『腹黒い笑み』は止めてくれないか?まるで『
「……全くだ」
天龍と木曽は妖夢の悪どい笑みを見て、ドン引きしながら注意すると執務室に置かれている黒電話が鳴り響き、それを龍田が取り、普段の柔らかい口調で通話相手に聞いた。
「私が出るわ……はい。此方『佐世保鎮守府 第三前衛基地』の龍田です。御用件を御願いします『
龍田は通話相手が『
「龍田ちゃん!!大本営の三笠よ!!今すぐ大将に代わって!!早くして!!」
「ッ!?落ち着いて下さい。今、大将は席を外しています……それに、
「あーもう!!
「元帥、落ち着いて下さい。今、内線を通して……」
「ッ!?龍田さん!今すぐ私に代わって下さい!!」
「ちょ!?妖夢!?この電話は
「其処まで配慮しますから貸して下さい!!」
龍田は通話相手である『大本営総司令官の三笠元帥』の怒鳴り声に驚いたのか、少し顔を顰めながらも切羽詰まっている彼女を落ち着かせながら勇人のスマホに繋げようとした途端、妖夢は通話相手が三笠元帥だと知り、電話を奪い、三笠元帥の要件を先読みしたかの様に真剣な口調で三笠元帥を窘めた。
「御電話、変わりました。妖夢です。今、勇t……じゃなかった上城大将は
妖夢は、この通話が
「………え!?大将と八意先生が!?よ……良かった……あの二人なら……きっと……」
三笠元帥は妖夢の言葉の真意を察したのか強い安堵感が込み上がったかの様な涙声になりながら呟くと妖夢は自身の
「……安心するのは早いですよ三笠元帥。私は大将から『伝言』を預かっていますので、それを実行してから感傷に浸って下さい」
「グスッ……ごめんなさい。私とした事が……その『大将からの伝言』って?」
「はい。実は……」
三笠元帥は妖夢の優しい渇を受け、先程までの安堵感が混じった涙声を払拭するかの様に真剣な口調に変わると、妖夢は本来の目的である『勇人の伝言』を伝えた。
「………という訳です。そうすれば警察上がり特有の『正義感の塊』を身体で現した様な性格を持つ大岡軍曹は自発的に『大掃除』を行い、貴女が『後仕上げ』をすれば
「「なっ!?軍曹を利用して……」」
「成程……あの新兵を使って『時期外れの大掃除』を……ねぇ……」
「なかなか強かな事をするわね……あの御大将は……」
天龍、木曽、北上そして龍田は妖夢から『勇人の伝言』もとい『勇人の作戦』を聞き、驚愕すると共に勇人の作戦が
「……相変わらず悪どい事を平気に思い付くわね……あの御大将は……まぁ、それ位なら良いわ♪彼女には『研修』として明後日、彼方に送り込む様に手配しておくわ♪それじゃ、彼を宜しくね♪」
「……宜しくお願い致します三笠元帥。では失礼致します」
妖夢は微笑みながら通話を切ると天龍達は勇人の伝言内容を聞いて完全に一本取られたのか、呆気が混じった乾いた笑い声を出しながら呟いた。
「あははは……まさか『大将の経歴』を理由にし『軍人として
「……一本取られたな」
「まぁ『彼方さん達の艦娘達』にとっては吉報でもあるし、あの新兵の
「流石、妖夢の兄貴分だわ♪これなら安心して時間を稼げるわね♪」
天龍達は勇人の作戦に勝利を確信したかの様に和気藹々に会話していると妖夢は自身の
「……そうですね。これで最悪『勇人さんの
「引っ掛かる?何が?」
天龍は妖夢の疑心感が入った言葉に首を傾げながら聞くと妖夢は難しい表情になりながら答えた。
「はい……何故、警察は勇人さんを……いえ大将を必要以上に『いちゃもん』を吐ける様に迫って行くのかなぁ……って……軍の命令とは言え、警察だけでは無く一般市民まで迷惑を掛けたのは事実ですが、この事は
「いちゃもんって……まぁ強ち間違っては無いが……何でだろ?」
天龍は妖夢の喩えに少し苦笑しながらも首を傾げると執務室に軍服を着た容姿端麗の若い女性が勝手に入り、彼女の人柄の良さを表したかの様な優しい微笑みを溢し、話を聞いていたのか妖夢の疑問に答えた。
「簡単な理由よ。
「「「「ッ!?お……おおお……お帰りなさいませ
「あ!?優花さん、お帰りなさい。大将は今……」
天龍達は慌てながら、妖夢は笑みを返しながら女性もとい『妖夢達の
「分かっているわ。今、別件で勇人君はドイツに居るんでしょ?所で状況は?」
「……一先ず『1つ目の最悪の事態』だけは避けました」
妖夢は少し不安感を募らせながら優花の質問に一言だけ返すと優花は「上々ね」と妖夢を誉めるかの様に微笑みながら返し、少し不安感を募らせている妖夢達を励ます母親の様に優しく妖夢の頭を撫で、続けて言った。
「……後は勇人君と八意先生を信じましょ。あの二人なら必ず治してくれるから……ね♪」
「……そうですね。信じましょ……彼を……」
妖夢は優花に頭を撫でられ、彼女の優しく柔らかい雰囲気に甘える様にリラックスした表情になりながら答え、勇人達を信じながら普段の業務に取り掛かった。
余談だが……
「「「「やっぱり癒されるなぁ~……」」」」
「ん?皆さん、どうしたのですか?」
「「「「ッ!?い……いや、何でも無い……」」」」
「アンタ達ねぇ………気持ちは分かるけど、早く持ち場に戻って」
天龍達は妖夢の仔犬の様な覚束無い業務作業を見て癒されたのは言うまでも無かった。
だが勇人も含め、皆は知らなかった……
日本の『とある鎮守府の屋上』にて……
「……イーッヒヒヒッヒ♪『艦娘』に『人間』……これを使えば面白いになりそうですわ♪さぁ……お手並み拝見と行こうじゃないの……人間が人間を裁く瞬間をね♪」
これが『1つ目の最悪の事態の回避』では無く、後々『平行世界の"過去と