忘れ去られし大罪 ~The Nine Deadly Sins~ 作:キリュウ
ごめんなさい。
ネタ回ですw
面白くなかったらごめんなさい。
時刻にして朝の8時頃。グルトとヘルメスにとってバーニャ村を出発して一日目の朝だった。そんな二人は今、かなり暗い雰囲気を出しながら朝食を取っていた。
「ねぇ~問題があったのって車輪だけじゃなかったの?」
「馬の管理は俺の担当外じゃん!?」
グルトが暗い雰囲気を晴らそうとしたのかはわからないが、朝からテンション高めの声で叫んだ。まぁそれは空元気に他ならないわけで、すぐにテンションが下がりだす。
「でも、おじさん、これからどうするわけ?馬無しに」
そう、起きてしまった問題とは、馬がいなくなってしまったことだ。朝、ヘルメスがグルトよりも早く起床したので馬の餌でも用意したあげるかと馬車から降りた。昨日近くの木に休ませてあった馬の元にいったら、何と括り付けてあったロープが切れてしまっていた。近辺を探してまわったがどうやら遠くにいってしまったようで、見つけることができなかった。そして、グルトが起きてきたので、馬がいなくなったことを伝えたのだ。
ちなみに以下がヘルメスがグルトに説明した内容だ。
「ねぇおじさん。あ、ありのままに起きたことを話すよ?私が朝、目が覚めて馬に餌をあげようと木の近くにいったら、いつのまにか馬がいなくなっていたんだ。何を言っているのかわからないと思うけど、私も何があったのかわからなかった。今もだけど頭がどうにかなりそうだよ。奪われたとか買い取られたとかそんなチャチなもんとは断じて違う!まぁこれから起こるかもしれないもっと恐ろしい事態の片鱗じゃなければいいんだけど・・・」
突然のヘルメスの変貌ぶりにグルトが目を点にしたのは言うまでもないことだろう。
まぁそんなことは置いといて、これからどうするかを二人は考えなくてならない。一応、グルトには考えがあるようだった。
「・・・お前の力でどうにかならねぇ?」
完全に人頼みだった。言われたヘルメスもぽかんとした表情を浮かべている。もしもの事態の対策方法などを説明してくれるかと思えば、まさかの人頼み。これではどこかの昼寝が好きな少年が青い狸にお願いするのと何ら変わりない。
「・・・まぁできなくもないけどさ」
言われたヘルメスは渋々といった感じで答える。それを聞いてグルトは「マジで!?」と顔をヘルメスに近づける。ヘルメスは「近い近い」とグルトの顔を押しやった。
「よっしゃ!これで一先ず近くの町に行ければ馬をゲットできる!よし!さっそく頼む!」
グルトは立ち上がりながら天に向かって叫んだ。それを見ていたヘルメスは「くっくっく」と笑い、グルトの方を見て言った。
「だが断る!」
「なん...だと...!?」
言われたグルトはこの世の終りを伝えられた瞬間かのような表情を浮かべた。それに対して、言った本人は人生で今が一番最高の瞬間かと思えるくらいの笑みを浮かべている。
「この
ヘルメスの言葉を聞いてグルトはがくりとうなだれ、両手を地についた。
「━━そうだな。お前の言う通りだ。・・・なぁ一つだけ聞いてもいいか?」
グルトは俯かせていた顔を上げた。ヘルメスと目があい、彼女も、何?を目線で示す。そしてグルトは言った。
「━━━━お前ってそんなキャラなのか!?」
「えぇそうよ」
即答であった。
「━━━━そ、そうだったのか」
「えぇ」
またしても即答。見た目はそこそこ可愛い感じの少女で知的な雰囲気も醸し出していて、所謂完璧な女かと思っていたのにこの残念感。グルトにとって中々の衝撃だったようで先ほどから「あぁ~そうか~へぇ~」と会話になっていない。
「まぁ冗談だけどね」
「冗談なのかよ!!!」
今度は逆にグルトが即反応した。随分グルトの反応が面白かったのかヘルメスはくすくすと笑っていた。
「だってあんな変な女の子がそうそういるわけないじゃない。グルトってバカなの?」
「いや、おまえなぁ」
グルトはもう色々疲れてしまったのだろう。ツッコむ気力もないようだ。
「仕方ないわね~じゃあ私がどうにかしてあげる!けど、条件があるわ!」
「はいはい条件ですね~何でしょうか~お嬢様?」
「━━━別にやらなくてもいいんだけど」
「姫!何なりと私目にお申し付けください!」
「う~ん、私、姫より先生って言われたいかな」
「先生!私は何をすればよろしのでしょうか?教えてください!」
「グルトって結構ノリがいいのね~」
「誰のせいだ!誰の!」
見た目14歳くらいの少女に35歳くらいのおじさんが頭を下げている構図は傍から見て異様な光景だった。それでも今のこの現状を打破できるのは少女の力に頼るしかないのでグルトも下手に出るしかない。
「えっとね~荷台に積んでるバーニャエールを一本、私に頂戴!」
「はぁ!?俺が村でお前になんて言ったか覚えてるか、嬢ちゃん?」
「えぇわかってるわよ。だから言ってるでしょ?一本くれたらいいのよ」
「・・・くれるだけで飲みはしません、ってか?」
「何言ってるの?お酒は飲むものに決まってるでしょ?頭大丈夫?病院行く?」
グルトのこめかみがひくひくと動く。もうグルトの怒りが限界に近づいてきているようだ。
「あ、あのなぁ」
「くれないならならいいわ、頑張って馬車を引っ張って行って!あ、私は手伝わないから」
「・・・はぁ~わかったわかったわかりました!ったく、一本だけだからな!」
「えぇ一本で十分よ。じゃあこれの片付けもよろしくね」
「あ、おい、ちょっと・・・ったく、やれやれだぜ」
グルトの静止の声も届かずヘルメスは朝食の片づけをグルトに任せ、どこかに行ってしまった。どこに向かっていったのかはわからないが、おそらく馬車を何かしらいじりにいったのだろう。グルトはいそいそと朝食を片付け、荷物を馬車に詰め込んだ。片づけを終え、馬車の前のほうに行ってみると、そこには馬の代わりなのか、馬車よりは小さな2輪の乗り物が馬車にくっついていた。
「....おい。これ、何だ」
「え?見たままだけど」
ヘルメスは何を聞いてるの?と驚き顔だ。いや、なに、確かに俺は馬車を引く馬の代わりに何か方法はないかって訊いたわ。んで、それがこれ?
「....えっと~ヘルメスさん。これって、どうやって進むのかな?」
「どうって、こぐのよ」
あ~この子は何を言ってるのだろうか。まぁこの2輪の乗り物(?)が人力で進むんだろうな、ってことは見てわかった。問題は人力なことというか、何というか。
「あのですね、ヘルメスさん」
「なによ」
「貴方は、あの馬車に詰められた酒の量を見て、その上で俺に馬車をこいで進めと?」
「問題があって?」
「おおありじゃ!って何話し方もお嬢様っぽくしてんだよ!無理に決まってんだろ!どんだけの重さがあると思ってんだ!」
人の力では限界があるから馬の力を借りて運んでいるというのに。それを人力でこいで進むなんて。押して進む方が速いんじゃないかと思える。
「あのね~私にだって何でもかんでもできるわけじゃないの!嫌なら押して進めば!私は協力しないけど!」
さ、最低だ。最低な断言だ!
「はぁ~まぁいいや。とりあえずどうにかしようとはしてくれたってことでいいとするわ。でもお前すげぇな。これどうなってんだ?この2輪お前が考えたのか?」
グルトにとっても初めて見る乗り物だった。大体、移動手段は徒歩か馬車に限られるのに、これは人力で動く人力車ってことになる。今は一人しか車輪を回すところがないが、これがもっと沢山あれば馬さえ必要なくなってくる。凄い発明だ。
学者なのかと思ってたら、もしかしたらこういう研究をしているのかも、と少しだけヘルメスを見直すグルトだった。
「まぁね~。私にできないことなんてないんだから!」
声に若干、嬉しさが含まれていた。
ヘルメスは「じゃあ、とりあえず頑張って進んでみましょ」と言って、馬車の荷台に乗りこみ、グルトに車輪をこぐように指示する。
「はぁ~まぁ騙されたと思ってこいでみますか」
グルトも初めてみる乗り物に少し興奮しているふちがある。ヘルメスに乗り方を教えてもらっている時も少し顔が笑っていた。
「よし、じゃあ進むぞ~たぶん無理だけど」
「やる前から諦めるな~!男なら根性見せなさいよ!」
はいはい、と乾いた返事をしながらグルトは力強く木のペダルを踏み込んだ。
「おっ、お、お~!何だこれ?進む!進むぞ!」
絶対進まないだろうと思っていたのにどういう理屈か想像していたより軽い力で進みだした。
「すげぇ!結構これ楽しいな!なぁヘルメス、お前すげぇよ!...ヘルメス?」
先ほどまで後ろにいたはずの少女の声が聞こえない。彼女のことだから、高笑いしながら、そうでしょうとも!とか言ってきそうなのに。おかしい。嫌な予感がする。グルトは進めていた2輪を止めてゆっくりと後ろを振り返った。
「あ、メンゴメンゴ!馬車と連結するの忘れてたわ!」
「んなことだろうと思ったわ!」
結局、馬車とくっつけると全く進まなくなった。
「おい、これどうすんだ」
「うん、そうね。これは所謂あれじゃないかしら」
「あれ?あれって何だ?」
「決まってるじゃない。始まりからクライマックスよ!」
二人の旅はまだ始まらなかった。
誰も読んでないでしょうけど、読んでくださいありがとです!w
誰か見てる方がおられたら、感想いただけると嬉しいで~す!!!
あ、次回はヘルメスさんから離れます。