叢雲は血で汚れたシーツを払い、羽織る。
折角、修復した体も
全身を枝に叩かれ、いたるところが傷だらけになっている。
痛みに耐えながら立ち上がる。
着地から十数秒後のウエイトの後、
大きな爆発音が聞こえた。
叢雲「白露、、!!」
夕暮れの空が木々の間から確認出来る。赤々としていた。
叢雲「白露!白露!応答しなさいよ!」
無線で呼び掛けるも、応答は無い。
慌ただしい声に意識を呼び起こされる。
枯葉の山が崩れ、血まみれの学生服を着た暁が起き上がる。
暁「叢雲、、白露は?」
叢雲「、、わからない、でもヘリが爆発して、、」
暁「そんな、、白露!白露!」
暁も白露に通信を入れるも、
結果は変わらなかった。
2人は落胆し、うなだれる。
しばらくの沈黙
叢雲「ここに居ても仕方ないわ、行きましょう」
暁「行くって、どこへ?」
ポロポロと涙を零す暁
叢雲も同じく泣きたい気持ちであったが、
唇を強く結び、泣くのを我慢した。
叢雲「この先の小屋に向かうわ、
事情を話せば、車を借してくれるかもしれない。
行きましょう」
気力を失った暁の手を引き、
森の中に入っていく。
叢雲の頬を一筋の涙が伝った。
幾つもの爆弾が川に落ちる。
周囲の木々は爆散し、燃え上がる。
瑞鶴「なんで攻撃が当たらないのよ!」
遠方から艦載機の映像を受信する瑞鶴は、
拳を握り締める。
戦艦ル級「クックック、タノシクナッテキタナ」
戦艦ル級は嬉しそうに落ちてくる爆弾を避け、
艦載機を迎撃する。
重巡リ級「テキニイチヲシラレマシタ!
サクセンハ、シッパイデス!」
必死に攻撃を避ける。
川を登る戦艦ル級達は、
瑞鶴の艦載機に追いつかれ、攻撃を受けていた。
しかし、練度の差からか、
いまだ戦艦ル級達には1発も有効打を与えていなかった。
瑞鶴「どうしよう、このままじゃダムに辿り着いてしまう」
応援を望めない現状では、
瑞鶴だけで敵を殲滅しなければならない。
自然と焦りの気持ちが湧いてきた。
戦艦ル級「サクセンハ、シッパイデバナイ、コレハタダノヨキョウ二スギナイ、
オマエモタノシメ」
落ちて来た爆弾をキャッチし、艦載機に投げ返す。
見事命中し、艦載機は花火の如く砕け散った。
重巡リ級は返す言葉も見当たらず、唖然とするのであった。
基地
コンゴウ「目障りだ、消えろ」
大量の誘導ミサイルを射出、的確に敵を捉える。
次々と爆散、誘爆する。
コンゴウ「負傷しているものは下がれ!後は私がやる」
振り向きざまに機銃を一斉射
味方に襲いかかろうとしていた敵をスハチの巣にした。
金剛「オー!グレート! コンゴウ、助かったネー!」
榛名「ありがとうございます、コンゴウさん!」
ボロボロになった金剛姉妹がヨロヨロと移動する。
仲間をかばい、その身で砲撃を受けていたのだ。
コンゴウ「沈みたくなければ下がれ、その身では長く持たん」
ここぞとばかり、敵の攻撃が金剛姉妹に襲いかかる。
クラインフィールドを貼り、金剛姉妹の退路を守った。
瑞鳳「数が多過ぎるって!」
敵艦載機とドックファイトを続ける瑞鳳の艦載機
既に爆弾はそこを尽き、数は半数まで落ち込んでいた。
瑞鳳「やられるのも時間の問題だよ、、」
その時、後方から新手の艦載機軍が現れ、戦闘に加わった。
瑞鳳「あれは!」
次々と敵艦載機を攻撃し、空中に散らす。
飛龍「遅くなってごめんね、交代しよ、瑞鳳」
瑞鳳「飛龍さん!」
飛龍はニコッと微笑んだ。
千歳「味方の被害甚大!敵の勢い、止まりません!」
状況を報告する千歳の声に絶望の色が見え始めた。
大井「なーに弱音吐いちゃってるの!
そんな事言ってる暇があるなら、
1人でも多く倒しなさいな!」
魚雷軍が敵を爆破する
爆煙から現れた大井は頬のすすを拭う
那智「怯むな!撃ち続けろー!!」
足柄「うぉーりゃーー!!」
睦月「えーい!」
吹雪「とりゃー!」
夕立「ぽ、ぽいー!」
那智の号令のもと、果敢に攻撃を続ける。
コンゴウ「ヒリュウ、このままでは埒があかない。コレを使う」
コンゴウの艤装が割れ、
中から巨大なレーザー照射装置が顔を出した。
飛龍「コンゴウ、、
オーケー、フォローは任せて!」
飛龍はコンゴウの前に立ち、
近づく敵艦を艦載機に爆撃させた。
コンゴウ「発射まで時間がかかる。持ちこたえろ」
敵艦隊を睨み付け腕を組む、
紫色に発光する光の輪が何個もコンゴウの周りに展開し、
集中して演算しているのが分かった。
飛龍「発射まで1隻たりとも通さないんだから!」
飛龍もまた敵を睨み付け、
矢を放つのであった。
森
鬱蒼と茂った木々、人の手が加えられていない森は植物が無秩序に乱立し、
進行を困難なものとしていた。
叢雲「暁、大丈夫?」
足元を確認しながら一歩一歩慎重に進む。
暁「ぐすっ、ぐすっ、、」
目を真っ赤に充血させ、鼻をすする。
そんな様子を見て、歩みを止めそうになるが、叢雲は気丈に振る舞った。
叢雲「さっきの小屋まで、まだ距離があるわ、日が落ちる前に行くわよ」
暁の手を引き、森を進む
暁の手の温もりがいつもより温かく感じ、叢雲の気持ちを強く持たせる。
カサカサ、、
茂みから、何かが動く音がした。
叢雲「!!
暁、何か居るわ」
暁を自分の後ろに回す。表情は固くなる。
暁「叢雲、あなた何も装備ないじゃない。
ここは私が、」
艤装を構え、物音の方へ照準を合わせる。
所々破損が見られる艤装は、
動かすたびに鈍い音がした。
カサカサ、、カサカサ、
気のせいでは無い、確かに何かが茂みにいる。
緊張が走る。
カサカサ、、カサカサ、
「いっちばーん!」
茂みから人影が飛び出して来た、
2人は勢いで尻もちをついた。
叢雲「し、白露?」
飛び出して来た人影の正体は墜落したはずの白露であった。
暁「何度も通信を入れたのよ!ちゃんと答えなさいよ!」
暁の顔は嬉しそうに笑い、
枯れた涙が再び溢れて来ていた。
なりふり構わず白露に抱きつく。
白露はバツが悪そうに頭を掻く。
白露「えへへ、ごめんね
新しい艤装をもらったら嬉しくなっちゃって、答えられなかった」
叢雲「新しい艤装?」
白露の姿を良く見ると、いつもの制服とは随分違う格好
黒い大きなうさ耳リボン
脇を出し、ヘソ出し、黒い紐パン出しのセーラー服
オマケに隠す気の無いくらい短いプリーツスカート
これはまるで、、
白露「島風型の艤装なんだって!
どう!可愛いでしょ!」
フリフリと腰を振ってみせる。
元から見えてるパンツが露骨に晒される。
叢雲「はしたないわよ。心配なんかするんじゃなかったわ」
怪訝な表情の叢雲
そうは言っても、声色はとても嬉しそうであった。
叢雲「それはそうと、どっからそんなもん、拾って来たのよ?」
訝しげに艤装を見る。
白露「この先の小屋に居る妖精さん達に貰ったの、叢雲達も行こ!」
暁「妖精さん?」
疑問を他所に、白露は2人を抱え、小屋に向かって走った。
木々を凄まじいスピードで走り抜ける、
白露「白露はやっーい!」
飛ばされないように帽子を抑える暁
暁「白露!危ないって!」
ビュウビュウ風が流れ、木の葉が舞い上がる。
白露「アハハハハッ楽しいよ〜!
みんな楽しんでる〜!?」
叢雲「ハイハイ、楽しい楽しい」
呆れ顔の叢雲、こうなると手が付けられないのは良く分かっている。
瑞鶴「くっ!
こちら瑞鶴、敵はかなりの手練れ、強襲は失敗、一度艦載機を戻します!」
コンゴウ「何をしている!!ダムを破壊されれば、街は滅ぶのだぞ!」
飛龍「仕方ないよ!瑞鶴、こっちが片付いたら応援に行くから!」
瑞鶴「飛龍さん、、皆さん、すいません!」
飛龍「いいって、いいって、ね、コンゴウ?」
コンゴウ「フンッ」
オープンチャンネルから聞こえる通信は瑞鶴の苦戦を伝えた。
叢雲(敵はまだ進行中、、何か手を打たないと、、)