忘れ去られし大罪 ~The Nine Deadly Sins~   作:キリュウ

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新たなキャラクター登場です。




第5話 : 仲の良い兄妹

 

 

 

 

「なぁ、降りてくれないか?」

 

俺は背に乗っている妹に声をかけた。

 

「い~や~だ~」

 

しかし返ってくる返答は否定。まぁわかってはいたんですけどね。このやり取りもやり慣れたものだ。

 

「せめて、後ろの荷台に乗っててくれよ」

 

俺は背後に引っ張っている荷台を指さす。近くの町から仕入れてきた食材が入った荷台を俺は引いていた。まだ人が乗れる分くらいの空間はあるのだからそこに座っておいてほしい。

 

「お兄ちゃんの背中が安心するんだもん。ここは私の特等席!」

「勝手に人を物扱いしてんじゃないよ、ったく落ちるなよ?」

「うん!」

 

甘い。わかってはいるけど、妹には甘い態度を取ってしまうのが兄というものだよな?そうだよな?これって普通だよな?━━━━誰か、大丈夫だよって言ってくれ。

 

「大丈夫だよ、お兄ちゃん」

「ありがとう、あれ?俺、今声に出してたか?」

「ううん、でもわかるよ」

「.....おい!もしかしてお前、今、指輪を!?」

「安心して。約束は守ってるよ。ほら」

 

そう言って綺麗な左手を俺の顔の前に持ってき、左手の中指にある指輪を見せた。

 

「ならよかった。でも何でじゃあ何で俺が言って欲しいって思ったことわかったんだ?」

「ふふ、そんなこともわからないのお兄ちゃん。そんなの私がお兄ちゃんのこと大好きだからに決まってるじゃん」

 

そう言って顔を俺の背中に摺り寄せる。少しくすぐったくもあるが、今はされるがままになっとこう。

 

「そっか、ありがとな。俺もヨハネのこと大好きだ」

「うん。知ってる~.....zzZ」

 

どうやら眠くなって寝てしまったようだ。まぁ今日は天気もいいし、温かいから仕方ないだろう。俺は背中から落ちないように左で支えながら右手で荷台を引いて脚を進めた。

 

 

 

 

 

ヨハネが寝てしまってから約1時間くらいたった。そしてようやく、家に帰ってきた。正確に言えば家ではないのだが。

 

「戻りました~。店主(マスター)いますか~?」

「あぁ、帰りましたか。随分遅かったですね、何か言い訳はありますか?」

「えっと、言い訳はありません。ただ、できるだけ静かに話して貰えるとありがたいです」

 

そう言って俺は背中に背負っているヨハネを見せた。店主(マスター)もそれを見て納得してくれた。

 

「じゃあ食料品の整理をしておきなさい。そろそろ正午を過ぎる。しばらく任せるぞ?」

「は~い。晩御飯には遅れないでくださいね~」

 

そう言い残して店主(マスター)は店を出ていった。これはいつものことで店主(マスター)はいつも昼頃に店を出て行き、夕方に返ってくる。そしてその間、店を管理するのが俺たち兄妹の仕事というわけだ。

俺は背負っていたヨハネを寝室に運びベットに寝かせた。

そして俺は買ってきた食料を倉庫に入れ始める。といっても種類や量はそんなに多くない。飲食店を経営しているのにそれで大丈夫なのか?と疑うレベルだ。しかしこの店、場所が場所なのだ。人並み外れた山の中の、さらに洞窟の中にあり、誰か来る人いるのか?と思わずにはいられない。一週間に数名、客が来たら儲けものぐらいだ。

 

「この肉は....そろそろ期限が来るな。これは今日の夕食の材料にして.....あ、卵のストックも必要か....」

 

食糧庫に搬入を済まし、在庫も確認し終わり店主(マスター)から頼まれたことは終わった。することがなくなってしまってので、フロアの掃除でもしとくか、ということで箒と塵取りを持ってフロアに移動した。掃除を始めて10分ぐらいした頃、ヨハネが寝室から起きてきた。

 

「あ、悪い。起こしちゃったか?」

「うんん。大丈夫。それよりこっちこそごめんね、寝ちゃった。あ、掃除手伝うよ」

 

ヨハネは俺が持っていた塵取りを受け取り俺が箒で集める埃を回収していく。まぁ普段から掃除はしているからそんな埃も出てこないのだが。

 

「よし、じゃあ掃除もこれくらいにして、昼食にしようか」

「うん!じゃあちょっと待ってて。すぐ用意するから」

 

ヨハネはゴミを捨てに行ってから食糧庫に小走りで移動した。俺も料理ができるのだが、大抵はヨハネが料理してくれる。まぁヨハネの方が俺より料理が上手なのは確かだ。店主(マスター)?あぁ全然できませんよ。前に店主(マスター)って料理できないんですか?って聞いたら、「私の本気を少し見せてあげましょう」とか言って店に飾ってある斧を手に取ろうとして俺とヨハネで必死に説得しましたよ。「残念、せっかく少し本気を見せてあげようと思ったのに....」とか言われて俺とヨハネが一瞬、石化してしまったのは仕方ないことでしょう。時々、夜に簡単な料理を教えてあげてるんだけど、覚えが悪いんですよ、うちの店主(マスター)

 

「お兄ちゃん。このお肉使っていいのかな?」

「あぁそれは構わないよ」

「わかった。じゃあシェパーズパイでいいかな?」

「うん、おいしそうだ。楽しみにしてるよ」

 

そしてヨハネはキッチンに移動していく。俺は待っている間、最近読みだした本を読んで時間を潰した。

 

「━━━ちゃん、.....おにちゃん!」

「あ、え、ごめん。何?」

「できたよ。まったく、お兄ちゃんは本読みだすと集中してて声かけても中々気づいてくれないんだから」

「ごめんごめん。じゃあいただくね」

「うん、食べて食べて!」

 

俺は皿に乗ったパイをスプーンで一口分とり口に持っていた。

 

「おいしい。やっぱりシェパーズパイには(ラム)肉だね」

「ちょうど残ってたからね。あ、でも卵少なかったよ?」

「あぁ確認してるよ。だからまた今度買いに行かないとな」

「うん!またお兄ちゃんの背中に乗せてもらお~っと!」

「少しは歩きなさい!」

 

俺は軽くヨハネの額を小突いた。

 

「あぅ....ごめんなさい」

「うん、今日はお兄ちゃん頑張った。だから、お代わりください」

「ふふ、は~い。ちゃんと用意してますよ~」

 

そう言ってヨハネが二つ目を持ってきてくれる。俺はそれもぺろりと食べ終え、二人でゆっくり午後の時間を過ごした

 

 

 

 

 

 

「アバドンく~ん、ヨハネちゃ~ん、帰りましたよ~?」

 

時刻にして午後の7時くらいに店主(マスター)がようやく店に帰ってきて、店主(マスター)は、ひょこっと入り口の扉から顔をのぞかせていた。しかし二人からのお帰りの返事が無い。もしかして昼間の言い方が気にいらなくて怒らせてしまっただろうか、とおろおろしながら中に進んだら、それは杞憂だったということがわかった。

 

「おやおや、二人ともこんなとこで寝てしまっては風邪を引いてしまいますよ」

 

兄妹は椅子に座りながら机に伏して寝ていた。それはとても可愛い光景で二人は仲良く手を繋いでいた。兄は左手を妹は右手を。そして本当に仲のいい兄妹だからか、二人の手の甲にはタトゥーが刻まれていた。兄の左手には(フクロウ)が、妹の右手には(ワシ)が。店主(マスター)は彼らの手に手を重ねた。

 

「いつになったら堂々と町に出られるんでしょう.....いつもありがとうね、アバドン君」

 

手を離して、夕食を食べるためにキッチンに行った。

何を作ろうか、といっても簡単な物しかつくれないのが。食糧庫に確認に行こうとしたら、一枚の紙が上に乗ったワンプレートがキッチン周りに置いてあった。

その手紙を書いたのはヨハネのようで、綺麗とは言えないけど、女の子らしい字で書いてあった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

   お帰りなさい。夕食のシェパーズパイです。

   冷めてたら少し火にかけて温めてください。

 追伸.

 お兄ちゃんが寝ていたら起こさないであげてください。

 今日は迷惑一杯かけちゃったので。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「.....ありがとう、ヨハネちゃん。あ、いけないいけない。毛布かけといてあげないと」

 

店主(マスター)は寝室から毛布を取ってきてフロントで寝ている二人にかけてあげた。そしてヨハネが用意してくれていた夕食を温め、フロントに移動し二人を起こさないように夕食にありついた。食べ終え、洗い物を終えると、一番忘れてはいけないことを忘れていたことを思い出した。

静かに店の玄関まで移動し、店の入り口にかけている木の板をひっくり返した。

 

「これでよし。....そう言えば、お酒の注文をしていたはずでしたね。確か、そろそろだったような...」

 

店主(マスター)は音を立てないように扉を閉めた。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

         <麗しき暴食>亭

 

           CLOSE 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

ここは一人のちょび髭店主(マスター)と一組の仲の良い兄妹が経営する酒場。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







読んでくださりありがとうございます。

そろそろキャラクター紹介でも入れたいと思っております。


どうでもいいですが、自分は大罪の中で、エスカノールさんが一番好きです。
答えは簡単、笑うくらい強いからw

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