艦娘達の長い一日   作:よろず屋

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第12話

基地

 

敵は減るどころか、数を増し、海域は深海棲艦の群れがひしめいていた。

千歳「防衛ライン突破されます!」

千歳の偵察機は何とか攻撃を掻い潜り、戦場の様子を克明に伝える。

敵の侵攻は衰えを見せず、意欲的に進軍する。

 

那智「怯むな!撃ち続けろ!

敵の侵攻を抑えるんだ!」

那智も声の続く限り叫び、砲撃を続けるが、

隣には被弾し航行不能になった、足柄、吹雪、睦月の姿があった。

足柄は呻き声を上げ、うずくまり。吹雪、睦月は気を失っている。

 

那智自身も中破し、破けた制服からは血が滴っていた。

夕立「那智さん!もうこれ以上は無理っぽい」

弾を撃ち尽くした夕立は怯えた表情で告げる。

那智「む、弾切れか、なら大破した艦と共に撤退しろ」

夕立「那智さんは!?」

那智「誰かが敵を止めなくてはな」

フッと笑って見せる。

夕立「こんな数、1人で耐えられないっぽいよ!」

その時、数発の砲弾が夕立に向かって飛来してきた。

那智「危ない!」

那智は夕立に覆い被さりモロに被弾

那智「ぐわぁ!」

 

夕立「わわわ、、、那智さん、、」

震える手で那智を起こす。

那智「、、まったくお前は、成績だけでなく、注意力も悪いな」

話すと口から血のあぶくを吐いた。

大破した艤装、脇腹がえぐれ、大量に出血している。

夕立「ううう、、那智さん、那智さん!」

夕立の目から涙が溢れる。

那智「泣いてる場合か、敵は攻撃の手を緩めはしないぞ、

私はもう航行不能だ、早く行け、、」

那智は体を起こし、夕立を引っ張り上げ、

負傷して虫の息の吹雪達の元へ、背中を押した。

夕立は泣きながら吹雪と睦月を抱える。

 

足柄「あんたばっか良い格好するの、ずるいわよ」

足柄を見ると、艤装の壊れた部分を海に捨て、

まだ使える砲台を構えた。

服はズタボロでススだらけ、至る所にある怪我が痛々しい。

痛みを抑えているのか、足元はおぼつかない。

足柄「夕立、私の事はいいから早く行きなさい

早く行かないと補習を増やすわよ」

そう言って足柄は笑って見せる。

夕立「補習は嫌っぽい〜〜!」

慌てた夕立は吹雪と睦月を抱え、

急いで撤退した。

 

那智「やれやれ、お前にも助かって欲しかったんだがな」

か細いため息を吐く那智

足柄「あんたに先逝かれちゃ寝付きが悪いわよ

それに補習が残ってるじゃない、一緒に生きて帰るわよ」

敵に照準を合わせる。

那智「そうだな、帰ったらトコトン教えてやるか」

那智はフッと笑うと敵に向き直る。

那智と足柄はほぼ同時、振り向きざまに敵を撃ち、撃破

それを皮切りに戦闘が再開された。

 

 

 

上流

 

戦艦ル級と叢雲達は川を並走しながら、砲撃し合っていた。

戦艦ル級「フハハハハ!シネェ!シネェ!」

ありったけの砲弾が撃ちまくる。

白露「アチョー!」

白露の見事なハンドル捌きで攻撃を避けるが、

既に何発も砲撃を受けているので、

ハンドルはガタガタ

暁「発射!」

叢雲「続くわよ、発射!」

暁、叢雲の射撃、敵を狙うが、激しい振動でなかなか当たらない。

お互いの外れた弾は、森の木々を破壊した。

 

叢雲「いい加減当たりなさいよ!」

怒りの一撃!

1発の砲弾が戦艦ル級の左腕の砲台を破壊、火が回る。

戦艦ル級「フフフ、オモシロイ」

壊れた砲台を投げ捨てると

砲台は爆発した。

戦艦ル級「コレハ オレイヨ」

右腕の砲台を両手で持ち、一斉射

叢雲達に襲いかかる。

白露「何の!」

ハンドルを切るも避けきれずに艤装に被弾、砲台の何本かが使い物にならなくなった。

叢雲「やってくれるじゃない!」

叢雲、暁の巫女服が破れた。

 

トラックはカーブに差し掛かり、

道は一時的に川から離れる。

強いGが掛かり、艤装を固定してた鎖が外れた。

艤装が荷台を滑る。

暁「叢雲!クサリが!」

叢雲「分かってる!」

叢雲は咄嗟に切れたクサリを両手で掴みクサリの代わりになる、

必死に踏ん張る。

叢雲「うわぁぁぁぁ!!」

暁「叢雲ぉ!!」

超ヘビー級の艤装が叢雲を引きちぎろうと、力を掛ける。

両肩は脱臼、さらに引き延ばそうとする。

暁も加わり、力一杯引いて耐える。

 

やがてカーブを抜け、道は再び川沿いに出ようとしている。

暁は力が緩くなったのを確認し

金具で切れたクサリを連結し直した。

叢雲「ううう、、、」

暁「叢雲、大丈夫!?」

膝を付き両腕をダランと垂らしている。

叢雲「脱臼したみたい、、」

暁は叢雲の腕を持つ

 

一刻も早く治さなければ、

暁「歯を食いしばって」

叢雲はうなづく。

叢雲「ふぐぅ!!うわあぁ!」

暁に戻してもらい、叢雲は腕を回してみた。

叢雲「痛みは残ってるけど、戦えるわ」

川沿いの道に出ると、戦艦ル級が見えた。

 

戦艦ル級「フフフ、キュウケイハオワリ、サァ、ツヅキヲシマショウ」

叢雲「あんまりいい休憩じゃなかったけどね」

嬉々とした表情の戦艦ル級との交戦が再開された。

 

 

基地

 

敵の侵攻により飛龍は完全に敵の陣中で孤立していた。

疲労により、動きが鈍り、敵弾を幾つも被弾していた。

甲板をやられ、艦載機はもう飛ばせない。

上空では帰り場所を失った友永隊が、死力を尽くし、戦っていた。

飛龍「はぁはぁ」

敵の攻撃は止まない。

魚雷群を右へ左へ避け、砲弾を潜り抜け、艦載機を避け、

飛龍は戦い続けた。

1発の魚雷が飛龍の足元で炸裂した。

 

飛龍「きゃあ!」

短い悲鳴を上げるが、容赦のない追撃

たちどころに大破し、海に倒れる。

飛龍「当たっちゃった、、、

瑞鶴ごめんね、応援に行けなくなったよ、、」

上空の敵爆撃機が飛龍の元へやってくる。

友永隊がそれを見て慌てて駆けつけようとするも、間に合わない。

飛龍は上空から飛来する無数の爆弾を眺めていた。

 

飛龍「基地を守りたかったな、、、でも、もうダメみたい、、

多聞丸、今からそっちに行くね、、」

飛龍は静かに目を閉じる。

 

 

コンゴウ「そう簡単に諦められては困るな」

突然、割り込み通信が入る。

飛龍「えっ?」

コンゴウ「超重力砲、発射」

その刹那、目の前の爆弾が巨大なレーザー砲を照射され、爆散した。

 

コンゴウ「味方全艦に告ぐ、伏せろ!」

海域一帯に広がるおびただしい数の敵に向かい、払うように超重力砲を照射する。

紫と黒渦巻く巨大レーザーは敵は次々と爆破し、海を割る!

那智「これは、コンゴウか!

足柄、伏せろ!」

足柄「ちょっと、味方ごと撃つ気!?」

2人は間一髪、レーザーを避ける。

那智達を取り囲む敵は一瞬で蒸発した。

 

大井「ん?何?」

大井が振り向くと、目の前に荒ぶる超重力砲が、照射される。

大井「うわっちちちっ!!あいつ馬鹿じゃないの!!」

照射された大井は焦げながらも、反射的に伏せた。

千歳「すごい、、敵があっという間に、」

観測機からの映像を見ながら、言葉が漏れる。

瑞鳳「補給が済んだけど、これじゃ出番ないかなぁ」

瑞鳳は補給の済んだ艦載機をしまう。

コンゴウの目の前に海域の3Dマップが広がる。

 

コンゴウ「海域の敵は蹴散らした、

後始末は頼んだぞ」

紫の光輪が集束し、消える。

コンゴウは敵の残骸を掻き分け、歩みを進めた。

千歳「敵残存勢力の撤退を確認、

手の空いてる人は、味方の回収を手伝ってください!」

大井「はいはい、

ちっ、コンゴウめ美味しい所みんな持ってくんだから」

大井は舌打ちをして、味方の回収に向かった。

 

コンゴウは、敵の残骸と共にプカプカ浮いてる飛龍の元へ来た。

コンゴウ「遅くなった」

屈んで飛龍を抱き起こす。

飛龍「敵は?」

コンゴウ「撃退した」

飛龍「良かった、、」

飛龍は安堵の表情を浮かべる。

コンゴウもまた、ホッと胸を撫で下ろした。

コンゴウ「ドックへ連れて行く」

飛龍を抱えコンゴウは基地へ向かう。

飛龍(多聞丸、またそっちに行きそびれちゃったみたい)

 

夜空には満月が浮かび、

海を優しく照らしていた。

 

 

瑞鶴「弾薬装填完了、第二次攻撃を行います!

今度こそ、止めて見せるんだから!」

瑞鶴からの通信

コンゴウ「例えこの基地を守れたとしてもダムをやられては、

我々の敗北も同義

頼んだぞ、ズイカク、ムラクモ」

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