艦娘達の長い一日   作:よろず屋

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第13話

上流

 

双方の撃ち合いは相変わらず続いている。

夜なので視界が効かず、やたらめったら撃ちまくっている。

白露「もうすぐダムに着くよ〜!」

道の脇には落石注意の看板、高い岩壁が連なる。

山の谷間をトラックは走る。いよいよダムが見えて来た。

叢雲「くっ、時間が無い!」

暁「敵もあと少しなのに」

戦艦ル級も叢雲達も激しく損傷している。

敵は左肩欠損し、脈打つ度に黒い血が川にドバドバ流れていた。

あれで平気な涼しい顔をしているのだ。

叢雲はその生命力に畏怖の念を抱いた。

 

こちらもひどく損傷した艤装、

何本も砲身を折られ、オイルが漏れている。

トラックもガタガタで、デカイ穴が所々に開いている。

白露のドライブテクニックで駆動系は生きているので、まだ走行している状態だ。

叢雲、暁の疲労もピークに達している。

こっちは必死で戦っているのに、向こうは実に楽しそう。

叢雲「くっ、化け物め、、」

戦艦ル級「ソロソロオワリニスルカ」

フフフッと不敵な笑みを浮かべると、腕を振り、砲撃する。

放たれた砲弾は荷台の叢雲達ではなく、それより前に軌道をとる。

 

叢雲「この弾道は、、!!

白露!危ない!」

叢雲が声を上げた時には、

既に着弾し、窓ガラスを突き破っていた。

運転席で砲弾が炸裂する。

コントロールを失ったトラックは大きく進路をそれ、道の脇にそれていった。

叢雲・暁「わぁーーー!!」

固定された叢雲達はなす術もなく、トラックと運命を共にした。

 

戦艦ル級「ウフフ、タノシカッタワヨ」

戦艦ル級は冥土の土産に投げキッスを送ると、ダムに向かった。

 

 

上空では瑞鶴の艦載機部隊が戦艦ル級を止めるため、

ダムに向かっていた。

瑞鶴「敵は間も無くダムに着くはず、、お願い、間に合って」

瑞鶴は祈りながら川を登っていた。

 

 

 

ダム

 

戦艦ル級「ココガダムカ、」

そそり立つ絶壁、誰もいないダムは静かに佇んでいた。

 

戦艦ル級「ココヲコワシ、マチトキチヲアライナガス、、

ナカナカ タノシメタ サクセンダッタワ」

砲門をダムに向ける。

戦艦ル級「オワリヨ、、、!?」

発射の直前気配を察知し、バックする。

少し離れた所に砲弾が着弾し、水柱を上げた。

 

戦艦ル級「ククク、フハハハハハッ

ホントウニ タノシマセテクレル」

砲撃した方向を振り向くと、

廃車同然のトラックに載っている扶桑型艤装

それもまた、スクラップ同然にボロボロであった。

メチャクチャに壊れたトラックの扉が落ち、

中から血みどろの白露が出てくる。

 

服は破け、身体半分黒焦げになっている。

白露「へへ、艦娘は頑丈なんだよ」

フラフラした足取りで立つ

叢雲「そういう事」

暁「一人前のレディを舐めないでよね!」

道を外れた時に傷付いたのか

叢雲、暁は顔や身体に無数の切り傷を付けている

戦艦ル級もまた塞がらない傷口から止めどなく血が流れている。

死闘を繰り広げた双方は既に体力の限界だった。

戦艦ル級「オマエタチハ ホントウニ タノシマセテクレル

レイヲイウ」

清々しい笑顔の戦艦ル級はお辞儀した。

 

叢雲「礼を言われる筋合いはないわ」

暁「感謝してるんだったら、何もせずに帰ってよ」

戦艦ル級「ククク、ソレハデキナイナ」

戦艦ル級は再び砲門をダムに向ける。

白露「やらせないよ!」

白露は島風型の武装で戦艦ル級を砲撃した。

戦艦ル級はやれやれといった感じで攻撃を受ける。

炸裂した砲弾は戦艦ル級を傷つける事は出来なかった。

 

叢雲「白露、無駄よ。

奴にはこの戦艦の艤装じゃなきゃダメージを与えられないわ」

戦艦ル級はニヤニヤ笑っている。

暁「沈みなさいよ!」

暁が砲撃する。

弾は明後日の方向に着弾した。

 

戦艦ル級「ソンナ ショウジュンノ サダマラヌ タマデハアテラレナイワ」

暁、叢雲の艤装は過度にダメージを負っており、ロクに照準が合わせられない状態であった。

戦艦ル級は舌を鳴らしながら、指を振る。

暁「そんな、、どうすればいいの」

絶望の淵に追いやられる。

戦艦ル級「オマエタチノ ゼツボウコソ ワレワレヲ ウルオス ミナモト

タップリ アジワイナガラ シネ

オマエタチハ ジブンノミモ マチモ マモルコトハ デキナカッタ

フハハハハハッ!!」

ダムに砲撃が加えられる。

 

白露、暁は打ちひしがれ、へたり込む。

ここまで来たのに、止める事も出来ないまま、敵にダムを決壊させられてしまうのか?

叢雲「いいえ、やらせないわ」

1人諦めていない艦娘が居た。

叢雲「私達の身は守れないかもしれないけど、街なら守ってみせるわ」

鋭い視線で戦艦ル級を睨む。

戦艦ル級「ククク、ヤッテミロ

ワタシガ ダムヲケッカイサセルノガサキカ、ワタシヲタオスノガサキカ、」

戦艦ル級は笑いながらダムに砲撃続ける。

ダムにはヒビが入り、一筋の水柱が生えていた。

 

叢雲「フンッ、あんたなんか狙わないわ、私が狙うのは、、」

砲門は戦艦ル級ではなく、自分達の後ろを砲撃した。

戦艦ル級「キデモフレタカ?

カベナドウッテ ナンニナル?」

砲撃は続く。

 

暁「叢雲?、、そういう事ね、分かった私も覚悟するわ。

だって私は、一人前のレディですもの」

暁も壁を砲撃し始める。

白露「白露だって一番頑張るんだから!」

白露も参加する。

 

砲撃をする度、扶桑型戦艦の艤装はポロポロパーツがこぼれた。

戦艦ル級「ナニガナンダガワカランガ、ミンナナガサレテシマエ」

ダムから生える水柱の本数が増え、いよいよ決壊かと思われた。

艤装は砲撃を続けたが、遂にはトラックが横転、艤装は大破した。

艤装を外し、叢雲、暁が這い出る。

 

叢雲「どうやら私達の方が早かったようね」

それでも叢雲は鼻を鳴らし、得意げな表情

戦艦ル級「ナニヲバカナ、、コレハ!?」

山が轟音を上げ、大岩が落ちて来た。

山の景色が絨毯の様に丸ごと流れて来る。

 

戦艦ル級「オマエタチ、マサカ、ドシャクズレヲ!?」

暁「大当たり、でも答えるのが遅かったわね」

白露「白露は一番最初に分かったんだから!」

変な所までこだわる白露

戦艦ル級「オノレ!ダガ、ダムヲケッカイサセレバ!」

戦艦ル級の砲撃はダムを攻撃、

ダムは決壊し、鉄砲水が吹き出した。

 

戦艦ル級「ワタシハ コノミズニノッテ カワヲ クダル!」

叢雲「もう遅いわよ」

戦艦ル級「ウルサイ!ダマレ!」

戦艦ル級の放った砲撃は扶桑型艤装を貫いた、

爆発が起こり叢雲達は川に投げ出される。

戦艦ル級「ヨワキ ゴミドモメ!」

戦艦ル級はダムから溢れ出す鉄砲水に乗り、

土砂からの逃走を試みるが、

怒涛の勢いで雪崩れ込む土砂は、

トラックは押し潰し、一気に差し迫る。

 

戦艦ル級「バカメ!ダムハケッカイシタノダゾ!

マチヤオマエタチノキチハ、アライナガサレル!

ワレワレノショウリダ!

タトエ コノワタシガ ノマレヨウトモ!!

グワァーーーー!!」

戦艦ル級は高らかに勝利を宣言し、土砂に飲まれる。

 

吹き出した水は川を一気にくだったが

土砂は勢いはそれを大きく上回り、

決壊したダムを塞ぐのに十分であった。

決壊した穴を完全に封じ、水の流れを遮断した。

上空の艦載機軍が土砂崩れを確認した。

瑞鶴「山が!山が崩れていく!

大規模な土砂崩れが起きてるわ!」

艦載機からの映像を中継し、基地に伝える。

 

神通「叢雲達は敵を止めたの!?」

瑞鶴「叢雲!暁!白露!応答して!」

瑞鶴が呼び掛けるが応答が無い。

艦載機はダムの上空を旋回し、

地上の様子を探るが、月明かり程度ではよく分からない。

金剛「叢雲達はきっと街や私達を守る為、山を撃ったネー」

トーンの低い声になる。

榛名「まだ、死んだとは決まってません!

皆さん!手の空いている人は、捜索に行きましょう!」

 

基地から有志による捜索隊が出動した。

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