艦娘達の長い一日   作:よろず屋

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第7話

バルバルバル、、、

うるさい騒音が鳴り響いている。

小刻みな振動と、大きく揺られる感覚

バルバルバル、、、

朦朧とした意識の中

暗闇の世界

「現在、目的の怪我人を乗せ、帰投中、どうぞ」

「了解、怪我人を搬送後、給油に向かってくれ、どうぞ」

「了解」

 

バルバルバル、、、

隣に誰か居る、すぐ近くで声がした。

身体の感覚が戻ってくる、

ぼやーっとした意識も段々と晴れてきた。

暁「、、、うっ」

手をゆっくりと動かし、

顔を触る。

薄手のシーツを掛けられていた様で、

それが床に落ちた。

 

バルバルバル、、、

「ん、目が覚めたのか、君、意識はあるかい?痛い所は?」

優しい声を掛けられ、落ちたシーツを体に掛けてくれた。

目を開けると、眩いばかりの世界が広がり、

ついうす目になるが、じきに慣れた。

狭い部屋、隣には男が暁の顔を覗き込んでいた

白いヘルメット、オレンジ色の服、

この服装には覚えがある。

そう、レスキュー隊の人だ。

 

暁「大丈夫、何もないわ、ありがとう」

礼を言い、体を起こす。

「ああ!まだ起きちゃダメだ!骨が折れている。

痛みを感じないのも、頭を打ったからかもしれない」

暁の肩を抑え、寝かしつける。

暁「暁は一人前のレディなんだから、これくらいへっちゃらよ。

それに手当てに高速修復材を使ってくれたんでしょ?」

「あ、ああ、君達が艦娘だと聞いていたからね、使わせてもらったよ」

それを聞くと、暁は担架から起き上がり、立ち上がって見せた。

暁「高速修復材がみんな治してくれたわ。

ほら足だって、腕だって何ともなってないでしょ?」

包帯でグルグル巻きになってる腕や足を解いて見せた。

血色の良い体が空気に晒される。

 

「驚いた、、手当て前は紫色に変色してひどい状態だったのに、

何ともなってない。凄い回復力だ」

口を開け驚いてる隊員に得意げになる暁

暁「ふふーん、これでも軍事用なんだから」

えっへんと胸を張る。

隣でスヤスヤと寝息を立ててる白露が見えた。

白露「グーグー、そんなに食べてもいいのぉ?」

寝言を言っている様だ。

「君の友達も手当てが終わってる、

同じ艦娘なら、もう治ってるかも知れないな」

隊員は白露に目をやる。

暁「あっ!」

ハッと思い出した様に暁は聞いた。

暁「そう言えば、叢雲に預けた赤ちゃんは!?」

隊員は微笑みながら答えた。

「大丈夫、助かったよ」

暁はホッと胸を撫で下ろし、

ベットに座り込んだ。

暁「良かった、本当に良かったわ」

「病院に着けば、また会えるよ」

暁「うん。叢雲も一緒なの?」

「いや、君の友達は川を登って行ったそうだ。

なんでも深海棲艦のやつが、悪い事をしようとしているらしい」

暁「叢雲、まさか1人で、、、」

その時、激しい振動と共に、ヘリが大きく揺れた!

 

「うわぁ!」

暁「きゃあ!」

隊員と暁はバランスを崩し、床に膝をつく。

「何かあったのか!?」

パイロットは忙しく操縦桿を操作する。

その度、ヘリは大きく揺れた。

「深海棲艦の戦闘機が攻撃して来た!振り切るぞ!何かに捕まってくれ!」

「わかった!」

隊員は天井にぶらさがるフックを掴み、暁はベットにしがみついた。

「くっそー!敵の方が早い!」

急降下したのか、体が無重力を感じる!

暁「わっちょっちょっ!」

体が浮き上がるので、離れまいと、

ベットに捕まる。

白露「わぁー!見て見て!浮き上がってるよ〜、、むにゃむにゃ」

寝たままの白露も浮いている。

 

「上昇するぞ!」

パイロットは操縦桿を思い切り引いた!

一気に何倍もの重力がかかり、

ベットにに叩きつけられる。

白露はベットの上を弾み、床に転がった。

白露「いったーい!

いたたたた、ほえ?」

まだ状況が飲み込めてない白露は、首を傾げている。

ヘリが揺れる。

暁「ひぐぅ!」

「口を閉じてなさい、舌を噛むぞ!」

暁は口にチャックのジェスチャーをし、コクコクとうなづいた。

白露は起き上がり、操縦席の方に行く。

「君!危ないから、そっちへ行っちゃダメだ!何かに捕まって!」

白露の目は輝き出した。

白露「わぁぁぁぁ!!」

隊員の警告は白露の耳に届いてない様だ。

 

白露「空だよ!空を飛んでるんだよ!」

興奮した白露はぴょんぴょん跳ねて喜ぶ。

「今は敵に追いかけられているんだ!

危ないから下がって!」

パイロットの制止も聞かず、操縦席の隣で、キャッキャと喜んでいる。

暁「白露はああなると、止められないわ、、それよりも、私の艤装は!?」

「何に使うんだ?」

暁「武器で敵を撃ち落とすわ!」

「出来るのか!?」

暁「やってみる!」

「わかった!君の艤装は後部座席の脇にある!」

隊員はヘリの奥を指差した。

暁は指示された席を目指し歩く、

座席やベットに掴まりながら移動。

激しく揺れるヘリに苦戦しながらも、

艤装を担ぎ、連装砲を腕に付ける。

大粒の雨が降った様に、ヘリの壁が鳴った!

そして、すぐ近くでプロペラ音がし、音が遠くなる。

「クソッ!機関銃で撃ってきたぞ!」

白露「おじさん、私にもやらせてよ!」

「ダメだ!玩具じゃないんだぞ!」

白露「ぶー、ケチ!」

戦闘中だと言うのに、マイペースな白露

「君の友達はいつもああなのか?」

暁「大抵はね、、」

暁はベルトで体を固定する。

暁「おじさん、開けるよ!」

「ああ!」

扉をスライドさせ開く。

突風が機内に吹き荒れる。

「何をする気だ!?」

パイロットが叫ぶ。

「敵を撃ち落とすわ!

おじさん、敵を機体の脇に来る様にして!」

「わかった!落ちるなよ!」

パイロットは操縦桿を操作する。

 

視界が回り、高速で飛ぶ敵艦載機が見えた。

暁「あいつ、、街に行く前に私達を襲った奴だわ」

こんな所で再び会う事になるとは、

暁は冷静に照準を敵に合わせ、

砲撃した!

敵艦載機「ギギ?」

突然、救急ヘリが攻撃して来て驚いた

残念ながら、砲弾は艦載機を外れ、地に落ちた。

暁「くっ、外した!」

敵艦載機は大きく旋回し、視界から消えた。

白露「おじさん!後ろに付かれたよ!」

「分かってる!」

タイプライターを撃つ音が聞こえる。

ヘリの壁が叩かれ、黒煙が上がる。

「出力低下!、、マズイな」

パイロットの表情に焦りの色が見える。

「今度は当たるよ、落ち着いて狙って」

暁「うん、ありがと」

ヘリは速度を落とし、敵を先に送る。

敵は旋回して来る。暁は敵を目で追う。

しかし、敵は急上昇し、暁の視界から逃げた。

暁「上に逃げられたわ!

上を狙うには射角が足りない、、!」

その時、敵は急接近して来た!

「危ない!」

隊員は暁に覆い被さる。

暁「きゃあ!」

ヘリが大きく傾く、銃弾が殺到して来た。

窓ガラスを砕き、医療器具をメチャクチャに破壊した。

暁「おじさん?、、おじさん!おじさん!」

隊員は頭から血を流し、絶命していた。

暁を庇って、銃弾を受けたのだ。

白露「いたたたた、、いきなり撃たないでよ〜

、、、あっーーー!」

 

白露がパイロットを見ると、身体中から血を吹きし死んでいた。

白露は艦娘だから、生きていたのだ。

事切れたパイロットの操縦により、

ヘリは急降下を始める。

暁「わぁーーー!」

体が浮き上がり、外に投げ出されそうになる。

暁をかばった隊員の死体が力無く外に投げ出された。

白露「は、早く姿勢を戻さなきゃ!」

助手席のベルトを外すと、白露は浮き上がった。

パイロットのベルトを外そうとするも、なかなか外せない。

目の前に地面が見え、段々と地上の物が大きくなっていく。

白露「この〜!早く外れてよ〜!」

ガチャガチャ、ベルトを外そうとするが、一向に外れない!

暁「そんなベルト引きちぎりなよ!」

見かねた暁が叫ぶ

白露「あ!そうだね!おじさん、ごめんね!」

白露はベルトを鷲掴みにすると、一気に引き抜いた!

座席ごと引き剥がすと、死体は突風に拐われ、外に旅立っていった

暁「うわぁ!」

暁も反動で外に投げ出される。

ベルトが張り、凄まじい風圧を全身で受ける。

暁「ぐっ、早く戻らなくっちゃ、、、」

凄まじい風で頬が波打つ

ベルトにつかまり、少しづつ、ヘリに近づく。

白露「よし、上昇するよ!!」

白露は逆さになりながら操縦桿を引く

着地スレスレで上昇し、墜落を免れた。

暁「わぁっ!!」

上昇の勢いで、プロペラに巻かれそうになったが、

ギリギリ当たらず、勢い良くヘリに乗り込めた。

 

白露「この〜!怒ったからね!」

白露は座席があった場所に座ると、

パチパチと天井や正面のトグルスイッチを操作。

白露はヘリの自動姿勢制御をオフにし、

完全マニュアル操作にした。

這いつくばっていた暁が体を起こす。

暁「白露、ヘリの操縦出来るの!?」

白露「もっちろーん、何でも出来るよ!こんな事もね!」

 

ヘリが急に180°回る。

床が天井になり、散らばってた医療器具が天井に落ちる。

暁はベルトに吊られ、宙ぶらりんになった。

暁「わっー!わっー!」

ヘリは真っ逆さまの状態になっても平然と飛行した。

白露「あははははっ!すごいすごい!楽しいね!」

操縦桿を思い切り傾け、姿勢を戻す。

暁「ぎゃん!」

暁は床に叩きつけられた。

これで何度目だろうか、

暁「ちゃんと操縦しなさいよ!」

白露「ごめん、ごめん〜、ひゃっほー!!」

全く反省の色は無い。

 

レバーを引き、急速上昇

床にへばりついて、今度は立ち上がれない。

暁「ぐぐぐ、、」

外の光景が上昇し、空気が薄くなる。

敵艦載機「ギギ、オチテナカッタ、ノカ?」

安全優先で飛行していた先程とは打って変わり、

基地外じみた動きで、変態飛行するヘリに違和感を覚える。

高速で飛行し、時折ぐるぐる回ったり、縦に立ってみたり。

まるでヘリの動きではない。

 

敵艦載機「オチルマデ、コウゲキ」

ヘリの後ろに付き、射撃態勢に入る。

白露「それで私の後ろを取ったつもり?」

白露はニヤリと笑い、操縦桿を引く

白露「暁、攻撃してね」

ヘリは宙返り1回転をし、敵艦載機の後ろに付いた。

敵艦載機「ナニ!?ウシロ、トラレタ!」

ヘリは素早く横を向き、

暁の照準が敵艦載機に合う。

 

暁「いけっー!」

敵艦載機「グギギ!」

発射された弾を咄嗟の急加速で避けた。

暁「位置が悪いわ、逃げられた!」

白露「この〜!待てー!」

ヘリで敵を追うも、速度が追い付かない。

いつしか、街の中央まで来ていた。

白露「こうなったら、敵をおびき出すよ」

暁「どうするの?」

白露「こうするの!」

街のビル郡を縫うようにヘリを飛ばした。

 

暁「危ない!当たる当たるよ!」

ビルの隙間をスレスレにヘリは飛行する。

白露「大丈夫、余裕だって」

白露は操縦桿の感覚だけで、

ヘリの重心や、状態をすべて把握していた。

メーター類に目をやる。

白露「出力低下してるのがマズイね、燃料も少ない」

長時間の救援活動で燃料は尽きかけていた。

 

敵艦載機「ビルノタニマニ、イルノカ?

ソレデ、カクレテイルツモリカ」

敵艦載機は、ヘリの上部に位置取ると、

急降下しながら、射撃をしてきた。

敵艦載機「シネ!シネ!シネ!」

プロペラ音で敵の動きを読み取った白露は暁に合図した。

 

白露「暁!今だよ!」

ヘリは90°傾き真横になる。

敵艦載機「ナ、ナニ!」

銃弾の雨がヘリを叩く。

何発か暁の体にも当たる。

暁「いつっ、今度は外さないからね!!」

ヘリの側面が上を向く形になった事で、

暁の砲身と敵艦載機が一直線に並ぶ。

敵艦載機は暁と目が合うと、

次の瞬間放たれた、砲弾が炸裂し目の前が炎に包まれた。

 

敵艦載機「グワー!」

直撃を受けた敵艦載機が爆炎を上げながら、落下してくる。

ヘリは90°傾いたまま横に飛び、敵艦載機を避けた。

落下した機体は地上で爆発し、ビルの一つを倒壊させた。

土煙を上げながら、巨大なビルが崩れ落ちる。

幸い、人の避難は終わっていたらしく、人影は見当たらない。

ヘリは姿勢を戻し、上空に舞い上がる。

 

白露「ふぃー、やっつけたね!」

暁の方に振り向き、親指を立てる。

暁「何とかね」

暁も少し疲れた笑みを見せ、親指を立てた。

ザーッザーッ、

2人の耳にノイズが聞こえ、

聞き取りにくい通信が入る。

叢雲「、、、やら、たわ、、軽巡1、は沈めた、、けど、

ボ、、の戦艦にはまる、、歯が立、なかった、最後、、抵抗す、、、けど、いつ、、、もつか、、

ぎゃぁん、ゔがぁぁ」

通信は叢雲の悲痛な叫び声で終わった。

白露「叢雲!何があったの!?応答して!!

叢雲!叢雲!」

叢雲は通信に応えることはなかった。

暁「、、、叢雲は多分、敵を追撃しようとして、

返り討ちにあったんだわ」

暁には静かな怒りの炎が燃えていた。

暁「白露、叢雲は川の上流よ!急いで!」

白露「オーケー!すぐ行くからね、叢雲!」

ヘリは叢雲を救出する為、川の上流へ進路を取った。

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