礼装少年今日も行く   作:泥人形

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今回もまた全力で捏造。


対英霊戦

 

―聖杯戦争

 それは万物の願いを叶える「聖杯」と呼ばれる聖遺物を奪い合う争いである。

 聖杯を求める7人のマスター、そしてその彼らと契約した7騎のサーヴァントが聖杯を得るため競い合う。

 他の6組が排除された結果、最後に残った1組のみが聖杯を手にすることができ、願いを叶える権利を得る。

 

 この戦争で一番重要になってくるのはマスターの素質もそうだが、やはり呼び出されたサーヴァントの質であろう。

 例えばステータスが平均C程度のサーヴァントが平均Aのサーヴァントに真っ向から挑み勝利するのは難しく、一発逆転の宝具か搦手でどうにかするしかない。

 逆に平均Aのサーヴァントはよほどのモノでなければ平均Cのサーヴァントを返り討ちにできてしまう。

 それはマスターが優秀だろうがそうでなかろうがあまり関係はない。

 

 しかし、カルデアの召還システムはそれがあまり関係してこない。

 正確には、ステータスがあまり意味をなさない、といったところか。

 本来、サーヴァントを召喚する際に必要とするのは聖杯の魔力であり、聖杯とは英霊の座と呼ばれるものから呼び出される英霊にクラスというものを用意し現界させる。

 

 しかしカルデアの召還システムは聖杯の魔力を使わずカルデアにある莫大な魔力を運用し、下りてくる英霊にクラスの他にランダムに器を用意する。

 この器というものは簡単に言うならばレア度であり、それは1から5までのランクに振り分けられる。

 つまり用意された器が大きければ大きい程その英霊はかなりの高性能で動くことが出来るし、また用意された器が小さければ小さい程振るえる能力は低い。

 簡単に説明するならば、レア度5で召喚され、ステータスが平均Cのサーヴァントとレア度1で召喚され、ステータスが平均Aのサーヴァントがいるとする。

 この二人が真っ向からぶつかり合ったとしたらほぼ100%レア度5のサーヴァントが勝利してしまうわけだ。

 つまり、今回の聖杯戦争で一番重要になってくるのはステータスではなく器ということである。

 もちろん、同じレア度となってくればまた話は変わってくるが。

 

 そして現在俺が契約しているサーヴァントたちの全てがレア度3であり、従って彼らの逸話や知名度に反してそこまで戦力は高くはない。

 

 

 体のあちこちに傷を負い、既に行動の八割方が防御と回避に回されているランサーことクー・フーリン。

 纏っていたローブは既に穴だらけ、完全に防御に回ってしまっているキャスターことメディア。

 苦悶の表情に満ち、相手の動きに何とかついていくことしかできないライダーこと牛若丸。

  

 狙ったかのようにレア度が4以上で構成された相手のサーヴァントにこちらの戦線は崩壊させられつつあった。

 

 もう終わりだぁ…そう思う方もいるかもしれない、だがしかしお忘れではないだろうか。

 カルデアの召還システムから呼び出されるのは何もサーヴァントだけではないことを。

 むしろ八割方の確率で呼び出されるアレが、俺の生命線とも言えるものが存在するということを。

 ―そう、概念礼装。

 この概念礼装にはクラスはないが器…レア度は存在する。そしてクラスの代わりにあらゆる能力が備わっている。

 攻撃力を上げる、体力を上げる、特定のクラスのサーヴァントへの特攻性能etcetc…

 

 そして俺はその礼装を現在ほぼ全てコンプリートしている。

 その中には当然レア度が5のものもあるわけで、敵を殲滅しろと命令された体を精神力だけで抗うことによって中途半端-それでも人の身からしたら凄まじい攻撃だが―な攻撃しか出来ない相手の前で新たな礼装を装着するのは容易なことで。

 

 概念礼装 リミテッド/ゼロオーバー

 概念礼装 イマジナリ・アラウンド

 概念礼装 フォーマルクラフト

 

 収斂こそ理想の証。剣を鍛えよ己を燃やせ。

 空想こそ自由の証。影の虚数よ風になりて疾く駆けよ。

 基本こそ最優の証。五大よ優雅にして華麗に舞え。

 

 最高の魂が込められた概念は最大の器を持ち顕現した。

 過去の英雄に、名を馳せ人を超えた者にその力強さを、誉れ高さを示した。

 それに込められし魂を借り受けた青年は遂に人の身にして人ならざるものを凌駕して見せた。

 

 白光に包まれた腕が空間そのものを突き破らんという勢いで突きを放つ。

 それをデオンは紙一重でかわし、次の瞬間振り上げられた木刀に大きく打ち上げられた。

 空中にて何とか態勢を整えようとしてももう遅い。全身を隈なく強化された俺の足は地を蹴れば空高く舞うことができる。

 光が弧を描き、木刀がデオンに迫る。英霊であるだけあって素早く反応しガードをしようとするが間に合わない。

 サーベルの切っ先を砕き胴体のど真ん中にぶち当てられたそれは軽々と肉を抉り、骨を砕いた。

 駆け抜ける痛みを感じる間もなく地に激突、それと同時に木刀はデオンの胸を貫いた。

 

 

 「…敗北だ。これで我が身の呪いも解ける。あなた達に感謝を―」

 

 「…次はしっかりとセイバーで呼んでやるからな」

 

 「ああ、その時はこの身を剣とし、盾としあなたを守り通してみせよう」

 

 「おう、そんときゃよろしくな」

 

 

 その言葉に笑みを作り肯定を示しながらシュバリエ・デオンは金の霞となりて、霧のように霧散した。

 それが消え去るまでじっと見つめた後に先ほどまで闇堕ちジャンヌがいたところを見ると何もおらず、自分の城へ帰ったと判断する。

そして次に未だ戦ってるであろう皆を見るとそこでは次々とやってくるワイバーンをたった二人で、しかし危なげなく相手取るジャンヌとマシュが、そしてその奥では満身創痍の状態でしかし粘り強く戦い続ける三騎の英霊がいた。

 

それを目視すると同時に俺は新たな礼装を取り出した――

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

裏切りの魔女メディア。

そう呼ばれ畏怖される英霊、神秘が色濃い時代を生きていたにも関わらず魔法に等しい魔術を扱うとすら言われた超天才魔術師。

そんな彼女は現在衣服どころかその体までもがボロボロの状態で、圧倒的に攻め立てるどころか逆に圧倒されていた。

もし、これが本来の聖杯戦争だったならばここまでワンサイドゲームにはなっていなかっただろう、むしろ彼女が圧倒的勝利を収めていたかもしれない。

しかし現実にIFなんてものは存在しない。もしかしたら、何て幻想はどこまでも幻想でしかないのだから。

カルデア式召還システムによってできてしまった用意される器の大きさがランダムであるという弊害。本来の力を発揮できなというデメリットがこの戦いにおいて圧倒的な不利を作り上げていた。

 

「あははははっ! 死になさい!」

 

「くっ…」

 

バーサーク・アサシン。しかし彼女は狂化していなくても元からこうなのではないか、そう思わせるほど激烈な性格をした彼女の攻撃の一つ一つが私を少しずつ追い詰めていく。

本来の私にとってはお粗末なものでしかない魔弾も今のこの身の能力では全力の防壁ですら一、二撃で破壊されてしまう。

本来ならば一振りで消し炭にすることすら可能な攻撃や相手の防壁破れないことに焦りを通り越しいらだちが込み上げてくるのを必死に抑え冷静にしかし全力で対応していく。

しかしそれも既に限界が近かった。何とか上手く対処していくも火力に圧倒されてしまう。

荒くなっていく息を整えることすらできない、息をつく間もなく放たれる連撃に何とか対処するのが精一杯である。

全く何て様だ。情けなくて涙が出てくる。マスターでもありながら弟子でもある青年の顔を思い浮かべ、自嘲する。

 

不意に、迫ってくる魔弾が途切れた。

一体何が、そう思うがそれを好機と見て魔弾を全力掃射するもアサシンにはあまりダメージが入らない。満身創痍であるこの身が放つ魔弾の軌道など読みやすかったに違いない。

 それを見て思わず歯ぎしりする私を彼女は高らかに嘲笑った。

 

 「あっははははは! 無様、無様ねぇ、魔術師! 私に歯向かうからそうなるのよ!」

 「でも、その心意気だけは買ってあげる。…だから、あなたの最後は華々しく、真っ赤に染め上げて散らしてあげる!」 

 『全ては幻想の血―』

 

 これはまずい。甲高い嘲笑と共に急激に高まり濃くなっていく魔力に全身の毛が総立ち頭がガンガンと警報を鳴らす。あれを喰らってしまったら流石に再起不能、座に還らざるを得なくなってしまうだろう。

 そうなってしまってはギリギリのところで保っている戦線は完全に崩壊してしまうのはおろか、ただでさえサーヴァントが全然応えてくれないあの子がマスターなのだ、しばらくは他の二騎とデミサーヴァントと礼装だけで戦うことになってしまうだろう。

 

 『けれど少女はこの箱に―』

 

 しかし今の私にそれに抗うだけの力がない。同じように宝具を放てばよいかと思うかもしれないが現在使えるのは『破戒すべき全ての符』しかない。

 これでは真っ当に受けることすら叶わない、これは詰んだか。

 ある種の諦観を抱きつつも今の自分にできる全力で抗おう、そう思い魔弾を装填した直後。

 

 『幻想の鉄処―グボラァッッ!!?」

 

 彼女は白光を纏い駆け抜ける巨大な鉄の塊に吹き飛ばされていき、

 

 「あ、やべ。思いっきりミスった…ま、でも結果オーライってことでオッケーオッケー…!」

 

 鉄の塊―バイクに跨った色々と手を焼かせてくれる愛弟子が不安そうな顔をしてそこに現れた。

 

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 カルデアの召還システムは聖杯による召還に比べて完璧ではない。

 これは俺だけでなくカルデア職員やサーヴァントたちも同じ見解を持っている。

 それは別に器が用意されることではない、問題なのは召喚されたサーヴァントの力が最初は限界まで封印されているということだ。

 つまり召喚されたサーヴァントは格が、分かりやすく言うならばレベルが最低値なのだ。

 そしてその格を、レベルを上げるには種火と呼ばれる霊的物質が必要になってくる。

 これを吸収することによて彼ら彼女らは格を高める、いや、格を元に戻すことが可能なのだがこれまた一気に大量に得られるようなものではない。

 更に、サーヴァントたちは四段階に分けて力を封じられている。

 そしてその封印を解放―即ち霊基再臨をすることで本来の力に戻すことが可能なのだがそのためには蛮神の心臓やら竜の逆鱗やら、入手が難しい物が必要になってくる。

 そして現在契約しているサーヴァントで霊基再臨を出来ているのは牛若丸とクー・フーリンであり、それも一回だけだ。

 メディアに限っては少し前に召還したばかりでレベルすら高いとは言えない程度。

 

 

 そういった事情もあって俺はまずメディアの方へ向かうことを決め、モータードキュイラッシェを顕現させ、思いっきり魔力を流し込む。

 そうして勢いよく駆け出し、このままパワースライドかましてやんぜ、と思ったのはいいものの普通に失敗して側面に思いっきり突撃するという街中であれば顔真っ青になった事態を作り上げてしまった。

 まあでも結果的に宝具の発動をキャンセルできたし左側面の骨をぐっちゃぐちゃにするというナイスプレイが出来たし問題ないよね!! 体から金の霧が漏れ出てきてる辺り相当なダメージだった模様である。少しどころか目をそむけたくなるほどグロい姿だ。

 

 「ぐっ…かっは…!? 何故、あの程度のものでこんなにダメージが…!?」

 

 「ん? そりゃこれ概念礼装だもん。その気になればこれ何百キロでも出るんだぞ? そんなもんがまともに当たったらそうなるだろうよ」

 

 「く…っそ…!!」

 

 しかし彼女もまた一人の英霊。これほどのダメージを負ったとしてもまだ現界し続けるだけの精神力を備えていた。

 その手に持った禍々しい杖を地につき体を支える彼女はゆっくりとこちらに手を向け激情の声を上げる。

 

 「私は…私は! お前のようなものに―」

 

 しかし最後まで言い切らない内に色とりどりの閃光が彼女を彩る。

 それは彼女の顔を苦悶にゆがめるだけには収まらずそれは骨を、全身を砕き、血が流れ出る傷を更に深くしていく。

 杖を握る手が緩んでいき、全身からは金の霞が漏れていく。いや、全身が金の霞になっていく。

 体が限界を迎えているのだ。

 彼女が少しだけ顔を上げる。その顔は悲壮に満ちていた。

 

 「ああ、そう…やっぱり私は――生きても死んでも一人きりという訳ね」

 

 それは誰に向けた言葉だったのか。悲し気に、しかし虚ろな瞳をした彼女はそう言い残し風に溶けるように消えていった。

 

 

 




頑張ってゲームの設定を説明してみたけど凄い雑でしたね、はい。

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