恋姫無双 海皇伝   作:青のマキバオー

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プロローグ
赤壁


時は乱世。 英雄達がひしめく群雄割拠。

大陸は今、三つの国に分かれていた。

一つは魏。 大陸の半分の領土、百万近くの兵力は天下を治めるにたる大国家。

 

一つは呉。 孫一族が治める江南を中心とした勢力。

屈強な水軍は間違いなく三国随一。

 

一つは蜀。 人徳の劉備と名高いかの少女のもとには数多の英雄が集い、天の御使いが持つ圧倒的な知識により急速な発展を遂げた。

 

そしてここは赤壁。 魏VS呉蜀の連合軍による天下分け目の大決戦の直前である。

 

「はわわ、どうしましょう……」

 

そんな陣幕の内側、一人の少女がひどく悩んだ様子でうつむいていた。

 

「あれだけ大見得切っちゃいましたけど、本当に風は吹くのでしょうか……」

 

自信は……あります。

水鏡先生のもとで教えてもらったことです。 ですが……

 

「私の知識なんて書物でみたことがあるものしかありません。 そんな程度でこんな作戦のキモを任されちゃうとは」

 

東からの風、今回の火計における一番重要な要素だ

 

「お願いします。 どうか吹いて……」

 

「吹くよ」

 

ください、そう言うか言わないかという間際、後ろから声が聞こえた。

 

「……え?」

 

「風は吹く。 間違いなくね」

 

誰でしょうこの人は?

服装は白を基調とした服。 その左手には鷹狩りの方が使う装着具。

 

「あなたは?」

 

「俺か? 俺は呉の使いで水軍の指揮をとってる傭われだ」

 

「呉の水軍の指揮官は甘寧殿ではなかったのですか?」

 

「だから言ったろ? 傭われだって。 俺の名前はその名簿の中にはないぜ。 官位も何もない俺が指揮取るのは問題だからな、名目は別なんだよ」

 

「そうなの……ですか」

 

聞けば聞くほど怪しい。 何の官位も持たない、ということは呉の国家の下にいるわけではない、ということだ。

そんな人間に水軍の指揮を与えるのだろうか。

 

「なんだ? 信用してねーなその顔は。 しゃーない、ほら!」

 

ポイッと気軽にこちらへ何かを投げてくる。

 

「はわわ! 急になにを!? ……はう!」

 

落下するものをとることは出来ず、頭に直撃する。

 

「イタタ……って! これは!?」

 

落ちたものをよく見るとそれは……

 

「玉璽だ。 聞いたことあるだろ? 呉の孫家が井戸からそれを見つけたって」

 

「これをどなたから!?」

 

「さあ? どこぞの兵士に貰ったもんだからな。 ったく、ぞんざいに扱いやがって。 こいつがあれば色々便利だってのに。 これだからああいう大馬鹿は」

 

まあ、と繋げる

 

「俺は呉の君主からこいつを受け取れる間柄ってことがわかったか?」

 

「……わかりました。信じましょう。 それよりも先ほどのことを教えてください! 風は吹くのですか!?」

 

「ああ、吹く」

 

「なぜ!? 根拠は!?」

 

「おいおい、そんなに興奮すんなよ。 説明いる?」

 

「当たり前です! ここまで言ってあとは流れで、なんてありえません」

 

「はぁ、説明すんの面倒くさいんだけどね。 まあでも、理由は言わなくてもわかるはずだろ? お前だって読むには読めたんだから」

 

「でも…… 予兆は本当に微かなものでした。 私の勘違いの可能性だって……」

 

「……強いて言うなら鳥だ」

 

「鳥ですか?」

 

「あそこを見てみろ」

 

見れば一匹の鷹がこちらは飛んでくるのが確認できた。

低空を飛行してきた鷹は一目散に男の左肩に止まる。

 

「……鳥はな、低気圧になるといつもより低く飛ぶんだ。 んで、今は西の方に低気圧が出来てるから、これから風が東から来るってわけだ」

 

「低気圧とは!? 何故鳥はその時に低く飛ぶのですか!?」

 

「これ以上は長くなるからダメだ。 必要な説明はした。 俺は余分な仕事はしたくないんだ。 怠け者だからな。 …… にしたってあんた、優秀だな。 うちの乗組員はニッカとハル爺以外気づかんかったぞ」

 

「ううぅ、質問を流されました」

 

ニィ、とどこか楽しそうに男は笑う。

 

「はふぅ、でも安心しました。 その話が本当かどうか私にはわかりません。 でも同じ考えを持つ人がいるってかのとは自信になりました」

 

「だから本当だってっのに」

 

「はい、信じましょう。 …… そういえばお兄さん、名前はなんと言うのですか?」

 

「ファンだ」

 

「ファンさん、ですか?」

 

ああ、と言い改めて

 

「ファン・ガンマ・ビゼン。 それ以上でも以下でもない、ただのファンだ」

 

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これは海の一族の青年、ファン・ガンマ・ビゼンと江東の小覇王と呼ばれた孫策、二人の物語である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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