東方末妹録   作:えんどう豆TW

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視点が変わるときにわかりづらいということで変更してみます、ご指摘のほどまたよろしくお願いします


罪と罪

:Side Liliy

 

 私の最も得意とする魔法は投影魔法だ。投影魔法とは魔力によって物を0から創るという魔法、その限りは使用者の限界によってどこまでも広がっていく。剣や盾などの武具だけでなくその構造を理解しているものならば際限なく、また魔力の続く限り創ることができる。逆に言えばその構造の理解から遠ければ遠いほど魔法によって創り出される物は脆く幻のようなものになってしまう。現に私は完璧に近い剣一つ創るのに実に3週間を要したのだ。しかしそこからは剣の派生は順調で、また槍、弓矢、盾と戦闘に必要なものをマスターしていった。コツを掴めばといったところだが半年も必要としたのだからずいぶんと要領の悪いことだ。

 それともう一つこっちの方が重要かもしれない、私の能力についてだ。私の能力を最初に理解したとき、いや正確には直感に近いものだったが...その能力は対妖怪において絶大な効果を発揮する能力だった。実際に館の外にこっそり出て試したりしたが人間にも通じるらしい。

 能力をマスターするのに半年、魔法をマスターするのに半年、結果的に十分な力を得るのに1年しかかからなかった。能力の方にはもっと時間のかかるものだったが基本的に自分が認識しているところで戦えるほどには便利なものだった。

 5回目の誕生日から1年の軌跡をぼーっと振り返っているとドアをノックする音が聞こえた。

 

『執事長でございます、旦那様がお呼びです』

 

 ああ、またか。私は鍵を開けドアを開いた。

 私は1年前から自室に鍵をかけるようにした。お姉さま達に迷惑をかけたくなかったからだ。それでも彼女たちは毎日部屋を訪れているようでうれしさ半分申し訳なさ半分といったところだった。自分の立場が危うくなるのも構わずに毎日会いに来てくれるのだ。

 私がドアを開けるとそこには顔に影を落とす執事長の姿があった。彼はお姉さま達や私に親身にしてくれるので私としてもとてもありがたかった。

 

「大丈夫ですよ、どうせすぐ治りますから」

「ですが...」

「あなたが気に病むことではありません、では行ってきます」

 

 私が笑みを浮かべると彼の顔は一層険しくなった。まったく妖怪としては優しすぎるだろうに。私は紅魔館と本館をつなぐ渡り廊下を歩きながら隣を歩く優しい妖怪の未来を案じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

:Side Remilia

 

 それはいつも通りだった。執事長がリリィを呼びに行きリリィはついていく。またお父様に呼ばれたのだろう、この光景に慣れることはできそうになかった。いつかこんなこともなくなってリリィと笑い合える日が来たら――――。そんな淡い期待をいつも胸に抱かずにはいられなかった。そんな虚しい気持ちを抱いて横にいるフランを見るとフランも悲しそうな顔をして俯いた、その時だった。

 

 爆音、怒号、ビリビリと震える空気。何が起きた?何の音だ?泣き出しそうなフランの肩を抱いて必死に思考を巡らせる。音はどこから?本館からだ、ということは――――――。

 

「リリィ!」

 

 最悪の結果が頭に浮かんだ時執事の一人が私の部屋のドアを叩いた。

 

『伝令でございます!街の人間が退魔師を引き連れて攻めてきました!見つからないよう隠れていてください!』

 

 そんな場合じゃない。しかし下手に動いたらフランを危ない目に合わせてしまう。どうすればいい?私に何ができる?私の能力は残念ながら戦闘向きとは言い難い。まともに戦闘の経験がない私が行っても足手まといになる可能性が高い。もどかしさで歯ぎしりをするがギリッと音が鳴るだけで何一つ結果は変わることはない。そのとき血だらけの執事長が私の部屋に駆け込んできた。左半身は足と頭を残して焼失し腹部にも重傷を負っている。

 

「どうしたの!?何があったの!?」

「レミリア、お嬢様........」

「ひどい怪我...すぐに治療するわ!」

「も、う...私は長く、ありません......だ、旦那様が......に、んげ、んに.....」

 

 私は今度こそ思考が停止した。お父様はかなりの力を持った吸血鬼だ、それを人間が倒したというのか。もしそれが本当ならこの館で人間を止められるものはいなくなる。

 しかし執事長の顔も驚きで満ちていた。まるで自分の言ったことが信じられないような顔だ。しかしすぐに言葉を紡ぐ。

 

「リリィさまを.....は、やく..........」

「リリィ!?リリィはどうしたの!?ねえ!!」

 

 そこで執事は力尽きた。私は意を決すると部屋を飛び出した。フランが後からついてくるが止めることはしなかった。なぜなら人間相手にひとりでどうにかなると思わなかったからだ。渡り廊下ドアを勢いよく蹴飛ばし臨戦態勢をとる、が私は部屋の中を見回して絶句した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ロビーは紅に染まっていた。鼻を衝く死臭、そこら中に飛び散った血と肉片、削れた壁、そして中央には原形をとどめていない肉塊、その前にたたずむ淡い桃色の髪をした少女。彼女の後ろにいるのはお父様だったモノだろうか、上半身から上はないが服でかろうじて判別できた。

 

「リ、リィ..........?」

 

 それはまるで声から勝手に漏れ出たようなかすれた小さな声だった。しかし静寂に包まれたロビーにはよく響いた。こちらを振り向くリリィの動作はひどくスローモーションに見えた。

 

「レミリアお姉さま、フランお姉さま、全部終わりましたよ」

 

 それは彼女が4年ぶりに見せた満面の笑みだった。

 

 




なかなか会話が少ないでしょうか、これから増やしていけると良いのですが・・・
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