数日後、、、
棺の前で泣き崩れる山城
山城「うう、、不幸だわ、、」
扶桑「山城、泣かないで、戦場では良くある事よ、気をしっかり持って」
その山城を扶桑は優しく介抱している。
山城「うっ、うっ、でも、こんなのって、こんなのって酷すぎるわ、、、」
再び棺に泣きつく。
大型の棺の中には、メチャクチャに壊れた扶桑型の艤装が入っていた。
それは艤装としての機能を失い完全にスクラップとなっていた。
コンゴウ「我々の捜索でもこれだけしか見つける事が出来なかった、、
すまない」
山城の肩に気の毒そうに手を添える。
飛龍「コンゴウ、もうそっとしておいてあげなよ、
それにもうすぐ式が始まるよ」
コンゴウ「そうだな」
漆黒のドレスをなびかせ、
飛龍の後に続く。
両開きの扉を開けると、既に席は艦娘で埋め尽くされていた。
最前列に空席を見つけ、そこに座る。
重苦しい空気の中、式が始まる。
長門「昨日基地に対し、敵の大規模な攻撃があった。
その時、運の悪い事に主力艦隊は出撃していて対応出来なかった。
しかし、皆の奮戦により、これを撃退する事が出来た、、」
壇上の長門声が会場中に響き渡る。
長門「我々はその戦いで大きな犠牲を払った。
まずは散っていった者達に黙祷を捧げたい、一同起立」
一斉に立ち上がる艦娘達
「黙祷!」
沈黙の時間が訪れる。
中にはむせび泣く声も聞こえた。
コンゴウ「フンッ、こんな事に何の意味がある、、」
飛龍(コンゴウ!)
飛龍に注意され、仕方なしに黙祷をする振りをする。
一分間の黙祷が終わり、再び長門が口を開く。
長門「我々は失った者達の事を忘れずに、、」
金剛「長門〜、話が長いデース!」
席に着いてた金剛は、
ダラけた様子で言う。
榛名「あの、お姉様、ちゃんと話聞きましょう」
隣の榛名が金剛をなだめる。
長門は周りの様子を見る。
皆の集中力は続いているが、
長門「あまり長引かせるのも悪いか、
次の表彰に移る。
先に話していた者達は壇上の前に並べ」
数人の艦娘が席を立ち、並ぶ
長門「金剛」
金剛「イェース」
長門「前線で多くの敵を相手に、味方の壁になったと聞く。
素直にお前の活躍を讃えたい」
勲章を授与する。
金剛「おぉ〜ワンダフォー!
当然の事をしたまでデース!」
早速勲章を胸につけ、大きく胸を張る。
榛名「お姉様、ほどほどに」
長門「榛名」
榛名「は、はい!」
長門「お前も金剛と共に、、、」
、、、
、、、
長門「さて最後であるが、敵の作戦を見破り、これを止めた、、」
叢雲「長い前置きはいいわ」
暁「もう1時間も経ってるわよ」
白露「長門さん、おっそーい」
表彰者の列の末尾から、文句の声が上がる。
長門「ああ、すまないな」
気にとめる様子もなく、神通の持つお盆から、一際大きい勲章を手に取る
白露「はーやーくー」
土砂崩れに巻き込まれた3人であったが、
基地から駆けつけた艦娘達の必死の捜索により、
奇跡的に助かったのだ。
長門が目の前に歩み寄る。
長門「お前達の活躍で、基地が、街が守られた。ありがとう。
これは今回の戦いで”一番”の功績を讃えるものだ。
さぁ、三人の中で一番の功績を挙げたものは、、」
白露が一歩前に前進し、ドヤ顔で胸を張る。
長門「ほう、白露が一番の功績を挙げたんだな」
暁「白露、何やってんのよ?あなたじゃないでしょ
敵を倒したのは私なんだから」
二歩前進し、自慢げに胸を張る暁
叢雲「フンッ、手柄の為に争うなんて醜いわね。
いいわ、”一番”お姉ちゃんの私はあんた達に譲ってあげるわ」
三歩前進し、誇らしげに胸を張る叢雲
長門の目の前まで詰め寄る形になっている。
長門「むぅ、、」
困惑した表情の長門
暁「お姉ちゃんなんて、ズルいわ!私もお姉ちゃんなんだから!」
白露「じゃあ、やっぱり一番の功績は私って事でいいんだね」
叢雲「ちょっとあんた!セオリー通りお姉ちゃんの私に譲りなさいよ!
一番敵を倒したのは私よ!」
長門「一番倒したのは、コンゴウだが、、」
コンゴウ「、、、」
目の前で摑み合いの喧嘩を始める三人
飛龍「あはは、、」
飛龍はニコニコしながらその様子を眺めている。
瑞鳳「もーめちゃくちゃだよ」
大井「なーにやってんだか」
ため息をつき、呆れる。
会場からも盛大な笑い声が響きわたっていた。
山城「うっ、うっ、、酷いわ、、」
扶桑「山城、泣いていても艤装は直らないわ、さぁ行きましょう」
山城は未だ棺の前で泣いている。
その傍らでは真新しい改二艤装を背負った扶桑が優しく慰める。
山城「だって、お姉様と一緒に改二艤装になる予定だったのに、
私の艤装だけ、こんな事に、、」
扶桑「そうね、この艤装本当にすごいものね、動きや、パワーが今までとは段違いだもの」
新しい艤装を眺め、恍惚の表情の扶桑
山城「うわぁーん、不幸だわ!!」
扶桑「ああ、ごめんなさいね山城、私、そんなつもりじゃ
山城、泣かないで、、」
わんわんと山城は泣き続けた。
コンゴウ「ズイカク、」
式が終わり会場を後にしようとするのを呼び止める。
瑞鶴「コンゴウさん、どうしました?」
振り返る瑞鶴。コンゴウは飛龍と共にいた。
コンゴウ「お前は勲章を貰わなかった様だな」
瑞鶴「私はそんなに功績を挙げてませんから」
瑞鶴は自嘲気味に笑った。
コンゴウ「私はそうは思っていない、川を登る敵の足止め、
土砂崩れの後、一番に駆けつけ、
土砂から叢雲達を見つけたのはお前だった」
硬い表情のまま淡々と話す。
無表情のまま話すコンゴウは感情が読めない。
瑞鶴「私のした事は、功績に結びつきにくい事だったから、
勲章は貰えませんよ」
コンゴウは胸に付けた、ピカピカの勲章を外す。
それはコンゴウが受けた撃破数一位の
勲章であった。
それを差し出す。
瑞鶴「そんな、受け取れませんよ、コンゴウさん」
困った顔の瑞鶴は手の平を向ける。
飛龍「受け取ってあげなよ瑞鶴、
コンゴウは瑞鶴を表彰したいんだよ。
それとコンゴウ、そんな顔じゃ怖がっちゃうよ?ほら、笑顔、笑顔」
飛龍はニコッと笑って見せた。
コンゴウ「表情と言うのは難しい」
コンゴウはほんの少しだけ笑った。
コンゴウ「受け取ってくれないか?ズイカク」
瑞鶴は少し考え、はい、と遠慮しがちに答えた。
コンゴウは瑞鶴の胸に勲章を付ける。
気恥ずかしそうに付けられた勲章を見て笑顔になる瑞鶴を見て、
コンゴウは微笑んでいた。
教室
那智「次はこのプリントだ」
配られたプリントを見て、
難しい表情の夕立
足柄「この問題が終わるまで今日は帰れないわよ〜」
夕立「ひぇ〜、こんなの無理っぽい〜」
足柄は意地悪そうにニヤニヤ笑う
吹雪「大丈夫だよ」
睦月「分からないところは手伝ってあげるよ」
両隣の吹雪と睦月は頼もしかった。
那智「答えを直接教えるのはダメだぞ」
指を差し那智が釘を刺す。
足柄「その代わり、分かんないところあったら私達もトコトン教えてあげるわ」
那智「理解するまでじっくりとな」
その言葉には厳しさの中に、優しさが含まれているのを夕立は感じていた。
夕立「う〜、最初の問題から分からないっぽい、、、」
分からない問題に苦しみながらも、
そんないつも通りの光景が、嬉しく思う夕立であった。